(更新06/03/29)

公共事業の見直しを     What's new  公共事業

三番瀬













東京地裁は
国のずさんな圏央道計画を取り消した(2004/4)
牛沼地区の圏央道工事現場(あきる野市/東京)

 

<2006年>
●有明調査委取りまとめ意見(06/03/29)
●圏央道「牛沼」不当判決に抗議(06/02/28)
<2005年>
●圏央道「天狗裁判」で不当判決 東京地裁(05/06/25)
<2004年>
●道路公害反対運動全国集会がアピール(04/10/21)
●諫早湾干拓工事差し止め仮処分 佐賀地裁(04/08/28)
●ずさんな圏央道計画を取消、東京地裁(04/04/27)
<2003年>
●東京高裁 、圏央道牛沼の収用停止覆す(03/12/26)
●戸倉ダム撤退で日本自然保護協会がコメント(03/12/23)
●東京地裁が圏央道牛沼の強制収用に停止決定(03/10/04)
●川辺川利水訴訟控訴審、原告農民が逆転勝訴(03/05/20)
●圏央道八王子ジャンクション未買収地の収用申請(03/03/29)
●日高横断道の建設凍結、道知事が正式表明(03/02/14)
●長野県が浅川ダムの談合を認定(03/02/02)
<2002年>
●マスコミ世論調査では道路民営化最終報告支持(02/12/18)
●荒瀬ダム、全国初の撤去へ(02/12/18)
●宍道湖・中海淡水化事業、遂に中止(02/12/16)
●高速道建設抑制の展望見えない推進委報告(02/12/07)
●藤前の運動が教えてくれるもの(02/12/06)
●圏央道、土地収用裁決取り消し求め提訴(02/11/12)
●道路公団民営化委員に注文、道路問題全国住民交流集会(02/11/11)
●東京都収用委の圏央道初の収用裁決、法廷へ(02/10/09)
●外環道・第二湾岸道を考えるシンポジウム(02/09/11)
●長野県知事選、田中氏が圧勝(02/09/4)
●道路公団民営化報告で「凍結」打ち出す(02/09/2)
●神奈川の道路住民団体、不採算道路建設の即時凍結・中止求める(02/09/2)
●圏央道裏高尾で事業認定取消し提訴、東京地裁(02/07/10)
●脱ダム阻止で知事不信任の暴挙、長野県議会(02/07/20)
●長野県知事、2ダム建設中止を表明(02/07/01)
●高尾「天狗裁判」2次提訴に作家ら263人(02/04/17)
<2001年>
●疑念残す圏央道収用は問題(01/12/24)
●圏央道牛沼地区の交通量予測をやりなおせ(01/12/21)
●道路族の反撃で事実上先送りの「小泉改革」(01/12/05)
●川辺川ダム漁業補償を球磨川漁協が否決(01/12/05)
●三番瀬、保全へ向けて歩みだす(01/10/04)
●千葉県知事、県議会で三番瀬埋め立て計画撤回を表明(01/09/26)
●牛沼土地収用で地権者が国土交通省を糾明(01/08/03)
●廃案の声押し切り改正土地収用法を強行(01/07/04)
      日の出の森・トラスト運動共同代表の参院陳述/標博重
      土地収用法改正への不支持の申入れ/環境行政改革フォーラム有志
      土地収用法改正案の廃案を求めるアピール/公共事業を見直すネットワーク
●高速道路拡充不要が47%に…内閣府世論調査(01/05/03)
●問題だらけの外環道計画は見直しを(01/04/22)
●ジュゴンとやんばるの生態系保護、JNEPが申入れ(01/04/18)
●住宅密集地の公害道路は白紙撤回を(01/04/12)
●土地収用法改悪ゆるさない集会で決議(01/04/09)
●高尾山天狗裁判、自然物原告を門前払い(01/04/12更新)
●高尾山天狗訴訟、口頭弁論始まる(01/03/20更新)
●長野県知事が「脱ダム」宣言(01/02/21)
●土地収用法改正でJNEPが意見(01/01/30)
●反対住民の抵抗力そぐ土地収用法改悪(01/01/24)
●環境相が三番瀬の全面見直し要求(01/01/18)
<2000年>
●圏央道牛沼地区も事業取消を提訴(00/12/15)
●びわこ空港凍結へ(00/11/23)
●中海干拓は中止、吉野川可動堰は白紙(00/09/05)
●海上の森保全で大きな前進(00/07/26更新)
●圏央道東京ルート収容で強制立ち入り(00/07/08更新)
●東京都、道路整備優先は終焉と認識(00/6/21)
●第二東名計画路線近くのオオタカ巣立つ(00/07/08更新)
●諫早湾「ギロチン」3年で環境激変(00/4/19)
●「クマタカ発言」で申入れ (JNEP)
●愛知万博計画の本格見直しへ(00/2/20更新)
●横浜南の円海山を守る運動ひろがる(00/2/11更新)
●吉野川可動堰に有権者の半数にせまる反対投票(00/1/25更新)
●吉野川可動堰で住民投票へ(00/1/23更新)
<1999年>
●「三番瀬」計画縮小でも水鳥に打撃(99/12/29更新)
●苫小牧東部に産廃処分場建設?(99/12/29更新)
●圏央道の土地収容ゆるさず、首都圏3環状道の見直しを(99/11/9)
●第二湾岸道と三番瀬考えるシンポ開く(99/10/6)
●神戸空港賛否投票に31万人(99/9/14更新)
●クマタカ営巣で各地の開発工事中断あいつぐ(99/7/31)
●PFI推進法の成立で塩漬け土地も活用(99/7/31)
●公共事業で諌早湾奥部や長良川河口の環境悪化
●アメリカ、初のダム取り壊し
●徳山ダム工事でクマタカ繁殖失敗(99/8/3更新)
●自治相が住民投票規制を検討(99/5/31)
●ラムサール会議とNGOの活動(99/5/23更新)
●建設大臣、吉野川可動堰に住民反対なら中止発言撤回(99/5/27更新)
●藤前干潟保全と名古屋市のゴミ問題(99/4/7)
●徳山ダム事業認定取り消し求め提訴(99/4/3)
●建設・運輸省、10事業中止、47事業休止(99/3/19)
●ナキウサギ生息地保護運動実る(99/3/20)
●千歳川放水路も17年目の中止へ(99/3/20)
●多良岳公園線計画も中止…長崎県(99/3/20)
●藤前の保全とゴミ問題の解決へむけて辻淳夫(99/02/08)
●藤前干潟、鳥獣保護区へ(99/2/1)
●三番瀬埋め立てでエサ場壊滅(99/2/21更新)
●かろうじて守られた藤前干潟(99/2/9更新)
<1998年>
●藤前の人工干潟化で環境庁がノー(98/12/20)
●東京都の事業評価委員会で形式的に全事業の継続を決定(98/11)
●首都圏道路問題交流集会開く
●長良川河口堰の負担金の支出差止求め住民提訴
●国有林の管理経営基本計画案でJNEPが意見書提出(98/12)
●大規模林道見直しへ(林野庁)

 

 


有明調査委取りまとめ意見

環境省 水・大気環境局(水質環境課閉鎖性海域対策室 
  有明海・八代海総合調査評価委員会事務局) 御中

2006年3月28日
公害・地球懇 JNEP



有明海・八代海総合調査評価委員会中間取りまとめへの意見


 研究成果、学説を網羅的に丹念に調べられていることに敬意を表します。この方式は環境省および他省庁の審議会でも見習ってほしいところです。

 報告では各部とも、潮の流れの変化のようなケースにおいても科学的に原因を特定し判断を下すことについて慎重な判断をされていると思われます。
 各部の今後の解明および137ページからの複合要因では、自然界の影響が大きいと結論づけずに人為的なものがどれだけ関与しているかを解明していただきたいと考えます。
(1)主因として人為的なものが作用しているとしたらそれは何か、
(2)自然界の変化が外的にあった場合でも人為的な影響が引き金をひいたり悪影響を加速していないか
これらを検討し、解明することは、139ページの再生に向けた対策オプションを検討する際に重要になると考えます。


圏央道「牛沼」不当判決に抗議

2006年2月23日
圏央道あきる野土地収用事件地権者関係人一同
圏央道あきる野土地収用事件弁護団
牛沼土地収用反対裁判を支える会

圏央道あきる野土地収用事件、高裁不当判決に対する抗議声明

 東京高等裁判所民事24部(大喜多啓光裁判長)は、本日、行政側の控訴を全面的に容認し、あきる野市牛沼地域の圏央道(首都圏中央連絡自動車道)建設に関する国土交通大臣の事業認定(2000年1月19日)、及び東京都収用委員会採決(2002年9月30日)の取り消しを否定する判決を言い渡した。事業認定及び収用裁決を違法とし、圏央道建設事業そのものを批判し、住民無視の行政のあり方に歯止めをかけた東京地方裁判所判決(2004年4月22日)を覆すものである。
 しかも、同判決は、1970年代の成長期に計画され、いわゆるバブル期を通じて具体化されてきた圏央道の建設事業について、前提とされた各地域の開発や物流などの建設目的はすでに失われているにもかかわらず、その公共性を安易に認めたものである。しかも、一般道を走行しても5,6分しか要しない1,9キロメートルの間に巨額の費用を要するインターチェンジを二つも設置することをも容認した。
 他方では、SPMの予測を行わなかったことまで正当化するなど誤った環境アセスメントを鵜呑みにし、圏央道が建設されることによって激化する大気汚染や騒音問題など道路公害についても、これを否定し、自然環境や文化遺産が破壊され、長年住み慣れた住居を移転しなければならない住民らの犠牲を無視した。

 本日の判決は、住民らが事実をもって指摘し続けてきた圏央道によって生ずる深刻な事態に目をつむり、一審判決で瑕疵ある道路と批判された圏央道の建設を容認した。しかも、高裁審理では行政側がほとんど立証活動らしい立証活動をしていないにもかかわらず、その主張を鵜呑みにしたものであって、行政追随のきわめて偏頗な判決といわざるをえない。無駄で有害な公共事業や道路公害の激化に対する国民の批判を無視し、公害反対や環境保護を求めている全国の住民の運動にも敵対するものといわざるをえない。無駄で有害な20世紀型の公共事業から決別して、環境保全型への転換をはかっている国際的な流れにも逆行するものであって断じて許しがたい判決である。
 私たちは、本判決に対して断固抗議する。行政に対し、あらためて圏央道建設計画そのものを抜本的に見直すことを求めるとともに、無駄な公共事業、環境破壊と道路公害に反対して、最後までたたかうものである。





圏央道「天狗裁判」で不当判決 東京地裁

声    明



2005年5月31日


高尾山天狗裁判原告団 団長 吉山 寛


高尾山天狗裁判弁護団 団長 鈴木堯博




 東京地方裁判所民事38部(菅野博之裁判長)は本日、圏央道八王子地域の事業認定及び収用裁決取消請求裁判において、原告らの請求を退ける判決を言渡しました。

 この判決は、昨年4月22日に東京地方裁判所民事3部(藤山雅行裁判長)が圏央道あきる野地域の事業認定及び収用裁決取消請求訴訟において事業認定及び収用裁決が違法であるとして取消した判決の優れた判断と理論を否定し、時代の要請に逆行するものであって、到底承服できません。

 私たちは、本裁判の審理において、圏央道が高尾山や八王子城跡の世界遺産に匹敵する貴重な自然環境を破壊するものであることを明らかにし、オオタカの営巣放棄や地下水脈の破壊の事実を指摘し、裏高尾地域での騒音被害や大気汚染の被害発生を科学的に立証しました。また、圏央道は、都心の渋滞解消や多摩地域の交通渋滞の解消と経済の発展に必要であるとの国土交通省の主張が虚偽であり、公共性が認められないことを証拠により明らかにしました。

 それにもかかわらず、裁判所が事業認定及び収用裁決を認める不当な判決を下したのは、司法の行政に対するチェック機能を果たさず、国土交通省の主張する圏央道の公共性・公益性を無批判的に採用した結果であって、行政に追随したものであるといわざるを得ません。

 私たちは、圏央道事業計画が明らかとなった1984年以降21年に及ぶ圏央道反対運動と、3年にわたる本裁判の審理を通じて、圏央道建設事業が、未来の人々に遺すべき貴重な自然環境を取り返しのつかないほどに破壊するものであるばかりか、巨額な税金の無駄使いであることを強く訴えてきました。最近の橋梁工事入札談合事件も、そのような違法談合を放置してきた被告らの税金無駄使いの体質を端的に示すものです。

 私たちの訴えは、いま多くの国民の支持を受けています。最近著名人多数の賛同を得て3大新聞紙上に圏央道工事により高尾山が危機に瀕しているという意見広告を出したところ、高尾山の貴重な自然を護れという声が大きく広がっています

 私たちは、今回の不当な判決に対して控訴し、控訴審で本判決の誤りを徹底的に正していくとともに、都民のオアシスになっている高尾山のかけがえのない自然環境を護るために、広範な国民世論に依拠して、今後もこの運動をさらに大きく盛り上げ、高尾山トンネル工事を中止させるよう全力を尽くす決意を表明いたします。

以上


不当判決を乗り越えて大きな前進を!

高尾山天狗裁判弁護団団長 鈴木堯博



1 不当判決とその内容

 5月31日午後1時30分、傍聴者で埋め尽くされた東京地裁103号法廷で、菅野博之裁判長は、ながながと主文を朗読した。全部で23項目。「原告らの講求をいずれも棄却する」「原告らの訴えをいずれも却下する」という声が法廷にうつろに響いた。原告の全面敗訴の不当判決だった。

 判決のチェックポイントは4つあった。

1つは被害の事実。

 高尾山のかけがえのない貴重な自然の価値を正当に評価して甚大な被害の事実を正しく認定するかどうか。
 この点について判決は、高尾山の価値については何ら触れることがなかった。そして、大気汚染については、「圏央道の開通により、相当な大気汚染が生じることは予想され」るが、「圏央道の開通が大気汚染に及ぼす影響は、一酸化炭素、二酸化窒素及び二酸化硫黄の濃度については、いずれの地域においても環境基準を下回ることが予測され、また、浮遊粒子状物質(SPM)濃度に関しても、予測方法がほぼ確立している一般部分において環境基準を下回ることが予測され」るとした。騒音については、「工事完了後の道路交通騒音は、かなりのレベルに達することが予想され、東高尾地区にあっても、住民の生活環境をある程度悪化させるものではあるが、すべての予測地域で環壌基準を下回っていることが認められる。」とした。地下水に与える影響については、「@坎井の井戸の水位低下、A松竹地区の井戸枯れ、B宝生寺トンネルエ事による椎の木沢の水枯れについては、いずれも城跡トンネルエ事により生じたものと認めるに足りる証拠がない。」「Cボーリング観測孔2の水位低下については、城跡トンネルエ事によって生じたものであるが、…原告らが危倶するような影響を及ぼすおそれは低い」とした。オオタカヘの影響については、「本圏央道の工事がオオタカの営巣に悪影響を与えた可能性が高いと考えられ」るが、「本件圏央道の工事がオオタカの種全体に与える影響は、大きなものではない」と一方的な断定をした。

2つは公共性。

 圏央道建設事業には公共性・公益性が認められないことを正しく認定するかどうか。
 この点について判決は、「本件の事業は、都区部の通過車両を分散して都心部への車両の進入を数%ないし10%程度減らすことにより、都区部の交通混雑を緩和するほか、首都圏全体の交通の円滑化と、一般国道16号等の地方の幹線道路の混雑緩和、地域間の交通の拡大と産業活動の活性化、市街地の生活道路に流入する通過車両の低減と交通事故の減少等に役立ち、周辺地方公共団体等からも早期の完成が望まれているので、これにより得られる公共の利益は極めて大きいと認めるのが相当である。」と被告の主張と同じ判断をした。

3つは手続の違法性。

 環境アセスをはじめとする行政認定の手続自体に誤りがあることを正しく認定するかどうか。
 この点について判決は、「環境影響評価及びその後の環境影響照査は適正なものである」とし、また、「文化財及び国定公園の関係でも、適法な手続が実行されている。」として、事業認定手続に違法はないと一方的な断定をした。

4つは原告適格。

 原告らが訴訟の当事者としての資格があると認めるかどうか。
 この点について判決は、「起業地内の不動産又は立竹木等につき財産上の権利を有する
者」のみが原告適格を有しているとしたうえで、それ以外の者は、環境保護団体も合め、
本件事業認定の取消しを求める訴えについて原告適格は有しないとして、訴えを却下した。原告適格について著しく狭い解釈をしたものである。


2 行政追随の見本のような判決

 判決は、被告側の主張を全面的に採用し、原告らの主張をすべてしりぞけた。判決書は644頁と分厚いが、中身は被告側の言い分を丸呑みしただけの空疎な内容である。
 私たちは、この訴訟では、高尾山に基大な被害が及んでいる点についても、圏央遣の公益性が認められない点についても、最大限の努力をして主張立証を尽くし、寺西俊一教授をはじめ学界のトップクラスの専門家の証人尋間も行った。それによって、被告側の主張の欺瞞と虚偽を暴露し、主張立証面で被告側を圧倒したと思っていた。ところが、判決は、それを全く無視し、被告の言い分だけを採用した。

 圏央道あきる野インターチェンジの事業認定取消訴訟で東京地裁藤山裁判長が昨年4月に言い渡した原告勝訴判決の優れた判例理論とは全く逆のお粗末な内容の判決である。
 東京地裁藤山裁判長のあきる野インターチェンジ執行停止決定を取消した東京高裁の鬼頭裁判長の決定に対して、桜井敬子学習院大学教授が論文で厳しく批判しているが、その表現を借りて言えば、被告側の言い分を無批判に「まるのみ」する裁判所とは、一体どういう国家機関なのであろうか。
 論語に「巧言令色少なし仁」という言葉がある。口先がうまく、顔色を和らげて人を喜ばせ、こびへつらう人は、仁の心に欠けるという意味だ。判決を言い渡している菅野裁判長の顔を見ながら、ふとこの言葉を思い出した。
 今、司法改革でも、司法の行政チェック機能の強化ということが最大の課題となっているが、今回の判決は、司法の行政チェック機能を放棄したもので、まさしく行政追随の判決の見本である。時代の流れに逆行する判決は短命に終わるものだが、われわれの手ですみやかにこの判決を葬り去らなければならない。


3 控訴審と差止訴訟のたたかい

 この判決に対して、全国公害被害者総行動の行われた6月9日、原告団・弁護団は、東京高裁宛に控訴状を提出した。いよいよこれから控訴審のたたかいが始まる。控訴審では、高尾山の被害の事実を余すところなく突きつけることによって、この判決が、いかに証拠を無視し被告側の言い分だけを取り上げたものか、いかに矛盾と誤りに満ちたものかを徹底的に究明していかなけれぱならない。
 東京地裁八王子支部のトンネルエ事差止訴訟については、現在、原告本人尋間を行っており、審理は終盤戦を迎えている。今回の判決がこの訴訟にマイナスの影響を与えないように厳しく監観しながら、勝訴判決を勝ち取るために最善を尽くさなければならない。


4 世論をさらに盛り上げよう

 4月下旬、朝日、毎日、読売の3大紙に、4段抜きで「高尾山が泣いている」という意見広告が出た。辰濃和男さん、永六輔さんら著名文化人多数が呼びかけ人になっていた。
この意見広告の反響は大きく、読者から高尾山を守れという意見が続々と寄せられている。
また、5月19日には金比羅山上で永六輔トークの小集会が開催され、永六輔さんは高尾山の応援団長になると約束した。そして、5月21日には、立川の昭和記念公園で、山・川・海・空の合同フェスティバルが開催され、千数百人の若者たちが、ライブコンサートを楽しみながら、高尾山の問題を考える機会をもった。

 さらに、7月16日には八王子いちょうホールで、永六輔トークの高尾山集会が開催される。永六輔さんに言わせれぱ、この集会は、ホツプ、ステツプ、ジャンプの「ステップ」に当たる集会である。秋には「ジャンプ」のどでかい集会が開かれる見込みだ。
 そして、7月24日には裏高尾で恒例の天狗集会が開かれる。
 いま、高尾山を守るための運動は大きく広がっている。高尾山トンネルエ事をストップできるかどうかは、最終的には税金を納めている国民の世論の力にかかっている。高尾山を守れという声をもっと大きく広げ、世論をさらに盛り上げていこう。

5 たたかいの大義はわれにあり

 いま、地球環境は病んでいる。異常気象が次々と被害をもたらし、様々な災害が発生している、しかし、これは決して天災ではない。インド洋の津波による被害が大きくなったのはなぜか。この海岸はもともとサンゴ礁やマングローブの自然の防衛線で守られてきたが、人間活動の結果、サンゴ礁もマングローブも破壊されたために、自然の防衛機能が働かなくなったためだといわれている。人類の活動が環境や資源に取り返しのつかないダメージを与え、このままでは人類社会や動植物を危機にさらすと科学者は警告している。人類は自減への道をたどっているのだ。
 この地球は、現代の人間のためにだけあるのではない。過去何百万年という人類の歴史を踏まえ、美しい地球を未来の人類にそのまま引き継いでいくことが21世紀を生きるわれわれの責務である。
 地球環境を守るために、いまようやく国際世論が動き出した。地球温暖化防止のための京都議定書が今年2月に発効した。地球環境を守るということは、高尾山のような地域の自然環境を一つ一つ守ることだ。圏央道のような道路は、二酸化窒素を撒き散らす自動車を増やして地球温暖化の原因ともなる。
 高尾山を圏央道工事による破壊から守る運動は、人類の歴史の上でも大変重要な意義を持っていると考える。今回の判決はその長い道程の一里塚でしかない。たたかいの大義はわれにあるという確信をもって、不当判決を乗り越え、さらに大きな前進をかちとろう。


道路公害反対運動全国集会がアピール

 第30回道路公害反対運動全国交流集会は「道路政策の転換を」というスローガンのもとに41団体、160名が参加し、千葉県市川市で開催された。
 本年4月には圏央道あきる野の土地収用反対裁判で東京地裁は圏央道計画が住民に騒音と大気汚染による公害をもたらす恐れの高い道路計画であると断じ、「こうした瑕疵ある道路計画は違法であり、事業認定ならびに収用採決を取り消す」という画期的な判決を下した。国道43号線、西淀川、川崎、尼崎、名古屋、東京と続いてきた道路公害裁判は道路公害が住民に深刻な健康被害をもたらしている事実を明らかにし、道路管理者としての国、自治体、道路公団などの責任を断罪する判決が下っている。それにもかかわらず高速道路を中心とするクルマ優先、開発優先の大規模幹線道路建設は全国で進められている。あきる野判決はこうした国などの姿勢の違法性を厳しく指摘し、公害被害を未然にくい止めようとする司法の姿勢を示すものである。この意味であきる野判決は道路公害裁判の闘いの上に勝ち取った我々住民運動全体の勝利判決である。我々は今後この勝利判決を基礎に、あきる野裁判控訴審をはじめ、全国各地で展開されている公害道路阻止の闘いの勝利と東京大気汚染公害裁判の完全勝利をめざし、公害被害者の救済と道路公害・車公害の根絶を期するものである。
 小泉内閣の進めてきた道路公団民営化は無駄で有害な高速道路を借金で造り続けるという従来の制度を改めることができなかったばかりか、高速道路を税金で建設するという道を開き、さらには破綻した公団の事業を地方自治体に押し付ける動きにさえなっている。政府が財政難を理由に福祉関係や医療の予算を減らすなか、また国民の7割が「これ以上高速道路は必要ない」と考えるようになっている今、このように高速道路建設の借金の付けを何重にも国民に負担させる政策は国民に到底受け入れられない。政府はこうした国民の意識に目を向けるべきである。
 「一度始めたら止められない」と言われてきた公共事業もダムや埋め立てなどの分野では見直しが行われ、中止される事業も出てきている。この流れを道路事業の分野にも導かねばならない。戦後の経済復興を目的に作られた道路整備緊急措置法が経済大国となったとされる今もなお継続し、道路を造ることだけを目的とした税金や借金で高速道路を造れる制度を温存しているのは、ゼネコンを頂点とする土木産業と癒着した政治のゆがみを象徴するものである。地球温暖化やヒートアイランドの現象が年々進むなか、都市とその周辺の緑地や水辺を保全することは高速道路建設よりはるかに緊急性を有する。また迫り来る高齢化社会への対応こそが、多くの国民が望む緊急の課題である。
 今日、都市再生、都心の渋滞緩和を理由に大都市周辺の環状方向の高速道路を建設しようとする動きが急である。しかしながらこうした道路の目的はネットワーク化により高速道路の機能を高め、クルマによる物流を盛んにすることにある。したがってこうした道路の建設は都市周辺交通のクルマへの依存性を一層強め、都心への自動車交通を増大させ渋滞を促進する。渋滞緩和のためには自動車交通の抑制こそが唯一の方策である。都心からクルマを締め出し、人間のまちを取り戻すとともに、安くて使いやすい公共交通を整備する努力が世界各地の都市で行われている。我が国においてもこうした施策への転換が急務である。
 今や道路政策の転換は自然保護やまちづくりに取り組む住民運動、市民運動からも強く求められている。「道路は聖域」として行政の裁量にゆだねられている時代は終わった。道路についての情報は計画段階を含め、すべての段階で公開されるべきであり、道路そのものの必要性や環境への影響など道路計画がもたらすマイナスを含めた議論を通じ、道路計画に住民の意見が反映できる制度が必要である。我々はこうした制度の確立を国、自治体に対し強く求めるものである。

2004年10月10日

第30回道路公害反対運動全国交流集会


諫早湾干拓工事差し止め仮処分 佐賀地裁
 佐賀地裁(榎下義康裁判長)は8月26日、諫早湾干拓事業に関わって出されていた工事差し止めの仮処分申請を認める画期的な決定を行った。これは同工事により周辺海域に環境影響が広がり、ノリ被害など漁業被害を受けたとする沿岸4県の漁業者106人が訴えていたもので、進行中の国営事業を直接差し止める極めて画期的な決定となった。
 これは諫早湾干拓事業を巡って漁業者や市民が原告となって2002年11月に国に対し損害賠償と干拓地と調整池を仕切る前面堤防の工事差し止めを求める本訴を行ったが、同時に漁業者が工事差し止めの仮処分を申請していたもの。
 最大の焦点は有明海の漁業被害と干拓事業との因果関係だが、これについて裁判所は決定で、干拓事業で有明海の潮流に変化があったと指摘し「環境影響評価の予測を超す地域にまで被害が及んでいることが一応認められ、漁業被害は深刻」と述べ、事業と漁業被害の因果関係を認め「事業が有明海で生じた漁業被害に一定程度寄与している」と指摘した。そのうえで事業自体について「漁民の損害を避けるには事業全体を再検討し、必要に応じた修正を施すことが肝要」と述べた。
 これは漁業者側が仮処分申請の審理において「事業で諫早湾干潟の浄化機能が失われた。潮受け堤防の閉め切りで有明海の潮流が弱まり、甚大な漁業被害が生じた」と訴え、工事の差し止めか、潮受け堤防水門の中長期開門調査で漁業被害の原因が究明されるまでの工事凍結を求めたが、裁判所がこれを認めたかたちとなった。榎下裁判長は「1審判決にいたるまで、工事を続行してはならない」と申し渡した。
 今回の差し止め決定は、工事が9割台まで完成しているという現状にこだわらず、あくまで事業の環境への影響について審理・決定した画期的な司法判断といえる。農水省はこの決定に対し異議申し立ての構えだが、すでに工事はストップするなど、今後の事業展開に決定的な影響を与えるだけでなく、全国的にも公共事業見直しの運動に影響を与えることは避けられない。

