(03/02/02更新)

原子力問題と新エネルギー
  「もんじゅ」判決、住民側完全勝訴(03/02/02)
  どう見る、原発の事故隠し02/12/29
  新エネルギー利用計画で意見、JNEP02/11/16
  JNEPが原発トラブル虚偽報告に抗議02/09/03
  原発促進法案でJNEPがコメント00/11/30
  ドイツ、原発全廃で電力会社と合意00/06/20
  核燃料サイクル施設(六カ所村)の現状00/03/25
  原子力の日にあたって/JNEPが政府申し入れ99/10/25
  東海臨界事故で申入れ(JNEP)99/10/5

 


「もんじゅ」判決、住民側完全勝訴
 地元住民など32人が国を相手に核燃料サイクル開発機構の高速増殖原型炉「もんじゅ」(福井県敦賀市)の設置許可の無効確認を求めた行政訴訟の控訴審判決が、1月27日、名古屋高裁金沢支部で行われた。
 川崎和夫裁判長は「国の安全審査の瑕疵により、炉心崩壊などの事故が起き放射性物質が環境へ放出される具体的可能性を否定できない」との判断を下し、そのうえで住民側の請求を棄却した1審判決(福井地裁)を取り消し、国の設置許可を無効とする画期的判決を言い渡した。各地で争われている原発訴訟で住民側完全勝訴はもちろん初めてのことである。
 「もんじゅ」は1995年のナトリウム漏れ事故以来運転を停止しており、核燃料サイクル開発機構は事故対策を盛り込んだ「もんじゅ」の改造工事に乗りだそうとしていた。
 判決は、地震対策以外の住民側の主張を受け入れ、ナトリウム漏れ事故、蒸気発生器伝熱管破損事故、炉心崩壊事故の安全審査に「重大な誤り」を認め、高速増殖炉「もんじゅ」の安全性をほぼ全面的に否定した。
 判決ではチェルノブイリ原発事故を「人類の教訓」として引用しており、炉心崩壊を「現実に起こる事故として安全評価すべきだ」と指摘した。
 判決はナトリウム漏れ対策について不十分だったと指摘し、安全審査のやり直しを求めた。原子力安全委員会の審査についても「許可申請の記述を無批判に受け入れた疑いをぬぐえない」と指摘しており、運転再開は極めて困難となった。判決で「もんじゅ」の安全性は根本から揺らぐ事態になり、プルサーマルや使用済み燃料再処理など国の核計画は、根本的見直しを余儀なくされる事態となった。


 


どう見る、原発の事故隠し

■原発の事故隠し・欠陥隠し
 原発で事故隠しが次々に発覚しています。自主点検で見つかった原発の亀裂を報告しない事例が次々に発覚しました。また、東京電力の福島第一原発1号機では、検査を担当した日立製作所とともに、法定点検の際の試験データを意図的に改竄して経済産業省の検査をパスしていました。
 原子炉等規制法は内部告発制度を定めましたが、この問題を内部告発した技術者について、規制官庁の原子力保安院は、こともあろうに誰だかわかるような情報を東京電力に示し、しかも危険人物だなどと伝えていたことが発覚しました。その一方で肝心の調査はなかなか進まなかったことも発覚しています。
 
■原子力安全体制の問題点
 JCO臨界事故、もんじゅ事故、動燃再処理工場事故、などここ数年だけでも多くの事故が繰り返され、JCO事故では死者が出て、住民が被曝する事態になっています。それに加えて今回の事態です。最も安全を重視しなければならない原子力でどうしてこのようなことが頻発するのでしょうか。
 事故の度に政府は安全規制や管理体制には何の問題もないが、極めて悪質で異常な事業者、あるいは異常な現場が考えられないような行動をとって、あるいは人為ミスで事故(国は滅多に事故という表現は使いません)になった、という風に説明され、事故隠しについては遺憾だとしてきました。
 しかし、次々にこうした事件が生じるのに安全規制や管理体制には何の問題もないのでしょうか。むしろ、安全規制や管理体制に根本的な問題があるからこそ原子力関係者の腐敗・隠蔽体質が進み、これが事故につながると考えるべきではないでしょうか。今回の東電の問題では内部告発があったにも関わらず、原子力保安院が内部告発者を保護して安全管理に役立てるどころか敵視して東電に情報を漏らし、一方で肝心の調査は遅々として進まなかったことが発覚、規制官庁が隠蔽に加担していたのではないかと問題になっています。
 原子力関係者(「原子力ムラ」などと言われています。)は自分たちだけが専門家で、国民は何を言ってもわからないし反対ばかりすると考えているようです。安全についても、この程度は大丈夫だが国民に知らせると大騒ぎになるので内部で処理してしまおうなどと考えてきたと言われ、その片鱗が報道されています。こうした集団の意識は大変問題です。しかし、そうした傲慢な集団が意のままに動けないような制度があれば、問題はずっと小さくなっていたはずです。
 
