
狭山事件第二次再審棄却に断固抗議する
部落解放同盟集会決議
東京高裁に対する抗議
集 会 決 議 (案)
東京高裁第四刑事部・高木俊夫裁判長は、七月八日付で狭山事件の第二次再審請求を棄却する
不当極まりない決定をおこなった。わたしたちは、わずか一カ月前に、弁護団が重大な新証拠を
提出したばかりであるにもかかわらず、鑑定人尋問などの事実調べも証拠開示もおこなうことな
く、抜き打ち的に再審請求を棄却したことを満腔の怒りをもって糾弾する。
裁判の大きな争点であり、多くの国民が注目していた脅迫状や万年筆にかかわる疑問、自白の
数多くの矛盾や不自然さについて、東京高裁が、まったく事実調べをおこなわなかったことは断
じて許されない。万年筆発見の疑問についても、弁護団は、復元された石川さんの家のお勝手・
カモイの検証を要求していたが、高木裁判長はそれもおこなうこともなく、カモイに置かれた万
年筆を警察官が家宅捜索で見落とすはずがないという弁護団の主張をしりぞけている。
狭山事件の再審開始を求める署名は一三〇万人に達し、さらに各界の著名人が呼びかけた事実
調べと公正裁判を求める署名も一二〇万人を超えていた。そのなかには、全国の六七〇近い地方
自治体の首長をはじめ、教育長や議会議長、あるいは労働組合や宗教者、企業関係者など幅広い
各界の署名がふくまれ、全国の八一人の法学者も鑑定人尋問や現場検証をおこなうべきとの署名
を提出していた。今回の再審棄却決定は、こうした国民世論を完全にふみにじる暴挙である。
また、弁護団は国連の勧告もふまえ東京高検に狭山事件にかかわる全証拠の開示を求めるとと
もに、東京高裁に対して証拠開示の勧告を求めていた。東京高検の担当検察官は、弁護団に開示
していない相当数の証拠資料が存在することを認めているにもかかわらず、東京高検は証拠リス
トの開示にさえ応じず、東京高裁は証拠開示勧告もおこなうことなく再審請求を棄却した。その
点からも公正・公平な裁判はまったく保障されなかったと言わねばならない。
石川一雄さんは、不当な再審棄却決定を断固として認めず、「冤罪が晴れるまで何十年かかろ
うとも闘い抜く」と決意をあらたにしている。狭山弁護団は、昨日七月十二日、東京高裁に再審
棄却決定の取消しと再審開始を求めて異議申立てをおこなった。異議審の闘いは、これまでの二
倍三倍の闘いの強化、運動の広がりが必要である。
わたしたちは、狭山弁護団、そして三十六年にわたって無実を叫びつづける石川一雄さんと固
く団結して、幅広い国民とともに、あらゆる差別と人権抑圧をなくすことを目指して、異議審の
闘いの勝利をかちとり、狭山事件の再審を実現し、石川さんのえん罪を完全に晴らすまで断固闘
うものである。
右決議する。
一九九九年七月一三日
狭山第二次再審棄却糾弾!緊急抗議集会 参加者一同
東京高裁の不当な抜き打ち的再審棄却の暴挙に抗議する
東京高裁第四刑事部(高木俊夫裁判長)が7月8日付で狭山事件の第二次再審請求を棄却する決定をおこなった。先日6月10日に弁護団が新鑑定を提出したばかりであるにもかかわらず、鑑定人尋問などの事実調べもまったくおこなわず、抜き打ち的に再審請求を棄却したことに強い憤りをおぼえる。
裁判の大きな争点であり、国民が注目していた脅迫状や万年筆の疑問、自白の矛盾や不自然さについて、まったく事実調べをおこなわなかったことは不当きわまりない暴挙というほかない。万年筆発見の疑問についても、石川さんの家の勝手場が復元され、弁護団はカモイの検証を要求していたが、東京高裁・高木裁判長はそれもおこなうこともなく、弁護団の主張をしりぞけている。
狭山事件の再審開始を求める署名は120万人を超えている。各界の著名人が呼びかけた事実調べと公正裁判を求める120万人を超える署名も提出されていた。81人の刑事法学者も事実調べをおこなうべきとの署名を提出し、670近い地方自治体の首長からも公正裁判を求める署名が出されていた。事実調べ−公正裁判を求める声はまさに国民各界の幅広い声になっていたのである。
今回の再審棄却決定は、こうした国民世論をまったくふみにじる暴挙である。
また、弁護団は東京高検に狭山事件にかかわる全証拠の開示を求めるとともに、東京高裁に対して証拠開示の勧告を求めていたが、東京高裁は証拠開示勧告もおこなうことなく再審を棄却した。その点からも公正・公平な裁判はまったく保障されなかったと言わねばならない。
われわれは、狭山弁護団、そして無実を叫びつづける石川一雄さんと固く団結して、幅広い国民とともに、狭山事件の再審を実現し、石川さんのえん罪を完全に晴らすまで断固闘うものである。
1999年7月9日
部落解放同盟中央本部
