(02/11/28)

高速道路建設と田中角栄
国民不在の高速道路計画
税金で有料高速道路建設
高速道路中心で生活道路は荒廃
ずさんな高速道路計画
準高速道路、地域高規格道路とは
でたらめな高速道路の着工順位
道路関係4公団民営化推進委員会のゆくえ
日本型有料高速道路に未来はない
有料高速道路建設は公共事業と呼べない
一般道の渋滞放置、「渋滞解消のために高速必要」
道路特定財源の見直しは条件付きで
人口密集国土に合った交通政策を
道路建設を考える基本(交通需要管理政策)
      橋脚が林立する建設中の圏央道秋川インター


 日本道路公団、首都高速道路公団、阪神高速道路公団、本州四国連絡橋公団の「4道路公団の民営化」、そして、「採算の合わない高速道路は建設しない」等々、3カ月余にわたってほとんど毎日のようにマスコミを賑わしている高速道路問題。
 国民は恐らく、1m当たりの建設費が1,000万円以上もする高速道路が、全く自分たちと関係のない事のように接したことだろうと思います。「高速道路は無いよりもあった方が便利」ぐらいで、日常あまり利用しないからです。しかし、高速道路と私たちとの関係はそんな単純な関係だけでしょうか。そもそも高速道路とはどんなもので、何が問題なのか、マスコミの断片情報だけでは理解できないことも多いですね。そこで、高速道路とはなにか。高速道路の何が問題なのかをまとめました。(小井 修一)


高速道路建設と田中角栄

 日本の高速道路がいつ頃から、建設されたのかを調べるのは、高速道路に関する法律を見れば一目瞭然です。
高速道路の建設が当初から、道路公団(第3セクター)による、有料道路として出発したために、その法的整備をせざるを得なかったためです。
 そして、この一覧表の法律のほとんどが「日本列島改造論の田中角栄」が、成立に関わったと言われています。
 少なくとも、これらの法律が、「今日の財政危機と道路公害など、環境破壊」のもととなっていることを否定する人はいないでしょう。当時の日本の科学技術の現状もさることながら、高速道路建設の目的がこれらを無視したからです。

道路整備関連の法律
道路整備特別措置法(1956/3)有料道路規定、料金徴収
日本道路公団法(56/3)有料道路の新設とメンテ
国土開発幹線自動車道建設法(57/4)高速道ネット計画。7850km指定
高速自動車国道法(57/4)国土開発幹線自動車道含む全般的維持管理
道路整備特別会計法(58/3)石油ガス税等の受け入れ
道路整備緊急措置法(58/3)財源は石油ガス税(3条)、負担率(4条)
同上・施行令(59/2)自動車専用一般国道改築、国負担7/10
首都高速道路公団法(59/4)東京都、その周辺
阪神高速道路公団法(62/3)京阪神、その周辺
本州四国連絡橋公団法(70/5)本州と四国間
第4次全国総合開発計画(87/6閣議決定)高規格幹線道14000km計画、うち2300km一般国道専用自動車道指定



国民不在で決められた高速道路計画

 国土開発幹線自動車道建設法(1957年)で定められた、日本の高速道路は7,850qでしたが、1960〜70年にかけての高度経済成長によって、計画が進み、且つアメリカの強い内需拡大要求によって、「第四次全国総合開発計画」は、高規格幹線自動車道と呼んで、計14,000qの計画を策定しました。
 問題なのは、この全国的な「総合開発計画」が「国土審議会」(衆参両議院15人、その他30人)で審議され、そのまま閣議決定され、国会での審議も議決もされないという、国民不在の計画であるということです。
 10年以上の長期計画である国土開発計画が1省庁の思惑で簡単に決定されるシステム、ここにも高速道路等、公共事業全体の問題点があることをまず知ることが必要です。


日本の高速道路の現状
○高規格幹線道路(80q/h以上)14,000q
日本道路公団11,520q 開通6,959q(2001年現在) 施工中2,383q(整備計画) 予定2,178q
一般国道(自動車専用道路) 2,300q
本州四国連絡橋公団180q
○地域高規格道路(60q/h以上) 6,000〜8,000q 開通約1,400q 施工中・計画6,900q
○残工事区画  =(14,000+7,000)−(8,100+1,400)=11,500q
○残工事費用  =11,500q×1千万円/m=115兆円必要