■電力自由化と原発の安全管理
 電力自由化との関係で安全や環境面の対策が後退することが懸念されています。これは日本特有のことかもしれません。
 ヨーロッパでは電力自由化に先立ち、自然エネルギーの促進の制度がかなり導入されましたし、炭素税なども約半数の国で導入されて火力発電を相対的に不利にしています。脱原発を決めた国、とうの昔に原発を廃止した国もあります(もっとも先に述べた通り国の庇護がなければ原発は市場ではつぶれます)。こうした環境対策をさせる強制力ある制度で、環境フリーライダーを許さないしくみを準備してから電力自由化(欧州では電力の規制改革と言っているようです)を行いました。もちろん問題がないわけではありませんが、公正な市場競争の前提として環境保全の基盤をつくったわけです。
 一方、日本ではそうした前提を抜きに、それぞれの規制がどのような働きをしているか、撤廃したり緩和したらどうなるのかの検証もなく、単に規制を緩めて電気料金が安くなればいい、という発想なので、企業間で、環境対策や安全対策を少しでも止めることを通じたコスト削減競争が繰り広げられることになるのではないかと心配されているのです。
 最近でも、東京電力が点検期間を短縮した事業者に報奨金を支払っていたことがわかりました。点検は時間をかけさえすればいいのではもちろんないですが、一方で亀裂が多数見つかり、データ改竄・隠蔽も見つかっていますので、恐れていた安全管理手抜きの競争という事態が発生しつつあると見ることもできます。
 
■温暖化名目に原子力推進
 原子力は温暖化対策に不可欠だとして、原発20基建設が地球温暖化対策推進大綱に盛り込まれました。あまりに非現実的な数字だったためにその後13基に改定されていますが、(事故や放射性廃棄物の問題を度外視したとしても)依然として非現実的なことに変わりありませんし、1基3000〜4000億もする原発を建てるよりも安くて確実な省電力対策は工場の消費電力規制強化など幾らでもあるのではないでしょうか。
 温暖化問題は重要な地球環境問題ですから日本も全力で取り組まなくてはいけません。だからこそ、環境対策の前提条件を満たしてしかも確実な対策を進める必要があります。前提条件とは、他の著しい環境問題を発生させないことです。原子力は、いったん事故が発生すれば地域が壊滅するおそれがありますし、放射性廃棄物で数百万年、数千万年もの廃棄物管理をする必要があり、将来世代に大変な迷惑をかけます。 こうした問題をかかえるものを対策に掲げることは非常識と言えます。当たり前のことですが、温暖化に取り組む環境NGOは原発増設に反対し、政府の大綱から原発増設を削除することを求めています。
 
■原子力は安い?
 直感的に考えて、放射性廃棄物を数百万年、数千万年もの管理が必要な原子力が安いわけがないと考えられます。また、欧米で原子力は高いのが常識で、アメリカではこのために次々に原発がつぶれて英国の原発会社は破綻寸前なのに、高コストの日本で原子力だけが「安い」というのも大変不思議な話です。しかし原子力推進の経済産業省は、原子力発電は火力や水力より安いと主張して「モデル発電所」を想定して試算結果の数字だけ公表してきました。
 環境NGO・CASA(地球環境と大気汚染を考える全国市民会議)は、現実の原発のコストを電力会社の有価証券報告書などから求め、原発は他の発電所よりもコストが高いとの試算結果を発表しました。この数字は恣意性をほとんど含みようがないもので、この方がずっと実態に近いでしょう。
 もっとも、これには事実上原発のために作られている揚水発電所の建設費や運用の赤字は含まれませんし、放射性廃棄物のコストは十分には含まれていませんので(数千万年の管理費など計算のしようもありません)、実際にはもっと差があると見られます。
 