 馬奈木昭雄弁護団長コメント: これだけ大規模で、ほとんど完成した事業が止まるというのは歴史的に意義のある決定。それだけ大きな漁業被害が出ているということだ。農水省の無駄で有害な事業は完全に断罪された。審理を尽くしてくれた裁判所に感謝したい。

<有明海訴訟と背景>
 農水省の諌早湾干拓事業は、農地造成を主目的に1986年計画決定、89年に着工した。諫早湾の奥部を全長約7kmの潮受け堤防で閉め切り、内側に干拓農地(約700ha)と調整池(約2600ha)を造成するもので総事業費は約2460億円。現在の工事の進捗率は94%。
 97年4月に潮受け堤防で湾内を封鎖したことにより海水の浄化機能が失われ、2000年末ごろから赤潮の頻発化、魚介類の激減…有明海沿岸の福岡、佐賀、長崎、熊本の年間漁獲量は着工前の88,000tから25,000tに激減。ノリ色落ち、ノリ不作など環境影響が顕著となる。このため漁民の抗議で工事は中断。農水省は02年4月〜6月の間、短期開門調査を実施したが、中長期開門調査は拒否している(これについてJNEPは2004年4月に中・長期開門調査の実施ならびに諫早干拓事業中止を農水省に求めた)。
 2002年11月に漁業者(現在原告173人)と一般市民(現在原告684人)が工事差し止めを求め、佐賀地裁に提訴(本訴訟…現在は証人尋問も行われない段階で判決までの見通しは立っていない)。また漁業者約20人と福岡県有明海漁連は公害等調整委員会に有明海異変と同事業との原因裁定を求めており、こちらも審理中。また本事業に関わって、福岡県有明海漁連から出されていた堤防工事差止め仮処分請求について福岡地裁は2004年1月、因果関係を認めず却下した経緯がある。

 

<有明海訴訟弁護団声明>

佐賀地裁の画期的仮処分決定をふまえ、
有明海再生にむけ、いまこそ諫干の歴史的転換を


2004年8月26日
よみがえれ!有明海訴訟弁護団


 本日、佐賀地裁は、有明海漁民106名の申請にかかる国営諫早湾土地改良事業(諫早湾干拓事業)差止の仮処分事件において、漁民の申請を全面的に受け入れ、国に対し、本件干拓事業の工事を続行してはならないと命じる仮処分決定を出した。
 決定は、本件干拓事業と有明海異変・漁業被害の法的因果関係を明確に認定し、事業を厳しく断罪した。

 豊かな干潟が広がる諫早湾は、豊饒の海・有明海を支える要ともいえる自然環境であり、有明海漁業における漁業資源を涵養し、漁場環境を維持する上で欠くことのできない自然の恵みであった。この自然の恵みは、有明海漁業を基礎とする地域経済を支え、独特の地域文化をはぐくんできた。干潟や浅海域などの湿地環境を保全しようとする地球環境保全の国際的な潮流の中にあっては、我が国を代表する重要な自然環境として内外の注目を集めてきた。これを保全することは、有明海漁業と地域経済・地域文化を守る上で不可欠であり、地球環境保全の取組におけるわが国の国際的責務でもある。

 本件干拓事業は、こうした重要な自然環境を破壊しながら進められた。しかも、その事業たるや、計画自体、なんらの必要性・合理性が見いだせないばかりか、費用対効果すら、いまや事業者の国自身が投資した費用を上回る効果を生み出さないと自認せざるをえない状況にあり、我が国における無駄な公共事業の典型ともいえるものである。

 本件干拓事業は、着工早々から諫早湾内における漁業に深刻な打撃を与えてきた。とりわけ1997年4月の潮受堤防締切後は、有明海の豊饒さを支えてきた海洋構造への深刻な悪影響が顕在化し、かつてなかった赤潮の頻発・大規模化など、有明海異変と呼ばれる有明海の広範囲に及ぶ環境悪化が顕著となった。
 そのため漁場環境は一変した。有明海の魚介類は激減し、海苔養殖業は毎年のように不作に見舞われている。廃業する漁民は加速度的に増加しており、有明海漁業そのものが存亡の危機に立たされている。漁民の中からは自殺者が次々に現れ、借金苦から母親と心中を図った痛ましい承諾殺人事件の悲劇までも生んでいる。いまや、本件干拓事業がもたらした漁業被害は、極限にまで達しようとしている。

 これまで本件干拓事業と有明海異変・漁業被害の関係をかたくなに否定し続けてきた国の言い逃れは、本仮処分決定によって明確に否定された。
 国は、決定にしたがい、ただちに本件干拓事業を中止すべきである。
 そのうえで、排水門を開門し、本件干拓事業の悪影響を取り除くことを主眼とした有明海の真の再生に、早急に、着手すべきである。
 本件干拓事業によって、生業ばかりか命さえも奪われている有明海漁民の現状は、もはや一刻の猶予も許さない。

 同時に、無駄な公共事業の典型である本件干拓事業に明確は司法の判断が下ったいま、いまこそ、世論を無視し、全国各地で、環境破壊の無駄な公共事業を推し進めて暴走する行政のあり方を根本的に転換すべきであると強く訴えるものである。

 

<JNEPの農水大臣要請>

農林水産大臣 亀 井 善 之 殿

2004年4月28日
公害・地球懇(JNEP)


中・長期開門調査の実施ならびに諫早干拓事業を中止し、有明海の再生を求める要請書


 亀井農林水産大臣は4月27日の記者会見で、諫早湾干拓事業と有明海の環境破壊との因果関係を調べる潮受け堤防排水門の中・長期開門調査実施について、否定的な見解を表明した。
 私たちは中・長期の開門調査をただちに実施するか、調査を待たずに諫早湾干拓事業を中止するか、どちらかを選択すべきと考える。調査もせずに因果関係が不明との詭弁により公共事業を継続し、環境と水産業の基盤を破壊し続けることは農林水産省の存在意義に関わる大問題であるのに、農林水産省にその自覚がないのは驚くべき事態である。
 諫早湾干拓事業の着工以降、とりわけ潮受け堤防を閉鎖してからの有明海の環境破壊、漁業被害が深刻になっている。これについては、これまでに九州大学、長崎大学、東海大学などの有明海を研究の対象にしてきた様々な学者・研究者の検討や、環境省の調査などから、諫早湾干拓事業が有明海の環境破壊の原因であることを強く示唆する報告が数多く出され、一部は干拓事業が原因と断定している。それに対して国は一度もこれらに対して反論に足るデータを示せず、その疑惑は日増しに強まっている。
 農林水産省の調査検討委員会(委員長・清水誠東大名誉教授)も、短期調査では不十分と考えて昨年3月に開門調査を求た。専門委員会(委員長・塚原博九州大名誉教授)の昨年12月の報告は両論併記だが、学者の多くが中長期開門調査を求めた。また、諌早湾干拓事業再評価第三者委員会(委員長、黒田正治・九州共立大工学部教授)はこれに先立ち、2001年8月に環境に配慮して事業を見直すよう求める答申を出した。長崎県を除く関係自治体、漁民、学者・研究者、環境団体などは揃って中長期の開門調査を求めている。
 水産行政を所轄する農林水産省が自らの公共事業で地域の水産業を根底から破壊することは、農林水産省の自己否定であり、その存在意義を問われる大問題である。農林水産省にはただちに中長期の開門調査を実施するとともに、結果が出て因果関係が否定されるまで諫早湾干拓事業の工事の一切を停止することを求める。中長期調査も実施せず、「無実の証明」を自ら放棄するのであれば、諫早湾干拓事業はただちに中止すべきである。



ずさんな圏央道計画を取消、東京地裁
 圏央道建設が強行されるなか、「あきる野インターチェンジ」(東京都あきる野市)建設に反対する地権者ら約100人が、国の事業認定と東京都の収用裁決取り消しを求めた訴訟で、4月22日、東京地裁(藤山雅行裁判長。異動のため鶴岡稔彦裁判長代読)は、この請求を全面的に認めた。圏央道計画に反対する住民の訴えが、初めて司法の場で認められ、「アワセメント」方式で強引に建設を強行する公共事業のあり方が、根本的に問われる時代に入ったことをうかがわせた。この判決は隣接する高尾山天狗裁判など道路計画の是非を問う各地の裁判に波及することは必至と見られる。
 藤山雅行裁判長は「供用開始によって周辺住民に受忍限度を超す騒音被害が発生する。渋滞緩和という公共の利益にも具体的根拠がない。土地収用法の要件を満たしておらず事業認定は違法」と述べ、さらに「大気汚染の被害発生の疑念も払しょくできず、相当重大な結果が発生する恐れがある。これらを見過ごし、高度の調査をしないまま事業認定したのは違法」と判断した。これらの判断は、この間住民側が繰り返し問題を提起し続けてきたもので、国側は一切これらの指摘には耳を貸さなかったもので、司法の場においてその指摘が正しかったことが裏付けられた意義も大きい。
 そのうえで判決は「具体的根拠もなく渋滞緩和の公共利益があるとした国の判断には過誤欠落があった。違法な事業認定に基づく収用裁決も取り消さざるを得ない」と結論づけ、国が手がけてきた形式的でずさんなアセスメントの非合理性などについて批判し、これを根拠とする土地収用手続きを否定するに至ったもの。
 道路建設で土地収用手続きを否定した判決はもちろん初めてのケースで、藤山裁判長は「都市計画法など個別法に、事業計画の適否を早期に司法が判断できる訴訟手段を新設する必要がある」との異例の付言まで行い、現在の事業決定システムそのものに問題が存在していることについても言及した。
 現在、全国各地で行われている道路計画の一方的な推進にたいして住民側のねばり強くかつ困難なたたかいが続いているが、この司法判断はこうした道路計画そのものへの住民参加のあり方についても一つの方法を示したものとみられ、この点に限っても訴訟提起の意義には計り知れないものがあったといえる。
 また同裁判長は判決理由で圏央道全体の計画について「渋滞緩和には首都高速中央環状線と外環道の2線が建設されれば十分で、圏央道建設にこだわればかえって問題解決を遅らせる」とも述べ、当該訴訟の範囲を超えて圏央道建設の必要性にまで言及した。さらに「現時点で事業を中止すれば無益な投資の相当部分は避けられる」とも指摘しただけでなく、関連して隣接する日の出インターチェンジがわずか2キロしか離れていない場所で計画されたことについて、「事業の合理性は全く裏付けられていない」と批判。代替案の検討もされておらず、事業認定は法が要求する要件を満たしていないと結論づけた。

 これまでの経過では、当ホームページでも取りあげたように、原告側は訴訟と並行して都の代執行停止を申し立てた。藤山裁判長は2003年10月、これを認める異例の決定をしたが、東京高裁は「回復困難な損害は認められない」と地裁決定を取り消し、最高裁で今年3月確定していた。原告側はこれに従い、土地明け渡しを自主的に進めていた。
 国側のコメントを見る限り、控訴することは確実で、直ちに工事が止まることも、原状回復が求められることもなく、地権者らの立ち退き後に計画を認めない司法判断が下されるという、ちぐはぐな結果となった。
 判決後原告側はあらためて収用の執行停止と国に対し控訴しないで判決に従うよう申し入れた。
  しかし4月26日、圏央道計画の取消を申し渡し、違法な計画に基づく土地収用も認めないとした同じ東京地裁が、住民側が同地裁判決結果に基づいて行った土地収用停止請求を棄却する決定を行った。
 同じ裁判所が百八十度異なる判断をわずか四日間という短期間で行ったことに驚くばかりで、相反する裁判所の判断にたいし、国民の司法への信頼も揺らぎかねない事態だ。
 また、4月27日には、原告の「控訴するな」の声を無視して、国土交通省は東京高裁にたいし、先の22日の地裁判決は承服できないとして控訴を行った。
 

<声明>圏央道あきる野土地収用事件取消訴訟勝利判決について

2004年4月22日
圏央道あきる野土地収用事件地権者関係人一同
圏央道あきる野土地収用事件弁護団
牛沼土地収用反対裁判を支える会


 東京地方裁判所民事第3部(藤山雅行裁判長)は、本日、あきる野市牛沼地域の圏央道(首都圏中央連絡自動車道)建設に関する国土交通大臣の事業認定(2000年1月19日)、及び東京都収用委員会の収用裁決(2002年9月30日)をいずれも取り消す判決を言い渡した。昨年10月3日、同収用裁決にもとづく代執行を停止する旨の決定を下したことに続き、圏央道建設事業そのものへの疑問を提示し、住民無視の行政のあり方に歯止めをかけたものである。
 そもそも、圏央道の建設事業は、高度経済成長期に計画され、いわゆるバブル期を通じて具体化されてきた。いまや、その前提とされた各地域の開発や物流などの建設目的はすでに失われている。のみならず、本件土地収用を強行してあきる野インターチェンジを設置しても、道路混雑が改善されないばかりか、逆に混雑が激しくなるなど公共上の利益に結びつくものはほとんどない。
 他方では、圏央道が建設されることによって、大気汚染や騒音問題など道路公害がいっそう激化することが明らかとなってきている。自然環境や文化遺産が破壊され、長年住み慣れた住居を移転しなければならない不利益等とあわせて、圏央道建設及びこれに伴う本件土地収用によって、失われる利益ははかりしれないものである。
 本日の判決は、圏央道建設によって生ずるこれらの問題を端的に指摘し、圏央道が瑕疵ある道路の建設となり、適正かつ合理的な土地利用に該当しないことを明らかにして、本件事業認定が違法であると断じた。そして、この事業認定の違法性は、本件土地収用を命じた東京都収用委員会の収用裁決にも承継されるとして、事業認定とあわせて収用裁決自体をも取り消すことを命じたのである。
 この判決は、無駄な公共事業や道路公害の激化に対する国民の批判を反映したものであり、公害反対や環境保護を求めている全国の住民の運動を大きく励ますものである。私たちは、被告ら及び参加人らに対し、本判決に従い、直ちに土地収用を停止し、圏央道建設計画そのものを抜本的に見直すことを求めるとともに、そのことを実現するために、これら運動を進めている住民の皆さんともに、最後までたたかうものである。



東京高裁 、圏央道牛沼の収用停止覆す
 圏央道あきる野市牛沼のあきる野インター予定地周辺の土地収用執行停止を不服として、国土交通省や都などが即時抗告していた審判が東京高裁で12月25日、鬼頭季郎裁判長のもとで行われ、都知事に収用の執行停止を命じた東京地裁の今年10月の決定を取り消す逆転決定を行った。
 鬼頭裁判長は「地権者らは長年居住しているとはいえ、金銭賠償により十分補てんできる程度のもの。収用によって回復困難な損害が生じるとまでは言えない」と認定、「回復困難な損害が生じなければ、収用停止は命じられない」と、さきの地裁決定を退け、「収用予定地の住民らは、近くに移転することも十分可能」と述べるなど、地権者側が主張する重大な影響をまったく認めなかった。
 また、圏央道建設の公共性に関して、建設にともなう周辺の国道の渋滞緩和、年間37億円を超える経済効果などを挙げ、当該土地の収用停止は逆に「公共の福祉に重大な影響を与える」とした。
 これらの判断は、国および都側の主張をそのまま取り入れたにすぎず、裁判所独自の判断とは言い難いと地権者は反発し、記者会見で以下の声明を発表した。今回の収用停止撤回で対象となる地権者のなかには、80歳で6カ月も寝たきりの人もいる事情など、なんら考慮されていない。
 都側は今後、行政代執行の期日を地権者に通知、収用を強行する見通しだが、さきの東京地裁決定では、行政訴訟で事業認定の適法性を立証しようとしない都側の訴訟態度を批判、「このままでは住民側の勝訴に終わることは明らか」と、都側敗訴を見越すかのような異例の理由を盛り込んだことから、地権者側も最高裁に特別抗告するなど最期まで争う構えを見せている。



<あきる野執行停止抗告審決定声明文>

2003年12月25日
圏央道あきる野土地収用事件地権者関係人一同
圏央道あきる野土地収用事件弁護団
牛沼土地収用反対裁判を支える会

声    明

 東京高等裁判所第16民事部(鬼頭季郎裁判長)は、あきる野市牛沼地域の圏央道(首都圏中央連絡自動車道)建設事業に関する収用裁決について、本日、執行停止決定を不当にも覆して執行停止を否定する旨決定した。
 本決定は、去る10月3日に東京地裁民事第3部(藤山雅行裁判長)が決定した収用裁決の執行停止(原決定)に対して、相手方東京都知事、参加人起業者(国及び日本道路公団)が申し立てた即時抗告に対するものである。原決定を覆した本日の決定は、起業者側が一方的に主張する圏央道建設の「公共性」を住民らの権利に優先させ、申立人ら地権者らについて、執行によって回復しがたい損害が発生することを否定したものである。
 しかし、土地収用を強行すれば、病気入院中の地権者居住家屋も破壊され、造成されて取り返しのつかない損害が生ずる。住民の切実な事情を切り捨てる決定に他ならない。
 しかも、圏央道建設は、秋留台開発計画の白紙化などから、すでにその建設目的が失われているうえ、他方では、大気汚染や騒音などが激化する。道路建設の事業計画そのものに明白かつ重大な欠陥がある。さらに、本件収用を強行しても、建設・開通する道路はわずか1、9キロメートルに過ぎず、そこに設置されるあきる野インターチェンジによっても、道路混雑が改善されず、逆に混雑が激しくなる。公共上の利益に結びつくものはほとんどない。のみならず、同インターより先の南側予定地は、未だ工事中で、大量のダイオキシンの放置、井戸ガレ、水涸れなどのために、開設する見通しが立っていない。道路建設の緊急性は何ら存在しないのである。
 本案である収用裁決取消訴訟も、来年2月24日には弁論を終結することが予定されており、数ヶ月後に迫った本案判決まで執行を強行しなければならない理由は何もない。
 このように本日の決定は、いかなる理由によっても正当化できるものではない。
 本決定は、ほとんど審理もせずに起業者側の一方的な言い分をうのみにした極めて不公正なものであり、行政の顔色を窺うものであって、行政に追随したものといわざるを得ない。
 本決定は地権者の権利や住民のたたかいを無視するとともに、大気汚染など道路公害に反対し被害の救済と環境保護を求めている多くの国民の期待を裏切る不当な判断といわざるを得ない。私たちは本決定に強く抗議するものである。
 起業者及び東京都知事は、この決定にかかわらず、少なくとも、来るべき本案訴訟の判決まで執行手続きを停止し、圏央道計画そのものの見直しを検討するべきである。
 地権者らは、本決定を容認することは到底できない。その取消を求めるとともに、本案訴訟においても、事業認定及び収用裁決の取消を実現するべく、さらに奮闘する決意である。





戸倉ダム撤退で日本自然保護協会がコメント

群馬県の戸倉ダム建設に関して、利水者として建設経費を負担することになっていた埼玉県が事業からの撤退を表明したことに対して、これまでこの問題に関わってき日本自然保護協会(NACS-J/ナックス・ジェイ)が12月6日コメントしました。

埼玉県の決定は、時代の要請が形になって現れたものと受け止める必要がある

 利根川支流の群馬県・笠品川上流に計画中の『戸倉ダム』は、国土交通省の計画に基づき、水資源機構(旧水資源開発公団)が建設する大型のダム計画である。このダム計画は、環境影響評価法に基づく法律で定められたアセスメントをすることになった第一号のダムであり、環境面からも注目されてきた。
 環境上の難題は、ダムサイト予定地とたんすい域一帯が希少猛禽類クマタカの比較的良好な繁殖地になっていることであり、この繁殖活動への悪影響を完全に避けながらダム建設を行える方法はいまだ見つかっていない。
 またこの場所は、国立公園・尾瀬の玄関口の一つ「大清水口」に続く渓谷であり、景観上の問題を指摘する声もある。
 水資源の需要予測と実際の必要量が大きく変化し、資金の手当てのめども揺らいでいる中であれば、節税と環境保全の社会的要請を優先し、政府はこのダム計画の中止を決断すべきであろう。その意味で今回の埼玉県の決定は、時代の要請が形になって現れたものと受け止める必要がある。 (NACS-J常務理事 横山隆一)




東京地裁が圏央道牛沼の強制収用に停止決定
 圏央道あきる野インター(東京都あきる野市牛沼地区)周辺の地権者が、道路建設計画がずさんで、住民無視の強行姿勢が続いているとして土地明け渡しを拒み、国交省や都が強行しようとしている土地の強制収用を止めさせるよう求めた申し立てについて、東京地裁(藤山雅行裁判長)は2003年10月3日、土地収用裁決による都知事の代執行を停止する決定をした。
 交通予測の過小見積もりなど形式的なアセスメントや、2km区間に二つのインター建設など反住民的で極めて政治色の濃い牛沼地区の圏央道問題で20年間という長期のたたかいを余儀なくされてきた地権者のたたかいにようやく明るい展望が見えてきた。
 今回の申し立ては、国交相の収用事業認定と都収用委の裁決の取り消しを地権者側が求めた訴訟に先立ち「1審判決前に土地が収用されると、裁判の意味が失われる」として地権者側が申請していた。
 東京地裁決定は、土地収用の根拠となった圏央道事業認定の適法性を主張・立証しない都側の姿勢を批判し、2000年12月に地権者らが提訴した裁決取り消し訴訟(本訴)でも、このままでは都側が敗訴する可能性が高いとまで示唆している。
 裁判所が土地収用で執行停止したのは極めて異例で、十分な説明もなく公共事業を進める行政側の姿勢を厳しく批判している。これに対し都側は決定を不服として即時抗告する。


<決定のポイント>
 決定による停止期間は、本訴(担当:藤山裁判長、2004年2月結審)の一審判決から15日後までとする。本訴は土地収用法の事業認定取り消し訴訟と併せて審理。本訴の判決まで4〜7か月程度で、その間の強制収用停止が公共の福祉に与える影響は小さいと判断した。

 手続きを停止する緊急性について、すでに代執行請求が行われている現段階では、回復が困難な損害を避けるために、手続きを停止する緊急の必要性があると指摘。裁判長は「終のすみかとして居住する者の利益は極めて重要で、いったん失うと容易に置き換えられない」と述べ、地権者側が訴えた居住の利益について「人格権の基盤をなす重要な利益。単なる主観的利益として切り捨てることはできない」とした。

 そのうえで、収用事業認定と収用裁決の取り消しを求めた本訴の中で事業認定の適法性の主張・立証をしない都側の姿勢に言及、「このままでは、住民側の勝訴に終わることは明らかだ。改めて適法性を主張しても、適法性についての疑問がなくなるとはいえない」とまで言い切った。


<関係者の声>
 鈴木進さん「こんなでたらめな手続きが通ったら世の中は間違っていると思っていた。想像以上に私たちの申し立てを理解してくれ素晴らしい判断だ。住民を無視して行われてきた行政の手続きの違法性を、今後も主張していきたい。事業認定の取り消しを求めた本裁判でも、この考えが貫かれると信じている」。
 坂本孝さん「これほど素晴らしい決定が下されるとは思っていなかった。全国で環境保護を求めて、たたかっている人々の励みや支えになると思う」
 松平重幸さん「圏央道では行政は当初『強制収用はしない』と約束していた。今回の判断は強権的な行政の姿勢への批判だ」
 吉田健一弁護士「私たちの主張を全面的に認めた画期的な判断だ。非道な都のやり方に歯止めをかける画期的な決定。地権者には江戸時代から住んでいる家もあり、生活の重みを受け止めてくれたのだろう」


<都・国側の反応>
 渋滞緩和が結果的に大気汚染の改善にもつながるなどと首都圏三環状道路の整備を推進する石原都知事は「今回の決定は極めて遺憾、東京高裁に即時抗告する」とのコメントしたほか、都建設局の柿堺至道路建設部長は「代執行の手続きは適正と信じているだけに今回の決定は残念」とショックを隠せない。また新任の石原伸晃国土交通相は「今回の決定で当該区間の一部事業を停止せざるを得ず、まことに遺憾」と述べた。


<今後の展開>
 国側は両インター間の2003年度開通を目指して2003年6月、都に明け渡しの行政代執行を申請。これを受け都は、9月下旬までに明け渡すよう戒告書を出し、近く強制的な退去日を示した最後通知となる代執行令書を出す予定だったが、この決定で圏央道は一部の区間で当面着工できないことになり、工事のスケジュールに影響がでることは必至となった。
 2004年2月に結審する本訴訟でも収用取り消しが認められる可能性が極めて高く、仮にそうした判決が言い渡されることになれば、隣接する南側の高尾山トンネル工事も同様に強権的に工事を進めていることから圏央道の工事全体にも重大な影響を与える展望がでてきた。


<地権者、弁護団らの声明>

2003年10月3日
圏央道あきる野土地収用事件地権者関係人一同
圏央道あきる野土地収用事件弁護団
牛沼土地収用反対裁判を支える会


 東京地方裁判所民事第3部(藤山雅行裁判長)は、本日、あきる野市牛沼地域の圏央道(首都圏中央連絡自動車道)建設事業に関する東京都収用委員会の収用裁決(2002年9月30日)にもとづく代執行に対し、これを停止する旨の決定を下した。現在、同収用裁決については、起業者(国及び日本道路公団)の申立にもとづき東京都知事による代執行手続きが進められているが、本決定は、地権者らが提起した収用裁決取消訴訟の判決が言い渡されるまでの間、同裁決にもとづく代執行の停止を命じ、住民無視の行政のあり方に歯止めをかけたものである。
 そもそも、起業者は、建設目的が失われ道路公害を激化させるなど事業計画に明白かつ重大な欠陥があるにもかかわらず、圏央道建設のための土地収用手続きを進めてきた。しかも、本案である収用裁決取消訴訟は、2003年12月までに証拠調べ手続きを終了して04年2月には弁論を終結することが予定されているにもかかわらず、起業者らは、地権者らの事情を無視して、本年6月には行政代執行を申し立てた。そして、本案訴訟の結論をあえて待たずに、明け渡し収用を強行しようとしてきた。
 しかし、本件収用を強行しても、建設・開通する道路はわずか1,9キロメートルに過ぎず、そこに設置される、あきる野インターチェンジによっても、道路混雑が改善されないばかりか逆に混雑が激しくなるなど、公共上の利益に結びつくものはほとんどない。のみならず、同インターより先の南側予定地は、未だ工事中で、大量のダイオキシンの放置、井戸涸れ、水涸れなどのために、開通する見通しが立っていない。土地収用を強行し、道路建設を進めなければならない緊急性は何ら存在しない。
 逆に土地収用を強行すれば、病気入院中の地権者居住家屋も破壊され、土地が造成されて、取り返しのつかない損害が生ずる。古墳などの文化遺産も破壊される。
 本日の決定は、地権者は、憲法上の保障された居住の自由にもとづき人格権の基盤をなす重要な利益を有するとし、このような収用裁決にもとづく代執行を強行することは回復できない損害があること、他方公共の利益に重大な影響を与えないことを認めて執行停止を決定したものである。決定は、地権者らに対して強制立ち退きをひたすら求める起業者らの非人道的な対応を断罪するとともに、本件事業や収用裁決そのものに対しても、重大な疑問を提示している。
 この決定は、無駄な公共事業に対する国民の批判を反映したものであり、道路公害をはじめとする公害反対や環境保護を求めている全国の住民の運動を大きく励ますものである。
 起業者及び東京都知事は、この決定に従い、執行手続きを一切停止し、圏央道計画そのものの見直しを検討するべきである。
 地権者らは、事業認定及び収用裁決そのものの違法性をいっそう明らかにし、本案訴訟で、これらの取消を実現するべく、さらに奮闘する決意である。


