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恥ずかしながら告白するが、気楽斎はワインの味というものが良くわからないのである。さらに言うと、はるか昔にワイン教室に3日ほど通った経験があ
る。それも業界関係者対象の「ワイン販売担当者育成用」教室であったから、ソムリエには及ばないながら当時としては一応は『プロ育成用』の教室であ
ったのだと思う(今で言うとアドバイザー育成に近いのかもしれない)
つまり、一応ワインに関しては教育を受けてきている人間なのだが・・・やはりワインの味が皆目わからないのである。念のために言うが、決して味オンチ
というわけではない(と思う)のだが、自分でも不思議なくらいわからない。
広辞苑より分厚いテキストを渡されて、「まず、ブドウの品種の味を覚えてください」ということで、一日中ティスティングをしたのであるが、今だに
「カベルネ」と「メルロー」の違いですらよくわからない・・・・「なんとなく違うな〜」というくらいはわかるのだが、「これはメルローの味だ」などと
いうのは、到底わからないのである。
同様に、「リースリング」と「シャルドネ」の違いもわからないのであるから、ここから先は何をか言わんやである。
それだけならば文句はない。ワインだからブドウの味を覚えろというのは実に合理的であり、わからない気楽斎の方が問題なのだから、そもそも文句を言う筋合
いの話しではないだろう。だが、どうにも理解できないのが
「お日様の味を覚えてください」
「大地の味がわかってください」
どんな味やねん?
まあ、気楽斎のように「ブドウの味」がわからないというのでは困りものかもしれないが、「お日様」やら「大地」の味って、どういう味をいうのだろうか?
まさか本当に「土」や「お日様」の味がするわけがないだろうから、極めて比喩的な言い方なのだろうが、そういう主観に根ざした「比喩」を堂々と主張していて良いものなのか?
味だけではない。他にも色々と疑問に感じたことは多かった。
「出来れば高級ワインを色々と飲んで勉強してください」
「ビンテージや畑毎に味が違いますので、その辺も勉強してください」
・・・教室の性質上一応プロ向けということでもあるし、言っていること自体は正当な事を言っているというのもわかる。
だが、平均的なサラリーマンが何万円もする高級ワインをバンバン飲んで勉強するなどということができるだろうか?ワインの勉強ということで、膨大な借金をこしらえたりする者は、
常識的に言えば「馬鹿」ではないのか?
なかでも一番わからんのが・・・
「グラスは水で洗うだけにしてくださいね。グラスに洗剤の香りが残ると困りますから・・・・」
グラス、よく水洗いしたか?普通は残らないと思うぞ。ただ、外国産の洗剤の中には相当に香りがキツイ物があるので、そういうので洗ったりしたら香りが残ることもあるかもしれないが、普通の国産品でそんなことってあるだろうか?
・・・むろん、犬並みに強力な嗅覚の持ち主ならば話しも別だが、そういう人はあまり普通には居ないものだと思うのだが・・・
これって、「香りの強い洗剤」を使っているところの注意事項を、単純にそのまま日本に持ち込んできただけの話しと違うのだろうか?
色々と書き並べたが、こういう経験を通じてワインについての素朴な疑問が蓄積してきたのである。それは
『「ただ美味い」というだけでは、なぜいかんのか?』
ということなのである。ロックフェラーやモルガン、ロスチャイルドのような大富豪、デボンシャー公やウェストミンスター公、マルバラ公のような大貴族達ならば、そういう通な生活が自然なのかもしれないが、普通の庶民にそんな事が望めるのだろうか?
むろん、そういうセレブな香りのする一時を楽しむためにワインを・・・というのも悪いことではない。
だが、誓って言うが気楽斎は普通の庶民であり、安サラリーマンなのである。
「このワインは美味い!」
それだけで十分な気がするのだが、なんでいかんのであろうか?
これは私の想像なのだが、明治維新以降の日本は、海外文化を必死になって取り込んで「文明開花」と称揚してきた。それまでにあった日本文化も立派な「文明」であったのだが、海外からの物が「文明」であり良い物であるということで、無批判に取り込んできた時に、上流階級の社交界の象徴の一つとして「ワイン」が理解されたことに根源があるのではないだろうか?
ここで明治政府の「西洋文化」の貪欲なまでの取り込みの功罪について論じる気はないが、「ワイン=上流階級」という図式がいつの間にか取り込まれ、根付いてしまったのではないだろうか?
たとえば、「帝国シャンパン株式会社」というのがあったそうだが、それは当時の日本貴族達が「自国製ワインやシャンパンがないのは国辱である」として造った会社なのだそうだが、そんなところにも当時のワインに対する視点がうかがえるような気がする。
ちなみに、「帝国シャンパン」製のシャンパンは大変な粗悪品で、それこそ国辱に値するほどの不味さであったそうだ。まあ、そんなことはどうでも良いが・・・
グルメ番組なぞ見ていると「このワインには、こういう料理があいますね・・・」などと、覚えるだけでも一苦労しそうな高級料理がジャンジャン出てくるが、それって普段に食べれる料理なのか?
コロッケやハンバーグに合わせては恥ずかしいのだろうか?
正直なところ、難しいことなんか置いておいて、気軽にワインを楽しむことから始めた方が良いように思う。興味が出てきてから、「太陽の味」や「大地の味」を追求すれば十分なのではないだろうか?
せっかくワインへの関心が集まりだしてきているのだから、難しい事を並べ立ててわざわざ取っ付き難くすることはないのではないだろうか?
「美味しいことは良いことだ」
というくらい気軽に楽しみませんか?
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