| 17.容連菌感染症 |
| 細木病院 小児科部長 新井 淳一 (あらい・じゅんいち・・・高知医科大学卒。認定小児科医) |
| ◎溶連菌とは 「急に熱が出て、のどを痛がるんです」という症状を示す病気の一つに溶連菌感染症があります。あまり聞き慣れない病名かもしれませんが、小児科の外来では珍しい病気ではありません。今回はこの病気についてのお話です。 連鎖球菌という細菌は、羊赤血球の溶血の有無によりα、β、γの3種類に分類され、β溶血能を持つ連鎖球菌を溶血性連鎖球菌(溶連菌)と呼びます。人に病原性のある主なβ溶連菌にはA、B、C、Dの4群がありますが、このうちB群は新生児の重篤な感染症の原因となる細菌であり、小児科外来で問題になるのは主にA群β溶連菌です。 後で詳しく説明しますが、A群溶連菌による咽頭炎では急性腎炎などの二次性合併症が出現する危険があるため、他の原因による咽頭炎とは異なった治療が必要になります。 ◎症状は頭痛、発疹など ほとんどは咽頭炎や扁桃炎ですので、主に上気道感染についてお話しします。冬から春に多くみられ、患児や保菌者から飛沫感染することが多く、感染後1〜3日で発症します。主な症状は、急な発熱、のどの発赤・痛み、頭痛、舌のブツブツ(苺舌)、首のリンパ節の腫れ、手足・体・顔の発疹(口のまわりは出ない)などです。 一週間くらい経ったら手指の皮がむけてくることがあります。必ず全部そろう訳ではありませんので、気になる症状がある場合は要注意です。子供に多い病気ですが、大人が感染することもあります(私は28歳の時にかかりました。また外来でお母さんを一緒に治療することもあります)。 ◎中耳炎の合併も 診断は、症状に加えて、のどの細菌検査で溶連菌が証明されれば確定します。細菌培養検査が最も確実ですが、結果が分かるまでに時間がかかるため、迅速診断キットがよく使われます。治療をせずに放っておいたり、治療が不十分だったりすると、扁桃周囲膿瘍やリンパ節炎、中耳炎、副鼻腔炎などを合併しやすく、骨髄炎や髄膜炎を起こすこともあります。 ◎勝手に薬を止めない また感染後にはリウマチ熱や腎炎、紫斑病(しはんびょう)といった病気を発症する危険があります。そのため、他の咽頭炎と比べて長期の治療が必要になるのです。早期に抗生物質による治療を開始すると、たいていは数日で症状が軽快します。症状がなくなり元気になると、薬を飲むことをやめてしまう親御さんがいるのですが、腎炎などの二次性合併症の発症を防ぐためにも、10〜14日間確実に薬を飲むことが必要です。 また腎炎発症の有無を確認するために、薬を飲んだ後も定期的に尿検査を行います。患児の兄弟姉妹は非常に感染しやすいので、のどの細菌検査を行って陽性ならば治療を行った方がいいでしょう。 A群溶連菌の細胞壁にあるM蛋白(病原性を決定する重要な因子)は80種以上あり、そのため何回も反復感染を起こします。「一度かかったらもう大丈夫」ではなく、何度かかっても注意が必要です。 ◎安易に決めつけない 「風邪をひいたかな?」と思われても、違う病気のことはよくあります。なかには溶連菌感染症のように適切な治療、検査が重要な疾患もありますので、安易に「風邪」と決めつけてしまわない方が良さそうです。 |