西日本新聞のコラムより

2000年4月から、地元の西日本新聞に月に一度「田舎へGO!」というコラムを書いています。掲載時は文字数の関係や担当編集者の表現チェックなどで少々手が加わることが多いのですが、今回は原文に近い形で紹介します。

2001年1月〜12月
「村のワーキングホリデー」宮崎県西米良村
「水俣の石積み名人」熊本県水俣市
「庭付きのんびりカフェ」熊本県玉名市
「会社を辞めて三瀬村暮らし」佐賀県三瀬村
「大皿上の“お母さんの味”」大分県大山町
「城下町のガイドさん」大分県竹田市
「自然舞台に交流イベント」大分県中津江村
「たまには自分のルーツへ」福岡県犀川町
「心やすらぐ農家の宿」熊本県南小国町
「温泉街の路地裏巡り」大分県別府市
「阿蘇の牛肉を食べよう」熊本県阿蘇町


2000年4月〜12月
大分県安心院町・長崎県大瀬戸町・宮崎県五ヶ瀬町・長崎県西海町・フランス・オー
ベルニュ地方・熊本県小国町・福岡県立花町・熊本県水上村・熊本県砥用町

2002年1月〜12月
大分県豊後高田市・福岡県筑紫野市・熊本県牛深市・宮崎県北郷町・大分県安心院町
・長崎県大島町・福岡県志摩町・福岡県福岡市・大分県安心院町・大分県真玉町・熊
本県水上村

2003年1月〜4月
福岡県豊津町・大分県安心院町・熊本県水俣市・熊本県南小国町

 

 

「村のワーキングホリデー」

 少し植えるだけ、少し刈るだけの農業体験イベントに、「もっとやりたい」と不満を持つならGO!
 宮崎県西米良(にしめら)村の「ワーキングホリデー制度」は、レジャーではなく、農家に出向いて“仕事として”農作業を体験します。
 特産・ユズの収穫や出荷準備、花の手入れや収穫など。当然、季節によって作業内容は変わります。主に軽作業だから、農業経験がないシロウトでも女性でも、大丈夫。私もコツを習いながら、スイトピーの小さなツルをプチプチ取ったり、ユズをパックに詰めたり。遊びじゃないんだから、真面目に、ていねいに。
 「前に来た学生さんが『おばちゃん元気にしちょりますか』って、西米良なまりで手紙をくれた。あの子は働きながら方言をいっぱい覚えて帰ったもんねぇ」と休憩中に楽しい噂話が。西米良のワーキングホリデーは農業の人手確保のために生まれたもの。でも、今では全国から来る人との交流が、村の農家のいい刺激と励みにもなっているんだとか。
 基本は3〜5日間の労働。時間給で農家から賃金が支払われます。宿泊は村のコテージ(有料)。近くには温泉も。時期や内容、料金など詳しくは、ワーキングホリデー推進協議会(西米良村企画商工課)0983(36)1111(代表)、または「米良の庄」0983(36)1833へ問い合わせを。

(2001年1月30日掲載)

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「水俣の石積み名人」

 「寒かねぇ」地元のおばあちゃんたちでにぎわう路線バスで、水俣駅から約40分。水俣市の源流部・久木野のふるさとセンター「愛林館」へ行きました。
 館長の沢畑さんは、この地区を「日本一(自称)の棚田の里」と呼んで、ここを舞台にいろんなイベントを実施しています。今回私は“棚田の石積み作業”に参加しました。地元の名人さんたちと一緒に、崩れた石垣を補修するのです。
 一部崩れた石垣も、大部分を崩して組み替えます。大小さまざまな石を、かみ合わせを見ながら再度重ねて。私が置いても収まらないのに、「これがよか」名人・虎雄さんの選ぶ石はピタリ。置く向きも「ここが上やな」と、ピタリ。目にモノサシがついているようです。
 「途中で休憩もできん」と名人も言う程、「あれにしよう」「向きはどうかな」と、やめられないおもしろさです。結局、私が選んで積んだ石は2日でやっと2個(他はかみ合わず)。名人には遠く及ばないことを、思い知らされました。
 3月31日(土)、4月1日(日)、7日(土)、8日(日)には、山の針葉樹の切り跡に桜や椎など広葉樹を植える「水源の森づくり」イベントが。HP=http://www2.ocn.ne.jp/~tanadaには他の催しも掲載されています。申し込みは「愛林館」(0966−69−0485)へ。

