EMI EMC IMMUNITY
医療界におけるEMI 我々のまわりで(院内で、院外で)起こり得る電磁障害
(言葉の説明)
EMI electromagnetic
interference 電磁妨害
EMC electromagnetic
compatibility 電磁的両立性
IMMUNITY 電磁妨害耐性
医師でありアマチュア無線家でもある我々は、このことに誰よりも厳しくなければならない。
会員各位の認識におさおさ怠りはなかろうが、もう一度、兜の尾を締めなおしてアマチュア
無線を楽しもうではありませんか。
人命に直接関わる医療用電気機器はあまりにも多い。そしてこれらの医療機器のEMI対策は全く製造者側に
ゆだねられているのが現状である。未だに対策が施されていない機器もあり、中にはかかる問題が重要視され
なかった時代に製造され、現用されている機器も少なくない。一方、電波は壁や床を容易に通過し、医療機器を
装着した患者も時には自由に歩きまわる。医療施設内ではEMCに知識を持ったスタッフもいるであろが、院外
では常に知識を持った者がいるとは限らない。現状ではEMC問題は想像を絶する多様性をかかえているがゆえに
あらゆる場面を想定した検討が加えられなければならない困難な問題なのである。
どのような医療機器に障害があらわれるのか
今回ここに収載したケースの大部分は、携帯電話の爆発的普及により必要に迫られ平成7〜8年に実施された
不要協(不要電波問題対策協議会)の調査報告から抜粋したものである。
厚生省医薬品副作用情報 No.136(H8) が 明記した被害発生機器
パルスオキシメーター、胎児心拍装置、呼吸監視装置、シリンジポンプ、輸液ポンプ などなど
平成9年に発表された不要協(不要電波問題対策協議会)の調査報告では、対象となった医療機器の障害の
程度を6段階に分類し、どの種類の機器が電磁障害を発生し易いかを簡潔に表している。それらを以下に掲げる。
カテゴリー6 不可逆障害、致命的
人工呼吸器、シリンジポンプ、輸液ポンプ、体外型心臓ペースメーカー、透析装置、IABP
カテゴリー5 可逆、致命
人工呼吸器、体外型心臓ペースメーカー、シリンジポンプ、輸液ポンプ、IABP,麻酔レスピレーター、透析装置
カテゴリー4 不可逆、誤診
輸液ポンプ、電子体温計
カテゴリー3 不可逆、誤診、混乱
人工呼吸器、保育器
カテゴリー2 可逆、混乱
ドプラー血流計、テレメーター
それらの機器は具体的にどのような障害の状態であったか
輸液ポンプ 作動停止 特に滴下センサー部で影響が出やすい。 病院実態調査では10cmの距離で、
NTT移動通信網(株)では20〜数cmの距離で影響が出たと報告、日医機協(日本医療機器関係団体
協議会)は65〜85cmの距離で影響が出たものがあり、シリンジポンプの63%、輸液ポンプの35%
に影響が出たと報告。
人工呼吸器
突然の停止、 換気モードの変化、 換気回数の変化、 警報装置の誤作動、デイスプレー画面の誤表示
ペースメーかー
ペースメーカー協議会では、植え込み部より携帯電話 22cm、 肩掛け型及び自動車電話のアンテナ
から30cm、PHS,コードレスフォンは 22cmの距離を離すよう、 アマチュア無線、パーソナル
無線は近傍で使用しないようにとのガイドラインを発表している。
保育器 温度表示に可逆的異常
酸素濃縮器 警報誤作動、コンプレッサー停止 いずれも不可逆
低圧持続吸引器 圧表示に可逆的異常
徐細動器 ノイズの混入 可逆
患者監視装置 グラフのゆれ 可逆
IABP 基線のゆれ 可逆、バルーンが収縮 不可逆
人工心肺装置 センサー誤動作、ポンプの停止 不可逆
血液透析装置 警報発令 ポンプ停止
電子体温計 誤表示 不可逆
血液加温器 温度表示ふらつき 可逆
電動椅子 減速、警報なり停止、急発進
どの部分がEMIに弱いのか
1.生体情報検出センサー
2.動作監視センサー