 

税金で有料高速道路を建設

 さらに問題なのは四全総では、道路特定財源で2,300qもの高速道路を建設するようにしたことです。つまり税金で有料道路を建設する問題です。
 「国幹道」の7,850qは、地方の高速道路も入っていますが、四全総で追加した6,150q(計14,000q)は、道路公団が借金して建設しても、元金が返せない赤字路線である交通量の少ない路線でした。これをカバーしようとして、建設は直轄費で、管理は公団でという方式を採用したのです。
 そのために国道としての号線を付け、高速道路(高規格幹線道路)でありながら、「一般国道の自動車専用道路」(計2,300q)と呼ばせているのです。高速道路と呼べば、国民が反対するからでしょう。
 ちなみに、日本道路公団が借入金で建設するのは「高速自動車国道」11,520qで、「本州四国連絡道路」が180q、合計14,000qです。
 この中でもう一つ問題なのは、交通量が少ない地域や県は、経済立地の弱い地域や県です。そこに建設されるのは直轄の高速道路ですから地元負担が3割あります。交通量の多い大都市では日本道路公団が自前で建設するから、負担は少額です。しかし、ローカル県ほど、高速道路で3割負担というのはどうみても割りの合わない結果になっています。


高速道路中心の予算配分で、生活道路は荒廃

 現在の、道路予算配分は「高規格幹線道路」と「地域高規格道路」の新設道路に重点的に予算が配分されているために、生活道路と呼ばれる国道、県、市、町、村道のバイパス計画や維持、修繕費にさえ事欠く状況となっています。あまりにも高速道路新設に予算をつぎ込みすぎているからです。
 高規格幹線道路は、14,000qのうち、2003年度の完成予定は7,278q、で計画の約52%が完成、あとまだ約半分が残っています。
 また、準高速道路といわれる、地域高規格道路は、約6〜8,000qの計画のうち2003年度で1,497q、約21%完成予定です。合計で、あと12,225qも新設しなければなりません。しかも2025年完成予定です。しかし2025年を過ぎると日本の老齢人口の率が高くなり、社会保障に予算を取られ、高速道路に予算がまわらない(四全総)からです。
 現在の一般国道(国の管理)は約53,700qです。これだけあるのに、新設の高速、準高速4車線道路の計画が、14,000+7,000(計画の平均)=21,000qもあり、一般国道の約40%も新設するという、無謀な計画なのです。1m当たりの建設費を1,000万円と試算しても、あと、12,225qを建設するとすれば、122兆円も必要です。まったく無茶ということ以外ありません。


ずさんな高速道路計画

 1987年の四全総で計画された高規格幹線自動車道14,000qの「高速道路ネットワーク」の目的は、「日本中どこでも1時間以内に高速道路に乗れること」でした。そしてもう一つは、アメリカの要求、「輸出ばかりしないで、国内需要を」に応え、高速道路をその目玉にしたのです。
 「日本の経済は今や著しい成長を遂げた。日米貿易摩擦も起きている。今、製造業に投資をしても、例えば豆腐を作るのに投資をしても、豆腐は3日間で腐ってしまう。それに比べ、高速道路の建設は、第1に建設で需要を喚起し、景気対策になる。第2に時間短縮で経済効果抜群、高速道路建設への投資こそ、一石二鳥、三鳥にもなる」(ある道路族の講演)。これが建設省や財界の説明でした、
 この時点では、投資の費用対効果などいらぬ説明だったのです。四全総は、国土基盤投資として1986〜2000年で1,000兆円の公共投資という、大判振る舞いを計画したのです。
 このように、日本の高速道路計画は「単なる景気対策や、ゼネコンのためだけの目的で政策的に計画されたものと言えます。


