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「荘園の風景と達人たち」
「昔話の風景みたい…」。大分県豊後高田市・田染荘(たしぶのしょう)地区を訪れました。
ふぞろいな田んぼが広がり、道も川も山もクネクネ。最近は、働きやすいように田んぼも道も直線的に整理されているところが多いけれど、ここはなんと、何百年も前の地図とほとんど同じ。しかも昔、宇佐八幡宮(今の宇佐神宮)の荘園だったところだというから、このクネクネは歴史を刻む貴重な風景なのです。
その田んぼで米を作る元気なおじちゃん・おばちゃん達に会いました。聞けば、炭焼き名人、わら細工名人、漬けもの名人…と人材がゴロゴロ。他にも中世史、森の管理など、農業だけでなく得意分野を持つ達人だらけです。
地元の米「荘園米」のおにぎりをほおばりながら、農業後継者の話題に。「子どもに継げと言うのは難しいなぁ」と、達人がポツリ。でも、ここには「荘園領主制度」というものがあり、よその人も一緒になって地元の米作りを応援できるのです。
田植えや収穫祭という地元の行事に年3回参加でき、米や野菜など秋の農産物の宅配付きで一家族(グループ)年間三万円。「荘園」の作物が手に入るのもうれしいし、達人たちとの交流が楽しそう。現在平成14年の領主を募集中です。
豊後高田市役所農林水産課=0978(22)3100。
(2002年1月8日掲載)
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「畑で手足を動かす」
冬の畑で「麦ふみ」をしました。霜で畑の土が持ち上がるのを押さえる、農作業の一つです。
土はふわふわ。お許しをもらって裸足で踏んでみました。すると、踏むのをためらうほど小さくて細い、たよりなげな麦が、しっかりチクチク足裏に存在を主張してきました。「麦も生きてるんだ」。当たり前だけど、改めて感じました。
「ものを食べるっていうのは、命をもらって自分の命をつなぐ、そういうことなんです」と麦畑の持ち主・八尋幸隆さん。福岡県筑紫野市で有機農業を実践する専業農家です。農業を体験する会「むすび庵で農と旬(しゅん)を語ろう会」を毎月開催して、6年目。会場は畑と、八尋さんの直売所「むすび庵」(野菜やお米、加工品などを販売)の二階。畑で手足を動かした後は、テーマの食材を使ってみんなで調理し、頂きます。
農業のことを知ってほしい、うちで採れたものを味わってもらいたいからこの会を始めた、と八尋さん。「それに買うことが当たり前と思ってるものも誰かの手によるもの。自分の手でもできる」。次回は二月二十四日(日)午後1時から。トリをしめて、トリごはんを作ります。
一般は参加費七百円、会員になると年会費二千円で各回五百円。
問い合わせは八尋さん=092(922)2963
(2002年2月5日掲載)
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「海の町の農家に滞在」
「あんたが来てくれたおかげで浜に行く口実ができたわー」と迎えてくれたのは、熊本県牛深市の迫口スミ子さん。牛深市では、人や自然や暮らしに触れるグリーンツーリズムの受け入れを始めているのです。
普通の暮らしにお邪魔したいとリクエストした私は、まず迫口さんの畑へ。ご主人の睦男さんとおしゃべりしながらグリーンピースの茎を網にワラで結んだり、晩のオカズのネギを抜いたり。
さらに海岸でオカズ調達です。岩場にいっぱいの白いシミ、なんとそれは全部牡蛎(かき)です。もう、どれから採っていいのやら…。浜遊び大好きというスミ子さんが熱中する横で、私は失敗して殻を潰した牡蛎を、海水で洗ってペロリ、またペロリ。「海のミルク」という表現が初めて舌で納得できました。おいしかった!