(2001年3月6日掲載)

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「庭付きのんびりカフェ」


 近くを通ると必ず寄ってしまう、大好きな喫茶店が熊本県玉名市にあります。「カフェ・テラス・アルジャン」といいます。
 表からは一見普通の喫茶店だけど、店に入ると窓辺やテラスから見えるのは、広ーい裏庭。約800坪の庭に花、ハーブ、野菜。季節によっていろんな眺めがあります。注文を待ちながら庭を歩くのも、楽しいです。庭で採れた自家製ハーブのお茶は、ポカポカの窓辺でのんびり飲みます。
 ドリンクメニューももちろんですが、見逃せないのがデザート。焼き立てのワッフルは、フランスの友達の家で食べたのと同じ味がしてビックリ! 使ってる卵は、水や飼料、飼育環境にこだわった有精卵「玉名の自然卵」。生産者から仕入れているそうです。
 お庭担当のお母さんとカフェ担当の娘さんの二人三脚で、オープンして一年半。二人の予想以上に増え続けるお客さんに対応するため、メニューを見直し中だとか(ワッフルが残るといいな)。「お花を眺めてボーッと、そしてホッとできるような空間にしたい」と絵画教室や陶芸教室の作品も展示することも。寄るなら、ぜひ時間がたっぷりある時に。
 問い合わせは同店=0968(73)8298へ。玉名市の国道208号線沿い大倉郵便局裏、午前10時〜午後7時、現在木曜定休です。

(2001年4月10日掲載)

※ここはその後日曜定休になったはず…出かけるときは確かめて

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「会社を辞めて三瀬村暮らし」

 二年前、友達夫婦が福岡市内から佐賀県三瀬村に引っ越しました。田植え交流が縁で村に何度も遊びに行くうち、「こんなところに住めたらいいなぁ」と村の人と話したことから、古い家を借りられるようになった、と言います。
 遊びに行くと、家中にプンと炭の香りが。というのも、炭を焼いているから。当初「転勤でまた東京に帰らないといけないだろうけど、それまで住めれば」と言ってたのが転じて、なんとその後は勤めていた会社を辞めて、炭を焼いて暮らす日々なのです。
 五右衛門風呂や裏山の炭焼き窯は自慢の手作り作品。近所に借りた畑には春と夏の野菜が芽吹いています。東京出身の小野寺夫妻が、楽しみながら試行錯誤しながら、少しずつ築いてきた“田舎の暮らし”... お風呂をわかすと、薪(まき)の香りも漂って、懐かしい気分になりました。
 竹を切るのは「チェーンソーが楽でいいよ」と言われても、竹炭職人としては、なんとなく手作業にこだわってのこぎりで引いてしまうという小野寺さん。焼いた後もひとつずつ磨いて、小片が出ないように固く仕上げているそうです。「竹炭・旅をする木」といいます。
 炭の注文・問い合わせは小野寺さん宅=電話兼FAX0952(56)2181(午前9時〜午後9時)へ

(2001年5月8日掲載)

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「大皿上の“お母さんの味”」

 「川沿いやから、ありゃあリバーサイドレストランやな」。
 大分県大山町に「木の花ガルテン」という農産物直売所があります。充実の品ぞろえなので、私もよく寄るところ。この4月、そこにレストランもオープンしたと、地元の知人が教えてくれました。
 週末に行くと、レストラン「オーガニック農園」は正午前なのに大にぎわいです。“農家もてなし料理のバイキング”で、店内には大皿がズラリ。100もあるメニューから、常に50〜60種類を並べているとか。
 「農村から食の提案をしようと、昔ながらの農家の料理を出してるんです。だから厨房で働くシェフは、みんな60、70代の地元のおばちゃん達ですよ」と、このレストランに構想から関わった大山町農業協同組合の八羽田参事。
 大豆の五目煮、クレソンの白和え、地鶏の唐揚げ…煮物、焼き物、和え物、その他いっぱい。地元の野菜をふんだんに使って、確かにどれもほっとする“お母さんの味”でした。友達を連れて、また行きたい!
 バイキングは大人(中学生以上)1200円、小学生800円。地鶏付きのメニューもあります。
 「オーガニック農園」は定休なしで、午前11時〜午後9時営業、問い合わせは「木の花ガルテン」=0973(52)3530=へhttp://www.oitaweb.ne.jp/konohana/