■脱大量生産に役立たない原子力
 原子力は電気の余る夜間に停止することもできませんし(日本の原発と形式は違いますが、チェルノブイリ原発は出力調整の実験で爆発事故をおこしました)、小規模火力のようにコジェネレーションで排熱も取り出して有効利用することもできません。電力消費地から遠い地域に建っているので送電ロスもばかになりません。これに加えて先に述べたように事故や放射性廃棄物の問題があります。
 環境問題に対処するには、大量生産・大量消費・大量廃棄の経済、社会に決別し、その脱却に向けて前進するものでなければなりません。ところが、原子力は、電力消費の増加は自然現象で省電力は無理なのでそれにあわせてどんどん供給を増やすべきだという発想でつくられています。政府は核燃料サイクルはリサイクルだなどとして循環型社会に寄与するなどと称していますが、持続可能な社会の対極にあるシステムと言えるでしょう。

 


新エネルギー利用計画で意見、JNEP

 公害・地球懇(JNEP)は11月15日、新エネルギーの利用目標について、次のパブリック・コメントを提出しました。政府の極めて低い新エネルギーの利用目標にたいし、これを大幅に引き上げるとともに、太陽光や風力などについて個別の目標を掲げること、同時に新エネルギーの範囲に廃棄物発電を含めるのは問題で対象から外すべきだとしています。


資源エネルギー庁
新エネルギー等電気利用推進室 御中

2002年11月15日
公害・地球懇(JNEP)


新エネルギー等電気の利用目標について



意見の概要

 最終目標が大変低いのは問題。また、2005年くらいに目標達成を早めるべき、総量目標だけでなく太陽光や風力については、個別の目標を定めて達成させるべき。

意見及び理由

 新エネルギー等電気の利用の目標量について、案は2003年度に73.2億kWhで、 2007年度の86.7億kWhまで横ばいとし、その後2010年度に122.0億kWhに引き上げるとしています。この提案には最終目標の低さと、経過期間の異常な長さの2点で問題があります。
 最終目標は全体の1%強に過ぎず、今後自然エネルギーを大幅に増強し、化石燃料や原子力にとってかわる必要があるのに、そうした方向性自体を否定しているように見える大変消極的な目標と言えます。2001年7月の総合資源エネルギー調査会総合部会・需給部会の報告をもとにしているということですが、「少なく見積もってこの程度」という審議会の示した目安と、「ここまでは義務化するがそれ以上は買い取り不要」というこの法律の目標とは違います。量を無制限にしてどんどん買い取るヨーロッパの制度と違い、この量までしか買い取られないような制度にしてしまったのですから、このような消極的な上限を定めれば、自然エネルギー発電を志す意欲ある事業者が電気を買いたたかれたり、そもそも発電できなくなったりする危険があります。
 また、最終目標が低いだけでなく、2007年になってから対策を始めればすむような対策先送りの提案になっているのも問題です。よほど高い目標ならともかく、この程度の低次元の目標でなぜ2005年達成くらいの義務化ができないのでしょうか。
 さらに、総量目標だけを定めて内訳について何も問わないのは少々乱暴な制度です。太陽光や風力については、個別の目標を定めて達成させるべきです。これは、自然エネルギーで10〜15%など比較的高い目標を与えるなら杞憂かもしれませんが、1%という低い目標では、今後の供給の主力となるべき太陽光や風力が逆にしぼんでしまう可能性があるからです。




資源エネルギー庁
新エネルギー等電気利用推進室 御中

2002年11月15日
公害・地球懇(JNEP)



電気事業者による新エネルギー等の利用に関する特別措置法の細則に関する意見



意見の概要

 2005年くらいに目標達成を早めるべき。廃棄物発電は対象から外すべき。また、太陽光や風力については、個別の目標を定めて達成させるべき。

意見及び理由

(1)対象エネルギーについて
 案に明記されていませんが、廃棄物発電について、紙ごみや木材を燃やす分は「バイオマス発電」とみなす提案になっています。製材所の木くず利用や、畜産や下水のバイオガスなどの有効利用ならともかく、ただのごみ発電を優遇対象にし、今後の建設を促進してしまうような制度は常識的におかしいです
し、マテリアルリサイクルに反しないようにとの国会の附帯決議(電気事業者による新エネルギー等の利用に関する特別措置法に対する附帯決議、衆議院経済産業委員会。参議院も同趣旨の決議)に反するとも考えられるのではないでしょうか。「バイオマス発電」からは通常の廃棄物発電の一切を除外すべきです。
 水力についてダムなしで1000kW以下の規模という提案は、小規模水力の規模として妥当だと考えます。ただし、その場合でも河川の本流からほとんど水がなくなるようなものは、簡単な環境アセスメントを実施すべきと考えます。