<牛沼問題の経緯>
 2年前の2001年8月、都収用委の公開審理において、牛沼地区での国・都の土地強制収用の対象地権者の一人である中村文太さん(現在、病気入院中)は「私は、18年間、圏央道問題に関わってきましたが、土地収用という最悪の事態に直面している今、私が言いたいこと、思っていることを述べさせていただきます」と切り出した。中村さんは続けて「圏央道の場合は、説明会が開かれても満足に住民に説明せず、してもいない測量をでっち上げ、公害審査会においても旧建設省は質問に答えないまま打ち切り、あげくに中山建設大臣(当時)は、今後も住民との対話を続けると言っておきながら、一回も対話することのないまま事業認定を強行したのです。一言で言えば、旧建設省は、ウソのかたまりでした」と批判した。
 屋敷内に7世紀頃の古墳もあるという先祖伝来の土地を守り続けてきた中村さんが、旧建設省を柱とする推進側にたいし公開の席で18年間のたまりにたまった怒りをぶつけたのだ。

 今回の東京地裁決定はこうした関係地権者の思いを初めてくみ取ったもので、国の事業をめぐる土地収用の代執行の停止を命じた判決も初めてという、極めて異例の展開となった。
 今回、土地強制収用の停止決定が出されたのは圏央道延長約370m分など「日の出」、「あきる野」両インター区間の6%に相当する約8000平方米に地権者6人の住宅3棟などがある。

 東京都の収用委員会は2002年9月、2003年の5月17日までに土地を明け渡すよう裁決を強行し、国交省は2003年6月、土地収用法に基づく強制収用の「代執行」を都に要請していた。
 これにたいし地権者側は2000年12月、土地収用法に基づく事業認定の取り消しを求めて提訴、さらに2002年11月、土地収用を決定した都収用委の裁決取消を提訴。

<本ホームページ掲載の関連情報>
圏央道、土地収用裁決取り消し求め提訴(2002/11/11)
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圏央道東京ルート収容で強制立ち入り(2000/07/08)




川辺川利水訴訟控訴審、原告農民が逆転勝訴
 川辺川ダム(熊本県、球磨川支流)から農業用水を引く国の利水事業をめぐり、農家719戸が農相の事業決定の取り消しを求めた「川辺川利水訴訟」の控訴審で、福岡高裁の小林克已裁判長は5月16日、利水三事業のうち二事業について「必要な数の同意が得られておらず違法」として農相決定を取り消した。一審の熊本地裁判決では却下されたが、控訴審では原告農家側が逆転勝訴した。
 控訴審においては、一審で未調査だった対象農家約2000人の新たな調査が行われ、一審判断を覆す根拠となった。
 判決で小林裁判長は、原告側が求めていた利水事業を計画決定する際の農民の法定条件として、事業対象農家(最大で約4000人)の3分の2以上の同意が得られたかどうかについて「別人が署名と押印をしたものや、争いがあるもののうち国側が同意があったと証明できなかったりしたものなどは、効力がない」と認定した。そしてそれらを差し引いて、関連3事業のうち農業用用排水と区画整理の2事業では、同意が3分の2以上に達していないとし、この部分の農相の棄却決定を取り消した。
 この判決に従えば、利水事業を国側が強引に推進するために、同意書を集める段階で、死者からの同意書、別人(偽の)の同意書など、行政が公文書を偽造してかき集めたという実態が裁判所により認定されたということになる。
 日本の脱ダムの原点ともいうべき、川辺川利水事業の違法かつ強引なやり口がようやく白日のもとに断罪された意義は大きい。
 この判決により、利水事業計画は成立せず、ダム建設目的の一つが失われ、本体工事の着工は大きな影響を受けることなる。
 控訴審では、利水事業そのものの直接的判断は示していないが、事業の必須要件である同意率を、法の要件を満たしていないとする判断は、事業を進める法的根拠がないことを意味したものでもあり、極めて重い。
 亀井善之農水大臣は5月19日、控訴審判決に関して、同意の集め方に「不備があった」と認め控訴断念を表明した。
 川辺川利水訴訟の原告逆転勝訴判決、国側の控訴断念により、ダムに設定されたかんがい用の利水は不要となったばかりか、ダム本体着工に向けた漁業権の強制収用を審議する熊本県収用委員会への影響も必至となる。
 多目的ダムの基本計画を変更する際、国土交通相に知事からの意見聴取を義務づけている。こうしたなか、潮谷義子知事は5月16日、川辺川利水訴訟の控訴審判決後の記者会見で「農水省の対応を見守るとともに、判決を精査し、今後の県の対応を決めたい」「国の指示を待って隷属的に動くわけではない」などと、県が主体的に判断することをほのめかしている。
 <梅山究原告団長>九州の百姓が農水大臣におこした20世紀最後の百姓一揆だ。ダムは白紙という新聞記事のように判決はもう大きな影響が出ている。21世紀の公共事業のあり方に一石を投じた判決で、日本が変わる試金石だ。
 <板井優原告弁護団長>完全勝訴だ。私たちは法律にある3分の2以上の同意がないことを一人一人について厳密に調べたが、その結果を厳密に検証した判決だ。判決はよく書かれている。裁判所も正面から受け止めたからだろう。行政は悪をなさないという従来の裁判所の常識があったが、そうでない証拠、事実を目の前に見て、判決にのぞんだのだと思う。

<利水訴訟と背景>
 川辺川ダムは利水、治水、電源開発、流量調節の4目的で行う多目的ダム法に基づく開発。このうち利水については農水省が国営川辺川総合土地改良事業として川辺川ダムから、人吉・球磨の1市5町村に農業用水(幹線水路64.2km)を引き、農地造成や区画整理を行う。4000戸の対象農家に対し灌漑用水を引く計画で、94年11月に農水大臣は当初の計画対象面積3590ヘクタールを採択基準ギリギリの3010ヘクタールへ縮小する事業変更計画を公告した。この計画変更で事業の全貌を初めて知らされた対象農家1144人が計画の取り消しを求める異議申し立てを行ったが、却下。
 裁判はこの対象農家4000戸のうち2100人が原告となって土地改良事業変更計画の取消を求めたもので、事業計画に知らないままムリヤリ判をつかされた農家が利水事業は不要と請求した裁判。
 一審では、対象農家が灌漑用水の本管(ここまで国負担)から自己負担で導水管を引いてまで利水する必要がないこと、既存の水利権負担との二重負担となること、国営事業が農家からの申請主義で、しかも対象農家の3分の2に同意を必要とすることから、国側の手続きが強引で死亡者からも同意書をとっているなど違法であることなどを立証してきた。しかし熊本地裁は、96年6月の提訴から4年3カ月ぶりの2000年9月8日、原告の訴えを棄却する不当判決を行った。
 一審判決では、農水省の国営川辺川総合土地改良事業の必要性について、国側が総合的見地から広範な裁量権を有していると述べて、関係地域の農民の過半数が事業そのものを不要としている現実を認めない不当な判断を下し、国側の事業の非合理性について判断を示めすことを避けた。さらに判決は原告側が問題にした死亡者からの同意取り付けなど水増し同意について認めたものの、全体としては事業要件とされる3分の2をクリアし、75%が同意したと断定、手続き論でも被告農水省側の違法な手続きを追認した。



圏央道八王子ジャンクション未買収地の収用申請
 国交省と道路公団は、3月24日、圏央道あきる野インターチェンジ(あきる野市)〜八王子ジャンクション(八王子市)間9.2kmの未買収地約8300平方メートルについて、東京都収用委員会たいし土地収用法に基づく収用裁決を申請した。
 この道路予定地は土地所有者6人、借地権者520人のほか、約1500人の市民が立ち木トラスト運動を進め、圏央道建設による高尾山の自然破壊に反対している場所であり、高尾山にトンネルを掘るなと反対運動を展開してきた裏高尾側の反対運動の拠点にあたる場所である。
 これにたいし、高尾山の自然をまもる市民の会など反対側は、高尾山の自然破壊をくい止めるために、あくまでたたかうとしている。
 <事業者側の経過>国土交通省と日本道路公団は2002年7月、圏央道八王子ジャンクション予定地(八王子市裏高尾町)で、用地買収に応じない地権者の所有地(約8300平米)へ土地収用法に基づく立ち入り調査を強行。立ち入りは圏央道関係では2000年7月に強行した牛沼地区に次いで2度目。
 国土交通省はこれに先だって圏央道八王子ジャンクション〜あきる野インター間9.6キロについて土地収用を前提とした初の公聴会を2001年12月に開催、地権者のみならず一般市民の意見を形式的に聴取。公聴会で建設に関わって多くの疑問点と計画進行に関して批判的意見がだされたが、それらの意見に納得できる回答・対応を示さないまま2002年4月に国交省の事業認定を強行。

 


日高横断道の建設凍結、道知事が正式表明
 北海道の堀達也知事は2月7日、日高山脈の貴重な自然を破壊する無駄な大型公共事業として批判を浴びている日高横断道路(道道静内中札内線)の建設凍結を正式に表明した。
 堀知事は「道管理区間の未改良区間においては当分新規の改築工事は行わない」と明言。国の開発道路区間については「再評価を含めた検討を国に要請していきたい」とも述べ、同日発表した2003年度道予算案でも同道路の新規着工部分をゼロ査定とした。
 日高横断道路(全長約101km)は1984年に着工が決定されたが、けわしい地形と崩れやすい地質に阻まれて工事は難航。国・道あわせてこれまで540億円をつぎ込んだものの、開通までにはさらに980億円が必要とされている。
 堀知事が2002年6月に建設の見直しを表明したが、これをうけて同年9月から道政策評価委員会が検討を進め、2月3日に建設凍結を盛り込んだ意見書を知事に提出したもの。
 この道路建設計画にたいし、北海道内の自然保護団体、山岳団体、法律家などは、@日高山脈の自然を破壊しつつある A道路建設の目的や必要性が破綻している B建設費用が当初の297億から1300億に脹らみ20年近く費やしながら完成のめどが立っていない C完成したとしても費用対効果が見込めず膨大な税金の無駄などと、「止めよう日高横断道路」の名で反対運動を展開、昨年5月には全国規模の運動にまで広がった。
 また昨年11月には北海道弁護士会連合会、札幌弁護士会の共同声明も出され、日高山脈の自然環境が持つ価値と、日高横断道路事業がそれに与える影響、日高横断道路の経済効果などについて批判したことなどが、掘知事の凍結声明に結びついた。

 


長野県が浅川ダムの談合を認定
 長野県が発注した浅川ダムの入札経緯を調査してきた「長野県公共工事入札等適正化委員会」(委員長/鈴木満桐蔭横浜大教授)は、1月31日、浅川ダム入札に関して談合が行われたものと判断すると認定し、田中康夫知事に報告書を提出した。委員会は公取OB、オンブズマン、弁護士など5人構成。
 ダム談合を長野県委員会が認定したのは全国初で、『しんぶん赤旗』(2001/8/30付)が報道した内部資料(1995年12月作成のゼネコン内部文書)を巡り委員会が談合と認定した。
 「脱ダム」を掲げる田中知事は浅川ダム本体工事(契約額129億円)を落札した前田建設工業・フジタ・北野建設共同企業体との契約を昨年9月に解除したが、談合による損害賠償の請求の可能性も浮上してきた。
 委員会の審査では、ゼネコン内部文書が浅川ダム入札の本命業者を4年半も以前に正確に予測していると認定した。また、浅川ダムの落札率が96.32%と予定価格ギリギリだった事実なども、談合認定の根拠としている。
 また審査では全国のダム工事をめぐる談合と入札結果について、ゼネコンの内部資料では、26件中22件で一致していることも確認され、今後、ダム談合問題が長野県にとどまらず全国に波及することも必至とみられる。


 


マスコミ世論調査では道路民営化最終報告支持
 政府の道路関係4公団民営化推進委員会の最終報告をめぐって最近、マスコミから二つの世論調査結果がだされた。
 『朝日』の調査(12月15日)では、多数決で決めた異例の最終報告を支持しているのが64%で、今後の高速道路建設(残り整備計画2400km)については6割が造らない方がよいとしているという。
 いっぽう『共同通信』の調査(12月17日)では、最終報告について、ある程度評価するを含めた「評価する」が過半数の56・5%で、「あまり評価しない」を含めた「評価しない」の39・4%を上回っている。
 残事業建設については、通行料金や税金を財源に続けて行くべきだとする回答が66・5%だ。
 この二つの調査で共通しているのが、最終報告を支持しているのが過半数を上回っていることだが、今後の高速道路建設については意見がわかれている。
 これは設問の違いのほか、最終報告をめぐるマスコミの報道姿勢が必ずしもただしく行われたとは限らず、また最終報告を読んだ人に対し調査したわけでもないからである。最終報告では残事業について、新会社はつくる余地はほとんどないものの、国と自治体の税金による整備は認めており、世論調査からはこのことについて最終報告を正しく受け止めているように見えないからである。世論調査は最終報告についてというより、今後の高速道路建設についての民意といったおもむきのものだ。
 高速道路に関する世論調査は2001年1月の内閣府の「道路に関する世論調査」があるが、その調査では「これ以上高速道路を拡充させる必要がない」と感じている人は約47%だった。

 


荒瀬ダム、全国初の撤去へ
 熊本県球磨川下流域の荒瀬ダムが、環境問題を理由に全国で初めて撤去されることとなった。12月初旬の熊本県議会で潮谷義子知事が老朽化などを理由に水利権の更新にあたり10年に短縮するというかたちで、10年先の解体・撤去をうちだした。
 ダムの撤去は、もちろん日本では初めてで、荒瀬ダム同様にダム湖が土砂で埋まる堆砂が進んでいるダムは中規模以上のダムだけでも44ダムにのぼると国土交通省は明らかにしている。今後、こうしたダムにも撤去問題が波及するものと見られる。
 荒瀬ダムの場合、堆砂問題だけでなく、水質悪化によるアユ漁への影響、放水時の振動問題などについて、ダム下流の住民や漁業者からの問題提起が長く続いていた。
 荒瀬ダムは川辺川ダム建設予定地から約70キロ下流にあり、このダムの撤去は川辺川ダム建設にも影響を与えそうだ。

 


宍道湖・中海淡水化事業、遂に中止
 島根県の澄田信義知事が12月2日の県議会で、鳥取県の片山善博知事は12月9日の県議会で、それぞれ、宍道湖・中海淡水化事業の中止を農水省に申し入れる考えを表明。大島農相は12月13日の会見で、「両県の意向を重く受け止め、淡水化の中止を決断するに至った」と、同事業の中止を発表した。
 海水と淡水が混じった汽水湖の宍道湖・中海の淡水化は、農地造成を目的に計画された中海干拓地などに農業用水を供給する目的で1963年、干拓と同時に着工された。これまでに海水の流入を防ぐ水門や堤防などの施設が完成している。さらに干拓地5カ所のうち4カ所も完成し、最大規模の本庄工区を取り囲む干拓堤防や大型水門もでき上がっている状態。
 これらに投入された費用は干拓事業も含めて約851億円で、過去に中止された公共事業の中で最大額となる。
 この淡水化事業にたいし、宍道湖が汽水域にしか生息できないヤマトシジミの国内最大の産地であることから「水質が悪化し宍道湖特産のシジミが死滅する」など、漁民や市民団体、学者研究者などが、県民を巻き込む広範な反対運動を盛り上げ、淡水化事業にたいし終始、異議を唱え続けてきた。
 こうした結果、淡水化は1988年から干拓事業とともに凍結され、1996年には政府が干拓の是非について調査・検討を行い、2000年9月に本庄工区の干拓中止を決定した。
 淡水化事業の中止が決まると、1954年6月の島根県が淡水化事業計画を発表していらい、実に48年ぶりのこととなり、今後の環境対策なども含めると、事業計画と実施、そして中止にいたる約半世紀の長きに渉って県民はこの事業計画のために翻弄されたこととなる。投入された経費の大きさとともに失われた時間の長さを思うと言葉もない。ここにも動き出したら止まらないといわれる公共事業の問題点が示されている。
 事業の中止だけで問題は終わらない。すでに完成した大型水門や干拓堤防による環境への影響により、水質悪化など漁業への影響が大きく、以前のような漁業ができる状態まで、水質や水の流れを取り戻す課題もあり、そのためには、干拓堤防や大型水門をどう扱うが今後の問題となる。

 


高速道建設抑制の展望見えない推進委報告
 「道路関係四公団民営化推進委員会」(委員長:今井敬新日鉄会長)は、12月6日、今井委員長が辞任、多数決で報告を採択するという異例の幕切れとなった。

 「最終報告」の骨子は以下の通り
 @道路と債務を引き継ぐ「保有・債務返済機構」と管理運営にあたる新会社に4公団を分割し、いわゆる「上下方式」とする
 A長期固定による債務返済を最優先し、通行料金を平均1割値下げる
 B新会社が保有機構に支払うリース料金は、債務の約40年元利均等返済をベースに算定する
 C新規建設の是非は新会社が判断し、新会社が引き継がない路線は国・地方の財源で建設する
 D新会社は10年後をめどに道路資産を買い取り、保有機構は解散する
 E新会社は地域別の5社体制とし、早期上場を目指す
 F本州四国連絡橋公団の債務処理に国の道路特定財源を投入し、地元自治体も出資する

 8月の中間報告から大きく変わった点は次の通り
 @債務返済を最優先し、債務償還期間を50年から40年に短縮
 A通行料金を10%引き下げ、不採算路線のさらなる料金値下げなどはかる
 B新規の高速道路建設は新会社が判断。@Aにより投入する財源が極めて限られるため、従来の通行料を新たな道路建設に投入する方式に歯止めをかけた(『報告』「必要性の乏しい道路建設をストップ」)
 C必要性のある高速道路建設や本四架橋に道路特定財源の投入や地方負担原則を導入している
 D建設中の高速道路については中間答申では「凍結」が打ち出されたが、最終報告では新会社発足までは優先順位にしたがって道路公団が行うと後退、国・公団による建設計画見直しははずされた
 Eそのほか、道路公団関連ファミリー企業の改革と監視を打ち出した

 日本の高速道路建設が巨額の累積赤字に苦しみ、この根本解決のためには、国民合意に基づかない道路整備計画(未整備路線約2300km)の見直しや、現在建設中の問題の多い高速道路建設の凍結などの基本問題を棚上げにしたまま、関係4公団の民営化のみの検討を指示した「小泉改革路線」の手法のなかで、結論は当初から予測されていたものだった。
 小泉首相が道路族の反対を押し切って任命した7人の委員が延べ150時間費やして道路関係公団の民営化について議論を重ねたが、最終局面になって道路族や国土交通省の立場を代表する今井委員長ら2人の委員と他の5人の委員との間で、意見がわかれ、民営化を成功させる立場の5人の委員が押し切ったかたちで報告が採択された。これにたいし早くも道路族から反発の意見があがっており最終報告の実現するためには、小泉首相の政治手腕が大きく問われる見通しとなった。
 今回の最終報告はたしかに道路公団民営化という点では一定の方向性を示したものである。しかしながら、これで建設中や計画中も含めて高速道路建設が本当にストップがかけられるかといえば、そうではなく、新会社が手をださない不採算路線は国の道路財源と地方自治体の税金負担で進められるということを、むしろ容認した内容となっている。3本の橋を同時に架けるという本四架橋計画の政治責任、または本州四国連絡橋公団の責任などを一切不問とされているのも問題である。


 


藤前の運動が教えてくれるもの
 藤前干潟(名古屋)がラムサール条約締約国会議(133カ国参加、開催地スペイン・バレンシア、2002/11)で、北海道の宮島沼とともに渡り鳥の重要な中継地としての役割を維持しているとして、新たに同条約に登録された。
 藤前干潟は名古屋市の西南、庄内川、新川、日光川の河口部にあり、シギ・チドリなどの日本最大の渡りの中継地であったが、1981年に名古屋市のゴミの最終処分場として埋め立てられる計画が浮上。これに名古屋市民が反対して立ち上がった結果、名古屋市が処分場埋め立て計画を撤回(1999年)、国が鳥獣保護区に指定、そして今回のラムサール条約登録という成果を積み上げてきた。
 自然と人間との共生、特に名古屋市という大都市のゴミ問題と向き合って、渡りの中継地としての価値と機能を国際的に認めさせた意義は大きい。
 80年代に、市民が名古屋市にたいし、干潟を埋め立てるという計画は間違っていると提起したころは、それ自体勇気のいる行動だったし、その中心にたたれた藤前干潟を守る会の辻淳夫さんもかなり苦戦されていた。しかし、自然との共生というたしかな未来を見据えた運動は、やがて、全国の運動や国際的な支援とも結びつき、行政計画を変更させ、着実な成果をあげてきた。
 とくに全国各地でダム、道路、干拓など公共事業問題と向き合っている人々との連帯が広がり、それらの運動の一つの大きな成果ともなったことを喜びあいたい。
 辻さんはスペインでの藤前干潟の登録証授与式(11月22日)でデルマー・ブラスコ条約締約国会議事務局長から、特に藤前のNGO活動への暖かい言葉をかけられたと述べている。それは自然の声を辻さんたち名古屋市民が代弁して、あの大都市のなかのサンクチャリーを守りぬいたことへの称讃であろう。
 市民自治、あるいは行政と市民との協働という視点でも、ゴミ問題と立ち向かう自治体の姿勢にたいし、市民の側から大きな一石を投じた。
 99年の藤前埋め立て撤回と引き替えに、新たな最終処分場として「西5区南埋め立て計画」が検討されたが、この藤前の犠牲とされる埋め立て案を前に市民は「循環型ゴミゼロ社会」を掲げて運動し、行政と連携して20種類の分別リサイクルに取り組み、この年から3年間で市民が出すゴミ排出量を4分の1減らすという大都市としては画期的な成果を作り出し、そうした成果と今後の展望に立って「西5区南埋め立て計画」も撤回(2001年11月)されるに至った。
 大都市におけるゴミ減量は困難といわれているなか、この貴重な経験は、循環社会の形成にむけて従来型の安易な埋め立て方式に依存するのではなく、大都市でもゴミ減量は可能という見本をしめしてくれた意義もはかりしれない。
 今回のラムサール条約登録で日本の登録湿地は13カ所となり、国と名古屋市は湿地保全計画を策定するとともに、生態系の維持に努めることが義務付けられた。環境省は藤前地区全体の770ヘクタールを鳥獣保護区(全国で56カ所)に指定したし、特に渡り鳥の生活・休息に重要な323ヘクタールを特別保護地区に指定する。

 


圏央道、土地収用裁決取り消し求め提訴
 首都圏中央連絡自動車道(圏央道)建設に伴い、東京都あきる野市牛沼地区内の土地を収用するとした都収用委員会の裁決は違法として、地権者ら80人(地権者坂本孝氏ら6原告および借地権者74人)が11月11日、裁決取り消しを求めて東京地裁に行政訴訟を提訴した。
 原告側によると東京都収用委員会は去る9月30日、あきる野市牛沼地区を通る圏央道約1.9kmの建設に関して、地権者側の言い分を一切無視して、起業者である国土交通省の言いなりに土地収用を裁決したもの。
 地権者側は「圏央道の建設は道路公害を激化させ、自然環境や文化遺産を破壊する。適正な環境アセスメントも行われていない」と主張したが、収用委員会は裁定で、道路建設計画には地権者らが主張するような、問題点は一切ないと一方的に断定したことを不当とし裁決の取消しを求めた。
 地権者側は既に、建設大臣(当時)に土地収用事業認定の取り消しを求める訴訟を起こしており、東京地裁で審理中である。


道路公団民営化委員に注文、道路問題全国住民交流集会
 11月9日から2日間、京都市内で「道路公共事業を問う! 住民運動交流集会」が開催された。「ムダと環境破壊の道路公共事業から持続可能な交通とまちづくりへ」とのサブタイトルのもとに、全国各地の道路問題と向き合っている170人が参加した。
 開会挨拶で「京の道と交通を考えるネットワーク」の足立代表は「京都市で予定されている高速道路の乗り入れは、まち壊しに直結しており、交通政策の転換は急務」と述べ、全国各地で直面している道路問題を象徴的に指摘。
 「道路公害反対運動全国連絡会」の橋本事務局長は基調報告で、国土破壊と財政破綻をもたらす道路政策に、いまほど国民的批判が集中しているときはないと述べ、街こわしにつながる小泉内閣の都市再生プロジェクトを許さず、高速道路計画の完遂につながる道路関係4公団民営化路線に反対して、クルマ優先から人間優先の道路行政への転換をはかろうと訴えた。
 集会は西村弘大阪市大教授、大島堅一立命大助教授をむかえ、環境と地域づくりを考える道路問題・交通政策についてシンポジウムを行い、10月29日の東京大気汚染判決の到達点と問題点の報告や、道路関係4公団民営化路線と高速道路問題の現状を深め合い、5つの分科会に分かれて街づくりや道路財源問題、壊された街の再生の課題などを学び、交流した。
 集会は、次のアピールを採択するとともに、政府が強行している土地収用の中止を求める決議、特に道路関係4公団民営化推進委員にたいし厳しい注文をつける内容の申し入れの3点の文書を採択した。





第28回道路公害反対運動全国集会アピール



 住環境や自然環境を壊す道路建設の強行や大気汚染などの道路公害の進行に反対し、その改善を求める全国の住民運動関係者は、第28回道路公害反対運動全国交流集会を京都で開催し、以下の内容を確認した。

 昨年から始まった特殊法人等改革の議論や、引き続く道路関係四公団民営化推進委員会での議論の中で、道路公共事業は、政・官・財が相互にもたれ合い、自らの権益の温存・拡大の場としていたことが国民の前により明らかとなった。また、閣議決定で実施に移される道路整備五カ年計画は、一度決まれば、財政上も、行政施策上も国民のチェックが全く効かず、専ら自己回転する仕組みもすでに明らかとなった。
 この歯止めなき道路公共事業の推進は、今集会での各地からの報告でも明らかになったように、住民が長い歴史の中で育んできた文化や町並み、景観、人々のコミュニティを分断し、自然環境や動植物の生息環境、生態系を破壊してきた。また大都市では、大気汚染を拡大させ、深刻な健康被害をもたらしている。
 我々は、ムダな公共事業の象徴である道路建設の拡張政策は直ちに改革すべきと考える。
 それは、@ただ、財政の破綻に歯止めをかけるという意味だけでなく、A地球温暖化を進める温室効果ガスの削減を定めた京都議定書の議長国である日本政府の、世界に対する指導力と国民に対する責任を果すうえで、主要な排出源である自動車の削減をめざすためにも、B10月29日、自動車の排ガスと健康被害の因果関係を認め、国・東京都等への賠償を命じた東京大気汚染判決の結果を真撃に受け止めるためにも、Cそしてなによりも、住民の多くが願っている快適でいつまでも住み続けられるまちを守り、創っていくために、自動車中心の交通政策から環境に優しい多様な公共交通を活かした交通政策に転換することが、21世紀のまちづくりに求められているからである。