準高速道路としての地域高規格道路とは

 1991年1月の道路審議会基本政策部会において「準高規格道路」の議論がされ、1992年6月の道路審議会建議において「地域高規格幹線道路」の整備について記述、そして1992年10月、第11次道路整備5ヶ年計画で、「約2,000qの事業着手、長期構想として6,000〜8,000qの整備を図る」と具体化しました。
 この道路は都市部で80〜120q、地方で60q以上という準高速道路を目指しているもので、総額1m当たり1,000万円として60〜80兆円もかかる大規模投資を、これも「審議会」で検討し、建設省があっさりと具体化した、何とも、目茶苦茶な計画でした。
 しかも現在、この地域高規格と高規格幹線道路の新設に予算を優先的につぎ込んでいるため、一般道路のバイパスや、局部改良、維持修繕等に金をまわす余裕が経済的になくなっているのです。

●地域高規格道路の指定までの経緯
1991/1道路審議会基本政策部会において「準高規格道路」の議論
1992/6道路審議会建議で「地域高規格幹線道路」整備について記述
   9広域道路整備基本計画の作成・報告依頼(道路局長→知事等)
   11第11次道路整備5カ年計画「約2,000qの事業着手、6,000〜8,000qの長期構想計画」
1993/12広域道路整備基本計画報告指示
1994/1広域道路整備基本計画報告
   3地域高規格道路に関する基礎調査実施
   11候補路線、計画路線指定要望報告指示
   11道路審議会報告
   12候補路線、計画路線指定
1995/7地域高規格道路を構成する区間に関する基礎調査実施

地域高規格道路の保持すべき基本的な構造
4車線以上の車線を確保し、自動車専用道路またはそれと同等の機能を有し、設計速度を原則80q/h以上とし、沿道や交通の状況に応じて60〜80q/h以上の速度サービスを提供できる質の高い道路。(国土交通省資料より)


でたらめな高速道路の着工順位

−旧建設省が勝手に公団分の高速道路を建設−
 2002年8月13日の毎日新聞の報道によれば、「隠れ高速道が943q」もあることを明らかにしました。これは、日本道路公団の施工予定11,520qのうち、施工命令を出す元になる「整備計画」(9,342q)に含まれていない区画です。
 これを旧建設省が直轄事業(費用は国が3分の2、地方自治体が3分の1を負担)で施工しているもので、既に全国で507qが完成しています。いずれも、赤字路線とはっきりしている田舎(イナカ)の高速道路であるため、現在論議されている赤字路線として凍結される運命にあるものがほとんどです。この総延長が全国65カ所943qに及ぶと新聞で報じています。
 これは、旧建設省が道路特定財源を勝手に使い、日本道路公団の赤路路線が明白なため、その肩代わりとして施工しているもので、国会での予算措置があるとは言え、高速道路建設のルール無視も甚だしく、まさに旧建設省の「独断専行」です。
 同じ直轄事業として高速道路を建設している「一般国道の自動車専用道路」(全国2,300)qの計画されている県にしてみれば、直轄で計画されていないのに直轄で自分の県よりも、ずっと早く高速道路が完成していくのは知事としての行政手腕が問われることになり、地方の知事としての不満が蓄積されているのは明らかです。


道路関係4公団民営化推進委員会のゆくえ

 小泉内閣の鳴り物入りで発足した「民営化推進委員会」でしたが8月30日の中間報告は「高速道路をこれからも作り続ける(返済50年承認)保証を与え、且つ高速道路を国の事業(公共事業)としても保証する」という従来と何ら変わらないものでした。
 これでは12月にまとめられる最終報告は、先行き不透明ながらおよそ中間報告と似たり寄ったりと推測出来るものです。
 このような結果になった原因は、自民党国会議員団を中心とする高速道路推進派と地方の各県知事を中心とする「オラが村に高速道路を」という凄まじい運動と圧力にあったことは否定出来ません。
 いっぽう高速道路に反対する側の運動は、世論に訴えるうえで力量不足があるように思います。

