マンションにおける、共用設備について
設備は、あれば維持管理をしなくてはいけません。よく考えましょう。
| ● 足洗い場 ● グルーミングルーム(洗い場) ● 汚物流し ● エレベーター ペット表示ランプ ● リードフッカー ● 換気設備 ● 清掃用具保管ロッカー ● ドッグラン(犬用広場) 屋上ドッグランの問題 ● 総論 |
● 足洗い場
ペット飼育を謳い文句にした物件には、必ずと言って良いほどついていますね。
「ペットマンション」では、センサーの前に動物が来ると、自動時に水が出るタイプなどゴージャスなものまで出ています。
「普通のマンション」の場合、犬が小型犬のみで抱きかかえる規定がほとんどの状態ですから、利用度は高くありません。
実際、使わないのに管理費ばかりかかるという事で、採用をやめてしまったデベロッパーがあります。
マンション共用の建物の入り口付近に共用で設けられているものは、一戸建てにあるものを、安直に持ち込んだだけの物が大多数です。(実は、ペットマンションの歴史で、業者の思惑により、利用方法がゆがめらてれ広まった設備です)
建築する側は、何か目に見える「アイテム」を宣伝として欲しいために、簡単にできる「足洗い場」をペット対策として出すのです。
そういった安易なマンションは、だいたい「マンションの共用部を汚さないために、入り口でペットの足を洗う」という言い方をしています。
しかし、これらは本来犬を飼っているときに「あれば便利な設備」であって、ペットトラブル対策というのなら、無意味といっても言い過ぎではないでしょう。
そもそも、犬の足を洗う設備は、土足で歩く場所には不要です。(また毎度の水での足洗いは、健康のためによくありません)
また、管理運営面でトラブルの原因にもなっているため、しっかり内容を見極める必要があるようです。
共用の「洗い場」でもしっかり有効活用されている、と住民側から報告されているものがあります。
それは、「ペット専用の足洗い場」ではなく「共用洗い場」となっており、犬も使いたい場合は使えるようになっているものです。
犬でマンションに入る前に足洗いをしたいほど汚れるのは、年に数回あるかないかの程度。これで十分なのですね。
確認するポイントは2つ。
「住民は誰でも使えるか、もしくは、飼い主以外でも使用を届出れば鍵をもらえる」
「維持管理費用は飼い主だけが負担するのではなく、全体の管理費でまかなっている。水道料などは使いたい人が支払うなど考慮されている」
「共用の流し」は、人も利用頻度が多いという事から、コイン式流しを大規模修繕などで採用するコミュニティがあります。(洗車システムと似たものです)
犬も人も必要な時に利用でき、施設自体は共用で維持するけれど、利用したい人が水道料を負担するということで、有効です。
新築の分譲マンションで問題が噴出すのは、2年から3年がたってからです。
住まいを探す時は、「足洗い場があって素敵!」と鵜呑みにせずに、 この運営費を誰がもつのか、使えるのは誰か、しっかり確認しましょう。
もし、自分の入居したマンションが問題が起こりそうなタイプなら、 出来るだけ早い時期に運営面での見直しを図りましょう。
使われない「ペット足洗い場」から、使われる「共用の洗い場」へ移行するなどで、有効活用すれは、 本当の資産価値になります。
●正しい「犬の足の洗い」 ●
*注意*健康のためには、日常は毎回水洗いしてはいけません。
足を洗ったら、しっかり乾かして下さい。舐めてかぶれたり等のトラブルが多く報告されています。
一番安心なのは、しっかり絞った塗れタオルでよく拭いて上げること。
● グルーミングルーム(ペット洗い場)
ペット飼育を謳い文句にした物件で、たまについています。 あれば飼い主には便利でしょう。
ペット以外でも使っているようです。
利用費用は色々あり、費用を初めから組み合い費で取るところと、使用の度に使用料を支払う方法が考えられます。
ただし、維持管理が難しい設備でもあり、苦情やトラブルも多く聞かれます。
衛生面や運営費など、よく確認する必要があります。
● 汚物流し(フン流しトイレ)
これもあれば便利。
散歩から持ち帰ったフンを建物内で持ち歩かなくてすみますから。
ただ、都心のマナーとして「散歩=トイレの発想を止めて、トイレは家ですまして散歩に行きましょう」という事が行政や獣医さんからも提唱されています。
今後の高齢犬の介護の問題もありますので、室内でのトイレを習慣付けるのは、犬のストレス軽減になります。
とすると、マンション入り口にある専用流しは不要な家庭も多く、さほど重要とは言えません。
「大型犬のフンは、崩れにくい(もしくは粘りがあり)トイレの排水を詰まらせる」として、犬専用のトイレを薦めてくる業者がいるようです。
疑問に思って、数人の獣医師に確認した事がありました。応えは「雑食の人間の方が流しにくい。犬の雑食度は、人間のレベルではない」との事で、逆に「100Kgの人間が用を足してもつまらないのに?」と聞かれてしまいました。
調べたところ、糞を崩れないようにするために凝固成分を含ませているものが、一部の特殊なフードにあるそうです。
散歩でトイレを済ませている場合、糞を拾いやすいようにとの工夫だそうですが、これだと大型犬の場合、トイレで一気に流そうとすると詰まる可能性があるのではないか、とのことでした。
つまり、「トイレを詰まらせる」というのは、業者がアイテムを売るための誇張した理由ではないでしょうか?
