特別企画  天才Sinjo!暗黒大陸を行く 2002  2002/3/20〜4/3
 
 

 

「サンフランシスコはいかがですか」という質問に、
「うーん。新庄フィーバーじゃないですか」
と答えた我らが新庄くん。なんたる自信!
しかし、あいかわらず、質問の意図がわかっていない。
まったく似合わない黒とオレンジのユニフォームを身にまとい、「おそらく、日本人が好きな住人はひとりもいない」アリゾナ州フェニックスから始動した新庄くんに密着取材。
たのむで、Shinjo!

 
 

  4月3日  私は今も「タテジマの代表が海を渡った」のだと思っている。


 


  バリー、バリー、バリー、バリー・ボンズ!
  オープニングゲームから2発5打点!
  やっぱ、親分のリアルディールぶりには、誰もかなわねえ。
  ボンズがホームランを打ったからといって、自信を失いかけたアメリカ全土が熱狂したわけではないけどね。きっと、ムカついているやつ、 イエイ、って叫んだやつの500倍だ。
  オープニングゲームのセレモニーでは、みんなして、必死で「古き良きアメリカ」を演出してたけど、バリー様の腕力ですべてはぶち壊し。 痛快無比。
  それに比べて、ヤンキースに次ぐ量の札束を投入しているドジャースの打線の地味さはなんなのだろう。シェフィールドをどうして放出してしまったのか。
  先頭打者がヒットで出ると、初回から初球送りバント。さらに3盗。 ファーストゴロで1点を取る、という戦法はジャイアンツ以上のセコさ だな。ジム・トレーシー監督、ポール・ロデュカの打撃なんか全然信用 していない。
  しかし、ボンズのホームランでおぜん立てはすべてぶち壊し。
  4点差になっても2度スチールを試み、徹底した待球作戦でリバン・ ヘルナンデスをイラつかせる。
  メジャーリーガーはバントをしない、という言説を世間に流布したやつは誰なんだよ。野村ヤクルトだって、ここまで手堅い野球はしないぞ。
  新庄くんに課せられたものって、ほんとに重労働だと思う。そんな風に1点を争うゲームで、完全に組織の歯車になって動かなければならな いんだから。
  結局、1回も「新庄律」が作動しなかった、アリゾナ、西海岸の15日間だった。
  みんな忘れてしまっているんだろうけど、私は今も「タテジマの代表が海を渡った」のだと思っている。新庄剛志の過剰なハートは、オレンジ色のユニフォームをまとっても絶対に変わらない。変わりようがない。 あとは、それをダスティ・ベーカー監督とサンフランシスコ市民が理解するかどうかである。3回に1回の「イエイ」じゃなくて、30回に1 回の想像を超えたカタルシスを待ってあげることができるのか。ニュー ヨークのホワイト・トラッシュたちは、明らかに新庄くんのやる「いらんこと」を愛していた。

  さらば、アメリカ。
  グローバル・スタンダードなんてまっぴらご免。中心を失い、街を失い、一人勝ち企業の物量、ピカピカのジャンクヤードに快楽を見出すしかないこの国に未来はない。この国について行ってもろくなことはない。
  野球には感謝。
  アリゾナで間近に見たメジャーリーガーたち。サミー・ソーサ、バリ ー・ボンズ、ルイス・ゴンザレス、ビリー・コッチ、マーク・マルダー、 トレバー・ホフマン……。
  こんなに贅沢なスポーツ観戦はなかった。

 

  4月1日  さらに新庄剛志が開幕先頭打者初球


 


  オーマイガッ!
  試合の2日前になってドタキャンはねえだろう、ドジャース広報!
  結果、空港からホテルに着くまでが40ドルのドライブ。ホテルからダウンタウンの日本人がやっているチケット屋まで30ドルのドライブ。 手に入れた内野フィールドレベルのチケットが200ドル!
  長屋暮らしのしがないライターがやることじゃねえよ。
  文藝春秋、至急、札束を送るように。
  星野監督が大笑いをして、パレスチナでは戦争か。
  さらに新庄剛志が開幕先頭打者初球ホームランを打つわけだから(← もう決めてる)、大変なことになるなあ。
  でも、いいね、LA。
  ダウンタウンから地下鉄(があるってのにも驚いたが)に乗って、ハリウッド通りを歩いた。久々に見たね、こんなにきれいな夕日。
  明日は、おそらく、中田潤、生涯一のハードデイ&ナイトである。
  書けるところまで原稿を書いて丸太のように寝ましょう。


 

  3月31日  御本人はな〜んにも気にしていないようなのだが


 


