議事録インデックスへ戻る

人権擁護推進審議会第1回会議議事要旨

1 日時 平成9年5月27日(火) 15時〜17時
2 場所 三田共用会議所「国際会議室」
3 出席者
  (委員)相川委員、安藤委員、市川委員、大谷委員、河嶋委員、塩野委員、庄司委員
      曾野委員、辻村委員、寺澤委員、野崎委員、野中委員、深沢委員、宮崎委員
森委員
(法務省、文部省、総務庁)
法務省〜松浦大臣、野村政務次官、則定事務次官、頃安大臣官房長、房村大臣官房秘書課長、大藤人権擁護局長、坂井人権擁護局総務課長、印部人権擁護局調査課長、醍醐人権擁護局人権啓発課長
文部省〜草原生涯学習局長、辻村初等中等教育局長、長谷川生涯学習局社会教育課長、徳重初等中等教育局小学校課長
総務庁〜大坪長官官房審議官、川邊長官官房地域改善対策室長

4 議事
(1)委員・関係者の紹介
(2)会長の互選
   塩野委員が会長に選出された。
(3)諮問(松浦法務大臣)
(4)法務大臣あいさつ
(5)諮問の補足説明(大藤人権擁護局長)
(6)会長代理の指名
   野中委員が指名された。
(7)運営規則の制定
審議会の公開、非公開以外の事項について、運営規則案が原案通り決定された。また、地方自治体の首長である相川委員と貝原委員については、公務多忙で出席が困難な場合には、それぞれ助役、副知事をオブザーバー(会長の了承を得て発言をすることができる。ただし議決権はなく、定足数にも含めない。)として出席することが認められた。
(8)審議会の公開、非公開についての審議
 審議の結果、審議会は、議事録により公開し、会議は非公開とする方向で話がまとまり、運営規則に盛り込む案文と具体的な取扱い要領を会長が次回会議において提示し、正式に決定することとされた。また、議事録の公開に当たっては、個人のプライバシーを侵害するおそれがあるような部分は、非公開とすることができるような取り扱いとすることや、議事録の公開に先立ち議事要旨も公開すること等を規則ないしは取扱い要領の案文に盛り込むこととされた。
(主な意見)
○ 議事録を公開して、会議を非公開とした方がよいと考えるが、議事録の公開については、個人のプライバシーに関する事項や、委員が秘密にしてほしいことを前提として発言したような事項は非公開とするという留保をつけておきたい。
○ 本審議会は多くの人が関心を持っているものであること等を考慮すると、原則として、会議を公開した方がよい。ただ、例外的にその日の議題が個人のプライバシーを侵害するおそれがある等、会議の公開になじまないものである場合は、あらかじめその日の会議は非公開とすると決め、あるいは、会議の途中で会議の公開に支障が生じた場合には、その時点で会議を非公開としたらどうか。
○ 会議を公開し、多数の傍聴人を前にしては、落ち着いた審議ができなくなるので、会議は非公開にした方がよい。
○ 議論の過程自体は公開する必要はなく、議論の結果を公開すればよい。議事録及び議事要旨の公開には賛成だが、会議自体は公開することはない。
○ 本審議会は、人権に関する問題を扱うので、かなり微妙な議論がされるであろうし、場合によっては個人が識別されるような発言が出ることも考えられる。会議を公開すると、委員相互の意思疎通がうまくいかず、議論が深まらないおそれもある。
○ 議事録における発言者の氏名については、これを伏せた方が議論が活発になると思う。また、個人のプライバシーに関わる事項や意味不明瞭な発言、不規則発言は伏せた方がよい。
○ 国民に審議の状況を知らせるためには、議事録による公開を行う他に、議事要旨も公開したらどうか。
○ 議事録だと、発言者の氏名も明らかにする必要があり、いろいろと支障がある。名前を明らかにしない議事要録という形も考えられる。
○ 会議の公開には問題があるが、議論を国民に広く伝えること自体が一つの教育的な効果を持つものであり、外部からの批判にも耳を傾ける必要があるので、議事録による公開としてはどうか。ただし、発言者の氏名を明らかにすると、発言者に対して外から直接の交渉があることも考えられるので、氏名は明らかにしない方がよい。
(9)諮問等に関する自由討議
  (主な質疑)
  ○諮問第1号と諮問第2号は、同時に審議するのか、それとも諮問第1号を先に審議するのか。
  (事務局)諮問第1号については、2年を目途に基本的な考え方をまとめていただきたい。ただし、諮問第1号と諮問第2号は密接な関連を有しており、完全に分けることはできないので、全体を意識した審議が必要と考える。
(10)次回会議の開催予定
   第2回会議 6月27日(金)午前11時30分〜午後2時30分
    議題 (1)人権擁護推進審議会運営規則(審議会の公開について)等の制定について
(2)「日本国憲法における人権」(仮題)についてのプレゼンテーション及び自由討議
第3回会議 7月22日(火)午後2時〜午後4時
議題 「国際的な面から見た人権の状況と課題」(仮題)についてのプレゼ
        ンテーション及び自由討議