貴方にとって、本当に必要か考えましょう
● エレベーター ペット表示ランプ
これは、特別に動物の使用の為に作られた商品というわけではなく、オプションでつけられる表示設備を動物用にも活用したものでしょう。
ランプ表示でエレベーター内の動物の有無がわかり、動物同士や動物と同乗するのが嫌な方との接触を防げます。
全所帯が飼育家庭であるなど、共用部で動物同士が出会う確立が高くなる「ペットマンション」では、便利な設備でしょう。
しかし、一般的な飼育率が全所帯の3割程度のマンションであるなら、こうした動物同士がかち合うという事も殆どありません。対人でならば、 お互いに挨拶し声をかけることで補えるので、さほど重要には思えません。
また、動物の有無は床面近くまでの窓があることで、補えます。
トラブルの少ない成熟したコミュニティを作るには、「ペット表示」エレベーターの採用は、マイナス要因だと危惧する意見もありました。
● リードフッカー
あるととっても便利。
駐車場や自転車置き場などで、一時的につないで置けると、荷物の出し入れで手がふさがるときに助かります。
事故防止にもなるので、余計な設備をつけるぐらいなら、これをつけて欲しい。
● 換気設備
基本的に、エントランスホールなどは動物と一緒の時はなるべくさけるとか、ケージやカゴに入れておくなど考慮すべきですが、内部空間でアレルギーなどの方が動物が通ったあとでも難なく使えるので、助かるでしょう。
タバコなどの煙がただよっていることや、きつい香水などが残っていることもありますから、動物がいなくても欲しいところです。
エレベーターに換気設備が付いたものもあります。
● 清掃用具保管ロッカー
万が一、共用部(廊下や駐車場。敷地内通路など)を汚してしまったとき、家に戻らなくともすぐに処理が出来る清掃用具を置いておけると、とっても便利。
ただし、管理運営をどうするのかネックになります。
● ドッグラン(犬用広場)
これは、大型集合住宅だと計画しやすく、実際につくられているものもあります。
都会では、なかなかオフリードでの運動が出来るところがありません。
犬同士の遊びの15分は、引き綱運動の2時間に相当するそうです。
人や犬同士の社会性を養ったり、教育面で大変有意義な施設です。 アジリティにも利用できます。
芝生だったらなお良いです。
ただし、咬傷事件や衛生面でのトラブルがありますので、どう管理運営されているか確認しないと酷い事になります。
● 屋上ドッグランの問題点 ●
屋上を有効利用しようとしるのは、発想として簡単です。
すでに、幾つかのマンションで採用されていますが、その殆どがが、ニューサンス(生活妨害等)というマンション問題を軽視しており、問題を内包していました。
また、屋上緑化が提案されたりする中、芝生のドッグランを屋上に設けているものがあります。
小さな集合住宅でもつくれるし、緑化することで環境にも優しいとのふれこみです。
しかし、メンテナンスや工夫には相当かかります。
従って、QLAとしては現在「屋上ドッグラン」は推奨できません。
主な理由3点を下記に上げますが、ニューサンス問題は項目を赤字にしています。
1. 設備的メンテナンス。
確かに屋上緑化技術は進んできましたが、10年以上先の屋上防水についてまだ確証が持てないから。(現在の防水性能保証は通常10年以下。10年後の補修工事があることも考えて)
分譲の住宅棟には、運動利用をする状態では、まだ使いたくない。
集合住宅はオフィスビルと違い、管理面の仕組みが複雑です。
しばらくバケツを置いてではすみません。
(飼育問題は、集合住宅の問題の一つでしかありません。これだけを重視する事は危険です。)
2. 下の住戸への音の問題。(ニューサンス)
ドカドカと天井を走り回る事となります。
当初から設けられ、防音対策されていた場合でさえも、「こんな筈ではなかった」と言う方が出てくる可能性が大きいです。
3. 高層部では風があります。(ニューサンス)
犬達が大はしゃぎして、近隣へ毛が飛ぶことも考えられます。