  御本人はな〜んにも気にしていないようなのだが、ついに、新庄くんはダメダメのまま、開幕を迎えることになった。
「キャンプ、オープン戦が終わってホッとしています」
  ……ホッとしている場合じゃないと思うがなあ。
「いよいよ開幕。気持ちは徐々に高まってきています」
  そういうどうでもいいコメントを通訳を通じて出すだけ。
  最後のオープン戦でも、新庄くんは初球を打ちにいかない。結果、外野フライ2本、無安打。
  パック・ベル・パークのスタンドも打席のたびにトーンダウンしているような気がしてならない。
  東京から送られてきた『週刊ベースボール』のインタビューで、新庄くんはこう語っている。
<ジャイアンツはメッツと違って大人の集団だよ。雰囲気的にね。>
  おそらく、推定5歳時は、三十路になってやっと大人になろうとしているのである。
  一方で、こんなことを言いながら、
<まあ、野球は“人生の暇つぶし”なんで。>
<そう、いい家に住んで、いい車に乗って、おいしいもの食べて、野球 もそこそこやって、そういうのっていいやろ。>
  ナメくさっておられんですかね。
<オレ、いくらお金がなくてもそんな所(海の見える丘にある現在の邸宅)に住むよ。>
  これ、生まれてからいっぺんも貧乏したことない人しか言えねえ言葉である。
  そんなオレだけど、SFにやってきたぜ、ベイベー。ジャイアンツに入ったからには、大人になるぜ、ベイベー!
  でも、それが、初球を見送ること?
  苦手な右打ちに徹すること?
  ここまでのジャイアンツの闘いぶりを見てきて思うに、新庄くんにはかなりの頻度で「右打ち」のサインが出されいるのではいか。
  阪神ファンならわかるよね。
  新庄くんが、結果を求めて当てに行ったり、無理にチームプレーをしようとしたらどうなったか。
  怒鳴られたり、ヒッティングマーチを消されたりしていたのではなかったか。
  なにはともあれ、メジャーの開幕戦。まだ誰のスパイクの跡もないバッターボックスに新庄くんは立つ。
  阪神ファンならわかるよね。
  こういうときの新庄くんがなにをやらかすか。


 

  3月30日  一方、海を渡ったミスタータイガースは、といえば……。


 


  勝ちましたか、阪神タイガース!
  見たかったなあ。これで、今年は優勝でしょ。まず、間違いなく(たかが1勝で?)。
  一方、海を渡ったミスタータイガースは、といえば……。
  初回、結局1球もバットを振らずにK。
  2回は、1死満塁。こんな場面の新庄が見たかった!
  ……しかし……。
  1球目のストライクをまたも見逃し。
  新庄くん、バリー・ボンズ、レジー・サンダースの打席を見ていないのか。このご両人、チャンスに滅法強いが空振りも多い。3球振るなかで相手を仕留める。さらに確率の悪い新庄くんが、3回の抽選機会を2回にしてどうするの!?
  結局、右打ちのようなそうでもないような中途半端なバッティングで 123ゲッツー。最悪である。その後、敵地とはいえ、サンフランシスコからほど近い球場は、新庄くんの打席だけ静まりかえった。
  4回、やっと自らの間違いに気づいたのか、ファーストストライクを打ちに行くがファール。4球目をサードゴロ。なぜ、満塁の場面で1球待って、無死ランナーなしで早打ちなの? この打席では、アスレチックスの成長株、コーリー・ライドルのストレートを狙っていたようなのだが、2回のチャンスの場面、初球は確かストレートだったよなあ。
  さっぱり、わからん!
  結局、この日の新庄は、内野が深く追いすぎたためにワンバウンドしたポテンヒットが1本のみ(5打数)。これも完全な凡フライでセンターが新庄くんなら余裕で捕れていた。
  強いジャイアンツが大好きなサンフランシスコ市民もそろそろ気づく頃かもしれない。
  もしや、この男、バカなのでは……。
  クールなふりしているだけなのでは……。
『スポーツ・グラフィック』によれば、「新庄にリードオフマンは務まるのか」という質問に、ダスティ・ベーカー監督はこう答えている。
「他に選択肢があるか」
  あるとしたら、シーズン途中でのトレード?
  なにはともあれ、開幕まであと2日、さあ、どうなる新庄!?


 

  3月29日  ショック! かなりショックである


 


  ショック! かなりショックである。
  あの新庄剛志が読売のユニフォームを着ている。
  そんなわけはない。帽子にはSFの文字があるではないか。それはそうなんだけど、ホーム用のユニフォーム、読売と寸分違わない。
  もう、そんなこだわりはいいではないか。新庄くんはメジャーで闘っているんだから。
  私も頭ではわかっているつもりなのだが、白地に黒、オレンジの縁取りって生理的にダメになってんだな、35年のタイガース人生によって。 その配色を着ると、新庄君のスタイルが1・2倍ほど膨らんで見えたのは目の錯覚か。
  読売の新庄が、1球待って、四球を選んで、またしても初回に得点した。
  この事態を一体どんなふうに理解したらよいのだろうか。
  3回には、センター最深部の大飛球へ一直線に走ってナイスキャッチ。
  これで、サンフランシスコのファンにも「新庄の必要性」だけは、しっかり、刻み込まれたのではないか。
  しかし、よく考えてみると、メジャーリーガーってけして外野の守備がうまくない。マービン・ベナードの守備については、前に書いた。去年のラインナップでは、その隣で、バリー・ボンズがパンタロン履いて守ってたんだもんな。松井秀喜とマルちゃんのコンビみたいなもんだろ。 ここまで、7チームの選手を見てきたが、イチローと新庄くんがずば抜けてうまいと思うぞ。
  しかし、今日買った『スポーツイラストレイテッド』のランキングによれば、外野手部門でイチローは8位、新庄くんは76位(90人中)、 もちろん1位はボンズである。
  そういえば、田口って今、どうなってるの? 一軍枠に残れたの?

