(99/6/10 更新)
Q1 ゴミ処分場からの有害物質対策
Q2 厚生省の実態調査
Q3 規制前の処分場管理
Q4 処理場アセスメント
Q5 都道府県の「住民同意」条項
Q6 改正廃棄物処理法と問題点
Q7 「住民同意」廃止せまる厚生省
Q8 廃棄物処分場問題の解決方向
● ゴミ問題をめぐる主な事例 更新98/10/09
● 産廃処理場建設めぐる住民投票 更新99/5/24
Q1 埼玉・所沢や大阪・能勢町などダイオキシンの高濃度汚染地域が次々に発覚するなど、有害物質が住民の健康を脅かしていますが、その実態と改善対策のあり方は
A 自治体の一般廃棄物処分場は、焼却施設のダイオキシンを含んだ灰や、電池などに含まれる有害重金属など、多量の有害物質を含んでいます。こうした物質が水と共に外部へ漏れて河川や地下水を汚染しないように厳重に管理しなければなりません。
しかし現実は、東京・日の出町の処分場のように、管理型処分場として設置されながら、不完全な設置基準や、ずさんな施工、あるいはその後に、底に敷かれた遮水用のゴムシートに穴があいて有害物質が漏れて周辺住民の健康を脅かす事態が発生しましたが、こうした事態は全国で懸念されます。(問題の代表例を末尾に掲載しています)
政府(厚生省)も十分実態を把握していないので、調査・総点検を求めるとともに、その結果にもとずいた改善基準をアセスメント法(処分場のみ)及び廃棄物法の「生活環境調査」(焼却場及び処分場)の技術指針などに反映させることなどが必要です。
Q2 厚生省が実態調査をしたようですが
A このほど行われた厚生省の調査では、法律施行前と、処分基準のみの期間で合わせて458施設で欠陥が判明しています。さらに77年以降建設された1125施設では処分基準、共同命令の両方に違反するのが80カ所にのぼり、全国に1901ある施設のうち、3割弱の538施設が遮水シートすらない問題施設となっています。
欠陥施設の多い県は北海道の102カ所、鹿児島72カ所、新潟30カ所の順です。
これらの処分場からはダイオキシンなど有害物質が外部に漏洩して河川や地下水を汚染し続けることになります。なぜこのような欠陥処分場が存在するのでしょうか。それは、市町村が設置に当たって許可申請を知事に届けなかったり、中には虚偽の届け出をしていたケースもあります。
今回の調査で、処分基準と共同命令に違反している80処分場のうち、市町村が都道府県に届け出を行わず設置したのが9割という状況です。
これには罰則規定もないため、現在でも多くの施設でごみの搬入が続き、汚染が拡大しています。さらに、さきの厚生省調査では焼却灰が「野積み」された場所が、茨城や栃木、三重、長崎など11県19カ所あることが分かっています。
また、厚生省は地下水汚染などの被害状況は一切把握しておらず、具体的な被害調査についても「今後、都道府県を通じて調査を進める」と説明しているだけです。
今後の対策について、市町村は処分場を新たに確保すること、基準に適合した他市町村や民間の施設に搬入すること、などの方針を打ち出している模様ですが、数年先の実現を目標にするものが多く、改善は先延ばしになっているのが実情です。
Q3 1971年以前までの処分場管理はどうでしたか
A 処分場の管理に関しては廃棄物処理法が施行される1971年以前は全く規制はなく野放しで、71年に「地下水の汚染防止」という抽象的な表現ながら規制が始まりました。また77年には厚生省、環境庁による「共同命令」がだされ、都道府県への設置届け出と、底部や側面にゴムシートを張る遮水工事や浸出液処理設備の設置がようやく義務化されました。 このため、今後、既設の焼却施設や最終処分場からの有害物質の環境への漏洩と発覚は続発するものとみなければなりません。
Q4 産業廃棄物処理施設はアセスメントの対象となっていますか
A 焼却施設でのダイオキシン発生放置と垂れ流し、最終処分場でのずさんな管理、法令違反などで埼玉県所沢市をはじめ、全国で問題を引き起こしています。また、こうしたことから産業廃棄物処理施設に対する地域住民の拒否反応は強く、処分場の是非が「住民投票」にまで持ち込まれるケースもありました。
現在は、環境アセスメント法が制定され、こうした処分場もアセスメントを実施しなければなりません。しかし、環境アセスメント法が成立する以前の環境影響評価要綱(閣議アセス)では、焼却施設はアセスの対象ではなく、産廃処分場も30ヘクタールをこえる巨大施設のみが対象でした。このため処分場全体の99%以上が環境アセス手続きのないまま建設されてきたという経緯があり、まさに廃棄物処理にかかわる施設における環境汚染を防止する対策は皆無に等しい状態でした。そこで、97年に廃棄物処理法が改正され、廃棄物処分場の建設に際してもようやくアセスメントを実施するなどの改善がはかられるようになりました。しかしこの改正も、十分なものではなく、抜本的な解決策は積み残しとなっています。
Q5 都道府県はこうした問題を知りながら対処してこなかったのですか。
A こうした厚生省の姿勢にたいし、住民要求が一定程度反映せざるをえない都道府県では、指導要綱とよばれる行政指導で、廃棄物処理業者などに対処してきました。特にその中で、施設設置の際の「住民同意」を条件とすることを定めているところが34道府県あり、これまで、処分場の設置強行に際しての一定の歯止めになってきました。
これは廃棄物処理法では、産業廃棄物の焼却施設や最終処分場など処理施設を設置する場合、国の機関委任事務で知事の許可を得ることが必要となっていたことによるもので、要綱で住民の意向を反映させ、法律を補い、業者を指導してきたものです。
