住基ネットはなぜ問題なのか

差別と人権の視点から住基ネットを考える

文責 田畑重志

本文の無断引用をお断りします

2002/9/10


 

セキュリティ問題と流出の危険性

住基ネットがなぜ問題なのかということにも、多く個人情報の流出の問題があげられています。このことについて、政府は防止のための措置をきちんととっているといっています。しかし、完全に防止できるシステムを構築しているとはいっていません。

そうです。今のネットワークシステムの中ではどのようにしたとしても完全なシステムで外部からの不正アクセスをとめることは不可能に近いことです。マイクロソフト社やアップル社からセキュリティホールを埋めるためのパッチが次々と出されているように今のクラッカーにかかれば悪質なアクセスによって侵入されることはふせぎようがありません。あるていど防ごうと思えば外部からの侵入に強いLINUXなどのOSを使うほかありませんが、それでも不正アクセスはおこるでしょう。それでも安全といえるでしょうか。今後の住基ネットの活用の中でインターネットでの住民票取り寄せなどがありますがこれは私たちのパソコンで自分の住民票コードを流すということになりいくら行政側のパソコンが不正アクセスに強いと言っても個人では防ぎようがありません。自ら自分の首をしめるようなことになり かねないのです。

今例えば侵入され情報を引き出されたとします。それを商売にされたとして取り締まることは不正アクセスを行ったものに対しては不正アクセス禁止法で罰することができますが、それを加工してリストを作成されたりすればとんでもない人名リストができあがってしまいます。そのことについて現段階では取り締まることはできません。


 

差別への利用の問題

どういうことかというと一つには部落差別へ利用されることがでてくるからです。部落の地名がわかっている、調べることができる人であれば住民票コードとともにかかれている生年月日や性別、氏名などから部落在住者リストか゛作成されてしまいます。同様に障害者の医療施設に入居している人たちのリストなどさまざまな形で応用されてしまうかたちになります。将来的に地方自治体が決めれば市町村などの図書館でも利用できるということですが、これを勝手に応用されてしまえばどのような書物を読んでいるかなど思想差別につながりかねないことにもなりません。ちなみにこれは未確認の情報で現段階では噂の域をでませんがすでにこのようなリストがつくられファイル交換用ソフトでやりとりされているといいます。例え嘘だとしてもありえないとはいえません。

「そんなことありえないよ」と言われるかもしれません。でも某省庁は情報公開を求めた用紙から市民団体のリストを作成し更に調査し活用していました。とんでもない思想差別です。わずかに氏名・生年月日・性別など4つの項目だけだから良いというものではありません。私は自分の住む市町村に中身をみられたらどうするのだと訪ねましたが「現段階では悪用されるとは考えにくいし見られても変更すればよい」ということでした。そのように安直に考えることはできないのです。

それにドメステックバイオレンスに悩む女性はDV防止法のことをしっていても法律の罰則の軽さから報復をおそれて泣き寝入りするケースが後をたちません。住民票コードは世帯主にあててきますので暴力に悩む女性にってはどこへ逃げても住民票をとられておいかけられというとんでもない敵になりかねないのです。それはストーカー被害にあっている人にとっても同様のことがおこりかねません。

住民票コードの通知票一枚がさまざまな差別や人権侵害に利用されたりするケースがでてこないともかぎらないのです。

さまざまな人権侵害から身を守る手段を一枚の通知票やコードが奪ってよいのでしょうか。

こんなことはありえないといいきれるでしょうか。

そうなると部落解放運動の中で今まで取り組まれた壬申戸籍の問題や部落地名総鑑の問題以上に広範囲で厄介な問題がおこりかねないのです。


 

個人情報への行政の意識

特に一部市町村をのぞき多くの市町村で「普通郵便」で配達されます。誤配があった、町内会の会長が配布した、職場で配布された、中身が透けていたなど配布そのものでも個人情報の扱いに問題がでています。つまり配布の段階で行政の市町村民に対する個人情報の意識の程度がわかります。あなたの住む自治体はどうでしょうか。