 

  3月28日  心配なのは、あの新庄くんが


 


  というわけで、意味なくロココ調で、隠れタバコをして見つかったら丁重に150ドル要求さそうな最悪のホテルでこれを書いている。それ以外は、SF、言うことないんだけど。一日1ドルでどこにでも行ける し。
 それにしても、『地球の歩き方』、書いてあることほとんどガセ。バスの行き先、メトロの乗り場まで間違っている。地図には、パシフィック・ ベル・パークがなぜか影も形もないし、もう捨てました。ヘイトアシュベリーが、パンクなど個性派ファッションの若者のたまり場? 普通の街じゃん!
  球場は悪くなかった。絵面だけ見て、「ああここもテーマパーク化したか」と思っていたのだが、内野席の緑とレンガの茶と外野席の銀色が思いの他クール。余計な演出もなく、観客も1球に集中している。演出といえば、ボンズがホームランをかっ飛ばしたときに上がったスモークぐらいか。
  これで、ルイス・ゴンザレス、サミー・ソーサ、バリー・ボンズのホームランを見たことになる。贅沢な気分ではあるんだけど、毎日、ジャイアンツの打撃練習を見ている身としては、「遅せえよ、親分」と言いたくもなる。
 おそらく、今日のラインナップがベストメンバー。そこに新庄剛志の名前があることは、偉い、というか、畏れ多いというか。
  ジャイアンツ、本当に強力打線なのである。たとえば、新庄くんの後ろを打つリッチ・オーリリア。2001年の成績、打率.324。ホームラン37本(!)。打点97。こんな2番打者がいるか。カズ山本って37本打ってるっけ。
  そこから、ボンズ、レジー・サンダースとつづく。この3人が昨年打ったホームランの合計がなんと143本? 思わず、?と語尾が上がるぞ。これで、5番のアル・スノーが故障なく普通に働けたたら……。
  こんなとこ、いちゃいけねんじぇねえの、推定5歳児。
  この疑問は地元のメディアも同様で、「ジャイアンツはいい感じ。しかし、疑問点を探すとすれば」みたいな書出しで、イの一番に槍玉に挙げられるのが、新庄剛志なのである。USAトゥディの『ベースボール・ ウィークリー』は象徴的な言い方をしていた。
「このチームにはタフな質問が複数ある。まず、新庄剛志は彼のジョブをホールドできるのか」
  ジョブとは無縁にただプレーしてきた新庄くんにそんな言い方はないだろう。
  リードオフマンとしてのジョブ、ねえ。
  心配なのは、あの新庄くんが、こんな世論にまんまとはまっているのではないか、という点である。
  今日も新庄くんは2タコ。それはいい。相手投手のティム・ハドソン、 こいつもただものじゃなかった。しかし、バットを出そうともせず、ツーナッシングに追い込まれる新庄くんは初めて見た。1992年、新庄剛志はファーストストライクだけを打って頭角を現してきた。
「バットが出なくなることが一番いやなんです。だから、球が来たらバットを振る。最初のストライクをフルスイングできなかったら、見逃し三振でしょ」
「白い球をね、強く叩きたいと思います」
  それが新庄くんの新庄くんたる由縁なのに、ジャイアンツの新庄くんは、1球待つ。
  1球待つ新庄くんは新庄くんではない。

 

  3月27日  サンフランシスコ !


 

  やっと、アリゾナでの小学生以下の暮らしから脱却やないけ。
  15年ぶりに、帰ってきたでぇ、サンフランシスコ!
  アメリカウエスト航空のチェックはむちゃくちゃ厳重。なんと、ベルトを外して、腹を出すこと2回! 搭乗ゲートでは靴まで脱がされたがな。そこまでしなければならないやつを、地上勤務のねえちゃんはどこで選別しているのだろう。日本人はもちろんだが、雑誌『アメリカンウエイ』を持ってそうなおばちゃんまで調べられていた。
  で、ダウンタウンのホテル(その名もホテル・ルノアール)に着いて、 逆上である。
  全館禁煙!
  タバコは外に出て吸え!
  文藝春秋と旅行代理店の日本橋夢屋!
  諸君は、私を殺す気か。
  ここで原稿を書けってか。わし、タバコなしで商業文を書いたことは一度もないぞ。
  しかも、フロントの中国人、むちゃくちゃとろい上にいやなやつ。キーが出るまで30分待たされ、すぐさま私が煙草を吸いに出ると、笑っていやがる。お前がとろいから、イライラしてタバコが吸いたくなるん だよ。
  サンフランシスコでロココ調である必要などない。わしに仕事をさせてくれ。
  え? もしかして、西海岸だとホリディインも全館禁煙なの?
「当然よ。それがアメリカの常識よ」
  そんなことをほざくクールなフリした日本人は、頼むから私の前からいなくなってくれ。
  窓を開けると潮の匂い。カモメも飛んでいる。
  まず球場まで行って、なつかしのカストロ近辺にでも行きましょう。