<数字データでみる高速道路>
●道路公団の長期債務27兆円(首都、阪神、本四で債務12兆円。本州四国連絡橋公団は3.8兆円)
●道路公団が民営化後に支払う固定資産税は年間3000億円
●第2東名・第2名神(456q、10.6兆円の建設費。第2東名建設完了時には現在の料金の約3倍でないと採算ならず)
●高速道路の未整備区間=2,383q
●高速道路の整備計画=9,342q
●未供用区間の全体事業費 19兆4,690億円
●東京湾アクアライン(計画交通量:33,000台/日⇒実績:13,000台/日
   99年の料金収入144億円。99年の支出431億円 計280億円の赤字)
●建設費の償還終えた路線
   ・東名:+2兆7991億円
   ・中央、名神:1兆3793億円
   ・中央道富士吉田線:2262億円
   ・東関道水戸路線:834億円
   ・近畿自動車名古屋大阪線(名阪):413億円
●日本道路公団の無料化した64路線のうち、建設費が完済出来なかった39路線の合計額は869億円

日本型有料高速道路に未来はない

−少子高齢化社会の到来と環境問題−
 1987年に決定された四全総で人口の超長期的推移を予測していますが、2000年以降についての予測は2400年に至っても未だ右肩上がりになっています。
 ところが現在の合計特殊出生率(1人の女性が一生の間に産む子供の数)は1998年で1.38、2000年6月発表で1.34、2001年で1.36と人口を維持する最低水準といわれる2.08を大きく下回っています。
 このままいけば、低位推計で計算すると、2080年には日本の人口が約半分になり、3400年の日本の人口予測が1人という事になるといいます。
 人口が半分になれば自動車も半分になるだろうと思いますが、国土交通省は自動車の減をようやく認めたものの「少し減るだけ」だと強弁しています。
 バブル期に計画した高速道路の計画が、少子高齢化に突入し、しかも、車公害が指摘される中で完全に破綻していることを直視すべきです。
 人口が減り、自動車が減り、公害対策で多額の投資が求められる有料高速道路制度は、もう完全に破綻しています。燃料電池の開発などで、未来の明るさを展望させていますが、まだまだタイヤによる公害問題も放置されており、現状は明るくありません。


有料高速道路建設は公共事業と呼べない

−道路の有料制は国民を疲弊させるだけ−
 高速道路の有料制による建設を強力に進めたのは田中角栄といわれます。問題山積の原因は、ここにあります。
 高速道路の最初の建設は「名神」です。1955〜65年代の日本にはとても建設資金が無く、世界銀行から借りました。
 世界銀行は、日本の経済状況から見て、「2車線道路なら融資するが計画の4車線ではできない」という態度でした。
 最後には融資にこぎつけ、現在の「名神」となりましたが、はっきりしているのは、金を貸す側から見れば、道路と言えども「有料制であり独立採算制をとっている限りでは、それは民間における会社経営と全く同じである、ということです。
 有料道路はもともと、利用料金を払える特定の車両が通行するものでこれは、広義の公共事業でありえても、狭義の公共事業ではあり得ないということです。道路公団が民営化すれば、私鉄や、JR各社と同じになり、このことが一層明白になります。いかなる角栄流の法律をつくっても、このことは変わりません。
 現在、論議が行われている、全国プール制の廃止そして、建設資金返還後も有料にすることになれば−将来の自動車の減少でこうなる…まさしく、有料道路事業は公共事業と言えないでしょう。
 そして、大事なことは、道路の有料制の最大の負担者は国民であり、消費者であるということです。有料道路を利用した貸物の代金は結局消費者が支払うのであり、あらゆる道路の利用料金は消費者に転嫁される仕組みになっています。
 道路の有料制は結局「消費税」と何ら変わるものでなく、国民を疲弊させるだけなのです。世界中がこのことを知っており、道路の有料制という愚策を採用していないのです。
 有料制の常識は、道路に自動車を入れないための政策−ロードプライシング(乗り入れ規制)です。
 とにかく、日本のように経済力も無いのに(国力としての)、他の国よりも高速道路が少ないから、有料で建設するのだという国土交通省の考え方は現在、通用しなくなっています。