本来このような大事なものは個人個人に当てて書留や配達証明付き郵便でおくられくるのが常識です。ところが、何かの案内のように行政からは普通郵便で世帯主にまとめておくられてきます。そこには家制度的な意識もみえますし、経費節減的な意識しかみえません。それぞれの事情なんておかまいなしです。

それを悪用されていたとしたらどうでしょうか。たしかに公務員などに対しては罰則がありますが個人情報保護法が無い現在においてはやりほうだいといってもよいでしょう。例え保護法ができたとしてもないときにとられた情報を悪用されてとりしまることが 法律制定後も可能なのでしょうか。

以前テレビである法律の改正される少し前に事件がおこり、施行前ということもあり適用されず泣いている家族のかたのインタビューをみましたが、そんなことはおきないといえるでしょうか。

それに現在政府が進めている個人情報保護法案はメディア規制三法の一つとして悪名の高いように「官に甘く民に厳しい」ものです。

すると「官」が悪用したとしたら私たちはほとんどその実態を知ることはできません。現小泉内閣では「公務員はそのようなことをしないこになっているから」といった人がいましたが某省庁の市民団体リスト作成で悪用があったことが 発覚しました。今の政治を見ていて公務員の不正が問題となっているときに「官」がこのようなことはしないとは詭弁でしかありません。


「他の国でもやられている安全な制度」という広報は本当か

政府はすでにこのようなことは他の国でもやられていることだと広報しています。でも韓国では13桁の番号が振られたカードがすでに根付いていてどのような場でも必要になっているといいます。そうするとそれはインターネット国家の中でさまざまに民間に流出する危険性も高いと言うことて゜す。韓国である指紋捺印や住民票制度は日本がもともともちこんだものです。政府は国民総背番号制につながるものではないとしていますが、その突破口になってしまった可能性をさまざまな住基ネットに反対するグループが指摘するのは韓国などさまざまな国の諸事情 や制度の制定にともなう動きをみてのことです。

オーストラリアなどでも徹底した個人情報保護の施策がとられたうえで運営されました。何もないのに運営した日本とは格段の違いがあります。

つまり行政の個人情報に対する意識が低い日本と他の国とを比べることは次元が違いすぎるのです。


住基ネットの問題点をあげだしたら多分まだまだ長くなります。現在さまざまな団体が市民運動として住基ネットに反対運動をしているのはいわば当然のことだといえます。 ネットを見られている方はぜひさまざまな住基ネット反対をかかげているグループのホームページをみていただきたいのです。

そして今市民団体だけではなく本当は我々個人が声をあげていくことがひつようなのです。いくつかの市町村で不参加を表明しました。しかし、それも個人情報保護法が整備されていないという理由であったりします。すると保護法が整備されたら接続されていまうことにもなりかねません。法は本来国民のために整備されるものです。ところが今の住基ネットは国の事務の簡便化のためにつくられただけの法律です。実は市町村でさえ事務はちっとも軽減されません。

私たちか゜住民票を必要とする機会は一人頭で考えると年一度あるかないかです。転勤の多い職種の人のみが恩恵にあずかれるといってよいでしょう。

この問題は市民団体だけではなく個人としてかんがえなければならない問題なのです 。今後ICカードが有料配布されますが、それが便利になれば携帯を義務づけていなくてもみんながもつようになり自然とカードの携帯の義務化が進んでしまいます。私たちがカードで管理されてしまうことに賛成できるでしょうか。

政府は住民票コードは国が管理するものではなく地方自治体が管理するものだから国は関係ないと広報しています。しかし、ならなぜ法でしばるのでしょうか。不参加表明した自治体を非難し、法律違反とわめくのでしょうか。参加も不参加も地方自治体の意志にまかせたらよいのです。

 

私たちの個人情報。あなたは国のわがままで危険にさらされることについていけますか。

 

トップページへ戻る