(2)義務量について
 義務量については、
 (電気事業者の電気供給量)×(利用目標率)×(調整率)
で定めるとしています。総量だけを考えるなら、最後の調整率以外は透明性の高い平等な方法でいいと考えます。
 総量の問題は「調整率」で、2007年度までは経過措置として現状維持になる値を定めてその後3年で増やすように定める方針です。このような対策先送りの方針を出すのは大変問題です。よほど高い目標ならともかく、この程度の低次元の目標でなぜ2005年達成くらいの義務化ができないのでしょうか。
 また、太陽光や風力については、個別の目標を定めて達成させるべきです。
提案では、電力会社同士の融通を認めているのですから、風力の強いところで目標を達成し、それを他の強い分野の自然エネルギー電力と交換すれば全部の電気事業者が風力 の目標を達成できるはずです。

(3)設備認定について
 廃棄物発電は対象から外すべきです。

 


JNEPが原発トラブル虚偽報告に抗議

JNEPは8月30日、東京電力における商業原発のトラブルの虚偽報告に対し、当事者の東京電力をはじめ、電気事業連合会や原子力保安院など関連団体、関連行政機関に対し、それぞれ次の抗議申し入れを行った。


東京電力による原発トラブル虚偽報告に対する抗議申し入れ


公害・地球環境問題懇談会(JNEP)2002/8/30



東京電力株式会社宛
 今回、東京電力の原子力発電所自主点検において事故や問題点が隠蔽されていたことに抗議する。これまでも、旧動燃などで事故隠しは相次いで発覚していたが、今回、トップ企業の商業原発での事故隠しにより、国民の原子力に対する信頼性は根本から失われたと言わざるを得ない。
 東京電力は、問題が発覚した原発はもちろん、他の原発も含めて早期に再点検を行うと共に、その点検結果はもちろんのこと、過去の点検結果を自主点検、法定点検を問わず明らかにすべきである。また、直ちに再発防止策を取ると共に、どのような再発防止策を取ることにしたかを明らかにすべきである。
 次期の原発定期点検時には、全ての問題点の公開が完了し、また再発防止を国民に対し確約するまで運転再開をすべきではない。
 国民の信頼が失われている以上、現在の建設計画などは全て白紙に戻すべきである。

電気事業連合会宛
 今回、東京電力の原子力発電所自主点検において事故や問題点が隠蔽されていたことに抗議する。これまでも、旧動燃などで事故隠しは相次いで発覚していたが、今回、トップ企業の商業原発での事故隠しにより、国民の原子力に対する信頼性は根本から失われたと言わざるを得ない。
 電力会社は、問題が発覚した原発はもちろん、他の原発も含めて早期に再点検を行うと共に、その点検結果はもちろんのこと、過去の点検結果を自主点検、法定点検を問わず明らかにすべきである。また、直ちに再発防止策を取ると共に、どのような再発防止策を取ることにしたかを明らかにすべきである。
 東京電力に限らず、次期の原発定期点検時には、全ての問題点の公開が完了し、また再発防止を国民に対し確約するまで運転再開をすべきではない。
 国民の信頼が失われている以上、現在の建設計画などは全て白紙に戻すべきである。

経済産業省原子力保安院宛
 今回、東京電力の原子力発電所自主点検において事故や問題点が隠蔽されていたことは大変問題である。これまでも、旧動燃などで事故隠しは相次いで発覚していたが、今回、トップ企業の商業原発での事故隠しにより、国民の原子力に対する信頼性は根本から失われたと言わざるを得ない。経産省の発表は告発から2年を経過していると報道されている。経産省として事実関係を明らかにすべきである。今回のような隠蔽が続いていたことは原子力安全行政に根本的な欠陥があることを示している。直ちに再発防止策を取ると共に、どのような再発防止策を取ることにしたかを明らかにすべきである。また、次期の原発定期点検時には、全ての問題点の公開が完了し、また再発防止を国民に対し確約できるまで運転再開させるべきではない。国民の信頼が失われている以上、現在の建設計画などは全て白紙に戻し、国民の意思を問うべきである。

原子力安全委員会宛
 今回、東京電力の原子力発電所自主点検において事故や問題点が隠蔽されていたことは大変問題である。これまでも、旧動燃などで事故隠しは相次いで発覚していたが、今回、トップ企業の商業原発での事故隠しにより、国民の原子力に対する信頼性は根本から失われたと言わざるを得ない。経産省の発表は告発から2年を経過していると報道されている。経産省が事故隠しに加担していなかったのかも含め、原子力安全委員会として調査し、事実関係を明らかにすべきである。今回のような隠蔽が続いていたことは原子力安全行政に根本的な欠陥があることを示している。直ちに再発防止策を取ると共に、どのような再発防止策を取ることにしたかを明らかにすべきである。また、次期の原発定期点検時には、全ての問題点の公開が完了し、また再発防止を国民に対し確約できるまで運転再開させるべきではない。国民の信頼が失われている以上、現在の建設計画などは全て白紙に戻し、国民の意思を問うべきである。

