ペット・コンセプト マンションの問題
現在流行のペット用の設備があるところは素敵に思えますね。
住民全員が飼い主なら、気兼ねなく暮らせそうですね。
でも本当にそうでしょうか?
飼育が全面に押し出された「ペット・コンセプト」の所謂「ペットマンション」では、「気兼ねなく」を勘違する人も多くなってしまうのが、一番の問題です。
甘えた状態から、全体のマナーレベルが下がる傾向があります。
全住戸が飼育家庭と言う事は、鳴き声や臭いもすぐ近くにあり、動物達に負担をかけやすい、という「高密度飼育問題」がおこります。
困った飼い主から被害を受けるのは、非飼い主や嫌いな人ばかりではありません。 同じ飼い主も同様です。そして高密度な飼育環境で一番苦労させられるのは当の動物達です。
飼い主達が上手に誘導し、守ってあげなくてはなりません。一般的なマンションであるより、テクニックや手間を必要とさせられます。
こういった問題に建築面だけで対処しようとすると、単なる設備・仕様の問題では済まされず基本的建築計画が関わってきます。
そして、ソフト運営面とのバランスが重要になってくるのです。
人間側が動物の要求を理解しなかったり、躾が不十分でも大丈夫なように初めから整えるというのでは、単なる問題飼い主を増やしているだけです。
安易にこれらの設備を対策としてつけてきたマンションでは、マナー低下や設備の運営方法が熟慮されておらず、ペット用設備の放置、さらには騒音や衛生面から近隣問題まで影響したところもあります。
一般のマンションでも、ペット可が浸透してきましたが、動物と一緒に集合住宅で暮らすことを、住宅提供側も家族も何か大事に捉えて居る傾向があります。
しかし、私達が数年に渡って検証し、学会等で意見交換して得た結論は、「設備があればペットが苦手な方と共生できるというような設備は基本的にない」というこでした。
一般的にマンションでの「ペット用設備」といわれるものは、 本来の内容は飼い主にとって「飼育するために便利・楽しい」ものなのです。「迷惑対策」ではありません。
設備ではなくルールがあり、「動物が好きな人も嫌いな人も住んでいます」というマンションでは、傾向として全体の1〜3割程度が飼育家庭になるようです。
しかし、 不安を補いたいがために、過剰に設備をつければ、それは住まい手側には逆に「ペット(に寛容な)マンション」と判断され、飼育比率が高くななります。
そうすると、今度は先にお話したような「ペットマンション」と近い高密度飼育問題や、甘えた認識の飼い主も増える危険性があります。
「ペット・コンセプト」にしろ「ペット可」にしろ、「ペット用設備のあるマンション」を選ぶなら、 共用設備の管理運営、そしてマナーレベルの維持をどのように提供側(デベロッパー・管理会社)が考えているか、しっかりと確認する必要があります。
維持管理費の額とその方法はどうなのか。不公平感はないか、現実的かどうか。
またそれは、貴方と家族にとってほんとうに必要なのか、宣伝に迷わされず冷静に吟味してください。
足洗い場の問題点
「ペット用設備」の筆頭に上げられ宣伝されてきた「足洗い場」。これが重要と考えている飼い主も居ますし、簡単な割にはそれらしい設備になるということで、企画側にとって手軽な割に宣伝しやすく、安易につけがちです。
しかし、本当に正しく使っていますか?
犬など散歩から帰ってきたら「足洗い」を行います。
足洗いには汚れを取るのと同時に、寄生虫の卵を家に持ち込まないという意味があります。室内で暮らすには大切です。
ですが、その反面、水で洗いすぎや乾燥不十分で皮膚疾患も現在増えているのです。
「皮膚疾患が増えている原因の一つは、むやみな足の水洗いと不十分な乾燥による影響が否めない」と獣医さんからの指摘があります。
飼い主として足をきれいにしたい場所は、靴を脱ぐ所からで、足洗い場は住戸の玄関口にあるもの方が有効です。
本来は一戸建てと同じく各住戸入り口に設けたいし、そうするべきなのですが、流しを設置する事は構造とコスト、また管理上工夫が必要になります。
簡単に済ませるために、マンションを一つの住宅と見なしてマンション出入り口に共用に設置する事になります。
しかし、現在の都心や住宅地は舗装された道が殆ど。 日常の散歩程度なら、同じ場所を歩いてきたはずの飼い主と同じ程度しか汚れません。共用廊下でならば、人が土足で歩くのと同じだと言っていいはずです。
マンション自体の入り口に設ける場合、無舗装の道路や自然が多いなど、よほどの条件がなければ意味がありません。
皮膚疾患を増やしている建築計画上での問題は、こういった各住戸から離れた場所での足の水洗い設備ではないかということもあるようです。
単なる「普通のマンション」で、ペット可にする為だけに設備の意味を理解しないまま付けているものは、水しか出ない上に非常に使い勝手の悪いもが多いのが実情です。
足洗いは草地を歩いてきて感染の恐れがある場合や、汚れがひどい時以外は綺麗な布で丁寧に拭いてあげることでも充分です。泥遊びをしたり余程気になる場合には、綺麗にしてから建物内部にはいりたいものですが、日常無闇に洗うことは病気の元です。
それでも毎日の散歩でもキチンと洗いたいという方は、35度程度のぬるま湯で洗ってあげてから、指の股がキチンと乾くように拭ってあげる必要があります。
生乾きにならないよう、ご自宅で飼い主さんがのんびり寛ぎながらやる方が毎日の事ならいいでしょう。
TRAフォーラム
「集合住宅でペットと暮らすための取り組み」T・金巻
より抜粋
*2006年一部改変+加筆