夜は晩酌に一杯つきあったのが効いたのか、はしたなくもコタツでうたた寝。初訪問なのに申し訳ないくらいリラックスしてしまいました。 四月七日までの三〜七日間、迫口さんはじめ牛深の農家に滞在して、日に五時間程度の農作業をやってみたい、という人(初心者OK)を募集中です。一日二千円の滞在費と牛深までの交通費は参加者負担。詳しくは牛深市農林課農政係=09697(3)2111(内線220)へ問い合わせを。
(2002年3月12日掲載)
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「ほのぼの家族の山小屋」
「建ててます」「できました」。宮崎県北郷町の養豚農家・古谷さんの農園&山小屋「農園ぴくにっく」は、オープン前から気になる存在でした。
丘の上の一軒屋で、広い庭にはニワトリ小屋あり、畑あり、たき火スペースあり。向こうには遠くに田んぼの景色が広がります。人工的な音は聞こえないから、のどか…。妙に落ち着くのです。古谷さん一家みんなもお気に入りの空間なんだとか。
昼間、山小屋の一階は予約制のレストランです。庭の畑から調達する食材は新鮮そのもの。失礼ながらここまでおいしいとは予想外…。しっかりした素材を使ってるから、なのかも。
始めたのは昨年夏。実際やってどうですか?と聞くと、家族が支えてくれる、と奥さんの昌子さん。訪れたお客さんにおじいちゃんが遊びを教えたり、おばあちゃんが台所を手伝ってくれたり。遅く家に帰ると子どもたちが洗濯物を取り込んでてくれたり、そんなのがとてもうれしい…と、助け合う家族の美しい話を聞かせてくれました。
確かに、古谷さん一家にはそんな雰囲気がにじんでいます。見てるだけで、なんだかほのぼの。自然や風景うんぬんよりも、家族の姿に心が洗われたような休日でした。山小屋の二階には宿泊も可。レストランも宿泊も、今年夏までは「試運転中」です。
料金など問い合わせは「農園ぴくにっく」=0987(55)3309(午前九時〜午後五時)
(2002年4月9日掲載)
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「親戚気分の農村」
もう何度となく訪れた農村があります。大分県安心院町。グリーンツーリズムの研究会があり、町外の人との交流を楽しんでいる町です。
先日も本多義一さん、雅子さん夫妻のお宅に3回目のステイ。「こんにちは」のはずが「ただいま」と言いそうです。元教師の本多さん夫妻は、裏庭で「失敗しながら自家用野菜を作っている」と笑います。農家だけでなく、いろんな立場の人が交流に関わっているのです。
「遠くの親戚が来たつもりでもてなします」という言葉どおり、“お客様は神様”でないのが安心院流。私も親戚気分で食器を運ぶくらいのお手伝いをしています。
翌日は、仲間の中山文弘さん、ミヤ子さん宅に二十人のお客さんがあると言います。朝電話すると「いらっしゃいよ。ただ今日は大変だから手伝ってね」とミヤ子さん。行くと、近所の人、前夜泊まった人でにぎやか。青空の下みんなで、夜のお客さん用に大鍋にシシ肉や野菜を煮て、トリごはんのおにぎりを百個握ってお手伝い。大家族の団らんみたいで、楽しかったです。つまみ食いも、おいしかった!
親戚気分で泊まれる民家は現在十四軒。会員制で、一泊朝食付き四千円。季節のいろんな体験も可。問い合わせは安心院町役場商工歓交課=0978(44)1111
http://www3.coara.or.jp/~ajimu
※商工歓交課はこの「歓交」で間違っていません。当て字です。
(2002年5月21日掲載)
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「なごめるペンションでのんびり」
ぼそり、と語る言葉が、妙に心をなごませてくれる人がいます。奥さんと二人、長崎県大島町のペンション「蘖(ひこばえ)の里」を経営する谷川美広さんが、私にとってそんな一人。
「火をくべたり、パンの焼き上がるのを待ったり、そんな時間を楽しむのもいいんじゃないかなぁ…」。 自宅も兼ねるログハウスの「蘖の里」。2年がかりの手づくりです。木々に囲まれて、まわりは緑いっぱい。小花が揺れて、庭にはこれまた手作りの石窯があり、ヤギやニワトリもいます。
初めて出かけた時、疲れていた私は到着早々、ついゴロリ。ケヤキの木漏れ日が心地いい一階のテラスは、サワーッと風が通って、極楽。「たまにはゆっくりして、いいんだよ」と谷川さん。私を残して友達は、案内してもらって海へ。貝殻や丸くなったガラスのかけらを拾って戻ってきました。