 このため、この12月に予定されている道路関係四公団民営化推進委員会での最終報告は、以上の内容を前提に検討されるべきであるし、大都市における自動車公害をより深刻化させる都市再生プロジェクトは速やかに中止し、道路公共事業の住民運動つぷしをねらう「改正」土地収用法のやみくもな強行も中止すべきである。
 国民の93%は、道路建設などの公共事業は「無駄があり、減らすべき」(共同通信調査、2002年10月)と考えているし、道路建設にともなう財政議論が始まる前の世論調査(内閣府調査、2001年1月)でさえ、「これ以上高速道路を拡充させる必要はない」と答える人が47%にのぼり、「不必要」が「必要」を初めて上回るようになっている。まさに、政府がこれまで進めてきた自動車優先の道路拡張政策は、21世紀の国民のくらしとまちづくりに対立する愚策である。

 よって、政府と自治体・道路公団は、以上の点を踏まえて、これまでの道路・まちづくり政策を転換するよう訴えるものである。

2002年11月10日


国土交通省、環境省、京都府、京都市ほか関係自治体、道路四公団宛

第28回道路公害反対運動全国交流集会





強制収用手続きの中止と土地収用法の改正を求める決議



 本年9月30日、首都圏中央連絡自動車道(圏央道)建設予定地の東京都あきる野市の未買収地とトラスト地に対して、東京都収用委員会は土地収用裁決を行なった。また、10月30日には、京都高速道路新十条通トンネル通過地の鳥羽街道団地でも、阪神高速道路公団は土地収用裁決を申請した。圏央道の八王子市裏高尾地区では土地や立木のトラスト地を取り上げるために昨年末から事業認定や土地収用の手続きが始まった。自然破壊や住環境破壊の道路建設に反対する住民運動団体への収用手続きは前代未聞のことであり、絶対認めるわけにはいかない。
 いずれの事業も、関係住民は計画発表で初めて事業の内容を知るという行政の秘密主義の下で進められたものである。続けて行われたアセスメントや各種説明会の行政手続きは、形式的で事業を進めるための免罪符や通過儀礼にすぎなかった。再三にわたる話し合いの申し入れすら拒否し続けた行政の姿勢は、厳しく責められるべきである。
 これまで不十分であった国民との合意形成を進め、事業の説明責任を果たすとして、昨年年6月、土地収用法が改正された。しかし改正の真の狙いは、土地や立木のトラスト運動を無力化することであった。事業認定の手続きを若干丁寧にするとして公聴会開催や事業認定理曲の公表を義務づける一方で、収用委員会の審理時問を大幅に短縮し裁決後の地権者への補償金の手渡しは郵送でも可能とした。
 東京都日の出町のニツ塚廃棄物最終処分場の土地トラストに手を焼いた行政は、道路建設を止めるため全国各地で展開されているトラスト運動つぷしを法改正の動機にした。国民や関係住民との合意形成を重視するとして改正した新土地収用法ではあるが、基本的な枠組みは変わっていない。起業者である国土交通大臣が土地収用のための事業認定を申請し、事業の公益性を判断し認定するのも国土交通大臣自身である。これは改正時にマスコミも批判した自作自演の制度そのものであり、事業の公益性を判断する意志も資格もないと言わざるをえない。
 関係住民との合意形成を無視して、強制収用という強行手段で進めようとしている事業に正当性はない。直ちに収用手続を停止し、事業を見直すべきである。
 自作自演の土地収用法は、少なくとも事業認定審査機関を国土交通省から独立した第3者機関にするなど、直ちに改正を行なうことが必要である。

2002年11月10日


国土交通省、京都府、京都市、道路四公団宛

第28回道路公害反対運動全国交流集会





道路関係四公団民営化推進委員への申し入れ



 政府の道路関係四公団民営化推進委員会は本年8月30日、これまでの審議結果を中問報告として首相に提出しました。
 しかし、その内容は「必要性の乏しい道路を造らない」「国民が負う債務を出来る限り少なくする」、この2点を基本理念とすると明言しながら、@債務返済を50年問に延長し高速道路の残事業完成をわざわざ保障したこと、Aそして、保有・債務返済機構(仮称「機構」と言う)なる新組織をつくり高速道路建設を民間経営・有料道路としながら、公共事業としての位置付けを明確化していること、Bしかも「機構」に新規投資を与え、高速道路の残事業完成を二重に保障していること、など2点の基本理念を大きく逸脱する内容となっています。これでは「羊頭狗肉を売る」ものと言わざるをえません。
 11月9〜10日、京都市内で開催された第28回道路公害反対運動全国交流集会に参加した私たちは、既設幹線道路による、景観破壊、大気汚染や騒音による健康破壊、そして自然や住環境の破壊などの道路公害をなくすために、この「中問報告」を容認するわけにはいきません。
 「国民が負う債務」は単に経済上の負担だけではありません。高速道路を中心とする沿道住民への道路公害もまた深刻な「債務」でもあります。
 よって、私たちは、12月末に予定されている「最終報告」では、次の点を踏まえ、とりまとめるよう、強く申し入れます。

1 財政問題について
1)有料制による高速道路の建設は、そのほとんどが不採算路線となると予想されます。このため十分な調査をもとに、不採算路線は、直ちに建設を中止すべきです。
2)一般国道、自動車専用道路2,300km建設は道路特定財源をもととした建設道路であり、国が7割、地方自治体の3割負担は生活道路そのものの維持・修繕さえ圧迫し、地方財政を危機に陥れています。これも論議の姐上に乗せ、建設を中止して下さい。
3)阪神高速道路公団及ぴ首都高速道路公団が管理している地域高規格道路は「準高規格幹線道路」と言われ、全国で6,000〜8,000qを新設する計画です。このため、議論の対象を単に道路公団管理関係だけでなく、地域高規格道路全般についても論議し、あと約6,000kmの建設費用約60兆円(試算)の投資計画を中止するよう論議して下さい。

2 道路政策について
1)道路での自動車走行による騒音、排気ガス汚染による喘息・ガン等の疾病、交通事故、景観破壊など、いわゆる道路公害を無くする議論も是非深めて下さい。
2)国土面積のみならず可住面積の狭い日本、過密な都市構造をもつ日本に相応しい、本来の交通政策のあり方も論議され、公害の無い交通政策実現に向けて論議を深めて下さい。
3)新設道路をストップし、現道の渋滞解消と安全対策にその費用を振り向ける道路政策の変更に向け討議して下さい。
4)少子化による適切な将来の予測人口による自動車台数予測をもとに道路政策を行なって下さい。

3 その他
1)国民固有の権利としての「交通権」は、有料道路制度によって著しく侵害されています。それは多額の利用料を払わなければ通行出来ないことと同時に、有料道路建設に投資されることにより生活道路に投資されず、渋滞解消や道路の安全性が確保されないためです。このようなことのないように論議し、国民の「交通権」を保障して下さい。
2)日本の幹線道路といわれる一般国道は約53,000qあります。これに、高規格幹線道路14,000q、更に地域高規格道路約7,000q、計21,O00qの道路新設は、実にその約40%にあたる幹線道路の増設です。これは世界に類例のない暴挙です。直ちにこの全体計画を見直して下さい。因みに、この計画を完成させるためには、あと115兆円もの浪費が見込まれています。

2002年11月10日


道路関係四公団民営化推進委員宛

第28回道路公害反対運動全国交流集会

 


東京都収用委の圏央道初の収用裁決、法廷へ
 国土交通省・日本道路公団が申請(2000/11/30)していた圏央道牛沼地区(あきる野市、事業規模1.93km)の土地収用について、東京都収用委員会(川井健会長)は、9月30日、圏央道関係で初めての土地収用を認める裁決を行った。
 1年10カ月にわたる10回の審理では土地所有者および借地権者側が、国土交通省など事業者が収用申請した事業計画は、道路公害の発生など健康破壊、遺跡破壊、住民への説明責任を果たさないなど重大な問題点があり、収用申請は取り下げるべきだと主張した。これにたいし東京都収用委員会は、関係者の主張を無視したうえで、事業者側の主張のみとりあげ「申請を無効とすべき重大かつ明白な瑕疵は認められない」との判断のもと、収用を認める裁決を行った。
 収用対象の用地(土地所有者の中村文太さんほか借地権者134人)は、約8400平米で、補償金について収用委は約13億円と算出した。また同委は区域ごとに明け渡し期限(11月28日など)を設定、立ち退かない場合、都知事が代執行を強行する場合もある。
 今回の土地収用委員会の決定は、圏央道関係ではもちろん、環境破壊など道路建設計画に反対して運動を展開している全国でも初めてのケースであり、土地収用法改悪とあわせて、市民から反対されている道路計画を予定通り建設するための「通過儀式」としての性格をあらわにした。
 収用委が審理を通じて土地所有者ら関係者の意見を十分聞きながらも、裁決にそれらを反映することなく収用裁決を決めたことにたいし、牛沼地区の関係住民は、10月8日、「住民批判を一切無視した裁決は不当」と抗議するとともに、この収用裁決の取消と、収用の執行停止を求める行政訴訟を東京地裁に対し行うことを決めた。

 

声  明


 圏央道あきる野土地収用事件について、東京都収用委員会は、去る9月30日、裁決を決定、我々に裁決書を郵送して来た。都収用委員会は、今回の収用認定に、これを無効とすべき重大かつ明白なカシがあるとは認められないと、結論だけを押し付け、11月28日から、5月17日までに、それぞれの、土地、家を明渡せと述べている。
 我々は、この決定に、怒りをもって抗議し、直ちに、この裁決を不服とする抗告訴訟を起こしたたかうものである。また、この訴訟の結論が出るまで、収用の執行を行わないよう、明渡し裁決の執行停止の申し立てを行うものである。
 我々は、今回の土地収用の事業認定を取り消せという裁判を1年半続行中であるし、都収用委員会の、1年10回にわたる公開審理でも、圏央道建設には、様々な重大な問題があることを明らかにして来た。
 自動車台数の激増により住民の健康被害が避けられなくなることや、環境、文化財などを破壊してしまうこと、1.9キロに二つのインターを強行建設するために起こる矛盾、さらに、住民との話し合いを軽視し、あるいは、住民をだまして、説明責任を果たさず収用に持ち込む不当性などなどである。しかるに、都収用委員会は、これらについて一切説明せず、裁決決定を押し付けている。
 今や、無駄な公共事業を見直せという国民の声が大きくひろがっている。我々は、自然や、住民の健康を守り、国民の権利を守るために、正々堂々と最後までたたかうものである。

2002年10月8日



圏央道あきる野土地収用事件地権者・関係者代表


                          鈴木   進
                          坂 本   孝
                          中村  文 太
                          坂 本  久 美
                          松 平  重幸
                          橋 本  良 仁

 


外環道・第二湾岸道を考えるシンポジウム
 外環道反対連絡会や千葉県自然保護連合などは9月8日、市川市内で「1メートル1億円の道路は必要か〜外環道・第二湾岸道を考える」と題したシンポジウムを開いた。これには外環道を現地視察した超党派の国会議員でつくる「公共事業チェック議員の会」の中村敦夫会長と佐藤謙一郎事務局長も参加した。
 シンポで中村敦夫参議院議員は「きょう外環道の現地をみて、あきれかえった。人が住んでいるのに、役人が図上で一方的に道路計画線を引き、どんどん買収をすすめている。私はこの外環道はできないと思っている。運動を幅広く発展させ、全国的な連携を進めてもらいたい」などと挨拶した。
 首都圏道路問題連絡会の標(しめぎ)博重代表幹事は基調講演で「首都圏では道路をいくらつくっても渋滞は解消しない。たとえば埼玉県内の外環道はできているが、これができても都内に出入りするクルマの交通量は減少していない。むしろ、高速道路の新設は誘発交通で交通量を飛躍的に増やす傾向がある。渋滞解消のために高速道路を建設するという考え方は陳腐化している」と述べ、それより総合交通・輸送政策の見直しが必要であり、また高齢化・少子化社会の到来や労働人口の減少などを踏まえてクルマ社会からの転換が必要であると強調した。
 外環反対連絡会の高柳俊暢代表は「外環道(千葉県内区間)は、たとえ建設されても、100円の収入を得るのに375円のコストがかかる大赤字路線だが、建設されれば内陸部と湾岸地域の交通量が飛躍的に増えるから、第二湾岸道が必要だとされ、外環道と第二湾岸道は密接にからんでいる」と指摘し反対運動をいっそう強めようと呼びかけた。

詳細は
外環道・第二湾岸道を考えるシンポ

住環境を破壊する東京外郭環状道路

 


長野県知事選、田中氏が圧勝
 全国的な注目のもとに展開された長野県知事選挙は9月1日の投開票で前長野県知事だった田中康夫氏が、同氏を不信任した県議会勢力などをバックにした長谷川敬子候補に40万票以上の差をつけ、82万票で圧勝する結果となった。
 選挙戦は終始、田中候補のリードで進められ、同氏は県内をくまなく廻って、脱ダム、県民参加などを改めて公約するとともに、旧態依然とした県議会改革なども訴えた。こうした真摯な政策提起と「長野県を夜明け前に戻すな」との姿勢に有権者が応え、前回(2000年10月)選挙の得票を23万票も上回って再選された。
 この結果により、田中不信任という長野県議会の暴挙は県民の健全な良識のもとに否定され、即時辞職の県会議員がでたり、逆に県議補選で知事不信任に反対した共産党候補が議席を増加させるという効果も生まれた。
 再選後の議会運営の困難さは予想されるものの、田中知事も議会との真摯な対話を表明しており、県民世論の支持のもとにあらたな展開となる。
 2002年9月に起ったこのエポック…自治体レベルでの首長と議会のありかたについての長野県民の選択は、今後、全国的に影響を与えずにおかないだろう。
 特に公共事業のあり方をテーマとしている、当ホームページでは、21世紀における日本の公共事業の見直しという課題について、自治体と住民レベルから大きな山を動かし始めたことに、期待と声援を寄せたいものである。


道路公団民営化報告で「凍結」打ち出す
 小泉首相の構造改革の一環として始まった「道路関係四公団民営化推進委員会」(委員長:今井敬新日鉄会長)は、2カ月間の議論を経て、8月30日に小泉首相に「中間報告」のかたちで道路公団の民営化方向を示した。

 その骨子は、次のようである。
@「保有・債務返済機構」を設置し、新会社に道路資産をリースして40兆円の巨額債務を50年を上限に早期返済。
A新会社は上場を含め民間企業として自主性を確保し有料道路事業を経営。採算性確保の上で主体的に新路線の投資決定を自己資金によりおこなう。新会社は四公団ごとに設置を仮定。
B国・公団は道路整備の凍結・規格見直しによる再検討を行う。
C首都高・阪神高速による建設の一部凍結・規格見直しと、建設の場合の自治体費用負担。
D本四連絡橋公団債務は国・自治体により処理。
E現行全国料金プール制の廃止。

 そもそも小泉首相が昨年打ち出した、道路公団民営化方針そのものが、国土交通省と自民党道路族の道路建設推進勢力との妥協の産物であった。
 日本の高速道路整備が、国際的にみても、また近年の高速道路の整備状況からみてもかなりの整備水準に達しているにもかかわらず、今回、この高速道路の整備計画(総延長9342km。未開通区間約2400km)そのものの見直しに踏みこむことができなかったのは問題である。
 また、本四架橋や東京湾アクアラインに見られるように、まったく採算を度外視して巨額の債務を抱え込む道路建設のありかた責任をあいまいにしている点も指摘しなければならない。会社ならとっくに倒産・関係者引責といった事態を不問にし、こうした超長期にわたる財政運営のありかたにメスをいれるどころか、国土交通省や自民党道路族のいいなりに、規定の道路整備計画を100%整備することを前提とした「50年償還制度」という大枠のなかで問題を処理しようとしていることである。30年への償還短縮では新規路線は建設できなくなるという自民党道路族など建設推進勢力との妥協を含んだものとなっている。
 4道路公団を統合したかたちの「保有・債務返済機構」と、道路の運営管理と新たな道路建設を行う「新会社」の、いわゆる「上下方式」で、問題が解決するかといえば、新たな道路建設は自治体の財政負担の導入と、一定期間ながらも保有・債務返済機構からの資金供与も保証されており、新会社の自主判断や採算制といった歯止めが可能かどうかも問われるなど、高速道路建設は今後も継続され続ける懸念が随所にみられる。
 第2東名など採算制が問題視されている建設計画にたいし凍結と道路規格の見直しを求めているが、見直しを行うのは国土交通省と公団であり、背後に自民党道路族の影響が懸念され、実際の凍結に結びつくかどうかはきわめて心もとない限りである。
 本四連絡橋公団の巨額債務について国・自治体負担としたが、つまるところ税金投入による債務返済であり、これにより保有・債務返済機構と新会社の負担軽減が計られたことも国民にとって見過ごせない問題だ。かつての国鉄民営化議論のなかで不採算部門を清算事業団につけまわしたのと同じ手法で、新会社は身軽に利益追求が保証される。
 しかしこうした問題点を持ちながらも、内閣府の第三者審議機関としての道路公団民営化推進委員会が凍結・見直し方針を打ち出したことの意義は大きく、現在、道路建設のありかたを問い続けている反対運動にとっては一つのよりどころともなりうるかもしれない。また推進委員会の審議公開と、計画路線の採算性に関する資料など、道路建設データのある程度の公開を行ったことも、当然とはいえ国民への情報提供に努力しつつあるのも事実である。

    <参考>道路公団民営化推進委員会



神奈川の道路住民団体、不採算道路建設の即時凍結・中止求める
 道路関係四公団民営化推進委員会が中間報告で不採算路線の凍結を打ち出したことについて、各地で道路建設反対を訴えている住民団体は、8月30日、道路四公団民営化推進委員会にたいし、建設中止アピールや即時凍結を求めた。また、横浜市など関連する自治体にたいしても同趣旨の働きかけをおこなった。以下に紹介する。

第二東名・厚木秦野道路の建設中止を求めるアピール(2002/8/30)

 私たち「秦野の自然と環境を守る会」と「伊勢原の自然と環境を守る会」は、第二東名・厚木秦野道路建設計画が発表されて以来10年間、これらの高規格道路が環境に及ぼす影響を 検証し市民に訴えるとともに、市・県・国に対し建設中止を要請してきました。
 その活動は、大気汚染、騒音、地下水源、残土、光害、地域分断、里山の生態系調 査など多岐にわたります。
 特に秦野・伊勢原両市周辺に棲息するオオタカに関しては環境アセスメントの虚偽を暴き、第二東名・厚木秦野道路が建設された場合、国の絶滅危惧種であるここの地域個体群の全てのオオタカに深刻な影響を与えることを明らかにしてきました。
 ここに、環境保護面に下記を加味した理由により、第二東名・厚木秦野道路の建設 中止を求めるアピールをするものです。

 @道路関係4公団民営化推進委員会の議論の中で、第二東名建設には10兆円もの巨費を要し、開通後はその金利さえ負担できない赤字路線となることが判明しました。さらには交通量を二分することになる現東名までも赤字路線に転落することが予想されます。
 A高速道路建設の理由とされる交通需要予測は過大なものであり、これにもとづいた第二東名・厚木秦野道路建設は国民と地元自治体に大きな負担を強いることになります。
 B第2東名建設の進捗状況をみると、海老名南〜伊勢原北(8キロ)の執行率7%、伊勢原北〜秦野(13キロ)は1%で、中心杭の設置まで。秦野〜御殿場(33キロ)は調査中とのことで施行命令さえ出ていません。このように神奈川県内においては建設は事実上進んでいません。
 C本年8月の時事通信の世論調査によれば「採算の採れない路線の建設はやめるべきだ」と答えた人が56%にのぼり、「国費を投入すべきだ」とする人は5%にしかすぎません。 「ムダな高速道路はもういらない」というのが国民大多数の声です。

 私たちは環境問題、財政と国民負担の問題、国民多数の意思を尊重されるべきだと いう民主主義の観点から、第二東名・厚木秦野道路の建設を中止するよう強く求めます。

<連絡先>秦野の自然と環境を守る会:新保睦晴 E-mail vq4m-snb@asahi-net.or.jp
      伊勢原の自然と環境を守る会:北山宏之 E-mail kitayama@maple.ocn.ne.jp


高速横浜環状道路及び横浜湘南道路の即時事業凍結を(2002/8/30)

 1.採算性及び事業の進捗状況が一定の基準に達しない事業については、再検討が終了するまで即時事業凍結を行って頂きたい。
 2.私どもの意見に耳を傾ける機会を是非作って頂きたい。

 私どもが係わる横浜環状道路及び横浜湘南道路事業は、極めて採算性が低く、しかも「横浜プール制」等で一層実態が不透明であり、事業進捗率も極めて低い状況にあります。しかながら、今この瞬間も測量・ボーリング調査や用地買収、設計などの事業が進められており、無駄な国民負担をこれ以上増やさない立場から、即時事業凍結する必要があります。

 この処置は、混乱や負の選択では決してありません。これまでの道路政策を正し、より少ない費用でより快適な市民生活を将来にわたって築いて行く「はじめの一歩」なのです。問題を先送りすることなく、英断下さるよう重ねてお願い致します。

<要請団体>〔南線〕横浜環状道路(圏央道)対策連絡協議会/原宿の生活と環境を守る会/新設道路建設反対委員会(田谷)/庄戸四町会合同道路委員会/栄区の環境を守る会/〔北線〕子安台道路対策委員会/岸谷線と大気汚染を考える会/生麦の高速道路と大気汚染を考える会/高速横浜環状道路北側区間連絡会/新羽町に首都高はいらない会/〔西線〕瀬谷区高速道路対策協議会/〔横浜湘南道路〕横浜湘南道路を考える会

<連絡先>栄区の環境を守る会 E-mail  qd6s-mngw@asahi-net.or.jp

 


圏央道裏高尾で事業認定取消し提訴、東京地裁
 八王子市の住民ら872人と自然保護関係の7団体が7月9日、国土交通大臣を相手どって、八王子ジャンクション〜あきる野インター間9.6kmの土地収用法に基づく、本年4月の事業認定の取り消しを求める行政訴訟を東京地裁にたいし行った。
 取り消しを求めているのは、トンネル建設反対でトラスト運動を展開してきた地権者と住民運動団体などで、東京・霞ヶ関の地裁前を高尾山の天狗姿でデモストレーションした後、訴状を提出した。
 訴状では「圏央道工事は十分なアセス手続きもされておらず、国史跡となっている八王子城跡の文化財と自然の破壊、国内希少野生動物に指定されているオオタカの営巣などに悪影響を及ぼしている」と訴えている。
 圏央道関係では、すでに約1300人が高尾山周辺約5.5kmの建設差し止めを求めて東京地裁八王子支部に提訴している「天狗裁判」が現在も係争中であり(第1次2000年10月、2次提訴2002年4月)、また東京都あきる野市の牛沼地区の地権者ら101人も事業認定取り消し訴訟を東京地裁に提訴(2000年12月)している。


脱ダム阻止で知事不信任の暴挙、長野県議会
 長野県議会は7月5日、県議会で長野市の浅川ダムおよび下諏訪町の下諏訪ダムの建設中止を表明した田中県知事にたいする不信任案を可決する前代未聞の暴挙を行った。公約実現阻止を理由に行われた不信任可決は全国初の出来事である。
 知事不信任提案は、自民党、公明党、民主党などを含む議員らが参加している3会派で、社民党は欠席、共産党のみが反対で、圧倒的多数で可決された。
田中知事の脱ダム公約には県民から高い支持が寄せられ、また脱ダム政策は国際・国内の流れになっている最中での時代に逆行する”抵抗勢力”としての姿勢を全国にさらしたことでもあった。
 不信任案可決時点での長野県民世論は、74%が暴挙を行った県議会を批判、田中知事を支持するものが67%という状況で、不信任賛成はわずか14%にすぎなかった(テレビ朝日)。
 公共事業の見直しをめぐって国政での議論とともに、各自治体レベルでも取り組まれているが、長野県のように知事・市長といった行政のトップと、これに対応する議会の基本政策・姿勢に相違があり、トップの公約実現が阻まれるといったことは、今後とも全国どこででも起こりうることと思われる。
 公共事業見直しのためには、こうした自治体の政治状況から目を離すわけにはいかないし、また田中知事のように「私は今日も県民のために仕事をするということです」と胸張っていえる知事・市長をもっと増やして行くことも大きな課題である。
 田中知事は解散権を行使して、議会とともに知事の座も県民に問う道を選ぶか、失職・知事選という道を選ぶかが注目されていたが、失職を選択し、9月1日投票の長野知事選挙で再度県民の信を問いたいとしている。


長野県知事、2ダム建設中止を表明
 長野県田中康夫知事は、2002年6月25日の県議会で長野市の浅川ダムおよび下諏訪町の下諏訪ダムの建設中止を表明した。昨年2月の知事の「脱ダム宣言」以来、公式の場でダム問題について踏み込んだ発言を行ったのは初めて。
 田中知事の「脱ダム宣言」に危機感をもった県議会多数派は知事の諮問機関「県治水利水ダム等検討委員会」を多数で設置、田中知事を牽制する動きにでたが、当の「検討委員会」が建設地は地質が不安定、建設で下流水害が懸念(浅川ダム)、水需要予測が過大(下諏訪ダム)などの建設を問題視する答申を行ういっぽう、ダムによらない河川改修案とそれによる利水案を提起していた。
 同委員会は、こうした委員会方式によるダム建設見直し過程そのものが「長野モデル」だとしている。
 田中知事発言はこうした「脱ダム宣言」以降の経過をふまえたもので、28日の県議会でも田中知事はダムによらない治水利水の具体化と、その住民参加を改めて表明した。
 知事のダム建設中止発言は「ダム検討委員会」の答申だけでなく、ダムに依存しない治水利水に期待を寄せる県民世論が6〜8割にのぼっているという背景もある。
 知事はダム建設中止の対案として、森林整備、遊水池・貯留施設設置などを打ち出しているが、それを対案と認めない県議会多数派との緊張した確執が続いている。


高尾「天狗裁判」2次提訴に作家ら263人
 都心から電車の1時間あまりの都民のオアシス高尾山の自然を圏央道トンネルで破壊するのは問題だと工事差し止めを求めて提起された「天狗裁判」の第2次提訴が4月16日、東京地方裁判所八王子支部に対してなされた。
 訴えたのは、作曲家の池辺晋一郎さん、作家の角田房子さんなど文化人を含む高尾山の自然保護に関心をよせる263人で、1次提訴と合わせて「天狗裁判」の原告は1300人を越えることとなった。
 訴えでは、圏央道の建設でオオタカやブナの木など貴重な自然が残る高尾山の環境が破壊されると、国と日本道路公団に対しておよそ5.5kmの建設中止を求めている。今回の原告のなかには、トンネル工事の影響で井戸水が枯れた地域の住民も加わっている。


