| 伝統的ワイン!ってなんだ!? |
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ワイナリー巡りをしていて、「伝統的な手法で作ったワイン」という言葉に出会うことがある。ワインには数千年の歴史があり、フランスやドイツ、イタリア、スペインなどのオールド
ワールドではワインの製造法は確立している様な印象がある。が、ワイン関連の本を読んでいると、どうもそうではないらしいことが書かれている。「伝統的なスタイル」というのはも
ちろんあって、ボルドーやブルゴーニュ、イタリアのバローロなど数多くの伝統的ワインが存在する。しかし、人間とは進化し続ける生き物であるらしく、現代でも様々な新しい試みが
こういった地域でも続けられている。
日本においてのワインの歴史はほんの120年ほどだが、「日本にも伝統的な手法」というものがあり現代でもそれを受け継いでいるワイナリーがある。そんなワイナリーのいくつかについ
て少しばかり個人的な印象を述べてみたい。 |
「大泉葡萄酒」
明治35年操業の老舗ワイナリーで「勝沼の地酒ワイン」を商品名としている伝統あるワイナリーである。かなり狭い路地の奥にあり見つけるのに一苦労した。
いつものことだが突然売店(と言うか、ほとんど事務所)に伺い甲州、マスカットベリーAを原料とした1000円台前半のものを数点試飲させて頂いた。表現が難しいのだが、
ワインは少々ざらついたというか、のどに引っかかるというか、香りは現代的なワインとさほど変わらないのだが、その舌触りや喉ごしが違っていた。コンクールで賞を取るなど、
実績も実力もあるワイナリーであるし、地元の人達が好んで飲むワインを生産していると言うことなので、これは単純に好みの違いと言うことだと思う。
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スペインの「イガイ」に似ているかも知れない。「イガイ」はスペインの伝統的なワインで、高いアルコール分と濃く、苦く、渋い味わいを持つ強烈なワインだ。大泉のワインには
強烈さはないが、どこか雰囲気が似ている様に思う。
伝統的なワインとは、そういう物なのかもしれない。
「鶴屋醸造」
畑に自然にある天然酵母を使ったワインを作っていたが、最近代が替わり現代的なワインの生産に切り替えていこうとしている所であると言う話だった。
ワインにはかなり特徴的な香りがあり・・・はっきり言うと“たくあん”の様なにおいがあり、少々飲みにくく感じた。このにおいは、天然酵母に由来するものだそうで、地元の人達が
好んで飲んでいるという話だ。ところで、皆さんは沖縄の泡盛を飲んだことがあるだろうか?多くの人は、あのにおいが苦手だと言ってあまり口にしようとはしないし、最近では沖縄で
も若い人達はにおいが控えめな泡盛を好んで飲んでいる。だが、飲み慣れるとこのにおいがたまらなくいい匂いなのだ。私がはじめて泡盛を飲んだときには「臭い」と思ったのだが、今
では「臭い」泡盛を好んで飲んでいる。要は慣れなのだろう。臭い酒、臭い食べ物はたくさんあってそれぞれ愛好家にとってはたまらないものである。はじめて口にしたときに、少しば
かり違和感があったからと言ってやめてしまったのでは本当の「旨さ」にたどり着けないと言うことなのだろう。だが、このワインは購入していない。においにさえ慣れてしまえば、和
食には良く合いそうな気がしたが、購入する勇気がなかったからだ。
「3年後にまた来ます」と言ってワイナリーの売店を後にしたが、これは本気である。
伝統的なワインが一つ無くなることには寂しさを覚えるが、ワイナリーが自らの思いで進化しようとしているのだ。鶴屋さんの今後に期待したい。
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「ダイヤモンド醸造」
『ぶどうの実の中で本来一番美味しい所というのは、表皮と身の間の部分です。つまり皮の裏側の部分です。ぶどうを食べたとき皮の裏側をなめてみるとわかると思いますが一番甘く風味が
あります。当然の事ながらワイン造りにおいても、そこがキーポイントになるわけです。搾られた果汁とそのぶどうの皮をしばらく接触(浸しておく)、つまりスキンコンタクトする事に