経済産業省資源エネルギー庁宛
 今回、東京電力の原子力発電所自主点検において事故や問題点が隠蔽されていたことは大変問題である。これまでも、旧動燃などで事故隠しは相次いで発覚していたが、今回、トップ企業の商業原発での事故隠しにより、国民の原子力に対する信頼性は根本から失われたと言わざるを得ない。
 国民の信頼が失われている以上、現在の建設計画などは全て白紙に戻し、国民の意思を問うべきである。また、増設の凍結を前提にした長期エネルギー需給見通しの改正を早期に行うべきである。

地球温暖化対策推進本部宛
 今回、東京電力の原子力発電所自主点検において事故や問題点が隠蔽されていたことは大変問題である。これまでも、旧動燃などで事故隠しは相次いで発覚していたが、今回、トップ企業の商業原発での事故隠しにより、国民の原子力に対する信頼性は根本から失われたと言わざるを得ない。
 国民の信頼が失われている以上、地球温暖化対策推進大綱の中にある原子力の推進の項目は削除し、凍結を前提にした大綱の改正を早期に行うべきである。

 


原発促進法案でJNEPがコメント

2000年11月29日
公害・地球環境問題懇談会

 与党三党ならびに自由党は11月28日に原発促進法(「原子力発電施設等立地地域の振興に関する特別措置法案」)を衆議院のわずかな審議の後に採決し、会期末直前の参議院に送った。
 与党三党ならびに自由党が大量生産・大量エネルギー消費の従来型経済を政策でもって変えようとしないこと、電力需要が増えればその分供給を増やせばよいと考えていること、国民にも地元住民にも拒否されている原発を公共事業を嵩上げすることを通じて地元に受け入れを迫るような手法しか思いつかないことには怒りを覚え、その見識を疑うものである。

 原発は巨大技術への過信により運営されてきたが、「安全」という宣伝とは裏腹に未知の安全性に関わる懸念が次々に出ている。放射性廃棄物の問題も永遠の課題である。しかも、JCO事故や旧動燃再処理工場事故など、ずさんな管理と組織ぐるみの事故隠し、データ隠し、などが次々に明るみに出て、JCO事故ではついに死者を出し、また住民が被ばくするに及んだ。
 年間4千億円余りをつぎこむ通産省・科技庁の「電源開発促進対策特別会計」の大半を原発につぎ込んでもなお国民が拒否し、地元住民が拒否しているのはこうした理由が大きい。また、日本は核燃料の大半を海外に依存しているのは石油と同じであり、原発を増やしてもエネルギーの安定供給にならないし、核燃料船の通過は世界各国の非難の的にさえなっている。地球温暖化対策、エネルギー需要削減の抜本策が求められている中で、需要を抑えずに供給だけ増やそうとする小手先の問題先送りの政策が不適当であるのは言うまでもない。

 私たちは与党三党とこれに賛成した自由党に対し、この時代錯誤の法案を撤回し、白紙にもどすことを強く求める。
 また、私たちは与党三党ならびに自由党に対し、大量生産・大量エネルギー消費の従来型経済はもはや許されないことを認識し、原発促進政策全体を白紙に戻し、地球温暖化対策やエネルギー安定供給・需要削減のため、地道に省エネを進め、自然エネルギーを開拓し普及させて行く政策に抜本的に転換することを求める。