(2001年6月5日掲載)

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「城下町のガイドさん」

 大分県竹田市で、古い街並みが残る城下町を散策しました。
 これが楽しかった! その秘密は地元のボランティアガイドさんの存在です。今回の案内役は白髪が素敵な仲村睦雄さん。「では、行きましょうか」地図を片手に出発です。
 商店が並ぶ通りで「この店はね、通り抜けができるんですよ」と仲村さん。えー、お店の中を素通り? 「ちょっと通してねー」「あら、どうぞー」と、さすが住人同士。かわいい和の小物が並ぶお店でした。
 普通の観光客なら通らないような小さな路地や風情ある竹垣の小道を抜けて、小さなお寺へ。これも自分達だけだったら、行かないような場所。でもお寺にまつわる恋愛エピソードや「一周まわっておまいりしたらいい」と願掛けの秘訣を教えてもらうと、がぜんおもしろいのです。
 偶然出くわしたシイタケ問屋の若だんなをつかまえて、最近その問屋が作った素敵な和風喫茶をのぞかせてもらったり。こんな、少しはみ出た案内もごあいきょうです。
 ガイドさんのおかげで、地元の人とも気軽に話せて、魅力のスポットを次々見せてもらえて大満足。散策用の地図には、ガイドさんたちが足で集めたいろんな情報が載っています。※現在は20人以上の団体対象にガイドをしています。要予約
 問い合わせは竹田市観光協会=0974(63)2638

(2001年7月3日掲載)

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「自然舞台に交流イベント」

 「おう、あんたか。よう来たな」大分の山村・中津江村を歩いていると、知り合いのおじさんから声をかけられました。この晩公民館で会合があり、地区のおじさんおばさんにまじって私も参加したのです。
 議題は、中津江村“市の瀬”地区の夏の交流イベントについて。子どものキャンプや、アート展覧会が村の川や広場など豊かな自然を舞台にめじろ押しなのです。
 「五日もキャンプするなら、子どもも風呂に入りたかろう」「キャンプファイヤー用の木は、誰か一緒に山に行って下ろしてやらんと」「川に下りる道の草を刈らないかん」「展示を見にに来る人の駐車場も考えんとな」。町からの参加者が訪れて何気なく過ごすためのいろんな準備を、六、七十代の地域の人たちがあれこれ心配しているのです。   「せっかく来るなら、満足して帰ってもらいたいもんなぁ」....自然が舞台の催しとはいえ、“そのまんま”ですまないことがたくさんあるんだ、と改めて気付かされました。
 八月五日から十一日、日韓の芸術家が川に造形美術を、福岡の若手芸術家が杉林にホースを使ったアートを制作・展示し、一般公開されます。「見慣れん人が大勢来るやろうな」と地域の人も楽しみにしてるアートイベント、見に行きませんか?
 問い合わせは中津江村役場産業課=0973(54)3111(代)

(2001年7月31日掲載)

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「たまには自分のルーツへ」

 たまには自分のルーツの田舎にもGO! この夏、盆踊りの輪に加わりました。場所は福岡県犀川町、母の実家・私のおじいちゃんの家の庭です。
 「よーぉ、来たなあ」おじいちゃんは、いつもニコーッと笑って孫の私たちを迎えてくれました。今年の夏は、そのおじいちゃんの初盆だったのです。このあたりでは今も、前年のお盆以降に亡くなった人の家に親戚や集落の人が集まって、盆に踊る習慣が残っています。
 夜9時、暗い道を集落の人が大勢集まってくれて、カラオケマイクがオン。近所のおじさんが独特の調子で節をまわしながら歌い、踊る人たちもうちわをクルクル回したりたたいたり。アーヨイショ、オーリャ、とみんなで声をそろえます。実に50人くらいの人が踊り、その輪に入ってない人も30〜40人。
 集落のおじさんたちはほとんどが浴衣姿で、率先して踊ってすごく楽しそう。ほろ酔い気分でのおしゃべりも大声で滑らかです。何曲も踊った後、一度おひらきになったのに「もうひと踊り」とアンコールも。
 久しぶりに農村の生きたコミュニティーの中に混じって、“田舎の濃さ”に触れた気がしました。子ども時代の呼び名で通じるせまーい関係も、昔はイヤだったのに今回は不思議と心地よかったです。
 私もトシとったのかな。

(2001年8月28日掲載)