よって、より香り高い、豊かなうまみを引き出してくれます。原始的ではありますが、この手法によるワインは美味です。』ダイヤモンド醸造HPより転載
つまり、甲州を赤ワインの作り方で醸造しているワインと言うことだ。この琥珀色の甲州は少し土っぽさのあるワインで、甲州らしい透明感は感じない。わずかにタンニンを感じ、旨味、
厚みと共に悪い意味でない雑味も持ち合わせている。少しざらついた感じもあり、複雑さを持った甲州と言っていいだろう。醸し醸造で作った甲州を他で飲んだことがなかったのと、いろ
んな醸造法の甲州を平行でテイスティングさせてもらえたので、醸造方法ごとの違いなどもよくわかり結構楽しむことができた。しかし、小さなワイナリーに行くと必ずと言っていいほど
奥さんが出てこられる。そして、皆とても人当たりのいい人達だ。いい人が多いのも山梨県の伝統なのかも知れない。山梨出身の有名人ですぐに思いつくのは、林真理子、堀内恒夫、中田
英寿・・・・・・
話を戻しましょうか・・・、
そう、そう、山梨の人達は、本当にいい人が多いのである。これも、山梨の伝統と言っていいんじゃないだろうか。伝統的に、いい人達が多い山梨で作られる伝統的手法のワイン。すごく
気持ちが安らぐのは、私だけではないだろう。
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「新巻葡萄酒」
地元の人が飲むフレッシュさが信条のワインを甲州とデラウエアから生産している。生産しているワインはこの2種類だけで、価格も日常ワインとしてちょうどいい位に押さえてあり、
フレッシュで、飲み飽きない。ここも、お客さんの多くは地元の方で、ワインはご主人が一人で作っていると言うことだった。まだ炭酸が残っているくらいフレッシュなワインは、三ツ矢
サイダーの様な香りがありさわやかである。伝統的かどうかはわからないが、地元の人のために価格を抑えて作っているのだから研究用の資金が潤沢にあるとは思えないし、飾らない店構
えや少々傷んだソファーを見ても儲け優先でないであろう事は想像がつく。 さて、私は地元の人達が普段飲んでいるワインなら伝統的なワインと言っていいのではないかと何となく考えてい
る。
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日常的な物事は、ほぼ全て伝統の上に成り立っているはずだ。最も現代の日本は、第二次大戦の敗北によりその文化の多くや国民としての独自性を失ったり、再構築したりしていて、大
きな変貌期のただ中にあると言っていいだろうから、特に都心に住む者にとっては当てはまりにくい感じはする。しかし、かつては日本酒であったものが、山梨県のこの地域では全てではな
いまでもワインに取って代わられ、日常の晩酌になくてはならない物になっている。自然豊かな農村地帯である地方で、お歳を召した方々の晩酌用の酒として飲まれているのだから、これは
立派に伝統を誇れるのではないだろうか。新巻葡萄酒に限らず、地域の日常や文化に溶け込んだワインを生産している多くのワイナリーに心よりエールを送りたい。
人には、昔から慣れ親しんだ“味”がある。
こういうワインが無くなってしまうことに一抹の寂しさも覚える。
時代も変わっていく。
人の嗜好も変わっていく。
失われる伝統があり、伝統の上に成り立つ進化がある。
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ちょっとカッコつけて哲学的なことを言ってみようかと思ったが、性に合わないのでこれくらいでやめておこう。(赤面)
伝統的というか、昔ながらのワインを作っているワイナリーを取り上げてみましたがどう感じられたでしょうか?
人の好みは千差万別、どのワインがおいしいかは自分の舌で判断するとして、たまにはこんな嗜好のワインを試してみるのもいいんではないだろうか。案外、今まで出会えなかったお気に入り
の一本に出会えるかも知れませんよ!
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By mutsu
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