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和食とワイン  其の弐

こと甲州に関しては、全く合わない食べ物なんてこれまで経験したことがない。海苔巻き煎餅(アラレちゃんを作った人ではない!)だろうが、ナッツだろうが、刺身、煮付け、おでん、 カレーライスにハンバーグまで何でもござれなのだ。特に樽を使わないタイプのものは許容範囲が広く、日本酒やビールに匹敵するのではないだろうか?
合わせやすいワインではあるが、どれがベストマッチか?と言うと少々難しい。八方美人が過ぎて「これ!」というのが見つからない。そんな中で、私が見つけた一つの法則が、

濃縮せずあっさりした甲州には、湯豆腐
濃縮した甲州には、鶏の水炊き
樽熟成させた甲州には味噌鍋(猪か豚がいい)

という鍋三段活用だ!だまされたと思って試してみてほしい。私の好みがわかるだけかも知れないが!


“丹波の黒豆の枝豆”と樽を使っていない“甲州”


篠山城跡

なんで、鍋ではなく黒豆?と言う疑問には答えを持たないが、思い出してしまったのだから仕方がない・・・。神戸市内から車で1時間少々、風情ある町並みが残る城下町丹波篠山を一躍全国区に押し上げたのが“丹波の黒豆” だろう。全国的に出回っているのは乾燥まめだが、篠山では10月から11月はじめの頃、幹線道路沿いの畑に建てたテントの下で枝付きの黒豆が売られている。もちろん乾燥などされていない、今の今まで畑に植わっていた 新鮮な豆が買えるのだ。この黒豆の枝豆をたっぷりの水と多めの塩でしっかりさやの色が変わるまで20分から30分茹でるとこれが実にウマイ。

普通の枝豆3個分くらいの大きな豆はしっかり茹でると栗の様な香りがして、 もう手が止まらない。1500円で2s位はあるから、豆だけで腹がいっぱいになってしまう。「そんなものだけ食わなくても!」と言われそうだが、ウマイものだからついつい食ってしまうのだ。
で、この豆に甲州を合わせるとハーブの様な香りがフッとしたあと、ふろふき大根の様な感じの味になります。これホント!


“鶏の水炊き”と樽を使っていない“甲州”

これは私の一押しだ。沸騰した鍋に鶏のぶつ切りをぶち込んで数分、火が通るか通らないかの内に一度鍋から取り出す。このダシは、しっかりアクと油を取り、豆腐、野菜、キノコなど何でもいいから放り込み、食べる少し前に 鶏を戻す。取り皿には大根おろし、七味、ねぎ、ポン酢を入れ好きなものからガツガツとカッ喰らう。鶏はもちろんダシの染み込んだ野菜や豆腐も甲州とベストマッチだし、ダシにネギと塩を少々入れてスープにして甲州と合わ せてもうまいのだ。
そう!スープと合わせてワインを飲むのである!恐らく文句などでないはずだ!


“湯豆腐”と樽を使っていない“甲州”

濃縮していないあっさりしたやや甘口の甲州がベストだ。この組み合わせを試すときには、以下のレシピに沿って作られたし。

ダシは昆布だし
豆腐はしっかりした木綿(細いお箸で突き刺して持ち上げられるくらい堅い豆腐)
小口切りのネギ
京都風の七味(関東風より香りが良く辛くない)
ポン酢は“朝日ポン酢”

そう、ポン酢は“朝日ポン酢”に限る。そう言えば、かつて我が家で鍋パーティをやったとき、友人に「ポンシュ買ってきて!」と頼んだところ、その彼女が一升瓶の“朝日ポン酢”をぶら下げて帰ってきたことがある。ポンシュと は当然のことながら日本酒のことだが、彼女はポンシュという言い方を知らなかったらしく、酒屋のおっちゃんに「ポンシュください!といったら一升瓶をわたされた」と言っていた。あとで酒屋のおっちゃんに聞いたら、「mutsu さんとこはお客さん多いからなあ!これくらい使うか思うて!あっはっは!」と笑われたが、いくらお客が多くてもせいぜい月に数回あるかないか、夫婦二人暮らしの一般家庭で一升瓶のポン酢は使い切れるものではなかろうに!
・・・ポン酢の話しではなかったような・・・“朝日ポン酢”は美味しいが・・・まあ、いいか♪ 早い話が、日本酒の代わりだ。ポン酢ではなく甲州のことだが、失敗はないだろう。ところで、湯豆腐の作り方なんて他にあるのだろうか?


“シシ鍋”と樽熟成した“甲州”

 毎年大寒を迎える頃、猪の美味しい季節が到来する。このシシ鍋が、私にとって待ちに待った年に一度の贅沢なのだ。私は寒さに弱く、日頃から早く隠居して沖縄か海外の南の島に移住したいと思っている。だがそれは、まだ20年近 くも遠い未来の話しだから、今はいかにして寒い冬を暖かく快適に過ごすかという難題に毎年悩まされつづけている。
私の寒さ対処法の一つに生姜湯がある。市販のおろし生姜を5センチ位マグカップに絞り蜂蜜とレモン汁を好みで入れ熱湯を注ぐ。数分待って生姜の辛みが充分に出たらできあがり。身体がぽかぽかするし、喉にもいい。寝る前に飲むと 気持ちよく眠れるし、血液サラサラ効果もあるのでお勧めする。
あとは部屋着としてチャンチャンコや褞袍(どてらってこんな字を書くのか!?)を愛用している。特にチャンチャンコは、家内の母上が大島紬の端切れをつなぎ合わせて縫って下さったのだが、その風合いと言い、暖かさと言い実に気 に入っている。

さて、シシ肉だが神戸市の北東に隣接する三田市まで行けば買うことが出来る。養殖物なら100グラム800円程からあるのでべらぼうに高いというものではないし、天然物でもせいぜい2000円までだ。ただ、あたりまえだが天然物は獲れな ければ手に入らない。シシ肉を買うときに、その店で売っている鍋用の味噌も買い、帰り道にある露天市で大根、にんじん、白菜、ゴボウなどを買う。何を入れてもいいが、ゴボウだけは絶対に忘れてはいけない。味噌鍋にはゴボウの風 味が不可欠だ。ゴボウの入っていない味噌鍋なんて、ぶどうを使わずに作ったワインの様なものだ。
あと、豆腐や薄揚げ、餅麩などもいれるといい。シシ肉は煮込めば煮込むほど柔らかくなるので、一番はじめに山椒をまぶした肉を入れ、30分くらいは弱火でコトコトやっておくといい。取り皿に卵をとき、すき焼きの要領でカッ喰ら う。七味をかければ更にうまい。
ここで、樽熟成した甲州をグビッとやると、これがなかなかいい塩梅だ。味噌や醤油と甲州との相性の良さはよく言われている通りで、まったりとしたいい気分になれること請け合いだ。


注:mutsu家のシシ鍋というわけではありません・・・念のため
By mutsu