2005年の特別抗告に対する棄却決定に抗議する声明
反差別国際運動(IMADR)声明
反差別国際運動(IMADR)声明
日本の司法は、差別をなくす最後の砦としての責任を放棄した
狭山事件の第二次再審請求への特別抗告棄却を受けて 2005年3月17日
日本の司法はまたしても、自らが差別を助長、永続化する機関であり、えん罪の疑いに対して誠意ある姿勢を示す意思と能力を持たないことを明らかにし、差別をなくすための最後の砦としての責任を放棄した。反差別国際運動(IMADR)は、最高裁判所第一小法廷による本日の、狭山事件の第二次再審請求棄却に対する異議申立棄却を受けた特別抗告の棄却決定に強く抗議する。同時にIMADRは、司法の判断が差別に基づく臆断を排除していることを立証する責任は差別された側ではなく司法権の側こそにあることを再度強くうったえる。
無期懲役の判決を受け仮釈放まで32年間を獄中で過ごした石川一雄さんは、事件発生から42年が経とうとしている今も無実を叫びつづけている。その間、被差別部落に対する差別的な見込み捜査や報道が原因となって石川さんが逮捕されたこと、警察留置場(代用監獄)での長期にわたる脅迫的な取調べにより嘘の自白を強要されたこと、また、えん罪を疑わせる数々の証拠が明らかになり過去の裁判に過ちがあったことが指摘され続けてきた。
にもかかわらず日本の司法当局は、検察側の手持ち証拠を弁護団に開示することを拒み続けており、えん罪の疑いを公開で検証する道を閉ざしている。
IMADRは日本の司法当局に対し、狭山事件に関する検察の手持ち証拠を開示し、28年間閉ざされてきた再審への道を開き、石川一雄さんに正義をもたらすよう今一度強く求める。
日本の政府当局もまた、死刑判決が下された30数年の後に再審の結果無罪となるケースが相次いだにもかかわらず、誤判救済、えん罪防止のための適切な措置をとることを怠ってきた。警察は、被疑者を起訴、裁判なしに最長23日間、警察の管理下に拘禁することを可能にする制度(代用監獄制度)を維持し、警察による取調べを録音、録画しない上に、取調べを制限する規則をも制定していない。個人が国連・自由権規約委員会に直接通報を行なうことができる制度を定めた自由権規約の第一選択議定書の批准や、政府から独立した国内人権機関の設置などは、そのような問題の改善につながると考えられるが、政府はこれまでに十分な方針を示していない。IMADRは、国際的な人権基準に則ってこれらの制度を早期に改善することを求める。
狭山事件をはじめ世界各国における数々の事例が、特定の集団に対する社会的差別とそれを反映する司法運営や警察制度が並存した際に、一人の人間にどのようなおそろしい運命をもたらす可能性があるかを物語っている。インドのダリット(カースト制度下で「不可触民」として差別されている人びと)は罪をでっちあげられ逮捕されたあげく、拷問で命を奪われている。欧州などのロマは、警察により「危険を及ぼす可能性がある」として個人情報を登録され、警の暴力を受けている。米国をはじめとする各国のイスラム系の人びとは、とりわけ9.11事件後に同様の取り扱いをされている。各国の移住労働者や難民申
請者をはじめとする外国人は当局や市民により排斥されている。そして、司法は往々にして差別を行なった当局の責任を「免責」している。
世界各国で警察が、人種、民族、出身国などをもとに対象を選定した捜査を行ない、司法が、差別にもとづく捜査当局の臆断を排除する機能を果たしていない実態を憂慮し、国際社会はさまざまな対策を講じている。2001年に開催された反人種主義・差別撤廃世界会議や国連人権小委員会では「人種主義と司法運営」が世界的な問題として扱われ、国連・人種差別撤廃委員会は、近年採択したいくつかの一般的勧告において、同様の問題について各国政府に適切な措置を講じるよう求めている。同委員会が本年8月に、「司法制度の機能と運営における人種差別の防止に関する一般的勧告」を採択する見通しもある。また、拠開示や代用監獄制度などの起訴前勾留手続きについて国際的な人権基準の求めるところは、もはやはっきりしている。
最高裁判所による本日の特別抗告棄却は、そうした国際社会の努力をもないがろにし、石川さんをはじめ世界各国でえん罪を闘う人びとの希望を踏みにじる非人道的な決定である。日本の司法ならびに政府当局は、石川さんの無実を含む誤判を救済し、えん罪を防止するためのあらゆる適切な措置を早急に講じることによってしか、もはやその失点を回復することはできない。
反差別国際運動(IMADR)
〒106-0032 東京都港区六本木3-5-11 Website: http://www.imadr.org