一般道渋滞を放置、「渋滞解消のために高速必要」

 交通量が少なく、「道路公団」として採算の合わない地方の高速道路は、「一般国道自動車専用道路」として、号線を冠せて建設費を国と自治体で負担し、日本道路公団が管理する高速道路が全国で2,300qもあることはすでにふれました。この道路の開通しているのは、まだ400qにも達していませんが、これが計画された地方で大きな問題が生じています。
 奈良県を南北に走る京都から和歌山に向かう国道24号線。まず奈良市内の猿沢池の横を通過していた24号線が1車線で一方通行のため、まず、奈良バイパスが市外に1968年に平城宮跡を避けて計画、以後約15qが4車線で完成。そして橿原市内の24号が大渋滞したため1980年代に橿原バイパスが計画の半分を完成。この時点で奈良〜橿原を結ぶ4車線道路が都市計画決定されていました。
 ところが、1987年6月の「四全総」で、京都〜和歌山120qの高規格幹線道=国道24号自動車専用道路、京奈和自動車道(有料の高速道)が決定され、とたんにバイパス工事が完全にストップされました。
 そのバイパス路線に京奈和道がのっかったために、高速道路建設の順番が奈良県に回ってこなかったからで、1990年代終わりにようやく高速道路の着工が行われ、現在になるも、工事中であり、約15年以上も工事がストップしていたのです。
 高速道路に予算が取られず、バイパス工事として施工していれば、10年も前に奈良〜橿原間の4車線道路が完成し、県内南北の渋滞がとっくに解消していました。
 奈良県や国交省奈良国道事務所は、自らのバイパス予算獲得の失敗を表に出さず、現国道24号(2車線)の南北の渋滞を理由に高速道路建設をいまだに訴えています。更に奈良県に至っては、県内の高速道路建設は西名阪の8qにしかすぎず、これは全国最低であり、早強に約50qの京奈和自動車道の完成をと、訳の分からない高速道路建設の理由を宣伝しています。
 もともと「四全総」の京奈和道路の位置付けは、京都〜奈良〜和歌山〜紀淡海峡大橋〜淡路島〜明石海峡大橋〜神戸(名神)〜京都という、バブル期前の関西環状道路です。奈良県にとっては、単なる通過道路でしかありません。
 奈良県政の借金残高は8,000億円を越えています。この上に50qの8車線道路をつくるのに、5,000億円以上の建設費が必要で、県負担金30%、その他を入れると2,000億円以上の借金が又増えることになります。
 奈良県の人口は約145万人、県民1人当たりの高速道路建設費は、約35万円以上かかり、1人当たり県民負担は10万円以上、一家4人世帯として40万円もかかります。
 「他人の金をアテにして簡単に高速道路建設を、知事と言えども言ってほしくない」…これが県民の想いではないでしょうか。


道路特定財源の見直しは条件付きで

 2002年10月3日の毎日新聞によれば、扇国交相は同氏のインタビューに応えて道路特定財源の見直しについて使途の拡大を明らかにしています。国・地方あわせて年間約6兆円のうち、かなりの予算が高速道路や、地域高規格道路等の新設に回されており、生活道路の渋滞解消は放置されている現状から、その使途についていろんな意見が交差しています。

〈道路特定財源の見直しについての主な意見〉
@現状のように、高速道路、現道を問わず、目的税として、その目的にかなうようにすべき。今、見直しなどとんでもない。
A「財源」は目的税であるので、当然その目的が終われば、税の廃止又は税の軽減にするのが当然であり、他への流用は認められない。
B道路の環境対策や、道路に関する研究など道路に関する幅広い運用をすべき。現状もそうなりつつある。
Cもっと医療や教育、その他に運用すべき。
 以上の意見もあるが道路利用者(ユーザー)の意見はアンケートによれば幹線道路の整備(新設)を要求しているのは約7%、現道の渋滞解消は80%に達しています。高速道路を作っても、現道の渋滞解消にならないことをほとんどの人が承知しているからです。これからも明らかなように渋滞解消を目的に予算を使い、新設道路への投資を大幅に減らすことがユーザーの要求です。