 

 3月26日   今日のパドレス戦を見て、ひとつだけ、はっきりしたことがある。


 


  スプリング・トレーニングが終わった。
  ピオリア・スタジアムでのパドレス戦(イチローがいるところなんだけど、これがまた遠い。遠路はるばるやってきても後輩のイチローは新庄くんに挨拶すらしない)。スタメン出場の新庄くんは、2打数無安打1四球1打点1得点1三振
  なんだか、淡々とした気分になってきた。
  タコだけど、初回に1得点(もちろん、相手のエラーがらみ)、2回に1打点を記録したってことは、仕事はした、ってことになるのだろう。
  淡々と仕事をこなす新庄剛志?
  サイン通りに苦手の流し打ちをする新庄剛志?
  今日のパドレス戦を見て、ひとつだけ、はっきりしたことがある。
  ニューヨーク・メッツでは、新庄剛志は新庄剛志でいればよかった。 なぜなら、メッツはバカだから。
  しかし、サンフランシスコ・ジャイアンツではそうはいかない。新庄剛志は、新庄剛志である以前に、優勝候補のチームの一員でいなければならない。組織の一部になって動かなければならない。
  パドレスって、すごいよ。ノーアウトでランナーがどの塁にいようと、 「打て」のサインだけなんだもん。普通にチームプレーをやれば点が入る場面でも、3塁コーチは両方の拳を上下に打ちつけるだけ。メッツのバレンタインよりバカ。
  結果、11安打を放って得点は2。
  新庄くん、サンディエゴ・パドレスに入りゃよかったのに……。パドレス、いらんことやり放題なのに……。
  というわけで、トレーニングが終わって、新庄剛志が引き起こしそうな事態はまだ何も起きてはいない。
  ま、新庄仕事、タイガース仕事って、始まりはいつもこうなんスけどね。
  意気が上がらないことはなはだしいのだが、ここでこぼれ話をひとつ。
  やっぱ、新庄とボンズ、仲いいじゃん!
  新庄くん、英語はほとんどしゃべっていないと思われるのだが、ベンチでボンズとかなり長いこと「談笑」していた。
  英語はダメなはずなのだが、「新庄語」はなぜか、ボンズ、ピアザとい ったメジャーのスーパースターに受ける。
  この新漫才コンビ「SFつよし・ぼんず」のツーショットを狙って接近した我らがナンバーのカメラマンS氏は、なんと、ボンズにミネラル ウォーターをかけられてしまったのだった。
「ちょろちょろすんな、この小僧!」
  Sさん、世界的なスポーツ・カメラマンなのに……。
  やっぱ、漫才コンビじゃない。親分と舎弟。
  一見、東洋人ルーキーを大歓迎しているかのようなバリー・ボンズだが、実は「新庄くんははめられている」という説もある。
  スタッフ、チームメートと溝を作りまくっている一匹狼のボンズが新庄くんに接近→新庄くん、ボンズ一派の使いっ走りに→そうしておいて、 ある日突然、ボンズが新庄くんを無視→新庄剛志、サンフランシスコひ とりぼっち!
  そうなれば、イチローのように、結果を出し、数字を残して周囲を黙らせる他ない……って、それが一番むずかしいじゃん!
  さあ、どうなる、推定5歳児!
  明日は、花のサンフランシスコ!

 

 3月25日   やっぱり新庄くんは強運である。強運すぎる。


 


