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初めての勝沼 その1
夏休みが余っていたんです。
3年前の9月終盤、何の当てもなかったのだが、ただ夏休みを消化するためだけに休みを取り一週間の「暇」ができてしまったのだ。
家にいてもすることはなし。
行く当ても無し。
ただ、その年の5月に車を買い換えたばかりだったので、
「ちょっとばかし遠出でもするか。一人で」
と、出発することだけが決まったのだった。
「どっか行ってくるわぁ!」
妻に言ったのはたぶんこの一言だけだった。
まだ新車のにおいのする黒い車体は、これからの旅のことを思っているのか、ことのほか輝いている様に見えた。 「昨日、洗車したもんな」などと考えたかどうかは定かではない。

西宮インターから名神高速に入った我が愛しの「クルーガーV」はその大排気量にものを言わせ、 親切に道をあけて下さる多くの善良なドライバーさん達にその美しい黒い後ろ姿をお見せしながら 疾風のごとく東を目指した。
名神高速をひた走り名古屋に着いたところで「東名高速は混むよな」と根拠もなく考え、中央道に 入ったあとは何も考えず只々ひたすらアクセルを踏んでいた。
この時点で私はどこへ行きたいのか、実は、まだ何も決めていなかったのだ。
中央道の山深いくねくね道を、我がクルーガー君は快調に走っている。実に爽快である。

止まってなるものか。

しかし、現実はそう甘くはなかった。 八ヶ岳付近まで来たときに故障車のせいか渋滞が始まったのだ。
「まあ少し休憩でもするか!」
八ヶ岳のPAに入り、お茶を買い、フラフラとお土産などを見ているうちにふと目にとまる派手な色彩の雑誌の棚。 その中でひときわ私を引きつける強烈なオーラを発する一冊のガイドブック。
「マップル山梨」
そして表紙に踊る 《勝沼》 の文字!!
そう、このコラムの主題は「車」でも「ドライブ」でもなく《勝沼》だったのだ。
今、思い出した。 「そうだ、勝沼に行こう。確か、シャトールミエールとか言う上等なワインを作っているワイナリーがあったはずだ。「どっちの料理ショー」でやっていた。」 こうして、記念すべき「初めての勝沼」という主題に叶った目的地が決定したのだった。

つづく・・・・・・かなぁ?
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