― 以 上 ―

(平成9年6月27日 文責 法務省人権擁護局総務課)


人権擁護推進審議会第2回会議議事要旨

1 日 時 平成9年6月27日(金) 11時30分〜14時30分
2 場 所 法務省第1会議室
3 出席者
(委員)塩野会長,野中会長代理,相川委員,安藤委員,市川委員,大南委員,大谷委員,貝原委員,河嶋委員,庄司委員,鈴木委員,高島委員,辻村委員、寺澤委員,深沢委員,森委員
(法務省,文部省,総務庁)
法務省〜大藤人権擁護局長,坂井人権擁護局総務課長,醍醐人権擁護局人権啓発課長
文部省〜長谷川生涯学習局社会教育課長,徳重初等中等教育局小学校課長
総務庁〜川邊長官官房地域改善対策室長

4 議 事

(1)審議会の公開,非公開についての審議
 審議の結果,「審議会は,議事録による公開を行うものとし,会議は非公開とする。ただし,議事録を公開することにより,個人のプライバシーを侵害するおそれがあり,又は,中立かつ公平な審議に著しい支障を及ぼすおそれがあるなど,議事録を非公開とすることにつき正当な理由があると認められる部分については,会長の決するところにより,当該部分を非公開とすることができる」旨決定がなされ,この文言を運営規則に盛り込むこととされた。
 加えて,議事録の公開に先立ち,議事要旨を人権擁護局総務課の責任において作成し,速やかに公開する旨決定がなされた。