  キャクタスリーグ最後の本拠地での試合。スコットデールスタジアムでの対カブス戦は、メジャー 一軍枠の当落線上の選手を集めた「徳俵の闘い」といった趣だった。
  新庄くんの出番はなし。
  ならば、とスポーツ紙の代表がジャイアンツ広報に申し入れをしたという。 「スプリングトレーニングを終えた新庄選手のコメントがほしい」
  新庄くんの返答は……。
「いや、まだサンフランシスコでのオープン戦でマイナーに落とされることだってある。まだ何も話すことはない」
  頑なだなあ。  
  いや、私も「安泰ではない」と書きつづけてきたのだが、結局、ライバルが勝手に沈没する、という展開になるんだから、やっぱり新庄くんは強運である。強運すぎる。
  まずは、2001年シーズン129試合でセンターを守ったマービ ン・ベナード。ニカラグア生まれの32歳。昨年は打率.265。ホーム ラン15本、盗塁10。
  最後のテストとも言えるこの試合でベナードはフル出場して2安打を放ったが、3回の守備の場面が決定的だった。
  ジャイアンツの先発はいまやエースと言っていいラス・オーティス。 この投手もしぶとい。
  3回につかまって、連打と盗塁で1死二三塁のピンチを迎えるが、フレッド・マグリフ(この人がカブスに来てサミー・ソーサとコンビを組むのか。今年のシカゴ、ひょっとするかもしれないぞ)を絶妙のコント ロールで見逃し三振。つづくルーズベルト・ブラウンも打ち取った…… かにみえたのだが、マービンくんがレフトだったんスよ。見当違い方向に背走して急停止、あわてて方向を変えたが、レフト正面、フェンスの 前でバウンドした打球をスリーベースにしてしまったのだった。
  これも、周囲をアホ色に染める「新庄律」のなせる技か。昨日のベナートは、アウトカウントを間違えてバックホームをしなかったし。
  もうひとりのライバルは、今日センターのポジションに入ったカルビン・マレー31歳。ドラフト一巡目全米7位指名、というのだから、その素質は新庄くんをはるかに凌駕している。昨年は打率.245。ホーム ラン6本。盗塁8。
  しかし、「球団としては定位置にどっかりと座ってもらわなくは困る」 この選手、私が見たここまでの試合は散々だった。今日も5打数1安打。 凡打を連発し、「なんとかアピールしなきゃ」とセフティーバントをしてアウトになる。その繰り返し。
  ご両人ともに、堅実にプレーしていたら新庄くんより絶対に確率のいい選手だと思うのだが、なぜか自滅。
  かくして、オレンジ色の新庄剛志、パシフィックベルパーク見参、とあいなった。
  そう断言していいだろう。
  めでたい。
  今日は、サミー・ソーサのホームランを見たし、言うことなし。
  ソーサって、やっぱり、メジャー1のカリスマだよ。打席に入って動きを止めただけ、ギリギリという闘志の音が聞こえてくる。いや、マジで。ホームイン後のポーズも最高にかっこいいし、小学生なら、誰だってこいつを応援するね。私も一日でカブスのファンになってしまった。
  ボンズにもこんな風情があったらなあ、としみじみ思ってしまったぞ。 ボンズって、どっから見ても、マフィアの親分の後ろにいる人なんだも んなあ。



 

 3月24日   やはり、新庄くんの立場は


 


  まず、球場のロケーションがものすごかった。
  テンペというところにあるディアボロスタジアム。三塁側は、巨大な 「双子岩」(ツインピークスと言うべきなんだろうとけど、山じゃなくロックなのだ)。その真下に球場がある。これぞアリゾナのボールパーク。 タバコが吸える、若いねえちゃんが多い(スコッツデールスタジアムは 階段を上がれないお年寄だらけの病院みたいなところだもんなあ)、みん な野球を見ている(!)という点でも今までで最高の球場だった。タク シーの運ちゃん曰く。
「あそこでマイケル・ジョーダンがプレーしたんだぞ」
  100億円を蹴って、そんなマイナー暮らしをせんでもよかったのに ……。
  しかし、今日の新庄くん、最悪でしたな。
  相手はアナハイム・エンジェルス。モー・ボーンをトレードに出して、結局、メッツのケビン・エイピアーしか取れなかった世界一マヌケな球団である。この球団に方針があるとしたら、多分、「年俸削減」のみ。練習を見ていても、冗談ひとつ聞こえてこない。暗すぎる。
  代表する選手といえば……いやいや、このお方がいました。4年間で69勝を記録した元マリナーズのアーロン・シーリー。このタイプの投手に新庄はからきし弱い。
  ここは前に飛ばないだろう、というコースを打つのが新庄くんだが、 絶対に手が出るところからボール半分ほど外されるとまんまに術中にはまるのもまた新庄くん。高めの球は凡フライ、内角を責めつづけられ、 外の甘そうな球は引っ掛ける、というパターンで3タコ。つづいて出てきたクローザーのトロイ・パーシバルに対しては、7球ファールで粘っ たものの最後は剛速球にスイングアウト。この日はフルイニング出て、 さすがに背番号77のベン・ウィーバーからはセンター前ヒットを放ったが、「ダメなときはとことんダメ」な新庄くんらしさが爆発してしまっ た。
  球場を去るときも足早。しかも、ひとりぼっち。当然のことだが、新庄くんには旧交を暖めるべきアナハイムの友人などいない。
  新庄くんって、孤独感とは無縁の男だと思ってたのだが……。
  しかもこの日、外野を守る新たなライバルが登場した。
  その登場がまた、なんとも奇妙な光景で、バリー・ボンズに代わって登場した代打の背番号が33。ネクストバッターサークルの4番打者も 背番号33。この男だけ、違うユニフォームを着ていたのである。オレンジではなく、白い背番号33。
  やっぱ本場アメリカの野球選手の層は厚いと思ったね。メイヤーという名のこの選手、いきなりシーリーからライト前ヒットを放ち、マット・ ワイズからは右中間を破るスタンディングダブル。2打数2安打。マー ビン・ベナートも4打数2安打と活躍したし(アウトカウントを間違え てタッチアップのバックホームをしなかった大チョンボで帳消しかもしれんが)、やはり、新庄くんの立場は安泰というわけではない。
  試合は、3―13の大敗。