3.デジタル表示部
4.装置の背面
5.長い接続線
電磁障害を受けた機器はそれが診断用機器であれ、治療用機器であれ、その障害の程度により可逆的、
不可逆的の反応をおこす。そしてその反応は何らの影響を表さないものから、混乱の原因になるもの、
誤診、誤った治療の原因になるもの、致命状態に至るものまで千差万別である。場合によっては危険を
知らせる警報装置に誤動作を惹起してしまう空恐ろしいケースさえ発生するのである。
EMIの発生が確認された、または、予測される医療用電気機器詳細
医療機関内
1 電気生理関係検査(DC〜数KHz、 数マイクロV〜数mV)
生体電気を扱う検査 心電、筋電、脳波
心電計: 電源ケーブル、患者コードより回り込む。 動作停止、プログラム暴走
脳波計: 増幅度大、100db以上、放送波混入
2 超音波検査(1〜10MHz)
超音波断層装置、超音波ドプラー血流計、超音波血圧計、同心音計等 プローベが高周波成分を拾い易い。
3 検査室 アナログ信号とデジタル信号の混在
生化学分析器、血球計算器、比色計 エラー表示、データの不安定、停止、プログラムの消失
4
放射線検査及び画像検査室
MRIでは6.39MHzが使用されており、1〜10MHzのラジオ波の影響を受け易い。
5
ICU,CCU、RCU,NCU,NICU等(医療機器間、それ等とコンピューターの接続が複雑になれば
なるほど、EMC問題が頻発するようになる)
患者監視装置、各種計測器、コンピューター制御機器、モニター機器、超音波診断装置、生命維持装置、
人工呼吸器、パルスオキシメーター、各種ガス分析器、シリンジポンプ、輸液ポンプ、テレメーター、
データ管理用コンピューター、無停電電源装置、透析装置、 インキュベーター
6 手術室
同上機器、電子内視鏡、テレメーター
医療機関外 (医療関係者がいない場合が多いこれら機器は、特にimmunityの向上が求められる。本来、在宅で使用する
医療機器はその目的のために専用の規格のものであるべきで あるが、現状は医療用が使用されている)
1 ペースメーカー
現在のところ外来電磁波に弱い
2 ホルター心電計
3 在宅医療機器
シリンジポンプ、輸液ポンプ、注入ポンプ、腹膜還流器、人工呼吸器、酸素濃縮器、パルスオキシメーター、
脳脊髄刺激送信機
4 日常使用される健康維持のための補助装置
補聴器、電動いす
EMC対策
1. EMI対策の講じられた機器の導入。しかし全ての医療機器がEMI,EMC対策を講じられている
ものでないことを銘記しなければならない。わが国には未だ確立された規格は無い。通常の医療器は
IEC601−1−2 レベル2 3V/m(人工呼吸器)、レベル3 10V/m(輸液ポンプ)
に分類されている。
2. 古く導入された機器(1993以前)では、全くEMCの概念無しに製造されたものもある。
3. 不要協の指針を熟読、熟知、医療施設内の各人に徹底すること。しかしこの指針はあくまで携帯電話の
使用を主体とした指針であることを忘れてはならない。
4. 各医療施設で携帯電話をはじめ、医療側で使用する電気メス等のEMI,EMC,immunityに
つき 検討し、実験し、対策をたてなければならない。
5. ノイズの伝播経路の確認は非常に大切である。
空間から、電源から、接続線から。 低い周波数は回り込みやすい。
(対策) 発生をおさえる。 妨害源のシールド。 妨害源から距離を置く。 接続ケーブルの光接続化。
接続ケーブルのインピーダンスを上げる。 被害側での電磁シールドを施す。
商用電源からの雑音 混入の経路は抵抗結合、静電結合、電磁結合、そして、電源高周波が静電誘導に
より回り込む。EMIとimmunityが混在する中で、将来的にはEMCを模索する方向に進むであろう。
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