圏央道牛沼地区の交通量予測をやりなおせ

圏央道牛沼地区の土地収用問題で審理を進めている12月20日の東京都収用委員会の第5回公開審理において、地権者である坂本孝さんは、同地区に次々建設される予定の圏央道関連道路計画により大幅な交通量の増加を招き、牛沼地区周辺は交通公害地区となることが予想されることから、当初の圏央道に関する通行量予測では不十分であり、総合的な交通量予測を行うべきだと陳述しました。

地域道路計画の実態と想定される交通量

坂本 孝(東京都収用委員会第五回公開審理意見陳述/12月20日)

 私はあきる野市牛沼2-3に住む、地権者の坂本孝です。私は1949年に、ここ牛沼で生まれました。結婚して2年ばかりはなれましたが、1978年に今のところに家を建てて以来ずっと住んでいます。家のすぐ裏を旧五日市街道がはしっていますが、家を建てた当時は車の通行量も少なく地域に密着した生活道路でした。道路の北側には、大きなクヌギの木と、杉の木があり、秋の夜には、ドングリの落ちる音も聞こえる静かなところでした。
 今はそのクヌギの木も杉の木も、圏央道の建設のために切られてありません。しかし、私の庭には飛んできた杉の木の種が芽生えすくすくと育っています。子ども達はこの道をとおって、私の母校でもある西秋留小学校へ通っていました。ところが数年がたって、睦橋と言う橋が完成すると、どこからわいてきたのか急に車が増え朝5時ごろからザーァーザーァーという車の走る音で目がさめるほどになりました。また、交通量が多くなったので通学路は変更になりました。一本の橋が出来ただけで、生活環境がこれほど変化するとは思ってもいませんでした。

 1994年当時の秋川市の主な道路は南北には国道411号線(滝山街道)、東西には五日市街道と都道165号線と新しく出来た睦橋通りの三本だけでした。睦橋通りは南秋留小の信号の先から旧五日市街道に入り渕上で五日市街道に接続していました。その年における、それぞれの道路の交通量は、国道411が約13,200台(秋川神明社前)、五日市街道で約11,000台(秋川市役所前)、都道165号線は約9,900台であり、睦橋通りは約9,600台(小川信号)でありました。以上の台数を合計すると、43,700台となります、これが、当時の秋川市の交通量でした。

 ここで、お配りしてある(地域道路計画の実態と想定される交通量)とある地図を見てください。この地図は圏央道を(赤)で、国道411号線を(水色)で新滝山街道は(青)で示し、そして地図の北より都道秋3−4−6、都道秋3−4−5、都道秋3−3−3(睦橋通り)とありますが、それぞれ(黄色)(オレンジ)(緑)で表示しています。また、圏央道の上にのるようにはしる都道秋3−5−12は(紫)で表示してあります。
 1986年に圏央道アセスが発表されて以後、10数年の間にあきる野の交通事情は大きく変化しています。新たな地域高規格道路(専用道路)である新滝山街道(2005年度供用開始予定)が新設され、あきる野インターへのアクセス道路して秋川丘陵をトンネルでつらぬき新秋留橋の南で国道411に接続します。また、都道165号線は途中から都道165号線に重なる都道秋3−4−5号線と、旧都道184号線に重なる都道秋3−4−6号線に分かれ、4車線に拡幅されます。そして、都道秋3−4−6号線は圏央道の日の出インターのアクセス道路として計画されています。また、都道秋3−3−3と都道秋3−4−6を圏央道の地上部分をとおる都道秋3−5−12がむすぶ、この区間では圏央道の側道と合わせると、地上と地下を実に三本の道路が走ることになります。

 このようにあきる野市の国道411号線沿いは、圏央道建設のために多数の道路で分断され従来の生活環境は大幅に変化します。
 そして、この多数の道路の一日おける予測交通量は、圏央道アセスにおいて、圏央道あきる野インター付近で圏央道本線が49,800台、あきる野インター乗り降りが8,400台とされており、国道411号(滝山街道)あきる野インター以北の2005年度おける1日あたりの予測交通量は25,500台とされ(新滝山街道環境影響評価書)、また、関連都市計画道路である都道秋3−3−3の2005年度の予測交通量は20,000台とされています(秋川市主要交通体系調査)。そして、日の出インターにアクセスする都道秋3−4−6の日の出インター以東のそれは2010年度で17,000台(秋3−4−6号線環境影響評価書)とされています。また都道秋3−5−12は圏央道アセスでも3,200台となっています。

 以上により、圏央道の建設がすすみ関連する各道路が完成すると予測交通量は123,900台となります。この台数は五日市街道と都道秋3−4−5の予測交通量が入っていません、それのみならず、すでに予測を大幅に越えている自動車保有台数の増加や、第四回の公開審理で木村代理人が、ロンドンの環状道路M25の場合を例に引いて述べた、道路建設が新たな交通を発生させて、かえって交通量を増大させるとする「誘発交通」などを加味すると、予測される交通量がさらに大幅に増加することは必至です。
 以上のように10万台を大幅に超える交通量が牛沼地区で想定されます。その場合、どの程度の汚染が予想されるのか、まったく住民には知らされていません。それは、圏央道アセスは圏央道だけの予測交通量でだされ、新滝山街道は新秋留橋の南までを対象に(八王子地区)アセスをし、また、都道秋3−4−6号線も自らの予測交通量のみで判断していて、複数の道路による、総合的なアセスがなされていないからです。
 このような状況のもとで、圏央道が完成し牛沼周辺地域における交通量が飛躍的に増大すれば、当該地域における大気汚染が激化し、健康被害が急速に拡大、深刻化することは火を見るより明らかです。また、騒音の被害も増大することは明白です。

 また前回の審理で、関係人の大和田一紘氏が私たちが旅行に行くとき旅行先の天気によって雨具を選ぶという例えで、アセスに関してわかりやすく説明していました。それは、計画段階では旅行先の天気は予測がつかないが、日が経つにつれて、低気圧の接近とかがわかり、旅行先の当日の天気が予測でき、雨具が必要なのか否かの判断がつくというものだったと思います。何度も何度も計画が変わっても、その都度予測をする。そうすることによって、予測の正確さが増す、これが環境アセスであると述べました。
 圏央道のアセスが発表されてから、16年経ちました。その間、先に述べましたように数々の道路が新たに建設されつつあります、環境は刻一刻と変化しております。16年前のアセスが唯一のものという訳ではありません。東京都は曲がりなりにも「総合アセス」を来年から実施しようとしています。公共事業の住民合意が叫ばれる中、国も都も一度のアセスで良しとせず、住民合意の手段としてアセスをとらえ、圏央道にからむ圏央道を含めた複数の道路に対する「総合アセス」の実施を今すぐやってもらいたい、そして、それを、住民に知らして理解を求める必要があると思います。
 私たちは、事業認定の取り消し、裁決申請の却下の裁決を求めて圏央道建設にかかる数々の矛盾を陳述しています。このアセスの問題を一つとっても「事業認定が間違っていることは明白である」と、わかって頂けたと思います。陳述を終わります。


疑念残す圏央道収用は問題
 2001年12月21日から2日間、圏央道八王子ジャンクション〜あきる野インター間9.6キロの土地収用を前提とした公聴会が八王子市内で開催された。
 従来、国土交通省は形式的で強権的な説明会は別にして、関係地権者に対し一切の話し合いを行わなかったが、11月20日、法律に基づく土地の強制収用に踏み切ったことから、形式的にせよ公聴会を設定して地権者のみならず、広く市民の意見を聞くことを余儀なくされ、国土交通省として史上初の土地収用に関連した公聴会となった。
 21人の公述人の内訳は、賛成4人(起業者1、市民1、専門家3…騒音研究、トンネル工学、都市計画)で、16人が土地収用認定反対の立場で意見を述べた。
 公述人の主な論点と事業者側の答弁は次のようであった。
 八王子城跡トンネル北側坑口付近に生息するオオタカに関して、小池清公述人が坑口付近はまさにオオタカ生息地の中心域であり、環境省の保護マニュアルでは厳格な保護が求められているのに事業者側はこれを無視して工事を進めた結果、オオタカの繁殖率は半減していると、事業者の猛禽類保護の姿勢を質したのに対し、事業者側は環境省の規定通りやっていると述べるにとどまった。
 藤田敏夫公述人は、裏高尾の特異な接地逆転現象で、排ガスが狭い谷間に閉じこめられ、この谷の大気汚染が深刻化すると、論理的に詳述したが、事業者側は裏高尾の接地逆転層の存在は認めつつも、関東地域一般の状況と変わりないという見解を述べ、住民の自主アセスを認めようとはしなかった。
 八王子城跡トンネル掘削による水脈への影響についても同様で、地下水問題で坂巻幸雄公述人がトンネル掘削により、地下水は気圧の影響でトンネルに集中するという最近の知見にもとずいての指摘に対しても、アセス結果通り水脈がたたれることはあり得ないという答弁に固執し、「御主殿の滝」が枯れるなどの影響を心配する市民側の疑念を払拭することはできなかった。
 このように公聴会といいながら、問題を指摘する住民・市民側と事業者側の討論はかみ合ったものとは言い難い状況で、事業者側が行ったアセスについての疑問点にたいし、納得のゆく回答はなく、ましてや明白な通過交通量予測の過小見積もりについて訂正を示唆することもなく、アセスをやり直せとの多くの公述人の意見も無視された。
 このように全体として、圏央道計画は問題だとして公述したのは数の上でも内容においても賛成の立場で発言する公述を圧倒したのに、こうした公述人の質問に十分答えないまま事業者側が、単なる通過儀礼として、手続きを先に進めるようなことがあってはならない。国土交通省側は、時間の関係で答えられなかった質問には一応文書回答を約束したが、その回答内容の吟味も含め、今後の誠実な情報公開や対話が求められる。


道路族の反撃で事実上先送りの「小泉改革」
 小泉内閣が打ち出した道路整備見直し方針(2001/11/22)により、破綻寸前に追い込まれた公共事業、とりわけ道路建設にかかわる巨額の累積債務の解消の展望は開けるのか、また国民が期待する真の行政改革…利権構造の解消につながるのか。
 小泉人気を背景に道路公団の民営化や道路公団への国費投入中止などを打ち出したが、当初の「抵抗勢力」との対決姿勢は次第に後退、次のように彼らに押しまくられた結果の妥協の産物となり、いわゆる「小泉改革」なるものの限界をも露呈する結果となった。
小泉「道路改革」の結論は…

@日本道路公団、首都高速、阪神高速両道路公団、本州四国連絡橋公団の道路4公団は廃止して一体として民営化
A年間3000億円の道路公団への国費投入を2002年度から中止
B高速道路建設の借入金償還期限50年を30年に短縮することを断念
C現行道路計画(第2次道路計画)は、凍結でなく「見直し」へと後退
D以上の具体化のため内閣府に第三者機関(国家行政組織法上の「8条委員会」、設置法案を次期通常国会に提出)を設置し検討(結論は1年後に)

 道路整備問題は他の公共事業同様に問題は山積しており、その改革が急務であることは当然だとしても、この結論がはたして改革に値するものはどうかは、大いに疑問である。
 まず、道路4公団の廃止と、これらを一体として民営化する方針については本四公団の大赤字を受け入れて民営化が可能かという基本問題がなんら解明されていないし、道路公団への国費投入を中止することについても、もともと道路特定財源なので公団以外の道路整備に振り向けるだけのことだ。道路整備緊急措置法という戦後の枠組みのなかで聖域化された道路特定財源の見直しにはなんらの切り込みも行っていない。
 しかも小泉首相が打ち上げた借入金償還期限を30年に短縮する案は国土交通省や道路族の突き上げであっさり後退、50年という半世紀先までのつけ回しを固定してしまったことで次世代は莫大な借金を負担させられることにかわりはない。今後50年間も通行料を負担する仕組みが社会的に維持できるかどうかなどといった検討などはお構まいなしだ。
 さらにこれらを具体化する第三者機関にいたってはほぼ1年程度の時間を必要とし、その間に道路整備は駆け込み式に強行することをゆるすことになってしまう。結論が出るまで高速道路整備は凍結すべきだ。また、第三者機関の性格をめぐって議論もなされていないので、その権限や委員選出をめぐって、こんご政府与党や国土交通省などとの抗争も十分予想されるといった案配で、改革は先送りされてしまったといっていい。

 こうした小泉内閣の国民不在の改革論議で決定的に欠けているのは、社会保障政策などと公共事業のバランス、総合的交通政策体系のなかでのクルマ優先社会のありかた、現在の道路整備到達状況の評価(運輸インフラ投資の85%が道路であるという現状、国際比較と国際的な政策方向)、あるいは地球環境や省資源・省エネを見据えた道路整備のありかた、さらには国民合意の道路整備ありかたといった視点が求められていると思うが、改革の視点がせまりくる財政破綻と道路族に象徴される政官財癒着構造の改革といった視点に限定されていた。
 すでに日本の幹線(高速)道路は十分に整備された水準にあり、道路公害や自然破壊といった問題が深刻となっている。本来、日本の道路整備見直しを問題にするなら国全体の社会資本整備をどう変えていくのかという課題のなかで道路整備を位置づけるべきだろう。単に民営化して公共部門から切り離してしまえばいいという安易な発想こそ問題だ。

 こうした議論の一方で、国民側からの見直し論がでている。
さる10月に道路公害反対運動全国交流集会が横浜で開催されたが、そこでも議論をもとに小泉「道路改革」に対置する国民の側からの見直し案が次のように提起された。



国民からの道路整備見直し提案
クルマ優先の道路整備を見直せ


2001年11月30日
道路公害反対運動全国連絡会

 「渋滞解消」などを理由に整備される高速道路の多くは、その供用開始とともに騒音、排ガスなど道路公害をもたらすばかりでなく、貴重な動植物など自然環境の破壊をともないます。
 またこうした道路整備により解消したはずの渋滞も、新たに多くのクルマを呼び込む結果、さらに渋滞が発生するという道路交通公害拡大再生産といった問題も発生しています。
 整備された道路のために地域社会が分断されるなど、地域の暮らしを無視した「都市計画」もまかり通っています。まち壊しとなる整備計画はやめるべきです。

 現在、整備中のほとんどの道路計画はアセスメント手続きに問題があり、しかもこうした問題点は整備前から住民らによって指摘されています。それにも関わらず国・道路公団は住民側と十分な意見交換や協議を行おうとせず、土地収用法による土地強制取りあげなど、強引に整備を進めています。
 こうした結果、整備計画自体が行政訴訟の対象となっているケースも多く存在します。国土交通省が提唱するパブリック・インボルブメント(PI)とは裏腹な国民不在の整備計画は中止すべきです。

 長さ1メートルの道路を整備するのに1億円もの経費が必要で、しかもその採算すらとれず、半世紀後まで莫大なツケを残し、次世代、次々世代の負担を強いるような日本の道路整備事業、こうした「あとは野となれ山となれ、膨大な借金と破壊された環境しか残らない」というような整備計画をこれ以上進めるべきではありません。
 膨大な赤字が初めから見込まれるような道路整備計画はただちに中止すべきです。すでに日本の道路整備は可住面積あたりアメリカの3倍を越える整備水準にあり、これ以上巨額の資金を投入して、どうしても整備しなければならない理由はありません。

 環境の世紀といわれる21世紀を見据えた地球的な視点で持続可能な成長をはかりつつ、地球温暖化防止や限られた地球資源浪費防止のためには、そのシンボルである「車依存社会」の変革が不可欠であり、いまやそれは世界の流れです。そして日本の「道路・交通政策」の根本的見直しが求められています。政府によって進められている道路公団などの一本化や、第3者機関による道路整備計画の見直しは、次の原則により行い、真の国民のための道路整備に向かって転換することを求めます。

 

道路整備見直し3原則
●環境・自然破壊の道路整備計画を中止すること
●国民合意を経ずに強引に建設している道路整備計画を中止すること
●大赤字が見込まれる道路整備計画を中止すること

国民のための道路整備の基本方向
●車優先の道路整備をやめて、人間優先の道路・交通政策に転換すること
●まちこわし、環境破壊の道路を取り壊すなど環境改善を進めること
連絡先 八王子市裏高尾町1343-1
高尾山の自然をまもる市民の会内
E-mail cap-mt.takao@nifty.com
TEL 0426-69-7387  FAX 0426-69-7387


川辺川ダム漁業補償を球磨川漁協が否決
 川辺川ダム計画(熊本県)をめぐり、流域に漁業権を持つ球磨川漁協(木下東也組合長/正組合員1812人)は11月29日の臨時総会で、国土交通省が同ダム本体工事着工に際し、漁協に示した漁業補償契約案を否決し、同漁協は2度にわたりダム建設に明確な反対姿勢を示した。
 臨時総会は委任状を含め1505人が出席。採決結果は賛成802、反対620で、承認に必要な有効投票総数の賛成3分の2を得られず、ダム本体の着工を延期している国交省は大きな打撃を受ける結果となった。補償案の否決は本年2月末の総代会に続き2度目で、発表から35年が経過したダム計画を推進する国土交通省は、窮地に追い込まれた。
 否決された補償案は、約16億5000万円の支払いと35項目の条件整備。国土交通省は球磨川漁協にたいし、漁業権が収用された場合は補償額が提示している額の3分の1になると脅しをかけて補償契約を同漁協が受け入れるように圧力をかけたが、組合員はこの攻勢をはねかえした。
 今後、同省は土地収用法に基づく漁業権の強制収用を年内にも熊本県収用委員会に裁決申請するものとみられる。漁業権の強制収用が仮に強行されれば全国初のケースとなる。
 川辺川・球磨川を守る漁民有志の会など40団体の支援グループは同日、球磨川漁協臨時総会での否決について「これ以上の国家による強権的行為を許さないという流域住民や世論の声を反映したもの」とし、国による漁業権の強制収用手続きの断念と、流域住民が納得する治水対策の再検討を求めるとの声明を発表した。
 また潮谷熊本県知事は「ダムが最善というなら代替案も含め、流域住民に納得のいく説明責任を果たすべき」と述べた。


三番瀬、保全へ向けて歩みだす
 9月26日、堂本暁子千葉県知事は9月県議会で東京湾最奥部の三番瀬の埋立計画(前知事が策定した101ha)を中止すると表明した。三番瀬保全に向けた第一歩である。「三番瀬」はいつも知事選挙の争点となりながら、埋立反対運動は困難の連続であった。
 しかし、有明海諫早湾の水門閉鎖強行時に見られた全国的な非難や、名古屋藤前干潟の保全決定と世論の盛り上りのなかで、前知事もそれまでの740haの埋立計画から101haに縮小せざるを得なくなっていた。そんななかで前回知事選挙(2001年3月)で三番瀬の埋立ての「白紙撤回」を公約に掲げて当選したのが、現知事であった。あれから半年が経過してようやく埋立中止表明となった。
 この間、知事は公約とは異なる「里海の再生」と発言してきたこともある。「里海」は「里山」に対するもので、人と自然の調和したイメージであるが、中身は知らされていない。危惧されたことは三番瀬埋め立て後に人工干潟を築造する構想であったが、現在、「里海」は論議の対象となっていない。
 環境保全団体は政府や千葉県に対する埋立反対運動を継続し、その署名は30万人を超過した。特筆すべきは、9月に市川市で開催された「日本湿地ネットワーク結成10周年国際湿地シンポジウムin東京三番瀬」には国内外から約400人が参加したことであった。
 また、千葉県が8、9月に独自に開催した「三番瀬シンポジウム」でも意見を述べた20人のほとんどは埋立反対であった。この計画に下水道終末処理場の建設が「人質」と見られていた。これにたいし住民、技術者や科学者による処理場は要らないと言う調査研究結果を県にも示してきたことが埋立中止の理論的な成果である。
 今後の課題は、知事が議会で「専門家だけでなく、地元住民、環境保全団体、漁業関係者等の参加を得て、具体的な再生計画を策定して行く」と表明した住民参加の民主的手続きを実行してゆくことである。今まで住民は参加できなかったから、これは大きな前進である。
 県議会の7割を超える前知事の与党(自民党及び「ちば21」67、公明党6等)と国土建設省は第2湾岸道路の建設を迫ってくることは必至である。県財界にとって、埋め立て中止で第2湾岸道路建設(延長50km)で1兆円事業の「経済効果」が失われることへの不満は強い。すでに9月議会では、埋め立て推進議員は@環境保全団体の意見に左右されるな、Aいったん県が決めた埋め立てを簡単に変更するな、B下水道終末処理場は必要であると知事の姿勢を批判した。前知事のもとで県企業庁は三番瀬埋立前から漁民にヤミ補償金を貸し付けると言う違法行為を行い、現在住民から訴えられている。本来、この時点で千葉県は白紙撤回すべきであった。
 現時点で開発推進派の三番瀬埋立計画の意味は第2湾岸道路の用地確保である。ここに東京外環状線が接続される。知事は第2湾岸道路建設の必要性を認めているが、工法についても問題がある。
 地上式工法は内陸コースと三番瀬沖橋梁コースがある。地上式橋梁コースは大型船舶の航行と野鳥の飛行妨害、景観悪化が考えられる。地下式は2道路の接続と言う技術的困難性、軟弱地盤での凝固剤使用影響、浚渫残土処理、工費の増大(地上式の3〜4倍)等大きな問題がある。さらに地下式にしても自動車排気ガスによる大気汚染、トンネル換気塔の建設等の問題が残る。環境保全団体の中の多くは第2湾岸道路建設にも大きな疑問を抱いている。すでに市川には街を分断する公害道路「東京外環道路建設」に反対する粘り強い運動がある。
 9月にラムサール条約のブラスコ事務局長が三番瀬を視察した際に、一人の漁民から怒りがぶつけられた。漁民にはラムサール条約の指定地なると漁業ができなくなると言う心配があった。ブラスコ氏は丁寧に「今までどおり漁業はできる」と不安を解いた。ブラスコ氏はマスコミの質問に答えて、@三番瀬はラムサール条約指定の基準を満たしている、Aしかし指定されるには地元関係者の合意が必要であると説明した。ちなみに、ブラスコ氏と堂本知事は友人であると言われている。これからは、環境保全の世論を大いに高めて議会の外から知事を激励したい。
 環境省の役割についても一言付け加える。前知事のもとで、県環境部は埋立計画について異論は唱えられなかったが、環境庁は三番瀬埋立計画を批判していた。小泉内閣のもとにあっても環境省はラムサール条約締結国として、また全国的視野から日本の三番瀬を保全しようとしていた。前知事と千葉県は残念ながら視野が狭かった。今後は千葉県も地方自治体の本分を発揮して、地元の合意を図ってもらいたい。三番瀬保全が実現し、ラムサール条約で指定(千葉県で2番目の指定)されたら、全国を励ますだけでなくグローバルな貢献ができるのである。次世代の人々と渡り鳥の笑顔が見えるようで楽しい事業である。 (2001.10.5/公害・地球懇幹事 伊藤章夫)


千葉県知事、県議会で三番瀬埋め立て計画撤回を表明
 堂本千葉県知事は9月26日の千葉県議会で、東京湾の干潟「三番瀬」の埋め立て計画を白紙にもどすとともに、今後の三番瀬保全策について検討に入ることを表明した。
 「三番瀬」の埋め立て計画の白紙撤回は同知事の公約で、選挙後6カ月目に公約実現にむけて大きく踏み出した。
 もともと「三番瀬」の埋め立ては1960年代の構想だったが、千葉県としてもその後の経済状況の激変と環境保護運動の高まりという大きな状況変化のなかでの、当然ともいえるいわば名誉ある撤退ともいえる。
 知事選直後には、県知事の諮問機関である「千葉県環境会議」が3月に「主要な干潟部分を残すなど配慮がされている」などと埋め立て縮小計画案(101ヘクタール)を一定評価するなどした最終提言を発表したが、地元の市川市の千葉光行市長もこれまでの方針を転換、埋め立て不要を打ち出したほか、「日本湿地ネットワーク」(辻淳夫代表)などNGOも「陸上でなされるべき土地利用を安易に海に押しつけた計画」として、埋め立て回避を求めてきた。
 またこの間、知事の提唱で、環境保全と「里海」の再生を目指す新たな計画づくりのためのシンポが2回にわたり開催され、地域住民が意見を述べたほか、環境省も参加したし、ラムサール条約のデルマー・ブラスコ事務局長も「三番瀬」を初めて視察するなど、埋め立て計画撤回にむけての動きがあいついだ。
 知事は、現行の船橋市側11ヘクタール、市川市側90ヘクタール、計101ヘクタールの土地造成計画をすべて中止し白紙にもどすと表明し、今後、具体的な環境整備計画策定に当たっては、地域住民や学識経験者、NGO、漁業関係者らから意見を聞き、保全計画を追求すると発言した。
 なお、今後に解決をせまられる問題としては、@第2湾岸道路の取り扱い、A埋め立て地に建設を計画していた下水道処理施設の取り扱い、B埋め立てに伴う漁業補償を前提とした漁業者への融資問題(43億円)と県の利子負担問題などがある。

 


牛沼土地収用で地権者が国土交通省を糾明

 圏央道牛沼地区(東京都あきる野市)の土地収用事件を審理している8月2日の東京都収用委員会の第2回公開審理において、地権者側は、さきの第1回審理(5月31日)での起業者(国土交通省)側が行った事業概要説明に関して、@圏央道事業の公共性に関わって、事業根拠とされる渋滞や交通事故等の現状認識に関するデータ開示、 A事業効果の裏付けとなる各種データの開示、 Bアセスメントと公害回避措置など環境問題の各点にわたり国土交通省側の釈明を具体的にもとめた。これに対し国土交通省側は釈明が必要なものについて次回の審理で答えると述べた。
 また牛沼地区の地権者中村文太さんが旧建設省が18年間にわたり地権者にたいし納得のゆく説明をしなかったばかりか、高圧的かつ一方的に事業を推進してきた事業者側の姿勢について、批判・糾明した。中村文太さんの意見陳述は地権者代理人(弁護士)とのインタビューのかたちで進められた。以下に陳述全文を公開する。


中村文太さんの意見陳述(東京都収用委員会第2回公開審理 2001/08/02)


目次
1.はじめに
2.先祖代々の土地への愛着
3.筋が通る事業であれば協力する意思はある
4.筋の通らないことには応じられない
5.ウソの具体例
   測量のでっち上げ
   公害審査会
   中山大臣の裏切り
   異議申立書に対し、「関心も無い」と暴言
6.まとめ

説明会場入口でピケを張る
建設省相武国道工事事務所
職員。さすがに気後れするの
かカメラから顔をそむけている
         (95/4/21)



主要年表
1991年7月…「測量作業について」(協力要請→返却)
1994年7月…「牛沼の測量は終わった」と新聞報道
1995年4月…設計説明会(荷物を預けない人を排除)
1995年10月…新滝山街道アセス承認
1998年3月…公害審査会申請
1998年6月〜1999年6月…第1回〜第4回公害審査会
1988年12月…圏央道アセス承認
1989年9月…土地測量説明会
1999年8月…土地収用法事業認定申請
1999年9月…第5回公害審査会
1999年10月…公害審査会終了
1999年12月…中山建設大臣、牛沼へ現地調査
2000年1月…中山建設大臣、事業認定