ドイツ、原発全廃で電力会社と合意
 ドイツ政府は2000年6月15日、国内主要電力会社との間で、国内に存在する19基の原発を今後32年間で全廃する合意に達した。
 合意内容では個々の原発の廃止時期は明示せず、今後の原発の総発電量の上限を累積で約2.5兆KW時と決め、総発電量が上限に達した時点で原子力発電をやめる方式で合意した。それによれば2030年代には最後の原発が運転を停止することとなる。
 合意を受け、ドイツ政府は現行の原子力法に原発の新規建設禁止などを定めた条文を盛り込み、同法を実質的な「脱原発法」に転換するなど、直ちに脱原発に向けた取り組みを行う。
 <合意までの経過>脱原発を掲げたシュレーダー政権と電力業界との協議は、1年半ほど前に始まっていた。しかし原発全廃を掲げて発足した連立政権内でも、即時廃止を主張する「90年連合・緑の党」と、段階的な廃止を主張する社会民主党との間での意見の対立があった。しかし緑の党が2000年3月の臨時党大会で社民党案に同調する方針に転換したことで廃止へむけての環境が整った。緑の党出身の環境相は耐用年数25年を主張し、経済相は35年、電力会社は40年を主張。今回の32年という耐用年数の設定は、即時廃止した場合の業界への巨額の補償費や、代替エネルギー問題などに配慮したもの。
 交渉で原発の総発電量を定めたことで、古くて効率の悪い原発には少ない発電量を割り振り、運転期間を短くできる。電力会社側は効率の悪い発電所を早めに廃止すれば、収益力の高い発電所を相対的に長く運用することが可能で、同方式を受け入れた。このため2年以内に停止される原発も見込まれ、緑の党も歩み寄った。いっぽう効率の良い原発は32年よりも長く存続する場合もあらわれる。
 <今後の対策と問題点>原発廃止を石油や天然ガスなどの化石燃料による発電に置き換えれば、二酸化炭素などの温室効果ガスの発生源となり、気候変動枠組み条約の「京都議定書」が定めたガス排出数値目標の達成が困難となる。また風力や太陽光発電などの自然エネルギーだけでは、原発に替わる発電量を賄うには不十分という現実が横たわる。ドイツは自然エネルギーの導入促進に取り組み、2010年には電力の10%を自然エネルギーでまかなう目標を掲げている。この基本方針に従って取り組んでいる風力発電の伸びが著しいが、それですら98年時点で288万KWと原発の発電量の10分の1に過ぎない。発電量の約30%を原子力に依存しているドイツでは、フランスから電力を購入することも検討されている。
 ドイツ政府は電力業界との合意で、この問題についても「環境に優しく欧州市場で競争力のある」代替エネルギーの確保に努めるとした。
 <日本への影響>日本とドイツは、全発電量に占める原子力発電の割合は、約30%と共通している。IEA(国際エネルギー機関)の99年統計では、エネルギー自給率がドイツは40%以上あるのに比べ、日本は20%にとどまっているなど原発廃止への条件はドイツに比べ困難である。こうしたことを背景に日本の電力業界は「日本の原発の運転や立地などに直接的な影響が出てくることはない」(電気事業連合会幹部)と発言し、政府も「日本には日本の立場がある。非常に資源が少ない国なので、安全は十分に確保しながら、今まで通り着実に原子力利用を図っていく」(青木官房長官)と述べ、日本の原子力政策に変更がないことを強調。
 しかし、日本の場合、東海村臨界事故や芦浜(三重)など原発立地地域住民の反発などで、すくなくとも2010年までに最大20原発を増設する計画はほぼ絶望的という情勢で、原発の老朽化対策や新電力需要対策を抱えつつ、ドイツに見習って脱原発の道を目指すには、太陽光や風力など新エネルギー発電に思い切って力をいれるほかない。今回のドイツの重い決定は、さまざまな局面で日本の原子力政策を揺さぶることは間違いない。


核燃料サイクル施設(六カ所村)の現状
「21世紀を展望して環境問題を考える」と題して、青森県八戸市で講演会(2000年3月19日)と核燃料サイクル施設視察が実施されたが、六カ所村の菊川慶子さんは「核燃料サイクル施設をかかえる現地からの報告」を行った。
 菊川さんは「六カ所村は核燃料サイクル施設の受け入れと引き替えに190億円を超える電源立地交付金を受け、これなしには村が立ち行かない姿になってしまっている」と述べた。
 六カ所村は「むつ小川原開発」の拠点とされ、村の中心部の広大な地域が開発対象とされたが、経済不況化で計画はことごとく失敗、最終的に立地にこぎつけたのは、石油備蓄基地と核燃料サイクル施設のみである。
 開発の重要なインフラとして巨額の資金で整備された「むつ小川原港」は核廃棄物陸揚げ専用岸壁として使われるのみである。
 核燃料サイクル施設はいくつかの機能別に施設が独立しているが、ウラン濃縮工場は、すでに年間1000トンSWUを生産しているし、全国の原発から排出される低レベル核廃棄物の最終処分はすでに12万本ものドラム缶が敷地内の広大な原野に埋め立てられている。また高レベル廃棄物も受け入れが開始され、巨大な管理棟内のなかで最終処分の方法が決まらないまま168本のガラス固化体から発せられる高熱を30年かけて引き下げる処理が静かに進行している。
 メインの核燃料再処理施設のほうは処理工場の建設進捗率33%で、深く掘り下げた基礎部分と何台もの巨大なクレーンが吹雪のなかに突っ立ている。
 こうした現実のなかで、菊池さんら地域の人たちは、東海村のような万一の核事故を恐れている。すでに人為的なミスによる爆発事故がウラン濃縮工場に隣接する核関連施設の環境科学技術研究所で発生したから、住民の心配はなおさらだ。
 菊川さんは、こうした六カ所村の危険性と窮状を訴えて、こうした核施設にたよらない生活ができる村をめざしたいと、チューリップ栽培で村おこしができないかと取り組んでいるところだと結んだ。

