肩の痛みと表現される肩関節痛をカイロプラクティック治療の観点から解説しました。
キーワード 肩の痛み、肩関節痛、不安定性肩関節、可動性減少肩関節、五十肩、肩関節周囲炎、癒着性関節包炎、棘上筋腱炎、棘上筋腱石灰性炎、回旋筋腱板
肩関節の痛み原因
ここでは、癌の転移による痛みなどの重大な疾患によるものを除いた、よく見受けられる肩の痛みについて説明します。肩関節の痛みは、関節の可動性の観点から分類すると、不安定性関節と可動性減少関節にわけられます。これは、一般医学の分類法ではなく、カイロプラクティック治療を行う上での都合に基づいた分類です。
不安定性肩関節(ルーズニングショルダー)とカイロプラクティック治療
肩関節が不安定な状態で、肩を動かすと、必要以上に関節面間が動き過ぎ、緩みすぎた状態になっています。時に、ゴキッと異音がして関節が大きく動くこともあります。不安定な状態で関節を使うと、周囲の靭帯や筋腱が伸張され、関節には磨耗が生じ、炎症性の痛みを発症させます。
野球などのスポーツで腕を振り回しすぎたり、重い荷物をぶら下げて歩いたり、転倒などの事故で発症させることが多いものです。
また、姿勢との関連性で言えば、僧帽筋の緊張が低下している側、つまり首の傾斜側で肩関節がゆるみやすい傾向があります。
カイロプラクティック(厳密には当院における)の観点からの治療は、肩関節のゆるみを憎悪させる姿勢を修正し、肩関節そのものに対して安定して関節滑り運動が生じるような手技を施します。長期化しているものについては、肩関節運動に関わる筋腱に変性が生じていますから、その部分についての処置を行うこともありますし、自宅療法としての、氷冷と腕立て伏せ(筋トレとしてではなく不安定性関節の調整として工夫された方法の腕立て)を指導することもあります。
注)ここでいう不安定性肩関節は、整形外科領域でいう反復性肩関節脱臼や動揺性肩関節よりも小さな不安定性を含みますので、熟練した触診によってのみ判別できるものです。
可動性減少肩関節とカイロプラクティック治療
この状態は、整形外科領域でいう五十肩(癒着性肩関節包炎、肩関節周囲炎)などと診断されるものも含みます。要するに肩関節のすべり運動が減少した状態をこう定義しました。組織(腱や関節包、靭帯など)に炎症が生じると、線維化という現象が生じ長期化すると周囲と癒着(のりが固まったような状態)が生じ、関節の動きが減少します。ですから、カイロプラクティックの観点からは、滑りの悪い方向を検査で確認し、その滑りの悪さを改善させる手技を施します。
可動性減少関節の中でも、上腕骨が上方にずれて固定されたものは、上腕骨頭(肩甲骨と関節をなす部位)が肩峰下(肩甲骨の上腕骨頭を上から覆う部分の名称)でぶつかり(医学的には肩峰下インピンジメント)、回旋筋(棘上筋、棘下筋、肩甲下筋の腱で構成されている)腱板、肩峰下滑液包などに炎症・癒着が生じやすく、腕が非常に上がりにくくなる、いわゆる五十肩になりやすい状態です。
不安定性肩関節とは逆に、僧帽筋緊張側すなわち頚部の傾斜反対側の上腕骨が上方に変位する傾向(単純な場合です、あくまで)をもつので、頚部の傾きを調整することも大切になります。頚部の傾きは全身のゆがみと独立したものではないので、結局、五十肩も、全身を診た上での調整になります。カイロプラクティック治療哲学がここでも、当然適用されることになります。
なお、不安定性肩関節が炎症を長期下させると、周囲組織に癒着をおこし、可動性減少関節になることも当然ありますから、上腕骨頭が下方変位した肩関節は可動性減少にはならないということではありません。不安定性とか可動性減少とかは、あくまで、関節の力学的状態を表現したものです。念のため(ここは教え子を意識しました)。
棘上筋腱炎、棘上筋腱石灰性腱炎、肩峰下(滑液)包炎、肩関節周囲炎について
上記は診断名は、単に障害されている組織を表記しているので、不安定性肩関節でも可動性減少肩関節でも生じることがあります。
肩関節に対するカイロプラクティック治療の補足として
上記では、肩関節と頚部の傾斜についてのみ解説してありますが、腕を上げる動作は、肩甲骨が動き、背骨もたわむという全身運動でなされていますので、全身を診る必要があります。実際にはすべての症状について言えることですが、身体運動の連動性・関連性を考慮する必要があり、さらには心身相関までも念頭におくこともあります。このサイトはあくまで治療を求めている方々への情報発信であり、治療者・医療者向けの発信ではないことを承知してください。
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