陽の季節」の終わりに

 




レポーター : 納 富 記 者



 

暑い。
肌をジリジリと突き刺すような日差し。
川上から川下へと強烈に吹き下ろす風。
整然と並べられてる“災害救援”車両。
止むことのないヘリの爆音。
そして突如江戸川に現れた、浮橋。
やはり、今日は特別な日だった。
そこには、野球や釣りを楽しんでいた
一週間前の河川敷の姿はなかった。

変わらなかったのは、本部テントの前に
ある、
ブランコとブタさんの乗り物だけ。
ブタさんの表情もどこか悲しげ……か。




10時。会場に着いて驚いたのは、
予想外の人の多さ。
河川敷の芝生や散歩道は、かなり
混雑してる。
石原裕次郎の兄、慎太郎都知事を
一目見たいと思ってるおばちゃんや
おじちゃん。

芝生の上に座ってのんびりと眺めてる
おじさん。
日課の散歩の途中に「なんだこりゃ!?」と
足を止めてる人。


ここら辺に住んでる人は、

防災訓練に慣れているようだ。
「毎年やってるからねぇ」とこの会場の
目の前に住むおじさん。

「でも毎年、規模が大きくなってるけど、
今年はちょっと違うねぇ。
朝の6時に区のスピーカーで起こされ
ちゃったよ」
と苦笑い。


 
カメラを持って楽しそうに撮影している自衛隊マニア(?)……。
年齢層は高い。若い人たちは、ほとんど見かけることはなかった。

今回の訓練は、毎年やってる防災訓練とどこが違うと思いますか。
 「……(浮橋は)橋が壊れたときの代わりじゃないの。
よくわかんないけど。まぁ、こうゆうのに税金使うのは
構わないよ」
「でも、実際に地震災害が起きたら車両は、通行できないんですよ」
と言おうと思ったが言葉が出ない。
初取材の緊張からだろうか、ペースがつかめない。

税金については、ハチ五郎さんが話を聞いた人に、次のような人がいた。
「(税金の)使い道がハッキリしてていいじゃない!」

徐々にペースをつかみ始めた頃、あの都知事のプロパガンダ放送局
MXテレビの放送クルーを発見。
暇そうに談笑してる(ように見えた)ので、突撃取材を敢行!
「あのー、今回の訓練について少しお話を伺いたいんですけど……」
「……」
急にその場の空気が悪化。若いカメラマンが僕を怪しげな目つきで
見つめる。
そして一言。
「仕事中だから(ダメ)」。
突破党の人間であることがバレたのか!?

 
 
11時30分過ぎ、遂に篠崎会場の訓練としては
ハイライトといっていいだろう浮橋完成。
強風で橋を流されないようにするためか、
川下の方からボートがびっちりと並び、橋を
支えている。
その橋を千葉方面で待機していた自衛隊車両が
次々と渡っていく。

しかし、何度も言うようだが、
実際の地震災害では、車両は浮橋を渡ることはできても、
浮橋まで到着することはできない。

ショーとしては圧巻。というか壮観だが。


 
 

11時50分。訓練を見学してる人たちにとってのハイライト。
石原都知事が到着。

消防庁のヘリで派手に現れたが、表情は疲れているようだった。
どうやらカレーを食べに来た様だ、ヘリで。さすが。


さすがに、それだけでは格好がつかないのか、自衛隊員を整列させて、彼らの前でアジテーション。
残念ながら内容は聞き取れなかったが、
その様子を見ていたヒゲオヤジさんは、
「あれ(自衛隊員)が、ほんとうの石原軍団
一同爆笑。間髪入れず僕が、
「じゃぁ、この防災訓練は、“21世紀の慎太郎を捜せ”だ」。
また爆笑。

12時50分。急ぐように石原都知事は、ヘリに乗り込み

天に召されていった。晴海に向かったようだ。
石原知事が去ると、見物人が
次々と帰りだした。
なんだかんだ言っても、人気は絶大だと思い知らされる

 その頃ハチ五郎さんは、自衛隊員の取材に成功。
 「銀座でもパレードやってるみたいですね?」
 「いや、あれはパレードじゃないよ。
 デモンストレーション」
 思わず本音が。やはり自衛隊員ですら、これは
 防災訓練とは思っていない様だ。
 少なくとも、銀座は確実。

上空にはヘリが7、8機は飛んでいる。低空で頭上飛ぶときは、

爆音と爆風を伴い、かなりの威圧感を感じる。
実際の地震災害のときに、都民が安心感を抱く(『訓練の基本的な考え方』より)
かは、甚だ疑問だ。“治安出動”という側面はやはり否定できない。

2時過ぎ。上空のヘリも去り、会場の撤退が始まる。取材も終了。


 
  
結局、“ビッグレスキュー2000〜首都を救え〜”とは何だったのか。
やはり現実的ではなかった訓練を目にして、もう一度考えてみる。
実は石原慎太郎は、ただ軍隊を動かしてみたかっただけなんじゃ
ないか、と思わなくもない。

17歳の少年が、「人を殺してみたかった」と言うように。

大学生の僕が言うのも何であるが、彼からは幼稚性を感じずにはいられない。

写真でしか見てないけど、芝公園でのチマ・チョゴリを着た辛淑玉さんは、
ほんとに美しかった。

僕は、チマ・チョゴリ(もちろん辛さんも!)があれほど美しいものだとは
知らなかった。ゾクっとするようなオーラを感じた。

まだ、自分の中で上手く言葉にできないけど、あの辛さんの姿に、答えが
あるはずだ。
辛さんの「差別は無知から生まれる」という言葉が、胸に響く。


 


電脳突破党
連絡先事務所
檸檬屋:03-3828-2028
東京都荒川区西日暮里3丁目14-13-201