本実験プログラムについては,「特許第3085656号」を取得しておりますので,製作にあたっては,事前に当方の承諾が必要となります。許諾のための連絡先 E-mail:HZA02416@nifty.com
何でも通り抜けてしまう不思議な壁

“光”それは写真家が常に追い求めている奥の深い世界です。今回は,光を利用した不思議な壁を入れ物の中に作ります。その壁は確かに見えているのに,何でも通り抜けてしまう不思議な壁なのです。
何でも通り抜けてしまうのでこの壁を「と〜る」くんと名前を付けました。現在「と〜るくん」はその原理を「光学装置」の名称で特許を取得しています。
日本テレビでも紹介されたこの何でも通り抜けられる壁は,小学生でも数分で作ることができます。ここでは,「と〜るくん」の秘密をkiyoshiのHomepageを訪ねてくれたあなただけに公開します。
「と〜るくん」の秘密の鍵を握る偏光とは?
「と〜るくん」は偏光板を利用したものです。では,偏光とは,どのようなものなのでしょうか。偏光という光の性質は,私たちの生活上では,直射日光や雪の照り返しのまぶしさを防ぐ目的で,ゴーグルやメガネに利用されています。
このほかには,カメラのフィルターとしてガラスや水面・植物の葉の反射等を押さえてすっきりとした写真を撮影する用途に用いられたり,特に最近では,パソコン等の液晶画面にも使われています。
少々難しい話ですが,光は進む方向のほか,あらゆる面で振動しています。偏光板は,この中から特定の振動面の成分だけを通過させる働きをしています。
【実験1】偏光板の働きを調べる
2枚の偏光板を用意し,写真屋さんで「キング」という写真材料の会社から販売されている6×6判用の紙製のフィルムマウントを購入します。このマウントに6p×6pの大きさにカッターナイフで切った偏光板(千葉県教育機器教材センター(株) 電話:043−231−0753で入手できます)をはさみ,こうして作った2枚の偏光板を重ね合わせて光にかざしてみましょう。どのように見えますか。
そうです,重ね合わせ方を90度ずつ向きを変えると,光を通したり,通さなかったりしますね。この性質が偏光によるもので,「と〜るくん」の大切な部分です。
【実験2】偏光板の間に別の透明な素材をはさんで観察する
2枚の偏光板の間に透明なアクリル板またはOHPのシートをはさみます。この間にはさむ物に,セロテープを適当に互い違いに貼り,何枚か重ね合わせてみましょう。ここでは,テープを平行にして重ねるのではなく,いろいろな角度で交差するように貼り合わせます。
また,セロテープでは貼ってしまうと動かすことができませんので,ホームセンターのホビーコーナーなどでプラスチック板を購入し,短冊状に切り,重ね合わせるのもおもしろいです。
こうしてできあがったものを2枚の偏光板の間にはさみ,光にかざしてみましょう。きれいな色がついたことがわかりますね。では,次は1枚の偏光板を回転させてみましょう。今度はどうでしょうか? そうです,色が変化しましたね。
プラスチックの短冊の方は手で重なり方をその都度変えられるので便利です。写真屋さんで使うフィルムを見るためのライトボックスなどは,下から照明されるので観察しやすい道具です。
同じようにカセットテープのケースも偏光板ではさんで光にかざして見てみましょう。
では,どうして色がついたり,変化したりするのでしょうか?
これはまた少し難しい話になってしまいますが,セロテープはその製法上,長い方の辺と,短い方の辺では分子の配列が異なって作られています。そのため,その分子配列の影響で光の進む速さが変化します。(ちょうど,人混みの中を流れに逆らって進もうとすると進みにくく,込み合っていない方向では進みやすいのと似ています)
色がついて見えるのは,長い方の辺の方向に振動する成分とと短い方の辺の方向に振動する成分では,光の進む速さが異なり,2つの成分どうしが互いに影響(干渉と呼びます)しあうために起こります。セロテープでは,重ねたときの厚さが異なるほど色の様子は一層複雑になります。
【実験3】偏光板を3枚重ねてみる
偏光板の2枚重ねは科学館等でもよく行われているのを見ますが,さすがに3枚重ねをしているところは大学以外ではあまり見かけません。
では実際に3枚重ねをして,クロス状態にして中間の偏光板を回転させてみましょう。どうなりますか? これは,チャレンジということで,ここには解答をのせないことにします。確かめたあなただけがわかることなのです。
発想を変えてみると意外なことに気がつく!!!

実は,「と〜るくん」の原理の発見のきっかけになったのは,近所の子どもたちの科学教室でした。この日も偏光板を2枚重ねする実験を子どもたちとしていたのですが,あるとき,偏光板を丸めて遊んでいる子どもがいたのです。
偶然に,そのときは2つの偏光板を丸めて近づけたのです。するとそこに黒い薄い丸い壁ができたのです。
こうしてその後,円筒形容器に偏光板を入れるということを考え,特許の取得になったわけです。この科学教室の前は,直方体の容器の中に四角い壁をつくることだけが頭を離れなませんでした。直方体では,中に透明な素材を使ってもうひとつの直方体を入れ,それによって偏光板を外側の直方体との間にはさむという方法で固定したり,1枚の壁をつくるのに互いの位置関係を考えながら配置していました。
これはなかなか大変ですし,1枚の壁をつくるのに最低4枚の偏光板が必要となり,費用もばかになりません。
しかし,これも偶然転がっていた,スクリュー管瓶という蓋つきの円筒のガラス容器をじっと見ていたときに,この中に偏光板を入れてみようと思ったのです。中に偏光板を小さく丸めて入れると,中で偏光板は広がって,ガラスの内壁にぴったりと貼りつきました。続いてもう1枚の偏光板を丸めて中間まで入れると,たった2枚の偏光板で境目に壁ができたのです。
幸いだったのは,偶然,2枚の偏光板どうしか,90度反対の方向でカッティングされていたことです。
これなら容器を二重にする必要も,偏光板どうしの関係を調整する手間もはぶけます。
こうして不思議な偏光板で作る壁は,必要となる偏光板の数=作りたい壁の数+1という簡単な式で円筒形の容器の中にできるようになったのです。
【準備】偏光板を手に入れる
【手順】円筒容器の中に黒い壁を1枚作る

東書Eネット 「特許に守られている偏光板で作る見かけ上の壁の指導について」
http://ten.tokyo-shoseki.co.jp/downloadfr1/htm/hnd39581.htm