(2)辻村委員によるプレゼンテーション
演題:日本国憲法下の人権保障−「人権」の観念と検討課題
別紙レジュメに基づいてプレゼンテーションがなされた。

(3)自由討議
○ 教育行政学では,リーガルマインドだけで物を見ていると教育問題は分からなくなるので,絶えずエデュケーショナルマインドとの両面から物を見ている。
○ 今回の阪神・淡路大震災においては,被災者同士が国籍の違いを乗り越えて,お互い助け合ったことが非常に評価された。そういう意味では,日本も,生活の中において,確実にいろいろな価値観,行動選択の様式が変化してきつつあると 思う。
 人権というコンセプトが出てきたときの時代から国家体制,社会体制が大きく変化しつつある今,人権について考えるときには,従来の権利だけを強調するという考え方では足りず,お互い同士がどのようにして助け合っていくのか,お互いに権利を守ってどのようにして生きていくのかという考え方が必要になってくると思う。そのような意味での人格形成あるいは人権の作り方という部分に我々としては大きなエネルギーを注いでいかなければならないのではないか。
○ 人権を考える際には,いわゆるリーガルマインドだけでは人権という問題の一つの側面しか見えないので,法的な観点以外からのアプローチという考え方も,審議会としては視野に入れるべきではないか。
 人権を議論することの最終的な目的は,いろいろな人間の持っているいろいろな可能性をできるだけ発揮できるような状態を作り出すことと考える。
 人権を論ずる際は,差別の問題に限定せず,人権というのは全ての人間の問題であるという視点を持つべきである。
○ 人権の議論を有効に成り立たせるためには,人権論の組立て方が非常に重要である。問題解決への戦略としても人権論を明確にしなければならない。
○ これまで日本では,義務は,国家からの納税の義務や兵役の義務のように,強制される局面で捉えられてきた。今後,人権を扱うときには,義務という言葉の代わりに,「社会的連帯」あるいは「協力」という言葉を用い,助け合いの精神という意味合いで,人権を調整していくのがよいと思う。
 保護と平等の関係をどう考えるかは,非常に難しい問題である。例えば,従来の労働基準法における女性に対する特別の保護は,むしろ女性の働く権利を侵害しているという構図になるのではないか。また,子どもに対する保護に関しては,子どもに権利があるかどうかという議論をせずに保護を論じてきた面もあるのではないか。
○ 従来,人権擁護の問題は,平等の問題を中心に議論が展開されてきたような気がするが,具体的にどのような利益が人権の中身になっているのかを考える必要があるのではないか。
 今日の社会の中で一番大切な利益は個人の利益であり,今日の社会の価値観は個人主義である。個人主義とは,具体的には,人格の完成よりも,むしろ幸福の追求であると思う。個人の生命,身体,自由,名誉,生活の平穏,財産を守ることが人権の中身と言えるのではないか。人権擁護を考える場合,人権の在り方を前提にした上で,どういうものを侵害するのが人権の問題になるのかという具体的なメルクマールを出していく必要がある。
○ 最近は「共生の時代」という言葉がよく使われ,この言葉の最大公約数的な意味として,「違いを認め合って,共に生きる」という説明がなされるが,個々の人権問題の間にある共通性,固有性,歴史性,社会性などについて精査しながら,人権を実現していくための方途を考えていく機会を持ってほしい。
○ 先程の発言にもあったように,今回の阪神・淡路大震災においては,治安上の問題もなく,外国の人たちとも,苦しみを一緒に共にし,積極的に協力し合い,人種的偏見などの壁を乗り越えることができたと言ってよいと思う。震災後の調査によっても,神戸地区の留学生たちは日本に来た時よりも日本が好きになったというデータが大変大きな数字で出ている。また,子どもの元気さから大人が勇気づけられることも多く,あるいは,子どもがこれだけのことができるのかという形で,子どもに対する大人の視線も大変変わったという感じがする。これまで我々は子どもの良さみたいなものを認めるという姿勢が少なかったのではないか。
○ 人権をどういうふうに捉えるかについては,人間が人間として生活していく上において人間として当然持っている権利,すなわち,自然権を基本に考えるべきではないかと思う。
○ 人権を考えるには,自然権的な捉え方が基本であると思うが,人権保障を広く考えるというのも政策的に非常に重要なことであり,諮問内容になっている人権を自然権だけと解すると,社会権などいろいろな権利が含まれなくなるので,ここでは,人権は広く定義しておいたほうがよいと思う。
○ もともと人権はもっぱら公権力との関係で問題とされてきたが,現代国家においては,私人が私人に対して人権を侵害するという問題が出てきた。私人間の秩序は,基本的には自由な秩序ではあるが,人種差別撤廃条約の加入の際,差別的な表現をどこまで禁止することができるかということが問題になったことを例にとれば,一方では,表現の自由は最大限認められなければならないし,他方,差別される側にとっては,差別表現自体人権侵害ではないかということになる。このような問題は,両方の視点から考えながら,どの辺で落ち着かせるべきかを検討しなければならないし,更には,政策的に,どのようにしてこのような事象が起きないようにするかを検討しなければならない。

(4)その他
  @運営委員の設置について
会長から,審議会に対して,審議の進め方等について協議する運営委員会の設置並びに同委員会を構成する委員の人選及び第1回運営委員会の開催時期についての会長への一任が提案され,いずれも了承された。

  A次回会議の開催予定
第3回会議 7月22日(火)14時〜16時30分
  議題 「国際法の下における人権保障」についてのプレゼンテーション及
         び自由討議


