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ジャンル/コミック・小説

札幌タイムス 2002年4月7日(日曜日)
史上初? iモードがテーマの作品集
当代随一のマンガ家、作家19人競演
SFマンガでも予知できなかった未来が実現してしまった、という話がある。だれが見つけたのか、手塚治虫『鉄腕アトム』の作品中、アトムが化学省に「電話」を借りに行くという場面があったのだ。マンガの中の未来にも、携帯電話だけは描かれていなかったというわけだ。
1968年生まれの私も、10年前まではまったく予想していなかった。今日の携帯電話の普及を、である。もちろん、本書のような作品集が成り立つことも予想できなかった。
貫くテーマは「iモード」。19人の個性的な書き手たちが一つの「お題」から生んだ19種の作品群は、実に多彩だ。今や老若男女の日常生活に浸透しつつある携帯電話が、いかに多種多様な物語を生み出し得るか。この作品集で、それが証明されている。
冒頭、篠有紀子、小沢真理、岩館真理子、くぼた尚子のマンガ家4人が、それぞれ自分自身を作中に登場させる形で中編を連作(協作?)している。iモードが物語をつなぐという仕掛けで、この試みはもしかしたら本邦初なのではないか。
携帯情報端末というと「出会い系」を連想したがる手合もあるだろう。本書でも碧也ぴんく、立野真琴、CHI-RANの3マンガ家と、作家の喜多嶋隆が出会いを描いているが、携帯電話をからめていながら必ずしも「出会い系」に頼らない物語に仕上がっている。後半収録の三田誠広の小説も一種の出会いを描いており、これなどは言わば「違う世界」での出会いとでも言うべきものだ。
ツールとしての利便性を全面に打ち出した作品ももちろんあり、木村晃子は恋愛にからめながら、黒田かすみは学生2人の旅行という設定で、ストレートにその「便利さ」を描いた。一色京子のマンガでは携帯の利便性が奇妙な友情を結んでおり、麻生圭子のエッセイは持つ者と持たざる者との対比が面白い。
安西水丸は、手塚治虫よりも抜きん出ていたようだ。それを証明する一節には、素直に感動した。松村宏の心理テストは手が込んでいて、こういうものを試みる時の常道なのだが、最終的にすべての選択肢を選んでしまう。中ほどの魔夜峰央の短編は爆笑もので、最後のページで腰が抜けた。
鴨志田穣・西原理恵子のコンビが「アジアパー伝」のノリでオリジナル作を披露してくれている。それにしても、鴨志田さんは本当に機械に弱いのだろうか、電話の呼び出し音のことを「呼び鈴」と書いてある。呼び鈴って、ドアチャイムのことじゃないのか。
さて、本稿で唯一触れなかったページがある。それは本書奥付掲載の写真と関係があるのだが、ちょっと触れる勇気がない。意味の分からない人、とりあえず読みましょう。読んでも分からないかも知れないけど。(小笠原淳) |
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