実はここ、ガラスのかけらや石や木を使った木工細工など、いろんな体験ができるのです。先生は谷川さん夫妻。私たちは石窯でピザ作り、ソーセージ作りにチャレンジしました。これが友達に大好評。「また行きたい」「甥っ子にもさせたい」と帰りの車の中は大騒ぎでした。
蘖の里=0959(34)4230、HP=http://www2.odn.ne.jp/~cat07260/
(2002年6月18日掲載)
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「農家の店でトリ料理」
東京の知人に福岡の休日を楽しんでもらおうと案内したのが、福岡県志摩町の農家料理の店「雛游庵(すうゆうあん)」。こだわりの自然卵を生産している農家の末崎貞子さん一家が4年前に開いたお店です。
トリさし、トリの塩焼き(焼き加減が絶妙)、トリスープの水ギョウザ…。一口食べては「おいしい…」「この食感…」とため息。「なんでこんなにおいしいの?」という問いに、末崎さんが答えてくれました。
まず、トリのエサは遺伝子組み換えなしのもので、米ぬかやきなこなども工夫し与えていること。そして日齢。普通売られているトリは九十日の日齢なのに対し、ここで使うのは百二十日以上のトリ。卵を産めるようになってからがいいそう。お米も自家製、野菜も地元のものです。「素材がいいから、塩だけでもおいしいんですよ」と末崎さん。
手間も時間もかけた素材、自然のうまみ。「本当にいい食べ物を伝えたい、ものの命を頂くということをわかってもらいたい」そんな末崎さんの思いが詰まっています。
三千円で会席があります。庭の向こうは田んぼの心なごむ風景。ああ、書ききれないのが残念! 要予約、平日がねらいめです。
午前十一時半〜午後三時、午後五時〜同十時、木曜と第三水曜定休
問い合わせは雛游庵=092(327)2166
(2002年7月16日掲載)
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「街のなかの小さな田舎」
今回は、とっておきの“街のなかの小さな田舎”を紹介します。
福岡市早良区小田部の「糸島・雷山農産物即売所・ラディッシュ」は、住宅の車庫を改装した車一台分の小さなお店。朝仕入れた農産物と、近所のお客さん、運営する二人の主婦・星野五十鈴さん、加田雅代さんでギューギューの狭さです。
二人は野菜に関わって十年、店を始めて五年目。店に並べるのは現地に足を運んで、自分の目で確かめて納得したものだけ、そしてその季節のものだけ。有機、無農薬、低農薬など、「農家の人たちがいかに努力していいものを作ってるかを、伝えたい」と星野さん。今のおすすめは「露地有機栽培のスイカ! “シャキシャキ”してるのよ」。
この他、雷山とうふ、天然酵母パン、松永さんの露地トマト、愛菜会のなす、たけちゃん農園の雷山のお米…と、そそられるものばかり。どの野菜もシャキーン、ぴかぴか。新鮮そのものです。最近は、野菜にこだわるレストランからの注文もあるとか。
家庭も大切にという考えのもと、営業は月・水・金のみ午前十一時〜午後六時。現在はお盆休み中、十九日(月)からです。202号バイパス、小田部交差点の近く。問い合わせは星野さん=090(2714)0886
(2002年8月13日掲載)
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「小さな集落でくつろぐ休日」
大分県安心院町。その町内に、いろんな催しをにぎやかに楽しんでいる「松本」集落があります。
先日は、夏の夜の映画祭。田んぼに囲まれた会場は、広い畳の間にシーツのスクリーン。“ムラのイベント”は、なんともいい感じです。
最近この小さな集落に、民泊できるお宅が三軒登場。私が泊まったのは「えーちゃん・けいこさん宅」。ほかに「すすむさん・よしちゃん宅」「すなさん・つやちゃん宅」があります(一泊朝食四千円)。
遠慮せんでいいよ、と言われるまま、私もくつろぎ放題。ちょっと近所でぶどう狩りした後は、お父さんのえーちゃんが竹を割るのを、お母さんのけいこさんと一緒にぽけーっと眺めつつ、おしゃべりして。近所の人から「親戚ね?」と間違えられるほど、なじんでしまいました。
そして、地元産大豆の豆腐! おしょうゆをかけるのが惜しいくらいの、大豆の香りと自然な甘み。食べたいなら事前に予約が必要です。
松本集落の九月はぶどう狩りがシーズン(二十一・二十二日は安心院町のワイン祭りもあり)、十一月三日には集落の秋まつりがあります。
詳しくはHP=http://www.ajimu.jp、もしくは安倍春次さん宅=0978(48)2545(午後六時〜九時)。