  さて、昨日、フリーテキスト(資本主義は間違っている講座)にも書いたのだが、フェニックスには街が存在しない。
  しかし、これだけの大都市なのだから、どこかに「旧市街」はあるだろうと思い、ディアボロスタジアムからそう遠くないテンペのダウンタウンに行ってみた。ホテルに置いてあったパンフレットによれば、バー、 レストランの数68。エンターテインメント施設が50。リムジン屋のおばさんドライバー曰く。
「大学が近いから賑やかよお」 行ってみて、腰が抜けたぞ、アリゾナ。
  なんとそこは、建物から歩道までアリゾナ名産の赤レンガで統一されたまっさらな街……いや、街じゃなくてテーマパークだった。
  案の定、そこにはフーターズ・バーがあって、スターバックス・コー ヒーがあって、UNOがあって、GAPあって……。
  どこまで行っても作り物。人間の暮らしがある街はない。大学生によ るイベントの張り紙すら皆無だった。
  本当にそれでいいのか、アリゾナ。なにをやっておるのか、アリゾナ州立大生。



 

 3月23日   諸君は、どっちの新庄剛志が見たいのか。


 
  今日のホワイトソックス戦、新庄くんはお休みである。ボンズもお休み。単純に考えれば、新庄剛志は開幕スターター枠にいるということになる。今日も「控え枠」に入った新庄くんのライバル二人(カルビン・ マーレー、マービン・ベナート)は、バントをしたり、盗塁をしたり、つまりは新庄くんが苦手なことをやって必死にアピールしていたな。
  両軍ともに一軍半のピッチャーしか出てこなかったし、試合について語るべきことはあまりない。面白くないので、私は三塁コーチの動きに少しばかり注目して見ていたのだが、やっぱ、ジャイアンツは緻密というかセコいというか……。
  ホワイトソックスの場合、打者にサインが出されるのは、走者一塁の場合のみ。スコアリングポジションを作れば、あとは打者任せの采配をしていた。
  一方のジャイアンツは、2死二塁という「あとは打つだけ」の場面で もカウントごとにサインが変わるのである。0−2のときのサインはシ ンプルで2−2(もう打つしかないじゃん!)のときのサインは格段に複雑になったりする。1死三塁で6番打者が打席の場面で、初球の前にいかにも「スクイズをやるぞ」みたいなサインの交換をして、リーグが 違う相手キャッチャーをマウンドに走らせたシーンにも驚いた。
  なぜ?
  何をやっておるのか?
  私にはさっぱりわからないのだが、つまりはそれが、年俸総額でははるかに劣りながらも、ドジャースを押さえ込んで毎年優勝争いに絡むこのチームの底力なのだろう。
  勝ったんだからそれでいい。
  それはそうだ。しかし、私はファンに問いたい。
  諸君は、1球ごとにボックスを外しサインを確認してから仕事をする新庄剛志が見たいのか。
  それとも、ただ単に天にバット突き上げつづける新庄剛志が見たいのか。


 

 3月22日  新庄爆発! でも、これでいいのか!? 


 
  新庄くん、調子はすこぶるいいのだと思う。
  この日も、初回、「最多勝男」マーク・マルダーのエグい内角攻めを弾き返して、三塁線を破るスタンディングダブル。4打数3安打1打点2 得点と爆発。堅実そのもの、といった感じの強豪、アスレチックスに1 3−2と大勝した。オープン戦とはいえ、マルダーの出鼻をくじき、完全KOした意味は大きい。
  この日は、なんと、スタンドに嫁の志保ちゃんが来ていて、きっと、 スポーツ紙は「嫁にいいとこ見せた」とか「妻に捧げる」とかってなる のだろうけど、美人妻(西部の白人に混じると一層引き立ちますな)に いいとこ見せるため、って理由だけではマルダーのカットボールは打てないぞ。
  体は前へ突っ込まない。重心移動がスムーズ、というよりも重心を感 じさせないしなやかな打撃フォーム。力は抜け切っていて、打球は田淵幸一ばりに飛ぶ――。打撃練習を見て、私は「これがあの新庄か」と目 を疑った。バリー・ボンズ(の打撃練習は、今まで私が見たなかで一番凄まじかったが)と交代で打席に入る、ってのも夢のような光景だろう (といっても、この男の場合、いつ打撃開眼して、いつ元に戻るかわかったもんじゃないけどな)。
  コンディションは最高に近い。しかし、気になる点もある。
  試合前のダッシュやストレッチで、チームメートから、新庄はひとりポツンと離れていた。
  ボンズと仲がいい、と聞いていたのだが、この日は、ゲージの新庄く んに一発ギャグをかまして腰を砕き、打てなくしただけ。おそらく、ジ ョークを飛ばせる相手は、控えの黒人キャッチャー、その名もエンジェ ル・ペーニャだけ。
  やっぱりか、と思った。
  ナンバー5がオレンジ色に縁取られている、ってのは、やはりどこかに無理があるのではないか。
  サンフランシスコ・ジャイアンツは、粘り強く、コツコツと、最後までタフに闘って、簡単には負けない、ということを最大の売りにしているチームである。昨日のダイヤモンドバックス戦でも先発のカーク・リ ーターは3回までに60球投げて失点は1! 1回に20球、2−3の カウントが4回! それでも、リーターはめげない。
  新庄のライバル、マービン・ベナードはバントを連発。3番に入ったレジー・サンダースは、スーパースターでありながら、打席から何度も コーチのサインを確認する。4番抜擢のデイモン・マイナーは初球スチールを決める。
  ボンズの豪快さばかりが強調されるが、このチーム、実は解放感とは無縁。サンフランシスコ・ジャイアンツは、タフネス、耐える力、犠牲的精神で伝統を築き上げてきた。
  そんなチームが、何を求めて新庄剛志を呼び寄せたのだろうか。
  これはマジで心配。少なくとも、このチームでは「いらんことをして目立つ」やつは真っ先に排除されてしまうだろう。メッツに比べると、 3段階ぐらい明度が違うチームだしなあ……。
  それでもここまで、きっちりと仕事をこなしている新庄くんは……。
  本当に偉いと思う反面、これがあの「推定5歳児」なのかと、目を疑った「アリゾナ新庄」の初日だった。