厚生省の調べでは1995年7月現在、東京と沖縄以外の45道府県で産業廃棄物に関する要綱を制定しています。そのうち34道府県が「住民同意」条項を設けています。
Q6 改正された廃棄物処理法のポイントと問題点
A 97年12月に改正され、98年6月から施行される改正廃棄物処理法では、地域の生活環境へのアセスメント手続きが新設されています。以下がその手続き規定内容です。
(1)事業者による地域の生活環境への影響調査の実施
(2)結果を告示し1カ月間縦覧
(3)その後2週間以内に関係住民からの意見書の提出
(4)関係市町村からの意見聴取
(5)専門家の意見聴取
こうして形式的には住民が知事に対し意見を述べる機会も保障されましたが、しかし改正法では住民の「同意」を許可要件としていないため、住民の意見は聞くだけの形式的なものとして扱われる可能性のあることが指摘されています。
Q7 「住民同意」条項の廃止求める厚生省
A ところが厚生省は、97年12月の廃棄物処理法の改正を理由に、各自治体に対しそうした要綱の「住民同意」条項を廃止するよう求めてました。この97年12月の厚生省の通知は、各知事と政令市長あてに出されたもので、住民の同意を事実上の許可要件とすることは法に定めた規制を超えたものであるとし、要綱の見直しを行い、「住民同意」条項の廃止することを求めています。
これにたいし、「住民同意」規定のある34道府県のうち、少なくとも23県がこの規定を存続させるもようです。これは朝日新聞の調査(6月18日)によるもので、各県の態度は次のとおりです。
| 住民同意条項の存続を決めた県 | 北海道、青森、秋田、山形、栃木、埼玉、千葉、新潟、福井、長野、静岡、愛知、三重、岐阜、滋賀、京都、兵庫、岡山、山口、大分、宮崎、鹿児島、沖縄 |
| 住民同意条項の存続について検討中の県 | 宮城、福島、茨城、群馬、神奈川、山梨、大阪、奈良、愛媛、高知、佐賀 |
住民同意条項の存続を決めた県では、「住民同意」がないと県は設置許可手続きに入れない仕組みとなっています。
このように23県で「住民同意」条項の存続を決めたことは、改正廃棄物処理法における「住民意見」の反映程度では形式的に扱われ、設置強行の口実とされる危険性が現実に存在することを示したもので、改正法の基本的な問題点がはやくも浮かびあがったかたちです。
Q8 廃棄物処分場をめぐる正しい解決は
A 無責任な自治体、それを知りながら見てみぬふりをする厚生省の姿勢は問題です。大量生産のつけを住民におしつけるのではなく、全処分場の再点検と環境影響調査、問題箇所の使用禁止が求められます。加えて、環境影響評価法の強化と廃棄物処理法の生活環境影響手続きの抜本強化と厳格な住民合意の保証が求められています。また、日の出町の事例や今回の違反により、国や自治体の法令違反にも罰則が必要なことがはっきりしてきたと言えます。
また、改正廃棄物法の施行にともなって、廃棄物処理場についても環境アセスメント法による技術基準を確立させることの必要性や、一般ごみ最終処分場にかかる技術基準の確立、そしてダイオキシン問題でゆれている一般廃棄物の焼却場(清掃工場)の安全基準を確立する必要性から、公害・地球懇(JNEP)も参加する「いのちとくらし、自然を守る環境アセスめざす会」は、98年5月に厚生省にたいし、アセス基準の明確化をもとめて具体的な要請を行ったところです。
●ゴミ問題をめぐる主なケース(「住民投票」も参照)
| 香川/豊島 | 13年間にわたり産廃を不法投棄、90年に摘発。93年、公害調停に持ち込む。最近になってダイオキシン39ナノグラム検出。 |
| 東京/日の出 | 西多摩の水源部に三多摩自治体の焼却残灰等を管理型処分場に埋め立て。ゴムシート破損により有害物質が水系に漏れる。この問題が未解決のまま、隣接地に第2処分場建設を強行。 |
| 埼玉/所沢 | くぬぎ山地区で産廃の野焼きからダイオキシン発生。母乳からも検出。これをきっかけに全国のゴミ焼却場から環境基準こえるダイオキシン検出が続発しパニックに。問題が小型炉の使用規制までに全国波及。所沢ダイオキシン条例(全文)で削減計画と市・事業者の責務 |
| 三重/海山 | 水源上流部に産廃焼却。操業中に水源汚染。下流4000人が操業停止求め仮処分申請中。 |
| 長野/阿智村 | 96年に県事業団の産廃処分場計画。97年、阿智村がアセス受入れを決め、現在「社会環境アセス」中に危急・希少動植物多種報告。 |
| 千葉/小櫃川 | 小櫃川上流に処分場建設強行される。住民運動で、水源保護のため木更津市、君津市、袖ヶ浦市に水源保護条例を制定(94/12-95/6)させる。 |
| 大阪/能勢町 | 豊能郡美化センターの焼却施設の排ガスを除去する開放型水冷塔からでたダイオキシンが周辺の土壌を高濃度(グラム当たり2700ピコグラム)に汚染したとして、運営管理する豊能郡環境施設組合、メーカーの三井造船、三造環境エンジニアリングを相手に町民865人が大阪府公害審査会に公害調停を申請(98/9/10)。 |
| 京都/市原野 | 京都市が計画した処理能力日量700トンの巨大焼却場建設をめぐり、左京区市原野の住民が8年越しの裁判闘争を展開中。12月には市の全量焼却主義を改め、減量・リサイクルに取り組めば新工場建設は不要、とする工事差し止め仮処分請求の結審が予定されている。 |
●住民投票にまで発展した産廃処理場建設とその結果(99/5/24現在)
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