1.(地権者代理人) では、地権者の中村文太さんより、意見陳述をしていただきます。中村さんは、十何代前から牛沼の自然に密着した生活を代々営んできた家系で、土地に愛する愛着も人一倍大きい方です。今回は、その中村さんに、今回の土地収用手続についての思いを、この場を使って語っていただきます。では、中村さん、お願いいたします。

 私は、あきる野市牛沼の中村文太です。
私の家は、住宅約千坪。ここには、お墓もあれば、7世紀頃からの古墳もあります。この千坪がそっくり圏央道の用地として収用されようとしています。
他にも、インターチェンジの料金所予定地近くに農地が330坪くらいあり、その半分が収用されようとしています。
私は、18年間、圏央道問題に関わってきましたが、土地収用という最悪の事態に直面している今、私が言いたいこと、思っていることを述べさせていただきます。それは、大きく分けていうと、以下の通りです。

 (1)第1に、先祖代々の土地を守ってきた者としての気持ちです。
私の家は、十何代も前から守り継いできた大切な土地です。こういう土地には、深い愛着があります。先祖代々の土地を、筋の通らない理由で明け渡すわけには絶対にいきません。

 (2)第2に、けれども、私は、何が何でもこの土地を手放さないということではないのです。それが地元のみなさまのために本当に役に立つ、筋の通る事業であって、かつ相手が誠意をもって私たちに対応してくれれば、土地の売り渡しに応じることもできました。例えば、秋留橋の架け替えの時には、東京都の職員から、生活道路である橋が老朽化しているから掛け替える必要があるという説明を受けて納得して橋の工事に必要な土地を売っています。

 (3)第3に、しかし、圏央道の場合は、説明会が開かれても満足に住民に説明せず、してもいない測量をでっち上げ、公害審査会においても旧建設省は質問に答えないまま打ち切り、あげくに中山建設大臣は、今後も住民との対話を続けると言っておきながら、一回も対話することのないまま事業認定を強行したのです。
一言で言えば、旧建設省は、ウソのかたまりでした。
これから今お話ししたことを具体的に述べていきたいと思います。
 
2.分かりました。ではまず、先ほど挙げていただいたうちの、先祖代々の土地への愛着について話していただけますか。
 
 (1)今回収用の対象になっている土地は私が十何代も前から守り継いできた土地であり、この土地には深い愛着心があります。
私の家の敷地の一角に先祖代々のお墓があります。先祖代々牛沼のあの土地で暮らしてきて、先祖代々愛着のあるあの土地に眠っています。昔は土葬でしたので、土の下にじかに先祖が眠っているのです。その下に先祖が眠っている大事なお墓を、ブルドーザーで押しつぶし、埋め立ててしまうということを考えると本当に胸が痛みます。先祖も今回の圏央道の件ではさぞかし驚いていることと思います。

 (2)私の親も、農業をしておりました。どこでもそうですが、牛沼でも、農家は本当に大変な生活をしておりました。養蚕をやり、米や麦を作り、貧しい貧しい暮らしの中で、自然と闘い自然に溶け込んで、この土地とともに生きてきたのです。
私の家は、江戸時代の古民家の典型と言われている古い家です。私が古い方の家に住んでいた当時は、牛沼地区は家も少なく、林と畑に囲まれた広々としたところでした。また、サマーランドなど人工の建物もなく、秋川沿いの田んぼの向こうに山が連なり、家から見下ろす風景は、それはすばらしいものでした。「こんなに静かですばらしいところが他にあるだろうか」と家族や地域の人たちと語り合ったものでした。私の代から、現在の家に住むようになりました。畑だったところに家を建て、屋敷の中は大きな樹木と、広い庭と古墳のある、落ち着いた風景になりました。孫たちが木や花や小鳥たちの中で遊べる庭は現代の東京近郊ではたいへん貴重で、妻が時々つぶやくようにいいます「こんな所に自動車の高速道路なんかいらないのにねー」と。
まさに私たちの実感です。

 (3)先日、私の親せきが私の家に集まって、これからどうするかというような話をしました。私は、「祖代々十何代も前から守ってきた土地への愛着というものは、金で買って20年か30年住んだだけの人には分からないと思うよ」と話しました。
私の家でも江戸時代、明治、大正、昭和、そして平成と、いろいろな困難やたいへんな事態に直面したことがあったと聞いていますが、それぞれの代が乗り越えて家屋敷を守ってきました。それがこの民主主義の時代になって、問答無用の土地収用にあうとは、先祖のだれも夢にも思っていなかったと思います。何百年と続くこの土地での営みを私の代で終わらせることはとても耐え難いことであることをどうか分かっていただきたいと思います。
 
3.次に、中村さんは、筋が通る事業であり、相手に誠意があれば協力する意思はあるとおっしゃいましたが、そのことについて説明していただけますか。

 そのことについては、秋留橋の例を挙げて説明したいと思います。
現在の秋留橋は、昭和14年にコンクリートの橋として建てられました。それから60年近く経ち、古くなって、耐用年数が既に過ぎていて、危険だということで、建て替えの必要性が出てきました。東京都西多摩建設事務所は、私たちに建替への協力を要請してきました。
私は、この橋の両側に土地を持っておりました。私は、同事務所の話をよく聞きました。私は、秋留橋は地域の生活道路として重要な橋であるし、老朽化していて危険であるのも事実であり、同事務所の交渉態度も熱心だったので、結局、橋の両側にあった土地の売却に応じることにしたのです。
この秋留橋の話については、それからいろいろと込み入った事情があるのですが、この話で、私が筋の通った話しで、相手が誠実に対応するのであれば協力する意思がある人間であることはおわかりいただけると思います。
 
4.しかし、圏央道の事業は筋が通らないから、協力できない、ということですね。
 
そうです。

圏央道が筋の通らない事業と考える理由について、ご説明いただけますか。

圏央道の話は、最初から、「ウソ」ばかりで、まったく筋が通らないものでした。

 (1)そもそも最初のうちは、説明会で、「強制収用はやりません。」「あくまで話し合いで解決します」と言っていました。私たちが、「測量の時、地権者が立ち会わないまま勝手に測量を始めたらどうするのか」と質問したら、「その時は警察を呼んでもらってけっこうです」と答えました。私たちが、「測量を拒否し続けたら、最終的には土地収用法を使うのか」と質問したら、「土地収用法は使いません。」「あくまで話し合いで住民の皆さんの納得を頂いて参ります。」と明確に答えたのです。
 先程述べたような、私たちの大切な土地を収用しようというのですから、住民の納得を得るのは当然です。そして、住民が納得をするためには、説明を聞いて生じた疑問にきちんと答えてもらう必要があります。
しかし、説明会の様子は、とうてい「疑問にきちんと答える」というものではありませんでした。
 まず、説明会をするのに、特定の地域か特定の地権者に限定して受付で厳重なチェックをする。建殻省か道路公団の若い職負がスクラムを組んでいて、入れたくない人は入れないという態勢をとっています。おまけにパトカーまで待機させている始末です。こういうやり方からは、「最終的には強制収用すればいい」という考えだったとしか思えません。私たちは、何か妨害をしたり、ボイコットをしたりという気持ちはまったくないのに、本当に説明を聞きたいだけなのに、私たち住民を犯罪者か謀反人のように排除することが度々ありました。これでは悪代官と同じです。
 そして、説明会の中身からも「疑問にきちんと答える」つもりがないことは明らかです。説明会では、30分ほど建設省の挨拶があり、また30分ほど建設省の説明があり、住民が質問できるのはせいぜい30分くらいです。そして、いくら質問の手が何本も上がっていても、「時間です」と言って帰ってしまう。これはどの説明会でも同じです。
説明会をやったというアリバイ作りか、さもなければ予定した時間をつぶすためにやっているとしか思えません。圏央道建設が本当に必要な事業であることを住民に納得してもらうという姿勢は、これっぽちもない。私たちに説明をすべき建設省が説明しないということは、説明できるような立派な事業ではないということだと私は思います。

 (2)説明会ばかりではありません。
建設省は、きれいなパンフレットを配っていますが、そこには、「何でも聞きたければ質問をお寄せ下さい」と書いてあります。普通の人なら、そういうふうにやられていると思うだろうと思います。しかし、まったくそうではないのです。
私たちは、質問書をもって、建設省相武国道工事事務所に何度か行きました。例えば、測量などまったく終わっていないのに「牛沼の測量は終わった」と朝日新聞に報道されたときがそうでした。また、土地収用の事業認定を申請したことが報道されたときがそうでした。私たちに知らされる前に報道機関が報じました。私たちが抗議に駆けつけるのは当然ではないでしょうか。
しかし、いつでも門前払いです。「反対者とは会わない」「私たちは抗議を受けるようなことは一切やっていない」「抗議なら一切受け付けない」と言って、数人が入り口を封鎖して、追い返してしまいました。

 (3)このように、おもて、では何でも質問に答えるふりをして、実際には何も質問に答えず、疑問を持つ人々を排除する。これが建設省の実態です。
 
5.先ほど中村さんは、旧建設省は「ウソ」ばかりであったとおっしゃいましたが、その具体的な例を2、3ご説明いただけますか。
 
 わかりました。具体的な例を、もう少し詳しく、いくつか話したいと思います。

 (1)まず、説明会のことについて説明いたします。
 
 (@)測量について、建設省は前回の5月31日の審理できちんとやったかのような説明をしていましたので、その話をまずしたいと思います。
今から12年前、1989年に牛沼で「土地測量説明会」が開かれました。
この説明会は、測量について、およそ3つのことが説明されました。
1つめは、建設省が作ったパンフを示して「圏央道完成までの流れ」というものを説明したことです。調査説明の次に、設計説明、用地補償説明、工事経過説明という建設省が予定した説明会のフローを説明しました。
2つめは、測量の内容です。地権者の土地に立ち入って、@中心杭という杭を20メートルおきに打たせてもらう、Aその横に補助杭を2本ずつ打つ、という説明でした。
3つめは、測量するには、地権者と隣の人の立会いが必要なので、協力を願うというものでした。
 この説明会では、質問が相次いで、紛糾しました。質問に対して適切な回答がなされず、住民は次々と質問の手を挙げました。具体的な反対意見も少なくありませんでしたが、これに対しても適切な対応がなく、「ご理解を頂きたい」「この計画は決定したもので、少しの変更もできない」というものでした。
住民の中から、「今日の説明会の議事録を公開して、市民みんなに知らせて欲しい」という意見が出されましたが、「それはやりません」という、にべもない回答でした。
 結局、会場に残った市民は、相談をして、次のような署名運動を起こして、90世帯264名の署名をつけて、建設省に提出しました。意見書の内容は、もう一度、公開の場で説明会を開き、今日の質問に納得の行く回答をして欲しい、それができない限り、地権者は測量は拒否する、周辺住民も、この測量拒否に心から協力する、こういう内容でした。90世帯の署名というのは、関係地域が100世帯ですから、90%の賛成ということです。
その後、相武国道事務所から、測量をしたいので協力を要請するという文書が各戸に配布されましたが、私たちは、「なぜあんなまともな要望に答えられないのか。」と言って、それをまとめて束にして突き返したのです。
 このように、私たち地権者が測量には一切協力しなかったのに、ある時、突然、「牛沼の測量は終わった」という新聞報道が行われました。私たちは、すぐに建設省相武国道工事事務所に抗議に行きました。しかし、私たちがかけあってもではまったく埒が明かないので、国会議員に頼んでどういうことなのか調べてもらうことにしました。
 上田耕一郎参議院議員と岩佐恵美衆議院議員が相武国道事務所長と会い、私も同席しました。そこで分かったことは、「測量は終わった」と言っても、実際には何もしていないということです。結局、建設省が言うのは、本来やるべき形の測量は終わっていないが、設計に必要な測量は航空写真などで終わったんだということのようでした。しかし、航空写真などで済ませるなんてことは測量説明会では決して言っていません。相武国道工事事務所に協力要請書を突き返しに行ったときにも、何の説明もありません。説明会で説明したとおりの測量ができなかったことを、所長は、「説明会なんてやらなくてもいいんだ。必ずしも必要じゃない。サービスでやっているんだ」と言ったのです。驚きです。
もともと、圏央道を作ると言い出したのも、建設までのフローを作ったのも建設省です。そして、そのフローを私たちに示して、「こういう説明会を開きます」と言って私たちに協力を要請したのです。それを、サービスだからやらなくてもいいといってふんぞり返ったのです。はじめからウソの固まりなのです。しかも、「説明会で説明した測量のやり方では測量できなかったが、設計に必要な測量は終わりました」と私たち住民に説明しないで、突然、新聞での発表をしたのです。
 建設省は、何故こんなに住民と敵対するのでしょうか。本当に大切な公共事業なら、住民にきちんと説明・説得をして測量に協力してもらう努力をするべきなのではないでしょうか。

 (A)次に設計の説明会について説明いたします。
建設省は測量をやらずに設計へすすめました。そして設計説明会という段階になりました。建設省はどんなやり方をしたのでしょうか。
牛沼の田んぼの地権者・協力者だけを対象に設計説明会をやりました。近所の地権者も入場拒否をしました。
私たちは、再びこのことを国会で取り上げてもらいました。時の建設大臣、社民党の野坂浩賢大臣が「住民説明会はきちんとやる」という答弁をして、改めて周辺の誰でも参加できるという設計説明会が開かれました。
ところが、「手荷物を預かる」と言って、かばんを預けない人は入場させないという厳重なチェックが行われました。3人の人が入場拒否されました。そのうち2人は荷物をやむなく預けて入場した上、抗議しました。最後の1人は、とうとう「何でこんな小さな封筒まで預けなくてはいけないんだ」と抗議をして入場できませんでした。
私は、圏央道の話は、最初から「ウソ」ばっかりで、全く筋が通らない悪代官のやり方だと、これが国のやることかと、どうしても許せないと思っていますが、それはこうした調査や設計の説明会を通してそう思い始めたのです。
 

 (2)次に、公害審査会での態度のひどさについて述べたいと思います。
 
 (@)前に述べた経過で、私たちが協力して土地を売却し、できあがった秋留橋を起点として新滝山街道が建設されようとしております。これは、圏央道アセスの時はなかった計画です
秋留橋計画は最初は単なる古い橋の建て替えだったのです。
しかし、国・建設省がかかわって圏央道がらみになってから大きな変更を行い、まったく当初計画と別のものになってしまったのです。
 古い橋のとなりに新しい橋のピアが立ちましたが、何年も雨ざらしのままでした。やがて変更になりこのピアが一車線用から二車線用につぎ足しがされました。そのうち1995年に新滝山街道計画が発表されました。国道411号が狭くて渋滞するからそのバイパスの役割を果たす4車線道路だという話でした。
 ところが実際に秋留橋が完成してみると、東京都が作ったこの橋のパンフレットにはこの橋はあきる野インターと八王子インターを結ぶ新滝山街道の重要な起点だと書かれています。しかも、増大する交通量に対応すると書かれていました。橋のシンボルマークは大きな円形のものでこれは圏央道をイメージしたものだと説明しています。このように、東京都も、最初の説明とまったく違ってしまった秋留橋の位置づけを今では堂々とパンフレットで説明しているのです。
 私は土地の提供については、さっき述べた理由でともかく協力しました。しかし、その後の、国が絡んでからの位置づけの変更についてはまったく聞かされていません。最初東京都と話したときには、単なる建て替えとして話を進め、後に国が関わって圏央道の重要なアクセス道路の出発点の橋に変えてしまった。これではだまし討ちではありませんか。
 
 (A)私たちは新滝山街道や、国道411号線、睦橋通りと圏央道が一緒になると果たして交通量は合計どのくらいになるのか考えました。しかし、その資料となるべきアセスは、新滝山街道のアセスは秋留橋の南隣から八王子まではやったが肝心の牛沼部分はやられていません。だから改めて牛沼地域の交通の流れと交通量を教えて欲しい。これが私たちの公害審査会で聞きたいことの中心でした。ところが、建設省は国会の答弁で「新滝山街道ができても、あきる野インターの乗り降りは大して変わらない。」といって、きちんと答えようとしませんでした。「大して変わらない」というのは、アセスの時にたくさん使われた言葉です。
この「大して変わらない」というのが数量的にどうなのか。また、圏央道アセスの時には調べなかったSPMについてはどうか、私たちの調べたところでは、このまま計画が進んだら牛沼地域は公害がひどくなる。そういうことから東京都の公害審査会で国を追求しようと始めました。
 
 (B)東京都の公害審査会は、私たち住民と相手側建設省から公平に話を聞き調停するという場です。
私たちは、私たち牛沼地区の車の流れとよくにている例として八王子の中央高速と16号と16号バイパスの三つの幹線道路に囲まれた地域の状況を調べました。住民からの聞き取りでは想像以上に住民の被害が大きいことが分かりました。ぜんそくの子が多く、学校の校庭で酸素吸入器を使っているところもありました。騒音がひどくて2階で眠れないという家もありました。そこで、私たちは建設省にアセスのやり直しを要求しました。部分的な場所、部分的なテーマでもよい。例えば、牛沼の交通量、牛沼のSPMなどの再アセスを要求しました。ところが驚いたことにある課長は「アセスのやり直しなどしたら日本全国で道路はできなくなる」と言い出しました。また、交通量などについては「答えたら住民に裁判で使われるから答えない」などと言いました。
結局、審査委員から「何とか答えなさい」とか「文書で回答を出すように」と言われてもただの一度も回答しませんでした。
「アセスのやり直しをしたら全国で道路ができなくなる」と答えた課長はこの直後から、何故か一言もしゃべらなくなりました。そして、全体がしゃべらなくなり、回答を督促されるように変化したのです。
 
 (C)ところがちょうどその頃、建設省は私たちに一言も何もいわずに土地収用法の事業認定の申請をしたのです。これも新聞記者からの電話で知ったことでした。
一方で、公害審査会で公害を未然に防ぐ調停をやっているのにそれには誠実に対応せず、一方であれほど使わないと約束していた土地収用法を申請したのです。
それまで建設省に鋭く迫っていた公害審査委員長の態度は、ここでクルリと変わって、次回で終了、「土地収用法の認定が申請されたから、これ以上の審査は意味がない」といって閉会してしまいました。終了した時に建設省はこそこそと「意見書」というA4の紙をよこしました。そこには「八王子は類似の例と見なせないから調査もしない」と書いてありました。
 
 (D)いったい建設省は、これでも住民参加の努力や住民の合意を得る努力を少しでもするつもりがあるのでしょうか。
まったく最初から「強制収用ありき」ではなかったのかと、この悪代官ぶりには、あいた口がふさがりません。
ついでに一つだけ付け加えますと、この収用の申請と同じ頃、相武国道工事事務所の用地課の職員が盛んに地権者の所へ顔を出すことが増えました。雨が降っている日でも、3人できて傘をさして黙って立っています。ただ「お願いに来ました」と言うだけです。私からは「家の土地を貸している31名の人と一緒に話さないといけないから皆を集めてくれ。そうしたら話し合おう」と言っておきました。
ある家では「交通量が全体でどうなるか説明して欲しい」と言ったら「それは公害審査会で答えることになっている」と言ったということです。公害審査会は、自分たちが収用の申請をして終わりになっているのにです。何というでたらめな所でしょうか。
私は、こういう筋の通らない話で、大切な先祖からの土地を手放してしまうことは、できないとつくづく思うのです。
 
 (3)次に、中山正暉建設大臣(当時)による住民への裏切りについて述べます。
収用の申請がされてから、私たちは都知事宛の意見書を数百通送りました
また、新しく建設大臣になった中山大臣に「認定する前に公聴会を開いて欲しい。学識経験者や専門家の意見を聞いて欲しい」と数百通の要望書を送りました。
そして国会で岩佐恵美参議院議員に質問をしてもらいました。質問をきっかけにして中山大臣が「住民に会いたい」と言って建設省の部屋で会ってくれました。一昨年の11月23日のことです。そこで私たちの思いを短い時間に精一杯訴えました。中山大臣はその時「まだ収用の段階じゃないよ」と言ってくれました。そして「みなさんの所にいってみたい」といって12月21日にあきる野市牛沼の私たちの家や土地を見に来てくれました。大臣は、古墳や古民家についてもいろいろと質問し、収用対象の所を全部まわりました。そして、ケンタハウスという建設省の現場の事務所で私たちと話し合いをしました。私が手を挙げて発言をしようとしたら司会者が「もう時間ですので」と言いました。この時大臣は「中村さん、まだ、これでおしまいじゃない。これからも話し合いましょう」と言い、それで終わりになりました。
その後の促進派の人たちとの懇談会では手ぬるいと随分圧力をかけられたそうです。そして、その後の記者会見では、記者のみなさんから事業認定の見通しについて訊かれ、「これから省に帰って検討し、住民とも話してから結論を出す」ということを言いました。これは、大方の新聞が報道しているところです。
私たちは一応胸をなで下ろして「少なくともこれで年を越せる」と喜び合いました。
しかし、翌1月19日、突然大臣がはんこを押したのです。私たちにあれだけ話し合いの余地、約束を残しておいたのに、たった1回の話し合いも連絡もないまま認定してしまったのです。
こんなひどい裏切りがありますか。
建設省は大臣をはじめ全員が「ウソつきのかたまり」です。
 
 (4)次に、異議申立書に対し「関心も無い」と建設省相武国道工事事務所の所長が暴言を吐いたことについて説明いたします。
私たちは、昨年1月19日に事業認定されて、怒りも収まらない中で、法に基づいて認定後1か月以内に、この認定に対する異議申立書を提出いたしました。「私たちの財産を取り上げるだけの公共の利益があるとは思えない」という私たちの思いが綿々と書いてあります。
 ところが、この異議申立書に対する回答は、未だに、ただの一つもありません。
昨年の7月に、私たちは、この異議申立書について、どうなっているのか質問しました。これに対し、建設省相武国道工事事務所の柳橋所長は、「私たちは認定されたら粛々と事業を進めるだけだ。異議申立書など見る義務もなければ全く関心もない」とウソぶきました。全く暴言ではありませんか。
自分たちが、私たちの土地を収用したいと申請をしたんです。だから私たちはそれに対して異議を唱えているのです。その住民の声に対して「関心も無い」とはどういうつもりでしょうか。
私たちは、こういう所長のような考え方こそ、公共の名の下に、国民の財産を問答無用で取り上げる、最も許されない考え方だと思います。
私は、断じて許せません。
 
6.では、最後に、今回の意見陳述のまとめをお願いいたします。

 私は、18年間も騙され続けてきたことを何と愚かだったかと反省しております。しかし、国がこんなやり方で国民を欺いて、行政の誤りによって、国民の土地を取り上げ、自然を破壊し、国民の健康を損ねるような、そんな国民への被害・損害を与えるということが決してあってはならないことだと思っております。
私の妻は、車椅子で土地調査に意見を書きに参加しました。
私はその妻の世話をしながら十八年間、国のこんなでたらめなやり方と戦ってきました。
もしも収用されることが決まってどこかに引っ越していくとしたら私の人生、私と妻の人生の最後は何と不幸なことだろうかと思います。
しかし、私は未だにそんなことはあってはならない、間違ったことにはきちんと戦うことが本当の生き方なんだ、私たちの人生の最後は立派な生き方なんだと思っております。
さて、時間の制限もあると思いますので私の発言は今日のところは以上で終わりに致します。私以外の地権者も、たくさん言いたいことがありますので、是非聞いてください。

ありがとうございました。以上で、本日の地権者中村文太さんの意見陳述を終わります。
<以上>



廃案の声押し切り改正土地収用法を強行

 改正土地収用法は2001年6月29日、政府連立与党と一部野党の賛成で成立した。衆議院での審議時間はわずか2日間、参議院も同様であった。
 会期末のごく短時間のなかで十分な審議を行わず、いわば駆け込み成立をはかったと批判されるべき状況は記憶されなければならない。

 審議ではこの改悪法案が公共事業を効率的に進めるために、現在の土地収用のありかたを効率化しなければならないとして、妨害者とみなされたトラスト運動の意見を聞くことについて衆院では排除され、「ゴネ得をゆるしてはいけない」(森田健作議員)などと見当違いの質問が一部の議員を除いて横行し、傍聴者をあきれさせた。

 この衆院段階での審議で何らかの成果があったとすれば、それは、扇国土交通相が「計画段階の住民参加がこれまで欠落していた」と認める答弁(6/26)をしたことぐらいだろう。
 しかし、だからどうだというのだ。公共事業のありかたと向き合ってきた国民の側からすれば、この扇答弁に基づいて事業計画段階から抜本的に改善する仕組みについてなんら着手しようともしない状況では、トラスト運動を蹴散らすための法案を通過させるのにすこしためらうものがあったという程度のことにすぎない。

 だらしなかったのは意外と民主党だった。小泉政権の「改革断行」のまえに、それを先に提唱したのは民主党とばかり、ダム見直しを提唱していたはずなのに、この悪法にすんなりと賛成してしまった。民主党シャドウキャビネットは、第三者機関の委員構成の中立性確保、公聴会の議事録公開の徹底などごく一部分の修正を受け入れさせたにすぎない。
 この民主党のなかにも国民とともに歩もうとする議員がいた。佐藤謙一郎議員(民主党)、金田誠一議員(民主党)は衆議院本会議での採決時に欠席し、消極的ながら悪法成立に加わらなかったことは記憶しておこう。この法案に反対し廃案を求めたのは共産、社民両党であった。

 新聞は改正土地収用法について「1坪地主に対抗」と書いたが、参院では背景となった現状がリアルにだされた。
 参考人の石川良一稲城市長は日の出処分場のトラストに関して「造反有理を叫んでいる」などとトラストは反対のための反対にすぎないと感情をあらわにした。またトラストにいたる原因である谷戸沢処分場の地下水汚染についても「汚染はない」と言い切った。
 つまり、事業者である多摩27市町側のゴミ処分組合は、住民の環境汚染指摘をあくまで否定し二つ塚処分場建設を強行したのだが、その住民無視の姿勢そのままが参院で再現された恰好となった。

 これにたいし標(しめぎ)博重/日の出の森・トラスト運動共同代表は、日の出町の谷戸沢処分場からの水源汚染が発生している事実をめぐり、東京都三多摩廃棄物処分組合に対しデータ公表と対策を要求したが聞き入れられなかったこと。したがってやむなく同様の構造のもとに計画された二つ塚処分場でも汚染のおそれがあるためトラストに踏み切ったと述べ、処分組合と話し合いが目的だったことを強調し、環境汚染をアピールする手段としてはトラストしかない現状を訴えた。

 舞台裏もふくめた与野党間の折衝で、改正案は付則に「公共事業の計画段階で住民参加や情報公開を促進する措置を早急に検討する」と明記し、また収用法の適用事業と認定する前に、公聴会の開催と第三者機関(審議会)の意見を尊重することを義務づけることにした。さらにまた「住民の意見の吸収の場という公聴会の本来の役割を果たすよう、規則改正を含め適切な措置をとる」との付帯決議も付けられてはいる。
 しかし住民参加や情報公開促進を早急に検討する法律に書かれても、実際に法律改正案が提出されないことには絵に描いた餅にすぎない。この法律を成立させるための口実にすぎないのではないか。