 

 3月21日  きっとわしは、アメリカの南の方とは相性が悪いのだ 


 
  Shinjo!
  うおおおお、ほん、っまに、ものすごいことになってるやないけ、わ しの旅。
  わし、朝6時に起きました。前夜は、ホームページで、グレイハウン ドのフェニックスとツーソンのターミナルの住所を調べた。調べて提示 しなきゃ、このあたりのタクシー屋のおっちゃんはそんな旅の拠点すら知らないんだもの。
「タクシーを呼んでくれ」
  フロントでそう言うと、やってきたのは、ホテルと提携しているリムジン屋だった。
  その名もDesert Knights!
  なんじゃ、そりゃ!?
  しかも、である。スーツ姿で高級車に乗っているプロのドライバーまでもがグレイハウンド・フェニックスの場所を知らない!
「なんか、カモられてるのかも」
  そう思ったのだが、料金はそんなに変わらないという。
  ならば、運転手に住所を提示して、レッツゴー、である。
  早めに行けば、乗れない、ってことはないだろう。だって、バスだもんな。
  グレイハウンドのシステムは実に判りやすくていい。あとは、ツーソンのダウンタウンからはかなり離れているエレクトリック・スタジアムから、どうやって帰ってくるか、という問題のみである。
「11時30分発のバスでいいか」
  ガーン!
  皆の衆、グレイハウンドは前々日に予約が必要だぞ。
  どうする?  どうするもこうするも、さっき、車を降りるときにもらったリムジン屋の名刺を取り出す他なかった。
  問題を一挙に解決するためには、「免許もマウンテンバイクも持って いない小学生以下の男」から「ゼニならあるでぇ」の昔の日本人になる しかないではないか。他に問題を解決する方法を知っている人がいたら、 お願いですから教えてください。
  砂漠を走ること2時間、メジャーリーガーがいる辺境最深部にやっとのことで到着した。
  で、プレスカウンターでこう言われる。
「あんたのメディアカードはない!」
  いくら粘っても、おばちゃんはその一点ばり。
  もういい。きっとわしは、アメリカの南の方とは相性が悪いのだ。
  仕方なく、10ドルの内野席のチケットを買うと、長身金髪の兄ちゃんが走ってきた。
「ミスターナカダ、あなたのメディアカードです。アイムソーリー」
  あったんやないけえ!
  大中田と天下のナンバーをなめとったら…… いや、怒る前に、しみじみこう思ったね。
  早くサンフランシスコに行きたい……ツーソン、二度と来るかい!
  私に謝った兄ちゃんは、試合の途中で、客席にポップコーンを投げ込むアトラクションで拍手喝采を浴びていた。
  グラウンドにナンバー5の姿はなかった。スタメン落ちじゃなくて、 影も形もなかった。ボンズとともに。
  ……ツーソンの……ツーソンの……バカ……ヤ……。
  まあ、しかし、やっとありつけた野球の味は格別でしたな。ダイヤモ ンドバックス、強いっス!
  ジャイアンツはタフ。オープン戦でもタフな闘いをやっているな、ここは。
  もしかして、新庄くんはとんでもないところに足を踏み入れたのではないか。
  この不安については、明日の試合を見てから書く。

 

 3月20日  さあ、えらいことになったでぇ!  