また、興奮して吠えるのは必須で、鳴き声で苦情が出ているところもあります。閑静な住宅地では大きな問題に発展する可能性があります。
*その他安全面など、問題物件の事例
・ 柵が、小型犬ならすり抜けられて危険だった。
・ 舗装の照り返しが酷くて真夏でもないのに辛い。
・ 全く飛散防止がされていなくて、抜け毛が綿ぼこリとなって落ちて行くのが気になった。
QLA として理想的なものは、現在でもほぼ可能ですが、高い技術力が必要です。
安易に設けてあるものは危険です。
ところが、最近増えてきた「ペット対応型賃貸マンション」 では、差別化を計るために「屋上ドッグラン」を設けるものもよく目にするようになりました。
しかし、住宅性能の不足を補うために、安易にペット設備をつけたのではないか、と怪しむものが多いのが残念です。
商品を吟味して、心配な点は購入前に確認しておきましょう。
総論
これらの設備は、付加価値としてはいいでしょうが、かならずしも必要なものではありません。
それどころか、現状を見ると「商品としての基本性能が落ちるため、毛色の違った設備をつけ、目先の客付けをしている」ように見える物件が多いのが気になります。
また、ペットが苦手な方も暮らす一般のマンションで、「ペット足洗い場」が安易に儲けられているところから、厄介な報告が寄せられ始めています。
たいがい 「マンションをペットに汚されないため」の必要設備と住民に説明しているのですが、「ペットにフレンドリーだ」と思わされた飼育者と、「ペット対策がされている」と思わされた非違飼育者の意識のギャップが生まれ、問題になっている所が多いようです。
猫には当然不要の設備ですし、犬でも毎度の使用は体に害があるものなのに、「使いなさい」と勘違いからルールとして強制されるコミュニティも出ているようで、困ったものです。
「猫だから ・ 健康に悪いから ・ 使い勝手が悪いから、使わない」と言ったとしても、「ペット設備なのだから負担は飼育者もち」となっている事が多く、不公平感から摩擦の要因になっているようです。
管理運営と住まい手の利益を度外視しているようなものには、一見の派手さに惑わされずに、NOと言わねばなりません。
一時期よりは落ち着いたようですが、ペット飼育可にするために「ペットマンション」でもないのに過剰に設備をつける傾向は、依然として残っています。
しかし、設備があるということは、維持費もかかることになります。
一部の方しか使わないものはトラブルの原因にもなりかねません。
意識のギャップが起こっているという報告のように、必要どころか、下手をすれば飼育者・非飼育者ともに迷惑な設備になってしまう事もあるわけです。
また、この設備が販売トークに利用されますが、販売員によっては困った説明をしており、それが住まってからの感情問題に移行しているという悩みが寄せられています。→こちら「共生マンション?」を参照
飼育が一般的な欧米には、集合住宅だからといってこのような共用設備はありません。
設備がないから病気が蔓延しているとか、トラブルがたえないとかの報告もありません。
つまり、ハードよりソフトが重要なのです。
飼育問題に取り組んでいる管理組合の方には、「設備がないから、このコミュニティでは飼育は無理である」というようには単純に考えないでいただきたいのです。
また、新居をマンションに求めようとされている方には、その設備が本当に重要なのかどうか、それに見合ったソフトは用意されているか、または用意できるかを考えて選択して欲しいと思います。
強いて「ペットと暮らして安全なマンション構造」をと言うならば、遮音・防音と換気の基本性能が優れており、集会設備がある事です。
「構造や設備の工夫なしでペット可としても問題はないが、長く住み続けると支障が出やすい。だからペット飼育のためには設備があるマンションを選ぼう」という、業者の実しやかなウソや宣伝に乗せられた意見には、我々購入者は騙されないようにしたいものです。
2006/03「足洗い場」一部追加
2005/08「汚物流し」一部追加
2005/01改稿