 この間、改悪案を許さず廃案にとの国民の声は大きく広がったことも事実である。
川辺川ダムなど全国のダムに反対する47団体でつくる、水資源開発問題連絡協議会は、民主党に廃案を求める申し入れを提出。八代市の市民団体「美しい球磨川を守る市民の会」(出水晃代代表)も独自に同様の申し入れをしたし、以下のように「不支持の申し入れ」と「アピール」に多くの団体、個人、研究者、弁護士らが名を連ねた。

 成立した改正法には、新たに廃棄物最終処分場も土地収用の対象事業とされた。しかも、水源地域に最終処分場を作る場合の基準は日の出のケースとなんら変わっていない。元厚生省から管理が環境省に移ったが、同じ手法で今後も環境汚染を引き起こすおそれがあるかもしれないのだ。トラスト運動が公共事業のありかたについて、世論に問いかけた意義は少なくないものがあるとはいえ、こうした声を一切無視して問題のある改正法を成立させてしまった国会のあり方について、大きな疑問が残ったこともたしかである。


日の出の森・トラスト運動共同代表の参院陳述/標博重

土地収用法改正案についての意見

2001/06/28 参院国土交通委員会参考人
日の出の森・トラスト運動共同代表/標博重(しめぎ・はるしげ)


 私は日の出、圏央道あきる野・高尾トラスト権利者で、土地収用法の当事者です。また土地収用ネツトの世話人です。当事者の立場で意見を述べさせていただきます。
 はじめに申し上げたいことは、私どもは好き好んでトラストを仕掛けたわけではないということです。処分組合や旧建設省の住民無視、情報非公開の不公正、不透明な行政対応が関係住民・市民をトラストに駆り立てたのです。
 日の出事件は1984年谷戸沢処分場の埋め立て開始直後から発覚した処分場のシ−ト破損による地下水や周辺の土壌汚染に対して地元住民や多摩の市民が処分組合に汚染デ−タ−の公開と原因調査、対策を要求しましたが、シ−ト破損はあり得ないと拒否されました。住民は情報公開を求めた訴訟で勝訴しましたが、組合はデ−タ−の公開を拒否しました。その後、間接強制金の支払いを裁判所に命じられましたが、処分組合は約2年間公開を拒否し、総額1億9000万円を支払いましたが、漸く公開したデ−タ−によれば84年には地下水汚染の指標である電気伝導度が19200mg/m3にも達しました。平常の地下水は50〜100mg です。デ−タ−を分析し、周辺を調査した環境学会の学者は原因はシ−ト破損以外は考えられないと指摘しました。
 菅厚生大臣、小泉厚生大臣在職時に汚染問題について住民と共同調査するよう勧告しましたがこれも拒否しました。私たちがトラストを設定したのは、処分組合が情報公開や汚染問題と多摩のゴミ政策についての話し合いを拒否しながら、同じ構造の二つ塚第2処分場の建設を強行したからです。
 処分組合が日の出連絡会との話し合いに応じていれば収用は避けられたと思います。
 また、第2処分場のダブルシ−トや浸出水処理施設等の手厚い構造や汚染対策、組合構成多摩27市町の他地区を凌駕する減量実績、焼却灰を全量埋め立てないためのエコセメント事業等はトラスト運動が反面教師になったと考えます。

 圏央道でも旧建設省の情報非公開と話し合いの拒否、不公正と不透明な対応が住民をトラストに駆り立てました。
 あきる野地区の圏央道だけのアセスメントは16年前であり、その後圏央道に合流、交差する4車線の2路線合計6万台が建設中で、あきる野地区の総交通量は10万台を超えます。環境破壊を心配する住民は建設省に3路線の総合アセスを実施するように要求しましたが拒否されました。中山建設大臣は現地にきて話あいが必要だ、それまで事業認定はしないといいながら、反故にしました。
 また高尾山地域においても高尾山等の自然破壊、住環境破壊の恐れ等について具体的に質問書を提出して説明、話し合いを要求しても拒否し続けています
 また、事業説明会には沿道の住民は排除し、さらに権利者の持ち物を点検し鞄等は取り上げる等の人権侵害まで起こすなど行政不信を招きました。このような事態は圏央道だけではなく、川辺川ダム、徳山ダム等問題の各地の公共事業に共通の事態です。
 こうした不公正、不透明、住民・市民敵視の行政対応に対抗して、話し合いの窓口をこじ開けるためやむなく多くの支持者が直接運動に参加するトラスト運動が取り組まれることになったのです。
 住民・市民にとってトラスト運動は経費も運動も大変な負担ですからやりたくはありません。私たちが常に開放している話し合いの窓口を行政が訪れ、合意形成に共同すればトラストなど必要ありません。それにしても行政の住民・市民運動敵視は誠に遺憾です。
 日の出の収用について石原都知事は行政代執行の当日、記者会見でトラスト運動を「チャチな運動」と誹謗しました。知事は都議会でも「葉書1枚、7億円、2年半。トラスト運動は収用法悪用の公共事業妨害だ。トラスト封じに収用法は改正すべきだ。」と所信表明しました。処分組合ニュ−スでは「多摩のゴミ事情を知らない余所者が大分部で、事業を妨害している。」とトラスト運動を誹謗、中傷しました。
 また、トラストの権利者を余所者扱いしていますが、2800人のうち約1200人は日の出にゴミを捨てている三多摩の市民であり、当事者です。残りも全国でゴミ問題に取り組みまた関心を持つ関係人です。

 政府改正案と公共事業のありかたの抜本的見直しについて意見をのべます。
 第1の問題点は、事業認定者を現行法通り、国土交通大臣及び知事という事業者とする不公正をそのままにしたことです。自らが事業者として事業認定を申請し、自らがこれを認定するという手前勝手は不公正といわざるを得ませんし、認定すると決まっているから公聴会も専門家の意見聴取も一度も実施しなかつたのです。しかも収用申請は行政が住民との話し合いを打ち切り、収用という紛争に持ちこんだことを意味します。
 事業認定は単なる公益性の判断ではなく、その事業が国民の財産を権力で強制的に取り上げるに値する公益性があるかの重要な判断です。とすれば、公正・透明な判断を当事者に委ねることは社会的公正を欠きます。改正案では省内機関の第三者機関である社会資本審議会の意見を聴き尊重するとしており、衆議院の委員会で大臣は委員の構成等開かれた審議会を強調しましたが、本当に公正、透明な認定が必要なら、なぜ独立行政委員会の例えば収用裁定委員会等省外の第三者機関に委ねないのでしょうか。収用は事件なのです。大臣の諮問に答える審議会には大臣自身が当事者である収用という紛争事件の仲裁・調停はできないものと思います。
 第2の問題点は事業認定手続きで事前説明会、公聴会、意見書提出、認定理由の説明等説明責任を明確にし透明性と住民参加を手厚くしたと強調していますが、権利者と起業者の討論の場がありません。また事業庁が自ら仕切る説明会等は今までの同様事例から形式的な通過儀礼になる恐れがあります。
 私ども収用ネツトの案は独立行政委員会が裁判形式で双方に論議させるものです。

 第3の問題点は収用委員会公開審理における意見は補償問題だけで事業内容に関する意見の禁止です。収用委員会は法の第47条に則り収用法の規定に反することがあれば裁決を却下しなければなりません。そのためには権利者の意見を聴かなければ判断できません。補償問題にかぎるのは法解釈のあやまりです。

 第4の問題点は共同所有の意見陳述は代表3名に限るというのは第63条の意見を述べる権利と収用委員会の審理権を侵害します。現行法第64条により常識的に処理できます
 また、現行法では入り口の都市計画法等個別事業法から出口の収用法までの間、住民・市民が公開の場で意見を述べる機会は収用委員会の公開審理以外にはないのが現状です。

 第5の問題点は補償金の書留支払いです。理由として日の出では補償金5700万円に対して支払い経費に7億円掛かった、これは無駄づかいだというのですが、補償金の手渡しに要した経費−旅費等は組合資料によれば、土地鑑定及び物件調査・積算、通信費、弁護士報酬、補償金払い渡しに係わる訪問旅費等19,100万円の一部にすぎません。7億円は間違いで、収用事務全体の費用です。補償金は金額の多少に係わらず、受領の意思の有無を確認した上で、直接手渡すのが第69条個別払いの原則であり、本人に受領の意思がないことが確認されたときは法務局に供託できます。

 第6の問題点は公共事業の進め方−手続き全般に係わる収用法改正に先立つ最も重要な問題です。
 両者の間での対話、意思疎通、合意形成のための公正、透明、適正な手続き−プロセスが現行の都市計画法、河川法等事業法に規定、担保されていないからです。
 資料の都市計画法では計画決定のさいの素案の説明会と意見書提出しか住民参加の機会はありません。事業決定では住民は阻害されています。パリやロンドンの環状道路は住民が協力し進捗しているが、3環状は20%しか進んでいないといいますがパリの外環では行政と住民が協議会をつくり、合意形成を当然のこととして216回も話し合いを積み重ねています。残念ながら日本の行政には合意形成という語句はありません。
 衆議院の委員会で扇国土交通相は「今までを反省し、公正・透明に進め、合意が得られて事業化したらあとは迅速に…」と答弁しましたが、そのあと同省総合政策局長は「合意形成は法改正が必要であり、不可能だ。」と答弁しました。どちらが正しいのでしょうか。
 圏央道はアセス以来16年も話合いなし、衆議院では局長が56回説明したと述べましたが一方通行でした。日の出も汚染発覚以来代執行まで16年です。この間、合意形成を前提に話合っていたらトラスト運動は必要なかったのです。
 欧米に学んで公共事業の入り口から住民参加、合意形成の手続きを盛り込むように出口の収用法に先だって事業法と行政手続き法を改正してください。

 第7の問題は行政事件訴訟法、第25条の執行不停止、第27条の総理大臣の異議申し立ては公共事業の特別扱いで国民の訴えの利益と司法の独立を侵すものなので改正する必要があります。
 以上、公共事業のあり方全般の見直しを優先し収用法の改正を先行させないでください



土地収用法改正への不支持の申入れ/環境行政改革フォーラム有志

 参議院国土交通委員会委員各位
平成13年6月24日

 
土地収用法改正への不支持の申し入れ


       NPO/NGO 環境行政改革フォーラム有志
       賛同者(アイウエオ順,*;フォーラムの幹事)

       青山 貞一 環境総合研究所所長,
             環境行政改革フォーラム代表幹事*
       淺井 功  株式会社日本環境リサーチ
       阿部 賢一 土木学会会員*
       淡路 剛久 立教大学法学部教授
       飯田 哲也 環境エネルギー政策研究所所長
       池田こみち 環境総合研究所副所長,国際市民参加学会会員*
       伊瀬 洋昭 自転車と路面電車と舟運のまちづくりフォーラム
       井上真紀子 ごみ・環境ビジョン21「ごみっと・SUN」制作担当
       井上 真  東京大学大学院助教授
       江川美穂子 ごみ・環境ビジョン21
       大石 和央 農業者、静岡県榛原町議会議員
       大鋸 豊久 大鋸造船所代表取締役(佐賀県)
       太田 潤七 ごみとダイオキシン問題を考える会
       大島 弘三 諫早干潟緊急救済本部
       大島 堅一 立命館大学国際関係学部助教授
       大沢 豊  日の出の森・トラスト運動事務局長
       大羽 康利 渥美自然の会
       大林 ミカ 自然エネルギー促進法推進ネットワーク副代表
       岡安 隆  東京都目黒区民
       奥野 真敏 成蹊大学大学院博士課程、環境カウンセラー
       小倉 正  気候ネットワーク(愛媛県)
       小倉 崇  熊本大学法学部公共政策学科
       尾花 慎二 東京大学大学院新領域創成科学研究科修士課程
       桂木 健次 富山大学経済学部教授
       風間 駿  WWF等NGO/NPOsuporter
       金子 亘  奈良県民
       河内 俊英 久留米大学生物学教室助教授
       川崎 実  日本ビクタ−(株)環境カウンセラ−、環境計量士
       菊池 隆、 医学博士、オックスフォード大学統計学部(在英国)
       北岡 逸人 柏崎市議会議員
       北山 宏之 伊勢原の自然と環境を守る会
             神奈川オオタカ保護連絡会
       木原 啓吉 江戸川大学環境情報学科教授
       黒田光太郎 名古屋大学大学院工学研究科教授
       小林 正幸 グリーンハンズ
       小林 麗子 イーストアングリア大学大学院修士課程(在英国)
       是枝 洋  元法政大学 大原社会問題研究所
       近藤 直子 奈良県民
       沢野 伸浩 星稜女子短期大学助教授*
       坂巻 幸雄 日本科学者会議東京支部
       嶋ア 英治 三鷹市議会議員
       白木 康憲 使いやすい道路を考える会事務局 
       陣内 隆之 諌早干潟緊急救済東京事務所
       杉山百合子 日の出の森トラスト地権者・藤沢エコネット会員
       鈴木 譲  東京大学大学院農学生命科学研究科教授*
       角南 真澄 市民オンブズマンおかやま公共工事担当
       関根 彩子 グリーンピース・ジャパン
       高岡 立明 海上の森エコミュージアムネット
       鷹取 敦  環境総合研究所主任研究員*
       高垣 英明 グループ海上の森探鳥会代表,設楽ダム名古屋代表
       高田 昭彦 成蹊大学文学部現代社会学科教授
       高橋ユリカ 「川辺川・東京の会」ルポライター
       田口 汎  三浦半島自然環境フォーム代表
       田端 裕  大磯町議
       辻 淳夫  日本湿地ネットワーク代表、藤前干潟を守る会代表
       辻 芳徳  循環型社会システム研究会 
       つる 詳子 環境カウンセラー(熊本県)
       寺尾 光身 名古屋工業大学名誉教授
       寺西 俊一 一橋大学大学院経済学研究科教授*
       とかしき なおみ 杉並区議会議員 
       戸田 清  長崎大学助教授、環境社会学
       中村 剛  SYS環境調査隊(新横浜)
       中畑 利弘 和歌山県漁業協同組合連合会
       南部 幹雄 慶應大学大学院政策・メディア研究科修士課程
       西岡 政子 「横浜・ゴミを考える連絡会」委員
       野村 修身 電磁波問題市民研究会
       橋本 久雄 小平市議会議員 
       長谷川憲文 ゴミ問題・ゴミ発電を考える会、
             板戸町最終処分場建設反対期成同盟(栃木県)
       畑  明郎 大阪市立大学大学院教授
       服部美佐子 環境カウンセラー
       原科 幸彦 東京工業大学大学院総合理工学研究科教授
             国際影響評価学会理事*
       東中川 敏 Waveney Terrace University of East Anglia
             (在英国)
       久野 敦司 グローバルブレイン研究所(在米国)
       平松 紘  青山学院大学法学部教授
       福田万里子 久留米市筑後川の水源を守る会
       福田 洋一 久留米市筑後川の水源を守る会
       星川 淳  屋久島環境政策研究所
       藤岡 周二  (株)大喜水質管理センター代表取締役
       藤井 久雄 森林NGO緑友会
       藤原 寿和 止めよう!ダイオキシン汚染・関東ネットワーク
       松浦さと子 摂南大学助教授
       松本 郁子 地球の友ジャパン開発金融と環境プログラム代表
       松本 悟  メコン・ウォッチ事務局長
       三留 央光 三浦半島かんきょうフォーラム代表
       真野 京子 環境ボランティアグループままはぷん事務局
       水田 哲生 立命館大学政策科学研究科・博士後期課程
       百武 巌  グリーン・アース代表
       村山 武彦 早稲田大学理工学部複合領域教授*
       門司 和夫 環境カウンセラー、K&M経営コンサルタンツ
       森嶋 伸夫 政策学校[一新塾]
       柳田由紀子 緑・住環境どうなる、保谷3・4・6道路
             ちょっと待ってよの会
       山下 博由 貝類保全研究会代表
       山根 雅子 高尾山天狗裁判原告、
             日の出の森・トラスト権利者
       山本 茂雄 (有)山本水産代表取締役社長 
       山口 泰子 婦人民主クラブ
       山崎 圭一 横浜国大経済学部助教授、途上国経済論
       吉川 三津子 海部農業と暮らしを守る会
       吉田 貴子 東京大学生物生産工学研究センター助手
       吉田 央  東京農工大学農学部教員*
       米田 頼司 和歌山大学教員*
       鷲尾 雅久 白保の海と大地を未来にのこす全国ネットワーク
       渡部 和能 円海山周辺の自然環境を守る市民の会事務局長
       綿末しのぶ 21世紀に八坂川で遊ぶ会 世話人代表

        NPO/NGO 環境行政改革フォーラム事務局
          環境行政改革フォーラム代表幹事 
           呼びかけ人代表 青山 貞一

         〒141-0021 東京都品川区上大崎4-5-26-4-1108
         電話 03-5759-1690 FAX 03-5759-1890
         代表者e-mail aoyama@eri.co.jp
         HP http://www.01.246.ne.jp/~aoyama


はじめに

 私たちは、環境行政改革を求めている、民間の任意のグループです。この8年間、環境問題の解決を通じて日本社会を改革していくという旗印のもと、専門家、研究者が地域社会、地域住民、環境NGOと連携し、国、地方また行政、立法を問わず具体的案件にかかわるなかで多様な活動をしてきました。近年においては、公共事業の見直しについても、全国各地で真摯に活動されている住民団体、NGOへの専門的、技術的な支援を展開しています。
 環境破壊が深刻化するとともに、環境を破壊して成り立った「公共事業」の負の側面が明らかになっている今日、われわれの環境を、現世代のみならず、世代間公平のために、環境が持続可能な範囲内での開発行為を考え,またそのために環境を改善するべき時代になっています。
 不要で環境破壊を伴い、しかも過大な財政負担を伴う大規模 公共事業が今ほど問われている時代はありません。にもかかわらず、大規模公共事業の多くが粛々と進められています。一方、仮にある程度必要な事業であっても、十分な情報開示、環境配慮がなく、地域住民との間での合意形成も不充分な公共事業が全国津々浦々で進められています。
 そんななか、国土交通省は、計画段階での情報開示,環境配慮,合意形成が不充分なまま直線的に進められている大規模公共事業の最終段階である土地収用に関連し、こともあろうか、土地収用法改正案を国会に提出しており、すでに衆議院を通過するまでになっています。もし、このまま参議院を通過すると、以下に示す取り返しのつかない国民的問題が生ずることになります。

問題1 公共、公益性の調整の名のもとに憲法により保障された私権が侵害される

 現行の土地収用法で用地の収用が手間取るのは、公共性、公益性のために私権を制限することから、その調整を丁寧に行うことに理由があります。現行法でも、その事業認定、すなわち公共性、公益性の認定プロセスに大きな問題があります。しかし、それを運用でかろうじてカバーしてきましたと言えます。その結果として、それなりの時間が必要となる,すなわち手間取るわけです。改正案ではこれを大幅に簡素化しています。計画段階でまともな情報公開、環境配慮,合意形成がないまま、土地収用段階で手続きを合理化,簡素化したらどうなるでしょうか。これでは日本国憲法によって保障された個人の権利は守られません。これはとんでもない改正となります。

問題2 ノーチェックの公共事業推進で国家財政が破綻する

 事業の最終段階で土地収用が簡単に行えるようになれば、不要で環境への影響が著しい事業に対する最後の歯止めがかからなくなります。すなわち、この改正案は公共事業のバラマキに直結する可能性があります。たとえば不要で著しい環境破壊をもたらし,さらに自治体財政や国家財政に過大な負担をかける大規模公共事業として、静岡空港建設事業があります。この建設にかろうじてまったをかけているのは、土地収用問題です。日本各地のダム事業、幹線道路事業などでも同様な状況があります。もし、土地収用が容易となれば、中央官僚と自治体の首長、それに族議員らの連携によって、どんな大規模事業も公共事業として直線的に推進されることになります。今回の法律改正では,PFI(Private Finance Initiative)など民間資金導入によって行われる事業にも土地収用法が適用されるとしています。

問題3 誤った情報で世論が操作されている

 東京都の日の出にある一般廃棄物の広域最終処分場の建設問題で,石原東京都知事らは誤った情報、すなわち日の出最終処分場問題では5700万円の補償金を手渡すのに、その10倍以上の7億円もの費用がかかったことを喧伝してきました。しかし,これは大きな間違いです。一部事務組合から経費の明細を入手し分析したところ、数千万円しかかかっていないことが分かりつつあります。ご承知のように、この一部事務組合は、最終処分場から環境に浸出する水質汚濁やダイオキシン類、重金属など有害化学物質データを、一日単位で膨大なお金を住民側に支払ってまで隠蔽してきた団体です。このようないわば地方自治体に準拠する法人が出す根拠不明確な情報をもとに、世論を操作することは許されません。

問題4 自作自演の公共,公益性判断(事業認定)は間違いである

 土地収用では事業認定、すなわち提案事業の公共,公益性の判断を第三者機関で行うとなっています。しかし、第三者機関(国土交通省の社会資本整備審議会など)が果たして、第三者機関と言えるでしょうか。国の審議会の委員は省庁の推薦のもとで任命されており,同一の委員があちこちの審議会などに名を連ねています。これらの委員は、議員や首長のように、国民から選挙で選ばれていない行政機関や官僚によって選ばれています。そのような場で、計画段階からほとんど公共性,公益性についてノーチェックできた事業の公共,公益性をまともに評価,判断できるとは考えられません。これではまさに事業者による自作自演の事業認定とならざるをえないと言えます。

 以上の問題を解決するには、今回の改正を破棄し、むしろ以下の諸点を実行すべきと考えます。

課題1 計画段階での合意形成を拡充することが正道である

 日本では、行政手続法、環境影響評価法、情報公開法など、公共事業の計画,実施における国民の権利を保障し、計画主体,事業主体との間での対話を促すための手続法制が,米国に較べて、いずれも30年以上おくれて制定されました。情報公開法にいたっては、この4月に施行されています。しかも、それらの法律はいずれも省庁提案法案であり、多くの不備を内包しています。つまり、日本では公共事業をとりまく法制については、およそ先進国,民主主義国とは言えない状況があります。本来、改正すべきは公共事業の計画段階で地域住民,国民との合意を形成するための各種の手続法ないし個別事業法であるはずです。それらの改正を抜きにドンズマリにある土地収用法だけ改正し、公共事業を強引に推進するようになれば、日本は民主主義国家とは言えなくなります。行政手続法が成立した際、時期尚早と見送られた行政計画の策定手続段階で住民意見を反映する手続)を再構築し改正することも大切です。また現在,事業実施の段階で行われている環境アセスを、計画段階において社会経済的項目や「事業なし」を含め,さらに明示的な代替案を対象に実施することも不可欠です。これは1997年に制定した環境影響評価法の付帯決議にある、計画アセスないし戦略アセスを早急に制度化すべきことを意味します。

課題2 計画立案過程の改革とその過程での司法審査の強化

 課題1と関連し、土地収用に連なる各種の法定計画、行政計画、さらにはその財政的根拠をなす財政計画(たとえば空港整備五か年計画,港湾整備五ヶ年計画,道路整備5ヶ年計画,水資源整備5ヶ年計画など)の立案過程で計画の変更や後戻りが可能となるような計画立案、策定過程そして意思決定過程を改革することが不可欠です。また、これらのうち事後の計画や処分の前提となり、環境への影響が具体的かつ直接的であるもの(たとえば、港湾計画、特定多目的ダム計画、都市計画決定など)については、それらの策定過程で直接的に経済的利害をもつものだけでなく、環境配慮の面から行政訴訟が可能となるよう、いわゆる処分性と原告適格性の拡大をはかるべきです。そのうえで、裁判所がこの計画の適法性を実効的に監視できるためには、事前に適正な事業評価手続が必要となります。土地収用の事業認定については訴訟で争うことができるが、その裁量は広いため、実効性が低い。その実効性を確保するために、事業の適正な評価手法が必要なことは同様です。それにより公共事業の暴走を公共事業等の計画段階司法面からチェックする仕組みができます。

議員各位へのお願い

 以上述べたように、参議院で審議予定の土地収用法改正案は、環境破壊、国家財政、憲法で保障された権利をブルドーザーでなぎ倒す、無謀な法改正であり、大規模公共事業がもたらす多くの問題がこれほど国民的な課題となっている最中の改正を、わたくしたちは到底許すことはできません。わたくしたちは、この改正を日本の民主主義の危機と理解しております。
 その意味で、わたくしたちは参議院議員各位に、この無謀な土地収用法の改正を思いとどまるよう、強く要望するものであります。     以上
 



土地収用法改正案の廃案を求めるアピール/公共事業を見直すネットワーク
 
 
2001年6月23日
 土地収用法から公共事業を見直すネットワーク

 
土地収用法改正案の廃案を求めるアピール


 私たちは、先般衆議院で可決された「土地収用法改正案」の廃案を求めます。
 同改正案は、単にトラスト運動を封じる法案ではなく、これまでの公共事業のあり方、つまり公益性を失ってなお進められてきた公共事業の誤った総括です。私たちはこの間違った総括を以下の点、つまり本来の公共事業改革とは何かという点から、土地収用法よりも先に着手すべきことがある考えます。
 
 1. 公共事業の根拠法を見直し、計画段階での情報公開と住民参加を制度化すること。
 2. 一般法である行政手続法が93年に成立した際、時期尚早と見送られた行政確定手続(公共事業の計画段階で住民意見を反映する手続)を再構築し改正すること。
 3. 環境影響評価法を改正し社会経済的評価やゼロオプションを含む代替案との比較検討を可能にすること。
 4. 事業計画に処分性を持たせ、変更や後戻りが可能な段階で、司法によるチェックが可能となること。
 5. 行政事件訴訟法に基づく執行不停止原則を見直し、訴訟中に事業が進み訴えの利益がなくなることを避けること。
 
 ところが、今国会では、一度始まったら止まらない公共事業システム全体の根幹の改革は置き去りにされ、結果として、合意なき公共事業を後押しする形のこの法案が提出されました。
 衆議院での審議では、小泉内閣の人気にあぐらをかいた与党はもちろん、公共事業の見直しを強く主張して来たはずの民主党が、「修正の上賛成」の立場をとった結果、スピード可決されました。参議院でも会期終了日をめがけて拙速な議論が行われ、通過してしまいそうな勢いです。

 私達は、改正案を慎重審議を通して廃案にした上、改革の順番を間違えることなく、次国会に向けて真の公共事業改革に取り組むことを、与野党に強く求めます。


<アピール賛同者>
牛島聡美(弁護士)・藤原寿和(止めよう!ダイオキシン汚染・関東ネットワーク事務局長/残土・産廃問題ネットワーク・ちば代表)・佐藤周一(広島瀬戸内新聞主筆)・諏訪亜紀(ロンドン大学バートレット・スクール・オブ・プラニング)・松谷清(政策ネット・虹と緑・静岡県/空港は要らない静岡県民の会/空港に反対する地権者・住民の会)・杉山百合子(日の出トラスト地権者・藤沢エコネット会員)・原口真(株式会社住友海上リスク総合研究所副主任研究員)・辻淳夫(藤前干潟を守る会代表/日本湿地ネットワーク代表)・柏木実(日本湿地ネットワーク東京事務所)・大浜清(三番瀬を守る書名ネットワーク代表)・掘良一(博多湾市民の会事務局長)・近藤ゆり子(徳山ダム建設中止を求める会事務局長)・青山貞一(環境行政改革フォーラム代表幹事)・飯田哲也(環境エネルギー政策研究所所長)・大橋光雄(廃棄物処分場問題全国ネットワーク代表)・小池信太郎(公害・地球環境問題懇談会幹事長)・標博重(首都圏道路問題連絡会代表幹事)・豊田誠(公害弁連/弁護士)・後藤隆(エコウォッチちば)・橋本良仁(道路公害反対運動全国連絡会事務局長)・原科幸彦(東京工業大学教授)・藤原信(宇都宮大学名誉教授)・本間慎(東京農工大名誉教授)・三輪啓(日の出の森・トラスト運動共同代表)


