ソフト処理による画像拡大

実画素、出力画素とソフト補間

2000年の春先に、某社のデジタルカメラの宣伝の仕方(仕様の表記)について、各所でさんざん議論が闘わされて訴訟問題まで発展しかけたことはまだ記憶に新しいかと思います。つまり、実際の撮像デバイスの画素数でなく、ソフトウェア処理後に出力されるデータ上の、いわば仮想の画素数が、あたかもデバイスの画素数であるかのような、誤解を招きやすい表現で表記されていたことが問題にされました。

私自身、そのこと自体は、「まぁそれほど目くじら立てるほどのことでもない、それは早合点する方が悪い。」と感じておりましたが、それでも実際のデバイスの物理的な画素数を表記しなかった、というその会社の姿勢に対しては疑問、反感、または軽蔑を抱いておりました。「ばかだなぁ。正直に書くのが一番いいのに。」と。

そんなこともあって、それ以後ソフトウェアの補間による画素数の拡大、なんていうとやれ詐欺だの水増しだのとさんざんけなされるような風潮がありますが、決して全部が全部そうではなく、中には「使える」ものもある、ということも紹介したくてこのコンテンツを作ろうと思い立ちました。

本当に高画素数が必要なとき

実際問題、高い画素数が必要になるのは、

  • 大きくプリントするとき
  • 望遠の倍率が足らなくて、トリミングするとき

くらいしか、思いつきません。私なんか、いまだにパソコンのモニタはXGAサイズが精一杯で、130万画素のデジタルカメラの画像ですら、等倍にすると全体が見えなくなってしまいます。画面で楽しむだけの分には、200万画素ですら多すぎるほどです。

じゃぁ、プリントするときはどうかというと、300万画素機のデジタルカメラが当たり前のように売られていて、コンシューマ機でも400万、500万画素に手が届こうか、という時にあまりソフト処理による補間拡大など必要無いとも思われます。でもちょっと考えてみてください。経験的に、インクジェットプリンタなどでカラーの自然画をプリントする際は、240dpi程度の解像度であればそこそこ美しく見える、とされています。じゃぁ、240dpiの解像度で334万画素のデジタルカメラで撮った画像をそのまま印刷するとどうなるでしょう?

長辺:2048(ドット)÷240(ドット/インチ)= 8.5インチ

短辺:1536(ドット)÷240(ドット/インチ)= 6.4インチ

と、これでもA5サイズよりちょっと大きい程度にしかなりません。長辺の長さが11インチ程度なければA4に届きませんので、A4目いっぱいにプリントするとなると

  • 解像度を落とす
  • 画素数を「水増し」する

のいずれかしかありません。解像度を落とすと、人間の目は良くしたものでたちまち「ジャギー」(画像の斜め境界部分の不自然ながたつき)が気になってきます。となると解像度は下げずに画素数を見かけ上増やす必要がありそうです。

私の場合ですと普段どうするかというと(残念ながら300万画素機は持っていないので200万画素機の例でいいますと)、まずレタッチソフトで画像の画素数を縦横2倍にします。(1600X1200を3200X2400にする。)で、この画像を、解像度を240dpiよりは高めの300dpiに指定して印刷します。すると、

長辺:3200(ドット)÷300(ドット/インチ)= 10.7インチ

短辺:2400(ドット)÷300(ドット/インチ)= 8インチ

と、まあまあA4サイズに丁度よさそうな大きさになり、ジャギーも目立ちません。(フチ無しで、といわれるとちとつらいですが。(笑)その場合は288dpi程度にしますか。)

この手は、画像を整数倍で大きくできる場合は補間アルゴリズムが単純ですむのでどんなソフトでも割合うまくいきます。問題は1.41倍とか半端な場合にどうするか、です。

AGFA PhotoGenieの紹介

アグファ・ゲバルト社は欧州で有名なフィルムのメーカですが、日本の富士写真フイルムと同じくデジタルカメラメーカでもありまして、デジカメ黎明期には国内でもAGFA ePhoto307というカメラを販売しておりました。同社のカメラは赤いシャッターボタンがトレードマークです。現在はカメラは海外のみでの販売のようで、国内ではあまり見かけることはありません。その代わりに、サンヨーのデジタルカメラ向け接続キットに画像サイズを拡大するソフトウェアを提供しています。その名もAGFA PhotoGenieです。

このソフトは元の画像から1.25倍のサイズのものを生成する働きを持ち、下記の様に画素数を拡大します。

対応カメラ

元画素数

生成画素数
DSC-X100/110 1,024x768 (85万画素級) 1,280x960(130万画素級)
DSC-SX1Z 1,280x960 (130万画素級) 1,600x1,200(200万画素級)
DSC-SX150/550/560 1,360x1,024(150万画素級) 1,700x1,280(220万画素級)

仮にサンヨーが211万画素CCD搭載のカメラを今後出したら、PhotoGenieはきっかり300万画素の画像を生成してくれることでしょう。以下に、X100/110向けキットに付属のPhotoGenieにて画像サンプルをお届けします。


まずは、全体のサイズの変化から

処理前の画像(の1/4縮小)

処理後の画像(の1/4縮小)

ちょうど、サービス版の写真がハガキ大になったような印象ですね。


次に、画像のドアミラー部分を3倍に拡大してみましょう。

※PhotoShopLEで300%拡大表示している画面をキャプチャしました。回りに余計なものが入っている点はご愛嬌、ということでご容赦を!

元画像
PhotoGenie
PhotoShop(Bi-Cubic法)
PhotoShop(NearestNeighbour法)
PhotoShop(Bi-Linear法)

いかがでしょう? PhotoGenieは、エッジのジャギーについては、期待したほどでないかも知れませんが、なんだか、元画像にあった偽色が軽減されてミラーのまわりのモスキートノイズまで減ったような気もするほどです。(実際は減ってはいないが輪郭部分がすっきりして見苦しさが減った感じ。)舗道の縁石やピラーの部分も偽色が減ってすっきりした関係でエッジがはっきりしたように感じます。

PhotoShop方は、良くも悪くも元画像をそのまま大きくした、と言う感じ。特にNearest Neibour法による拡大はちょっと見るに耐えられませんね。

と、いうことで、このPhotoGenie、うまく使えば結構役に立つと思うのですがいかがでしょう?

さて、このPhotoGenieですが、やはり弱点がいくつかありまして、

  • サンヨーのカメラの撮影データにしか使えない。(ウラ技でニコンやオリンパス光学工業製品でも使えるようにできる、というウワサもありますが、ごにょごにょ。)
  • オリジナル画像にしか使えない(一回使ったらそれまで)。複数回重ねて使って、もっと大きい画像を作り出す、というのは不可。
  • サンヨーの接続キットのフォトラボというソフトからのみの呼び出し。(PhotoShopなどのプラグインとして使えたら良いのに。)

と、言ったところです。

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