 


原子力の日にあたって/JNEPが政府申し入れ

科学技術庁長官 中曽根弘文殿
通商産業大臣  深谷 隆司殿
1999年10月25日
公害・地球環境問題懇談会
幹事長   小池 信太郎

原子力の日にあたっての申し入れ

 茨城県東海村のウラン燃料加工施設ジェーシーオー東海事業所で9月30日に発生した事故は、日本で初めての臨界事故であり、日本では史上最悪の事故となり、原子力のはかりしれない被害の一端を改めて示しました。今回の事故は、安全を軽視してきた原子力産業の構造的な問題、そうした事態を見逃してきたあるいは見抜けず、一方で原子力への厳しい国民世論を無視し、産業の度重なる不祥事や問題を見逃しながら拡大一辺倒で来た政府の原子力行政の問題をさらけ出しました。
 政府は、国の内外の情勢から大量生産の見直しが迫られる中で、それを続ける手段として原子力を選び、地球温暖化対策として実行すべき様々な対策を行わず、原子力の推進をあらゆる面でなりふり構わず実行してきました。政府は特殊な会社の違反による事故として乗り切ろうとしているようにすら見受けられ、原子力委員会では事故などなかったかのように、事故続きの施設を含め従来開発をそのまま続ける方向で新しい原子力長期計画が審議されています。原子力の開発利用の一方的な宣伝に終始してきた「原子力の日」は、その象徴と言えます。私たちはこうした原子力政策、地球温暖化対策への原子力の組込に反対してきました。
 私たちは、この立場から、原子力の日を前に、次の事項について、申し入れます。

1.原子力の日の原発推進広報を中止すること
 ・原子力の日に毎年行われてきた原発推進の広報を中止すること
 ・安全性の問題を中心に、原子力の是非を含む議論参加への呼びかけを行い、原発推進一辺倒の原子力・エネルギー政策見直しの国民的議論の契機とすること。

2.原子力に関する広報について抜本的見直すこと
 ・原子力推進一辺倒の広報を抜本的に見直すこと。
 ・テレビを利用した原発推進のCMについては、短期間の自粛でなく、中止すること。

3.原子力に関する情報公開を行うこと
 ・全ての原発、原子力施設、その他原子力開発、原子力安全に関する情報をただちに公開すること。

4.核汚染事故に対しては汚染者負担に基づく法制度を早急に確立すること
 ・核汚染の生じた広範な土地について国の責任で処置を行い、その費用や健康被害の賠償、農地や農作物の損害の賠償などについて汚染者負担を義務づける法制度を早急に確立すること。

5.原子力長期計画を凍結し、抜本的に見直すこと
 ・従来の開発一辺倒の計画の延長で行われている長期計画見直し作業を凍結し、国民の意思により、安全性最重視の観点から見直しを行い、国民合意のないものは中止し、また安全性の確認されないものは凍結すること。

−−以上−−

 


東海臨界事故で申入れ(JNEP)