           −以 上−

(平成9年7月15日 文責 法務省人権擁護局総務課)


人権擁護推進審議会第3回会議議事要旨

1 日 時 平成9年7月22日(火) 14時〜16時30分
2 場 所 法曹会館「富士の間」
3 出席者
  (委 員)塩野会長,野中会長代理,相川委員,大南委員,河嶋委員,庄司委員, 鈴木委員,立石委員,辻村委員,寺澤委員,深沢委員,宮崎委員
  (オブザーバー)兵庫県副知事
  (法務省)横山人権擁護局長,幕田総務課長,印部調査課長,醍醐人権啓発課長
  (文部省)中根生涯学習局社会教育課長,徳重初等中等教育局小学校課長
  (総務庁)平井長官官房地域改善対策室長

4 議 事
(1)宮崎委員によるプレゼンテーション
   演題:「国際法の下における人権保障」
   別紙レジメに基づいてプレゼンテーションがなされた。

(2)自由討議 
○ 実際の裁判では,必ずしも十分に条約の効力が国内で認められていない現状にあると思われる。
○ 国内において条約が守られるのは当然であり,裁判所も条約に従うべきだと思うが,国際人権B規約の日本の裁判での扱われ方は,判決によってまちまちだと思う。また,ある調査によると,世界人権宣言を知っていると答えた者は約4分の3であるのに対し,同規約の存在を知っていると答えた者は,約3分の1にとどまり,国内における認識が非常に弱いと思う。ヨーロッパ諸国では,共通の認識が生まれてきており,21世紀に向けて考えると,既に国境を超えた一つの法概念ができ上がりつつあると考えられる。
○ まず,人権に関する諸条約についての周知を図ることが重要である。また,既に人権の問題が国境を越えた国際的な関心事であり,共通の人権意識が世界に存在するという状況においては,司法権の独立を鎖国的な考えでとらえるべきではないし,広く国際的な視野に立った人権尊重の考えに基づき裁判が行われるべきと考える。そして,国際的な批判にも耐え,国際的に通用する判決をしていくことが重要と考える。
○ 人権に関する教育・啓発について議論する場合,人権に関する世界の標準に近づける,あるいは世界の標準を探し求めるということが一つの方向性として考えられ,また,基本的な考え方として「人権及び基本的自由」を原点に置きながらも,その原点を適用するに当たり,それぞれの国の文化を考慮するということがもう一つの方向性として考えられる。
○ 産業界においても,近年,事業活動における法律の遵守の重要性は認識されているが,人権に関する条約が国内で直接に適用されることについての認識が低いし,各種の人権条約の内容を知っている企業も少ないと思う。人権に関する条約の内容が民間に広く理解され,守られるためには,周知徹底のための努力が必要と考える。
○ 感覚的なことで言えば,弁護士の中でさえ,国際人権規約の内容を理解しているのは,少数にとどまると思われる。したがって,時間をかけて周知徹底していく必要があると考える。
○ 特に国際法の中で「人権」を考える際には,英語と日本語の訳がぴったりこない言葉がある。ある概念を訳した日本語が国際的にもその意味で通用するのかどうかを確認する必要があると思われる。

(3)その他
  @ 運営委員について
    塩野会長から,運営委員として会長のほかに,野中会長代理,庄司委員,野崎委員,宮崎委員,森委員を選任したこと及び第1回運営委員会を開催したことの報告がなされた。

  A 少年被疑者の顔写真を掲載した週刊誌の事件について
    神戸市で発生した殺人事件の少年被疑者の顔写真が週刊誌に掲載された事件について,幕田人権擁護局総務課長より,事件発生の経緯及び東京法務局が出版社に対して行った勧告の概要について報告がなされた。

  B 次回会議の開催予定について
    第4回会議  9月18日(木)午後1時30分〜午後4時
議題 「我が国における人権擁護行政について」
              法務省による説明及び自由討議


― 以 上 ―

(平成9年8月7日 文責 法務省人権擁護局総務課)

議事録インデックスへ戻る