 
  さあ、えらいことになったでぇ!
  着いてしまいましたがな、アリゾナ州スコッツデール。フェニックスって、空港の中まで岩だらけですわ。岩とサボテン。
  そもそも、アリゾナ州の州都なのに、日本のガイドブックがフェニックスだけ差別しているのはなぜなんだよ。『地球の歩き方』シリーズなん か、アメリカだけで10冊ぐらいあって、上から下から右から左からこの国を攻めているのに、なぜか、西部だけは無視。これ、「歩いちゃいけない」ってことなの……。
  そんなわけねえよな、と思っていたのだが、これ、真実です。歩行者、 スコッツデールストリートを横断できません。無理に横断したら死にます。そもそも、歩行者なんてひとりもいない。最低のお子さんでもローラーが付いておる。
  さらにそもそも、インディ500が行われる街としてしか知られていないところに免許なしで乗り込むこと自体、暴挙って言うか、お笑いって言うか。
  そういうわけで、私、プールが4つとテニスコートがあって白人のお年寄しかいない、おそらく、世界で一番中田潤にふさわしくないホテルでこれを書いている。
  どこにあるのだろうか、古き良きアメリカ。空港からタクシーに乗っ てかなりの距離を走ったのだが、あるのはピカピカの郊外店のみ。アメ リカ建国の精神とかネイティブアメリカンの誇りとか、どこにいったのだろうか。確かに岩とサボテンは見えるがなあ……。
  さっき、グレイハンドのバスターミナルを探そうとしたのだが、途中、 巨大スーパーを発見してしまい、 「お、これで、たんぱく質と炭水化物とアルコールだけは確保や」
  とはしゃいでしまい、スーパーを出ると歩くのがやっとの人になった。 水は重い、ビールは6本セットしか売っていないんだものなあ。ホテル に帰って自棄酒ですわ。車なしでこのスーパーに入ったの、日本のスポーツジャーナリストが最初なのかも。
  皮肉なことがもうひとつあって、実はちょうど今ごろ、我が家にマイカーがやって来ているのである。かみさんが出物の中古車をみつけたも んで、これを機に私も免許を取ろうと決心していた矢先。その矢先にスコッツデール免許なしのひとりぼっち……。
  明日は、グレイハウンドバスに乗って2時間かけてツーソンに行く予定。ツーソンってそこまでして行くところなのか。ダイヤンモンドバックスってジョンソン、シリングと宇宙一のスーパースターを抱えながら 、 なんで、こんなド田舎でキャンプなの!? これで、新庄くんが完全休養なんてことになったら……。
「アリゾナには飽きたかな、って」
  その気持ち、わかるぞ、新庄くん。

 3月31日  サンフランシスコ、新庄追っかけ日記の番外編 


 
  サンフランシスコ、新庄追っかけ日記の番外編ということで……。
  明日はロスアンゼルスなんだけど、直前になってドジャース広報が「取材陣が多すぎるのであんたにはプレスパスをやらん」と言ってきたらし い。編集はあわててチケットの手配をしている。やっぱ、文藝春秋と大中田はナメられてます。アメリカは好かん。
  サンフランシスコとも禁煙部屋ともおさらばなんだけど、ホテルのあるあたり、変わった人の宝庫で、けっこう楽しかったっス。
「サティスファイ、サティスファイ」と歌いながら自転車で行ったり来 たりしているやつ。
  マクドナルドの店内に向かって、窓の外から空手の型をやって気を送っているやつ。
「タバコを2本くれ」という要求が面白かったので1本やると、「俺はエストニア人だ。ロシアではない」と聞いてもいないのに旧ソ連の悪行を延々とまくし立てるやつ。
  道行く人に誰彼かまわず「ハッピー、バースディ?」と呼びかけてるやつ。そんな疑問形はないだろう。きっと、商売だと思うんだけど、365分の1だぜ。確率悪すぎ。万馬券狙い。
  これはきっと気の毒な病気だと思うのだが、勝手に色々なことをする自分の左手を右手で制しているやつ。
  すべての建物に向かって騎士道風の敬礼をしているやつ。これではいつまでたっても目的地に着かない。
  PUNKS NOT DEADという予言は大外れだった。実は、ヒ ッピー・ノット・デッド。
  ホテルの窓から「マーケットストリート・シネマ」というネオンが見える。映画館かと思ったら、実はストリップ小屋で、現在、「ペントハウス・メイト」(プレイメイトじゃいところが悲しい)がトリを取っているらしい。歩いてみると、ここいらへん一帯がエロの集中地帯で、なぜか エロビデオ屋の前にはヒッピーが車座になっている。楽しいのだろうか、 35年に及ぶドロップアウト。
  そんな一帯で、真昼間から通りに向かってチャイコフスキーを流しているのが私のいるホテル、ルノアールである。
  これも相当変。
  マーケットストリートから路地に入ると、黒人しかいない一帯。
  3ブロック先は超高級店と劇場が並ぶ4番街。この密集、しかし、きっちりとせせこましく色分けしているところがいいじゃない。15年前に来たときには、エロ地帯にかなりでっかいライブハウスがあったと記憶しているのだが、なくなったのか、見つけることができなかったのか。 ま、パンクのライブとかに行くと、もう明日がどうなってもいい気分になって、仕事どころじゃなくなんるだけど。
  ペントハウス・メイト、見といたほうがよかったと思う?


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この他にWeb特集 Shinjo!新庄くんをどうぞ
  この特集では2001年現地取材 NY Report ” Shinjo!” (2001/5/15〜20)を始めとしていろいろな新庄くんをお楽しみいただけます。

  (主なコンテンツ)
  立ち読みコーナー        「新庄くんはアホじゃない!」 飛鳥新社刊
  Sports Graphic Number  Web特集 「大阪でもまれた男 虎の魂、個の輝き 新庄剛志 」   
  Sports Graphic Number  Web特集 「プレイバック 新庄剛志、魅惑のスーパープレイ・ベスト」