(2002年9月10日掲載)
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「野仏を見ながら里山歩き」
大分県真玉町に出かけました。国東半島北部の海辺の町です。
地元の魚をたらふく食べ、海に突き出た絶景の「粟嶋神社」に参り、空を染める夕日を眺めました。秋冬はさらに夕焼けが鮮やかになる、日本の夕日百選の一つの地です。
以前、真玉町の里山歩きでガイドをしてくださった遠山さん夫妻と再会しました。国東半島は各地に野仏がたくさんあります。素朴で見落しがちな野仏も、遠山さんと一緒に歩けばいろんな見方ができます。「ぼくの解説は実は適当。ガハハー」だそうですが、おもしろかったです。
仕事を定年退職したての遠山さん、地域の魅力発掘に燃えてます。里山歩きの他にも、隠れた名物料理をテーマに、食いしん坊の興味をそそるプランを仲間と考案中(これも楽しみ)。町内の「ヴィラ・フロレスタ」(http://www.interweb.ne.jp/~floresta/)という森の中の滞在宿泊施設が活動の拠点です。ここの農園喫茶は、お茶を飲むのにおすすめ。
遠山夫妻がガイドする「秋の里山歩き」が十月二十日(日)午前八時半から開催。「ヴィラ…」集合後、修行僧の歩いた道をたどります(雨天決行)。参加費二千五百円(弁当代五百円は別途、要予約)。申し込み、問い合わせはヴィラ・フロレスタ=0978(23)4050へ。
(2002年10月8日掲載)
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「力を合わせてログハウス作り」
週末にぶらりと出かけたくなって、熊本県水上村へ。球磨川の上流、宮崎県との県境の村です。
水上村には、村の人が得意分野の先生になって村の暮らしを体験させてくれる、多彩な講座があります。
この日は「森の暮らしを学ぶログハウス作り」。地元の木を使い、四ヶ月かけてログハウスを一棟作る講座です。農家でログビルダーの井手明彦さんが先生。ログハウスを作ってみたいという人たちがほぼ毎週末、九州各地から集まります。
ブイーン、とチェーンソーで丸太を切ったり、電動カンナで削ったり。そんなワイルドな作業の横で、昔ながらの道具が活躍する、緻密な作業も。墨つぼから墨付きの糸を引き出して線をつけたり、おもり付きの糸を垂らして垂直なラインを確認したり。「糸一本分、左かな?」大切な部分の計測は慎重、正確に。
見ず知らずの参加者同士も、力を合わせて作業することで、すぐ打ちとけていきます。「ログは人を組む、って言った女の子もおったよ。いい言葉やねぇ」と先生。
一回だけの参加もOK(一日三千円、昼食代別途)。村に泊まって温泉と満天の星空を楽しむのがおすすめです。詳しくはhttp://mizukami.kichi.com/、問い合わせは水上村役場企画観光課=0966(44)0312へ。
(2002年11月12日掲載)
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「“なつかしい教室”で給食」
木造の教室、木の机、木の椅子。アルミの食器でなつかしい給食…。食べてみたくないですか?
福岡県上陽町の「ふるさとわらべ館」。子どもの遊びをテーマにしたこの施設に、古い机、椅子、黒板の「なつかしい教室」があるのです。大人も思わず歓声をあげ、大興奮。「ここで給食を食べたい」と要望が多く、実現することになりました。
給食のパンを焼くのは、町内の中村熊敏さん。30年前、給食のパンを焼いていた現・和菓子屋さん(ここのおからまんじゅうもおすすめ!)です。試しに焼いた昔のコッペパンが、大好評。次はいつ?と待ち望まれますが、「月に一回ならよかたい」と中村さん。給食は月に一度(第二土曜頃)です。なんと、余興として給食前にテストが。前回は小学生程度の漢字テストだったとか。
次は十二月十四日(土)、一人千円、要予約です。教室が小さく人数限定なので早めに申し込みを。
同館は子どもが遊ぶスペースに木のおもちゃや絵本もたくさん。クリスマスクラフトづくり(十五日)、木のおもちゃづくり(二十三日)など教室も開催。土笛や羊毛人形づくりなどは随時体験できます。HP=http://www.joyo-town.jp
申し込みは「ふるさとわらべ館」=0943(54)2442(火曜休み)へ。
(2002年12月10日掲載)
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