 JNEPは99年10月5日、茨城県東海村で発生した、未曾有の核臨界事故に関して次の申し入れを関係省庁に対し行い、原子力政策の抜本的転換と事故対策を要求した

科学技術庁長官殿
通商産業大臣殿
環境庁長官殿

1999年10月5日
公害・地球環境問題懇談会

茨城県東海村核燃料工場臨界事故についての緊急の申し入れ

 茨城県東海村のウラン燃料加工施設ジェーシーオー東海事業所で9月30日に発生した事故は、日本で初めての臨界事故であり、日本では史上最悪の事故となり、原子力のはかりしれない被害の一端を改めて示しました。
 今回の事故は、ジェーシーオー東海事業所の組織ぐるみの安全無視の操業・管理だけでなく、データ改竄など安全軽視の体制を容認してきた原子力産業の構造的な問題、そうした事態を見逃してきたあるいは見抜けず、一方で原子力への厳しい国民世論を無視し、産業の度重なる不祥事や問題を見逃しながら拡大一辺倒で来た政府の原子力行政の問題をさらけ出しました。
 政府は、国の内外の情勢から大量生産の見直しが迫られる中で、それを続ける手段として原子力を選び、地球温暖化対策として実行すべき様々な対策を行わず、原子力の推進をあらゆる面でなりふり構わず実行してきました。私たちはこうしたこじつけとも言える原子力政策、地球温暖化対策への原子力の組込に反対してきました。
 私たちは、この立場から、次の事項について、緊急に申し入れます。

科学技術庁長官、通商産業大臣宛て申し入れ項目

1.事故による被害者の救済と、事故原因の徹底究明、再発防止に万全の対策をとること。
2.過酷事故対策と、原子力災害対策を早急に確立すること。

3.国の安全審査体制を抜本的に見直すこと。

4.核汚染事故に対しては汚染者負担に基づく法制度を早急に確立すること。
 ○核汚染の生じた広範な土地について国の責任で処置を行い、その費用や健康被害の賠償、農地や農作物の損害の賠償などについて汚染者負担を義務づける法制度を早急に確立すること。

5.環境政策とりわけ地球温暖化対策の中に位置づけられた原子力推進を白紙に戻すこと。
 ○現在見直しの進んでいる「環境基本計画」に対し、環境庁と協力し、原子力推進の記述やその強化を削除すること。
 ○「地球温暖化対策推進大綱」、「地球温暖化対策に関する基本方針」に対し、環境庁と協力し、原子力推進の記述やその強化を削除すること。

6.原発推進のエネルギー政策を抜本的に見直すこと。
 ○「原発20基増設」はいったん白紙に戻し、国民的議論を行い、結論が出るまで全増設を凍結すること。
 ○「長期エネルギー需給見通し」および「長期電力供給見通し」、「石油代替エネルギーの供給目標」の中の原子力について抜本的に見直すこと。
 ○原子力推進の道具になっている電源三法を見直し、原子力への補助金等の支出も抜本的に見直すこと。

7.原子力に関する完全な情報公開を行うと共に、広報について抜本的見直すこと。
 ○全ての原発、原子力に関する情報をただちに公開すること。
 ○今年10月26日の原子力の日には、従来のような原発推進の広報ではなく、原子力の是非を含む議論参加への呼びかけを行い、原発推進一辺倒の原子力・エネルギー政策見直しの国民的議論の契機とすること。
 ○テレビを利用した原発推進のCMについては、短期間の自粛でなく、中止すること。

環境庁長官宛て申し入れ項目

1.核汚染事故に対しては汚染者負担に基づく法制度を早急に確立すること。
 ○核汚染の生じた広範な土地について国の責任で処置を行い、その費用や健康被害の賠償、農地や農作物の損害の賠償などについて汚染者負担を義務づける法制度を早急に確立すること。

2.環境政策とりわけ地球温暖化対策の中に位置づけられた原子力推進を白紙に戻すこと。
 ○現在見直しの進んでいる「環境基本計画」に対し、原子力推進の記述やその強化を削除すること。
 ○「地球温暖化対策推進大綱」、「地球温暖化対策に関する基本方針」に対し、原子力推進の記述やその強化を削除すること。

3.原発推進のエネルギー政策を抜本的に見直すこと。
 ○「原発20基増設」はいったん白紙に戻すよう、環境保全を所管する官庁の長として主務大臣に求めること。
 ○「長期エネルギー需給見通し」、「長期電力供給見通し」および「石油代替エネルギーの供給目標」の中の原子力について、抜本的に見直すよう環境保全を所管する官庁の長として主務大臣に求めること。
 ○原子力推進の道具になっている電源三法を見直し、原子力への補助金等の支出も抜本的に見直すよう、環境保全を所管する官庁の長として主務大臣に求めること。

4.原子力広報について抜本的見直すこと。
 ○全ての原発、原子力に関する情報をただちに公開するよう、環境保全を所管する官庁の長として主務大臣に求めること。
 ○今年10月26日の原子力の日には、環境保全を所管する官庁の長として環境問題の観点から警告の広報を行うこと。また推進広報を今年は中止するよう環境保全を所管する官庁の長として主務大臣に求めること。
 ○テレビを利用した原発推進のCMについては中止するよう、環境保全を所管する官庁の長として主務大臣に求めること。

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