「病室の窓から」

病室の窓から妻と娘がみえる
手を振りながら小さくなってゆく
この先いつまで繰り返すことだろう
昨日が夢か今日がまぼろしか
精一杯走り抜けてきた
心の置き場をさがすように
何も悪いことなんてしてないはずなのに
どうして僕はこんな固いベッドにいるんだ

薄いカーテンで仕切られただけの部屋で
身じろぎもしないで天井だけみつめてる
隣のベッドで老人が咳き込んだ
灯りだけがやけに眩しい
失くしたものはいったい何だろう
すべての出来事に意味があるというなら
早く誰か僕に教えておくれよ
どうして僕は消毒液の匂いにまみれてる

夜勤明けの看護婦が笑いながら遠ざかる
だけど僕はけして解き放たれはしない
チューブでつないだ点滴のしずくが
いま僕が生きていることの証しか
もう一度ここから歩き出そう
本当に守りたいものがあるから
扉を叩く音に気付いたら
そこには今日も妻と娘の笑顔が

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