〈どう見直すか〉
@道路特定財源の見直しの第一は、新設道路の建設投資をストップし既設道路の渋滞解消に全力を挙げるため、当面5年間は見直しを行わない。渋滞解消の施策の内容は「道路建設を考える基本」の通りとします。
A5年後に見直すときは、各都道府県単位に一人当たり投資額の人口比を加味しながら、過去の道路特定財源の総計も加味して、各都道府県毎に「指数」を設定し、「道路特定財源」の「取り得」とならないよう配慮することにします。このことを提案するのは、貧乏県ほど道路投資に予算を回せず、国の補助額がトータルとしてかなり少ない県もあるので、それを救うためです。
Bもし、抜本的見直しを行う場合は、目的税を切り離し、法体系をきちんと整備し直す事が必要です。


人口密集国土に合った交通政策を

−交通需要管理政策の活用を−

交通需要管理政策(Transportatin Demand Management)=T.D.M
「車の利用者の交通行動の変更を促して、都市や地域レベルの道路渋滞を緩和する手法の政策体系」道路を供給することが困難になり、交通要素そのものを根本から管理することを目的に様々な施策が体形化されている。

 日本の道路密度は3.06q/q2(1q四方の中で、3.06qの道路がある)で、ベルギー(国土面積は日本の8分の1)は4.78q/q2で第1位、日本は世界第2位の単位面積当たり道路延長が長い国です。勿論、可住面積当たりにすれば日本は世界一です。ちなみにアメリカは、0.65q/q2、隣の韓国は0.88q/q2です。世界第3位はオーストリアの2.4q/q2です。
 また、高速道路の単位面積当たりの延長は、日本で20.8q/千q2、アメリカは9.5q/千q2、フランスで19.9q/千q2、これを可住面積当たりでみると、アメリカは16.0q/千q2、フランスは26.5q/千q2、日本はなんと80.8q/千q2になります。(96〜97年)
 現在、日本の道路政策は、アメリカやイギリスなど自動車先進国の政策をそのまま後追いしていますが、以上見て来たように日本の道路延長は単位面積当たりで比較するとアメリカの約5倍も長いのです。勿論、道路の幅員はアメリカが遥かに広いが…。
 アメリカなど、自動車の先進国は国土が広く、都市と都市を結ぶにはあまりにも距離があり過ぎますが、日本は都市と都市の間はわずか、10〜20q程度、しかも狭い国土に密集しています。当然、日本の都市と都市との交通は自動車ではなく、時間的にも、経済的にも電車などの大量輸送機関です。
 そして狭い都市内には自動車をなるべく入れないことは常識です。特に、都市と都市を結ぶ高速道路の役割を大量輸送手段による経済性により、その役割を低下させることが肝要です。
 今日、世界的に自動車生産に見合う道路建設は経済的にも環境的にも破綻し、自動車の交通を規制・コントールする、「交通需要管理政策」が実施されています。日本でも早く「交通需要管理政策」を実施すると同時に日本の国情に合った交通政策…移動エネルギーの最も少ない海上交通などを組み入れた、独自の人口密集地にふさわしい交通政策、輸送政策を早急に確立すべきです。


道路建設を考える基本(交通需要管理政策)

公共交通機関の整備(大量輸送機関) ● 電車・バス、貨物輸送
● 朝・夕の通勤ラッシュの緩和
交通規制 ● パークアンドライド(郊外の駐車場整備)
● トランジットモール(バス・市電のみ)
● 具体的な交通規制(乗用車の一人乗り禁止区画、市内への乗り入れ規制
 車の総量規制、一方通行区間の設定など)
現道の渋滞対策 ● 交差点の改良
(信号のコンピュータ化、右、左折ラインの新設、交差点の立体化等)
● 現道の拡幅(30〜50年の計画)
(車道の拡幅、歩道設置、登坂車線の設置〜等)
● バイパス道路の新設、局部改良
現道の改良 ● 狭い現道の拡幅、又は退避所の設置
● 交差点の立体化
● 坂道に登坂道の設置
● 河川に橋梁の増設
● 歩道・自転車道の設置
● 道路横の側溝の改良→蓋をして歩道にする
● 往復2車線道路にも中央分離帯の設置等など
新設道路の検討 ● 計画の検討
(少子化で80年後の人口は半分、環境問題からも車の規制)
● 道路利用者は幹線道路の新設を望んでいない

 


 

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