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「心やすらぐ農家の宿」

 熊本県南小国町で週末を過ごしてきました。この町に、私がもう何度も訪れた農家の宿・「さこんうえの蛙(かわづ)」があるのです。
 目じるしもあまりない小さな道をたどって着く、小さな集落の一軒の農家です。蔵を改装した部屋には、TVや電話はナシ。近くにコンビニはもちろん、自動販売機もナシ。
 「正純さんの作った野菜、たくさん食べてね」と、宿をきりもりする河津慶子さん。ご主人・正純さんが無農薬無化学肥料で虫と闘いながら作るいろんな野菜を、慶子さんがバラエティー豊かに、素朴な味付けで出してくれるのです。「肉や魚はここにはないし、街で毎日食べるでしょ」と、肉・魚もナシ。料理用に買うのは調味料だけ、といいます。
 車の騒音もほとんど届かない、静かな集落。だから、私はここに来たら五衛門風呂に入ってのんびりするだけ。農村だからって、「体験」にこだわることはないのです。
 質の高い野菜と静かな空間、何もしないひととき。都市の生活ではなかなか得られない「心のやすらぎ」がここにはあります。一泊二食五千円…ですが、その何倍も価値のある宿です。だから私は、セルフサービスの心でおじゃましています。
 問い合わせは河津さん=0967(42)0766※正午過ぎ頃もしくは午後八時〜十時(農作業などで不在のため)

(2001年9月25日掲載)

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「温泉街の路地裏巡り」

 大分県別府市にボランティアガイドさんと歩く路地裏ツアーがある、と聞いて出かけました。
 毎週日曜、別府市内3コースのうちどこか一コースが開催され、参加費は千円(おやつ・昼食・記念写真代込)。その日は「竹瓦界隈路地裏散歩」コースで、約二十人が参加。「案外知らないから、おもしろい」と別府や近郊の人も多かったです。
 拡声器片手のガイド・平野さんに導かれて、駅ガード下の「駅市場」を抜けたり、ホテルのロビーに入りこんだり。途中お総菜屋さんでコロッケをつまみ、老舗のお味噌屋さんで買いものをして…地元の庶民派グルメも楽しみます。
 「どこから来たの?」と商店街のおばちゃんとも会話をするうちに、終点の竹瓦温泉前に到着。この温泉も昭和十年代建築で、レトロな雰囲気満点です。散策のあとにぜひ。
 団体旅行のイメージが強かった別府が、地元の人たちの営みに触れてうんと身近に感じました。
 十月二十八日まで、この竹瓦界隈で十日間のお祭り「別府路地裏文化祭」が開催中。路上に「路地裏食堂」が、お食事処に「裏メニュー」が登場したり、お楽しみがいろいろ。期間中、路地裏散歩は毎日開催です。文化祭の詳細はHP=http://www.coara.or.jp/~sanken、竹瓦の路地裏散歩の問い合わせは「窓」=0977(24)5000へ。

(2001年10月23日掲載)

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「阿蘇の牛肉を食べよう」

 「牛肉を食べよう!」と熊本県阿蘇町へ友達を誘いました。今回出かけた農家レストラン「田子山(たんごやま)」は、畜産農家・小野さんの「あか牛」料理専門店です。
 小野さんは、牛の繁殖から肥育まで一貫して育てる農家。繁殖牛は阿蘇の草原で一年中放牧され、草をモリモリ食べてのびのび育ちます。「雪も大丈夫。牛は寒さに強いから」。料理を並べながらいろんな話を聞かせてくれました。
 放牧で育つから足腰が強く、お産も多いこと、牛のたい肥が野菜の肥料としても使えること、そして狂牛病のニュースのこと…。でも今も、休日は各地からお客さんがあって、座りきれない時もあるそうです。
 さて、この日食べたのはリブロースとモモ。軽くあぶって塩コショウかポン酢で頂きます。しっかりした食感で、かむとジューッ、肉汁が口の中にあふれます。私の「あか牛」イメージは一新しました(こんなにおいしいとは)。だご汁の味噌も手作りで、お米も自家製。私たちはごはんも肉もおかわりしました。
 「畜産だけでなく店を始めて世の中が広がりました。いろんな人との出会いが楽しい」と小野さん。生産者の心がこもった料理が、素朴なもてなしで味わえます。三千円と四千円のコースがあります。
 「田子山」=0967(32)5070、正午〜午後9時、水曜定休

(2001年12月4日掲載)