 


高速道路拡充不要が47%に…内閣府世論調査
 内閣府の「道路に関する世論調査」(2001年1月実施、20歳以上の3000人対象、回答は2154人、4月21日発表)で、これ以上高速道路を拡充させる必要がないと感じている人が約47%となり、高速道路の整備は「必要」とするという国民意識は、21世紀に入り「不必要」だとする世論に転換しつつあることがわかった。なかでも道路建設を進める場合の留意事項についてのアンケートでは「道路事業に着手する前に必要性や効果を厳しく評価すべき」とする回答が40%でトップとなった。またさらに「計画段階からの住民説明の充実」を求める意見も34・6%となるなど、事業の適正化や民主化を求める意見が強くなっている傾向にある。
 さらに、道路整備で力を入れてほしい分野については「歩行者専用・優先道路」が、前回より8・6ポイント増えて38.5%で最多となり、クルマ中心の道路建設の転換を求める傾向も鮮明となった。


ジュゴンとやんばるの生態系保護、JNEPが申入れ

環境大臣
沖縄北方担当大臣
防衛庁長官 各関係大臣宛

2001年4月18日
公害・地球懇(JNEP)

沖縄のジュゴンとやんばるの生態系保護を(申入れ)


 国の天然記念物に指定され、ワシントン条約で絶滅の危機にある種として保護指定されているジュゴンは、沖縄中北部の東海岸で数十頭レベルで生息していると見られています。防衛庁が昨年実施した航空調査では、6頭が確認され、そのうち5頭は名護市辺野古沿岸域近くで発見されています(3月6日、第6回代替施設協議会での報告)。
 日米両政府は、ジュゴンが生息するこのような海域に米海兵隊の普天間基地の代替施設の建設を計画しています。これにたいして、昨年10月、ヨルダンの首都アンマンで開催された国際自然保護連合(IUSN)の第2回世界自然保護会議は「この空港の建設がこの地域でおこなわれた場合、ジュゴンの重要な休息とエサ場である辺野古沿岸域の珊瑚礁及び海草場が破壊される危険があり、この小さな地域個体群の生存に重大な脅威を与える可能性がある」として日米両政府に生息域の調査、保全を勧告しました。
 また、やんばると呼ばれている沖縄本島北部の亜熱帯林は、ノグチゲラやヤンバルクイナなど世界的にまれな動植物の宝庫で、ここでしか生息していない固有種は66種もあります。ところが、米軍による基地建設と軍事訓練でこの貴重な自然が破壊されてきたうえに、新たにヘリパッドの建設が進められようとしています。このことについてもIUSNの会議では「軍用機のための7カ所のヘリパッドとそれらを結ぶ道路の建設が、残された最も重要な自然林地域において固有種の生息環境の悪化をもたらす危険がある」ことを懸念し、その保全を勧告し、やんばるを世界遺産候補地に指定するようよびかけています。
 辺野古沿岸域への米軍新基地建設、やんばるの森のヘリパッド基地の建設は、沖縄の生態系豊かな自然環境を破壊するものとして断じて容認できません。政府が、世界自然保護会議の勧告を真正面からうけとめ、軍事施設の建設計画をとりやめ、ジュゴンの保護とやんばるの生態系の保全のため適切な措置をとるよう申し入れるものです。


 


土地収用法改悪ゆるさない集会で決議
 2001年4月7日、渋谷区で「土地収用法改定から公共事業を考える討論集会〜公共事業のあり方を問う〜」(JNEP、首都圏道路問題連絡会などが主催/参加者100人)が開かれ、青山貞一氏(環境総合研究所所長)は基調講演で、多くの場合不要で著しい環境影響をもたらす大規模公共事業の弊害がこれほど国民的課題となっている昨今、土地収用法改正案は現在進行中の津々浦々の公共事業を強引に推進させるための特別措置だと指摘して、国民的立場で公共事業をチェックするには、この機会をとらえて、日本の公共事業を推進する財政制度を含む法体系や行政手続法、情報公開法、さらに環境アセス法の諸問題としっかり向きあう必要があると話した。
 また、土地収用法改悪で直接影響を受ける各地の住民団体(日の出ゴミ処分場/圏央道牛沼の建設現場/川辺川ダム)から土地収用を受けた立場からの問題点や、今後のたたかいについて報告がなされた。
 「土地収用法ネット」の標(しめぎ)氏は、改悪法の問題点を指摘するとともに、ネットとしての改正対案について「事業者が土地収用を計る自作自演でなく、国会選出の独立行政委員会を新設して公正な立場で収用の当否を決める制度」にしたいと、対案の紹介を行い、改悪案の廃案のために運動するが、仮に審議入りすれば、野党各派に働きかけて、改悪案に対置したいと語った。
 集会は「収用法改悪は公共事業のあり方に対する反省なしに、市民に責任転嫁するもので、断固認められない」としたうえで、国民向けに「収用法改悪阻止、公共事業の全面的見直しに向けた取り組みへの参加」を呼びかけるアピールを行った。


高尾山天狗裁判、自然物原告を門前払い
 「高尾山天狗裁判」…圏央道工事差止請求事件を審理している東京地裁八王子支部は、3月26日、蘇我大三郎裁判官名で「高尾山」「ムササビ」「ブナ」「八王子城跡」「オオタカ」の各自然物原告の原告としての適格性について、当事者能力が民事訴訟法などの法律によって認められていないとして、同裁判の原告のうち自然物5原告について訴えそのものを却下する決定を下した。
 自然物を原告とする裁判はこれまでもアマミノクロウサギ、オオヒシクイ裁判などが争われたが、今回と同じく当事者能力を認めなかった経緯がある。
 これについて原告側は、3月29日の吉山寛原告団長と鈴木堯博弁護団長の連名の声明で「アメリカでは法律の規定がなくても1970年代から裁判所が自然物の訴訟当事者能力を認めている判決が多数ある」「日本においても裁判所が勇気を持てば自然物の当事者能力を認めることができるはず」と主張し、裁判所が旧来の殻から脱却することを求め、4月6日、東京高裁に控訴した。


長野県知事が「脱ダム」宣言
 長野県の田中康夫知事は2001年2月20日、「県としては新たにダムは造らない」と述べ、県が建設を計画している11のダム事業のうち、本体工事に着工していない8カ所のダム建設を原則中止する方針を明らかにした。
 また同知事はダムの新設に代えて、自然の保水力を高める「緑のダム」構想も提唱。
 さらに歴史的経緯のある水利権についても、国に抜本的な見直しを働きかける一方、県としても見直しを進める方針。
 この長野県知事の「脱ダム」発言は、政府与党と元建設省(国土交通省)が進めた形ばかりの公共事業見直しに現場の県政の立場から異議を唱えるとともに、治水イコールダム建設という唯一の政策選択のあり方に疑問を投げかけ、全国の公共事業見直し論議をいっそう加速させるものと見られる。
 田中知事は発言で「ダムは環境に負荷をかけるうえ、いずれ造り直さなければならない。堆砂の問題もある」と述べ、今後は通常の河川改修やしゅんせつ、森林の持つ自然の保水力も組み合わせてたいとも述べた。
 また田中知事は「数百億円を投じて建設するコンクリートのダムは、負荷を地球環境に与える。河川改修費用がダムより多額になったとしても、百年、二百年先の子孫に残す資産としての河川・湖沼の価値を重視したい」と語り、これを「長野モデル」として全国に発信したいとしている。
 中止となる長野県内のダムは、下諏訪ダム(下諏訪町)や蓼科ダム(茅野市)など8カ所で、下諏訪ダムは、その必要性をめぐり住民の反対運動が続いていたところで、田中知事も現地視察を行ったうえで、今回の中止判断に踏み切った。これにともない下諏訪ダムの治水対策は、堤防のかさ上げなどで対応する方針。
 またすでに本体工事に着手している大仏ダム(松本市)の建設中止、浅川ダム(長野市)の一時中断についても「県総合治水検討委員会(仮称)」で、今後、検討してゆく方針。
 今回の田中知事の「脱ダム」宣言をめぐっては、長野県庁内や県議会での合意を得たものではなく、また扇千景国土交通相は、さっそく知事発言を批判している。今後、長野県内や国側との激しい議論が展開されるとしても、こうした長野県知事の決断を21世紀型の自治体の長の発言として歓迎し、支持してゆきたい。


高尾山天狗訴訟、口頭弁論始まる(01/03/20)
 高尾山天狗裁判の第1回口頭弁論が2001年1月29日、東京地裁八王子支部で行われ、傍聴席の倍近い関係者らが集まった。
 この日は原告側が、高尾山について、元朝日新聞論説委員、植物学者、考古学者のほか、弁護士をふくめ7人が法廷に立ち、自然のすばらしさ、保護の重要性、道路建設計画の問題点などについて陳述した
 この裁判で新たな提起となっている自然物を原告に仕立てる問題について、裁判所側は原告として適格性があるかどうかの判断は、示さなかった。
 また、3月19日の裁判所側との進行協議で、第2回口頭弁論が6月25日とされたほか、原告側は、本裁判の差し止め請求の根拠となる資料として、国側の高尾山トンネル計画のほか環境アセス評価書などの重要資料を請求した。
今までの経過
 圏央道東京ルートのあきる野市における土地強制収用、オオタカ営巣中の八王子城跡トンネルの強行に続き、高尾山トンネル工事をねらう建設省の動きに対抗するために、工事差止めを求めて「高尾山天狗裁判」が10月25日、東京地裁八王子支部に提訴された。原告(吉山寛団長)は首都圏を中心に1060人で、この種の裁判では異例の大原告団となったほか、オオタカ、ムササビ、ブナや高尾山と八王子城跡などの自然物。
 高尾山にトンネルを通して自然を破壊する圏央道計画に抗して、裏高尾圏央道反対同盟や高尾山の自然をまもる市民の会など市民グループは計画発表以来16年間におよぶたたかいを継続してきたが、市民運動側の問題提起を無視し続け、工事を強行する姿勢をとり続ける建設省側と争うには法廷闘争が唯一残された道となったもの。
 本裁判は、1000人を越える原告のほか、天狗訴訟の名称に現れているように、高尾山と、その生態系全体を守るために道路延長5.5キロメートルの工事差し止めを求めている。日本の法廷では、自然物を原告として認める段階には至っていないが、訴訟を通じてこうした自然の権利を日本において前進・定着されるねらいも込められている。
 なお、市民グループの原告団体は、高尾山自然保護実行委員会、高尾山の自然をまもる市民の会、高尾自然体験学習林の会、国史跡八王子城とオオタカを守る会、地権者の会・ムササビ党、高尾・浅川の自然と守る会の6団体である。
 (問い合わせ先 高尾山天狗裁判原告団…橋本良仁原告団事務局長、関島保雄弁護団事務局長 TEL 0426-62-8115 FAX 0426-69-7387)

第1回口頭弁論意見陳述…高尾山をまもる市民の会ホームページにリンクします
高尾の景観を守る意見 辰濃 和男(ジャーナリスト、元朝日新聞論説委員)
高尾山の豊かな価値について 吉山 寛(高尾山天狗裁判原告団長)
八王子城跡の価値を後世に 椚 國男(国史跡八王子城とオオタカを守る会代表)
オオタカ生息地での圏央道工事中止を求める
 小池 清(八王子・城山のオオタカを守る会代表)
裏高尾の住民の立場からの意見 峰尾 幸雄(地元裏高尾町在住・農業)
自然を保護するための裁判上の権利について 菅野 庄一(弁護士)/工藤 一彦(弁護士)
20世紀の公害・環境裁判が果たした成果と教訓を生かし新たな展開を 野呂 汎(弁護士)
司法の果たす役割 鈴木 堯博(高尾山天狗裁判弁護団長)

土地収用法改正でJNEPが意見

JNEPは2001年1月29日、土地収用法改正に対し、次のパブリックコメントを行った。

国土交通省総合政策局総務課(土地収用管理室意見募集担当)御中

2001年1月29日
公害・地球懇 (JNEP)
幹事長 小池信太郎

土地収用法改正に対する意見

 
 1.はじめに
 土地収用法は、公共事業の用地取得に紛争が生じたときの最後の手段であり、その適用に当たっては、大変慎重でなければならないし、適用する場合には多くの国民が単に納得できるだけでなく、収用委員会に仮に入った場合には同じ結論を出すと考えさせるような公正で客観的で説得力のある理由が必要である。
 これまで、行政が公共事業の用地取得の実現に焦る余り、なぜ地権者の同意が得られないのか、これまでの手続きに問題はなかったのか、などを考えずに、その適用を進めてきたと見ざるをえないケースが見受けられる。どのような場合に認められるのか、透明性のある客観的なルール、例えば収用委員会の100%を推進派が占めても逆に100%を反対派が占めても結論が変わらないようなルールが何一つないこと、それでいて原告も裁判長も同じ建設大臣(当時)になる機会が多いのは大きな問題である。
 土地収用法を現段階で見直すとすれば、上に指摘したような問題の再発を防止するため、適用要件のルール化が必要であり、また公正に運用するための場が必要である。以下に、意見を述べる。
 
 2.内容について
 (1)土地収用制度見直しの方向性委員会の運用、裁量に依存した制度を改め、事業認定、収用裁決の両方について透明性の高いルールを定め、結論がその人選によらないようにすることが必要である。
 また、その運用が公正であると判断される最低限のルール、例えば原告と裁判官が同一人物であるような規定(現在は両方が建設大臣(国土交通大臣)になることが多い)にしない、などは当たり前のことである。
 
 (2)事業認定制度
 土地収用において、事業認定はその根幹をなす大変重要な制度である。ここがお手盛りと国民から取られるようでは、制度全体が信用を失う。このことは単に説明会や公聴会を実施し、結果を説明すればすむものではない。
 まず、客観的で透明性の高いルールが必要である。これは、極端な場合、土地収用委員会が全て公共事業反対派の住民で占められた場合でも同じ結論が得られるような、土地収用委員の裁量の余地を狭めた制度にすることが必要である。
 次に、認定を行う機関は国土交通省、農水省、その他土地収用を行う可能性のある官庁内に置いてはならない。これらの機関から独立した第三者機関(大臣の諮問機関は第三者機関とは言えない)を設置し、委員は行政だけで決めずに、市民団体など様々なセクターが推薦する仕組みとすべきである。
 運用については、裁判のような対審構造とし、テーマに問題がなければ誰でも何度でも質問でき、行政にその回答を求められるようにすべきである。様々な議論の際の挙証責任は住民に負わせることなく、行政が負うのは当然のことである。収用の期限が問題になることが多いが、裁判でいう証人尋問が終わらないうちに打ち切るのは問題外であり、明らかな引き延ばし工作と認める場合など事前に定めたルールに適合する場合であって委員の多数(例えば5分の4以上)が認めた場合などに限定すべきである。制度の信頼性を担保するためには、行政が挙証責任を負えなくなったから打ち切った、などと判断されるケースは絶対にあってはならない。
 
 (3)収用裁決手続について
 収用採決手続についても、公正で客観的なルールづくりが求められており、委員会の人選や裁量によりその結論が大きく変わるようでは問題である。収用採決手続の問題点は上のような客観性がないことであり、簡素化が求められているわけではない。調書作成の簡素化、代表当事者の選出、払い渡し方法の簡素化、委員会でも主張制限は、委員会が大変強権化し、また安易な決定を容易にするよう制度的に後押しするように見えるが、このことは公正で客観的なルールづくりとは逆行するもので、反対せざるをえない。
 
 (4)収用適格事業について
 PFI事業は建設までは民間の責任で行うものであり、安易に当法の対象にすべきでない。
 廃棄物処理施設については、運営主体の中には裁判所の命令にすら長期間従わないような者もいることから、その全てを安易に当法の対象として定めるのには反対である。なお、「土地収用制度調査研究会報告」に廃棄物処理施設の重要性について述べている部分があるが、自治体が行うことも多い当該施設の整備の重要性は一般には当然のことであって、そのことと、土地収用法適用に至った個々の施設の問題、個別の施設の公共性の判断などは別である。従来の多くの事例は行政の側にこの区別がついていなかったことの問題であるので、また今回の改正がこの延長線上にあると見受けられるので特に強調したい。

 


反対住民の抵抗力そぐ土地収用法改悪
 公共事業の用地を強制的に買収する土地収用法の改悪内容が明らかになった。
 旧建設省の土地収用制度調査研究会(建設経済局長の私的研究会)報告で、収用手続きを簡素化し、公共事業の用地買収をしやすくすることをねらっている。
 昨年10月の日の出ごみ処分場(東京)工事で同法による強制代執行が行われたが、処分場建設に反対する共有地への収用手続きを巡って時間と経費がかかるとマスコミも使ってキャンペーンが行われた。
 改悪はこうした公共事業への反対運動を押さえ込み、国など事業者の計画通りの事業を、効率よく推進することを具体化したものである。扇運輸・建設相や石原都知事も同法の強化を主張していている。1月末からの通常国会に同法改正案が準備される方向である。
 そもそも、公共事業をめぐる問題は、住民参加や対話を無視した強引なやり方と形式的な環境アセスで計画推進をはかる国などの姿勢に根本的な問題がある。住民側はこれに対抗するために、土地の共同所有で地権者として反対運動を展開せざるを得ない状況があり、国民的理解のもとに事業計画を取り扱うべき国などのその責任があることはいうまでもない。
 反省しなければならないのは、問題を指摘されている公共事業計画の抜本的見直しであるのに、反対住民の抵抗力を弱めるための手続き法の改悪をねらうとは、20世紀型の手法で公共事業をさらに推進しようとする本末転倒といわねばならない。
 JNEPも参加する「土地収用法から公共事業を見直すネットワーク」は2000年12月27日、次の反対声明を発表し、土地収用制度調査研究会報告の問題点を指摘している。

 

「土地収用制度調査研究会報告」への声明

2000年12月27日
土地収用法から公共事業を見直すネットワーク発起人一同

 建設省は、昨日、「土地収用制度調査研究会報告」を公表しました。
 発起人一同は、21世紀の中心的な価値及び理念である「環境」と「人権」に対する配慮がなく、公共事業の「公共性」が大きく問われている現在、ひとたび事業者が決めた事業を効率的、経済的に推進すると言う名目で土地収用法を改訂することに、大きな危惧と疑念を持つものであります。
 以下は、土地収用法改正骨子案としてのこの研究会報告に対する発起人一同の基本的意見と修正要求内容です。

(1)の事業認定手続きについて
【双方向の公聴会で公益性の徹底論議が必要】
 「事前説明会」が義務付けされましたが、一方的な説明では不充分です。現在、トラスト運動が起きている公共事業は、「公益性」が客観的に失われているもの、あるいは公共事業としての「適正な手続き」が欠如したままで強引にすすめられてきた事業がほとんどであり、そうした疑いを残さないためにも、「公聴会」も含め、事業者、地権者、認定者を含めての双方向の質疑応答の場が必要です。

【意見書への回答の義務化が必要】
 現行法では、利害関係者は意見書を提出することができますが、その扱いについてはまったく回答がなく、一方的かつ不透明で、行政の手続きとして不充分であり、これもまた義務化する必要があります。

【事業認定理由の公表について】
 行政手続法第8条により、事業認定申請を拒否する場合は、理由を明示することになっています。今回は、申請を受けつけた場合に不利になる地権者に対し、理由を明示するものです。そもそも憲法で保障されている権利の侵害に対し、理由を公表しなかったこと自体が、この法律の古さを物語っているものであり、マイナーかつ当然の改正です。
 むしろ、問題は、事業認定取消し訴訟を起こしても、その時点ではすでに、任意買収によって大半の土地が買収されていることです。虫食い状態で残った土地に対して事業認定の取消しを訴えても、事業自体を覆すことには当然ならず、裁判によって私有権を守ることが不可能で、事業者に有利な法制度になっています。訴訟が提起された場合に一定期間手続きを停止したり、事業自体が、変更、中止もありうるよう、事業認定の意義と時期の見直しが迫られています。

【事業認定庁は第三者機関であるべき】
 これまでの認定庁であった建設省建設経済局が再編で名称を国土交通省総合政策局と変えて認定をすることになります。建設省、運輸省、国土庁、北海道開発庁を合わせた巨大公共事業省の事業に関しては、その内部機関が、「公益性」の認定をすることになるわけで、公正な認定は不可能です。行政は一体のものであり、事業者も認定者もその責任者は国土交通省大臣一人であり、分裂的に相反する結論を、一人の大臣が持つことは非現実的だからです。
 意見聴取を「第三者機関」から行うといっても、それが「国土交通大臣の場合は社会資本整備審議会の、都道府県知事の場合は条例で定める機関」では、地権者や公益性に疑問を持つ立場から見れば、本当の中立性は担保されません。

【通達による事前相談】
 現行法では、通達によって正式申請の事前の相談と調整によって、事実上の申請、認定がとりおこなわれ、事実、認定を拒否されたケースはありません。このような内部的なやり取りこそ、公開の場、公聴会で行うことを義務付けるべきです。

(2)の収用裁決手続きについて
【補償金受渡し方法の合理化について】
 現行法のもとでは、地権者に持参、手渡がされていることで、人材、財政ともに負担となっていることがこの改正の理由です。同時にこの負担は、強制収用を簡単にさせないための抑止力になっているとも言えます。制度的に効率化、財政削減になることは悪くないとしても、裁決に不服とし裁判で争うつもりの地権者の補償金受領拒否権を保障するためには、裁決後、地権者が裁決に従うかどうかの確認をする手続きが必要です。そうでなければ、効率化を越えて公権力の強化に傾くことに留意する必要があります。

(4)の補償金に関する仲裁制度の創設
【仲裁について】
 補償金のみを争点とした仲裁制度だけが提案されていますが、事業を収用にかける事態がそもそも仲裁を必要とする紛争状態であるという認識に立てば、補償金だけでなく、公益性そのものについても第三者機関が間に立たなければならないことは明かです。

(5)の収用適格事業について
【情報公開法・条例が及ばない事業体に対しては土地収用法の対象とすべきではない】
 独立行政法人、廃棄物処理センター、リサイクル施設など、情報公開法や条例の効力が確保されない事業体については、収用適格事業とすべきではありません。
 以上、次期通常国会に、閣法として提出される予定の土地収用法改正案に、この意見が反映されることを要望いたします。さらに、公共事業全体の構図の中で、より適正な住民参加手続や行政手続、情報公開、裁判制度を整備するための抜本的な改革が必要であることについて、なんら触れられていないことを遺憾に思い、ここに改めて強調いたします。
 ≪土地収用法から公共事業を見直すネットワーク発起人(五十音順)≫
 青山貞一(環境行政改革フォーラム代表幹事)、飯田哲也(日本総合研究所主任研究員)、五十嵐敬喜(法政大学教授)、大橋光雄(廃棄物処分場問題全国ネットワーク事務局長)、熊本一規(明治学院大学教授)、小池信太郎(公害、地球環境問題懇談会幹事長)、坂元雅行(野生生物保全論研究会事務局長)、清水誠(神奈川大学教授)、標博重(首都圏道路問題連絡会代表幹事)、豊田誠(公害弁連、弁護士)、後藤隆(ユニットGOMA)、橋本良仁(道路公害反対運動全国連絡会事務局長)、原科幸彦(東京工業大学教授)、福井秀夫(法政大学教授)、藤原信(宇都宮大学名誉教授)、本間慎(東京農工大名誉教授)、政野淳子(ジャーナリスト)、三輪啓(ジャーナリスト)、矢山有作(水源開発問題全国連絡会代表)

<参考>

土地収用制度調査研究会報告について(建設省 平成12年12月26日 概要版)

 1 土地収用制度調査研究会報告の要旨
(1)事業認定手続きについて
@ 事業内容等の周知を図るための事前説明会の開催の義務付け
A 幅広い意見聴取のための公聴会の開催の義務付け
B 事業認定の中立性を担保するための第三者機関の意見聴取
C 公正の確保と透明性の向上のための事業認定理由の公表
→事業の公益性に関する透明性・公正性・合理性を確保するための新たな手続きの導入

(2)収用裁決手続きについて
@ 権利者が多数の場合等の土地・物件調書作成の特例の創設
A 審理の円滑かつ合理的な遂行のための代表当事者制度の創設
B 現金書留郵便の勝つ様など補償金払渡法の合理化
C 収用委員会の審理における事業の公益性に関する主張の制限
→適正な手続きにより公益性が認定された事業について、裁決手続きの合理的かつ円滑な遂行の確保

(3)損失補償について
@ 金銭補償に加えて代替地、代替住宅、代替店舗等のあっせん等生活再建措置の充実
A 具体的な補償基準の法令化
→被収用者の生活や事業活動の実情を踏まえたきめ細かな対応

(4)補償金に関する仲裁制度の創設
補償金のみが争点になっている場合における簡易な補償金仲裁制度の創設
→簡易な手続きを用いた紛争の解決による、土地収用制度の目的の達成

(5)収用適格事業について
@ 独立行政法人が使用する施設
A 地方公共団体等が設置するリサイクル施設
B 俳句物処理センターが設置する廃棄物処理施設
→循環型社会形成等近年のニーズに対応した収用適格事業の見直し


環境相が三番瀬の全面見直し要求
 川口環境相は2001年1月12日、東京湾最奥の「三番瀬」を視察し、千葉県の干潟などを101ヘクタールにわたる埋立て計画について、「埋め立て地の縮小など計画を全面的に見直すべき」と述べた。
 庁から省に昇格した環境省の存在感をアピールする「初仕事」との見方もでているが、今後の展開が注目される。
 環境相は現計画について「必要最小限になっていない」と指摘し、計画されたバブル期以降の変化に応じた考え方の必要性を強調した。
 三番瀬そのものについては「大都市の近くに残る素晴らしい自然」であり「子孫まで引き継ぐ義務がある」と述べた。
 これにたいし沼田知事は15日、「若干でも修正の余地があれば検討する」と述べたものの、埋め立て面積の縮小や第二湾岸道の地下化は困難との見方で、最終調整まで曲折が予想される。
 また千葉県知事の諮問機関「県環境会議」の下部組織「環境調整検討委員会」(白鳥孝治委員長)は15日までに、生態系を崩さないよう泥質域を保全することや、埋立て地利用の必要性を精査する内容の、埋立てに否定的な報告書案をまとめている。
 市民団体「三番瀬フォーラム」も、三番瀬について、現在のコンクリート護岸を自然に近い海岸に戻し、塩田や子どもの遊び場となるアシ原をつくるなどして、海辺と触れ合うことのできる環境の再現するなど、海岸線をかつての自然な姿に戻す提言をまとめた。


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