このようにビールを造っています(All Grain編)。(その3)

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(9)冷却

沸騰した麦汁をウオートチラー(Wort Chillar)にて、速やかに約25度まで温度を下げます。迅速に下げることによりコールド・ブレイクと呼ばれる蛋白質、炭水化物などの凝固物が沈殿しやすくなります。

      Immersion Type Wort Chillar

このWort Chillarは、直径約9mmの銅管の中に冷水を流し、麦汁を冷やすタイプのチラー(Immersion Type Wort Chillar)です。ホースをつなぎ、Wort Chillarに冷水を流します。効率よく麦汁を冷却するため清潔なへらで、麦汁をゆっくりかき回します。30分ぐらいたちました。鍋をさわってみますと、冷たく感じます。手のひらの温度より低くなっています。もし、鍋をさわってみて 暖かく感じたら、まだ冷却がたりません。温度計をエチルアルコール等で清潔にして、冷たくなった麦汁の中に入れ温度を確認します。25度近くまで下がっていたら終了です。

      清潔なへらで、麦汁をゆっくりかき回します

麦汁を急速に冷やすのは、雑菌の繁殖を防ぐためです。自然放置で麦汁をゆっくりと冷却した場合、冷えるまでに何時間もかかり、雑菌で汚染されてしまいます。必ず、麦汁は摂氏25度まで冷却しなければなりません。もし35度前後で冷却をスットプした場合乳酸菌や酢酸菌が繁殖しやすい環境なので、それらに汚染され、酸っぱいビールとなります。今回使用するエール酵母は摂氏18度から26度で最も繁殖します。麦汁を25度まで冷やすのは酵母が最も繁殖しやすい環境にするためです。  

 (10)発酵タンク(Fermentor)へ麦汁を移します。

25度まで、麦汁が冷えました。いよいよ発酵タンクに麦汁を移動します。あらかじめ発酵タンクをエチルアルコールで消毒します。

      発酵タンクに麦汁を移動してます。

煮沸釜(Brewing Kettle)には蛇口がついています。そこに、十分に消毒をしたホースを取り付け、発酵タンクにつなげます。蛇口をあけると、ホースをつたって麦汁が発酵タンクに入っていきます。ホースの先端には麦汁に十分な酸素が含まれるように、Wort Aeratorを取り付けています。

      鍋の底にはホップやいろいろな不純物が残ります。

鍋の底にはホップやコールド・ブレイクなど、いろいろな不純物が残りますが、これらは捨てます。発酵タンクには、約19Lの麦汁が入りました。比重を測ります。1.048でした。

      比重計で麦汁の比重を測定します。

いよいよ今回の仕込みも最終局面にきました。発酵タンクに酵母を入れます。酵母はあらかじめ、スターターとして十分量培養してあります。

      スターター;ビールビンの中に酵母液が入っています。

      発酵タンクにふたを閉め、エアーロックをつけます。

これで仕込みが終わりました。発酵タンクを日の当たらない比較的温度の安定しているところに置きます。時計を見ますと、約7時間経過しています。しかし、これから大事な仕事が残っています。後片づけです。使った鍋はもちろん、ガスコンロの回りは麦汁でこびりついています。これをきれいにしなければなりません。我が家では、この後かたづけをきっちりしなければ、二度とビールを造らせてもらえません。

次の日、発酵タンクを見ますとエアーロックがぶくぶくしています。発酵が始まって炭酸ガスが発生しています。一次発酵が始まっています。

 (11)澱引き

7日が過ぎました。ぶくぶくと炭酸ガスを排泄していたエアーロックも静かになっています。発酵タンクの底には酵母の沈殿物が堆積しています。一次発酵が完全に終了したのではありません。これから、まだしばらく静かな発酵が続きます。このまま約10日間放置してもよいのですが、ビールに酵母臭がつきますので、これを避けるため、上澄み液だけ別の発酵容器に移します。これを澱引きといいます。

      5ガロン(19L)のGrass Carboy に上澄み液を入れました。

この時にDry Hopを投入します。薬草を煎じるときに使う薬草パックにホップをいれるとよいと思います。このDry Hopはビールに香りをつけるのが目的です。ビールの苦味には影響しません。

 (12)瓶詰め

10日間が過ぎました。ビールの比重を測定します。1.012でした。十分に一次発酵が完了しました。いよいよ瓶詰めです。ビールビンを洗剤とブラシでよく洗います。そしてエチルアルコールで殺菌をします。この作業がなかなか大変ですが、きっちりとしなければなりません。だいたい大ビン26本から28本必要です。

ラッキングチュウブで瓶詰めします。瓶詰めするとき、ビールに炭酸を含ませるため大ビン一本あたり約3.5gの砂糖を入れます。ビンの中で砂糖がビールの中に含まれている酵母によって、アルコールと炭酸ガスに分解されます。その炭酸ガスがビールの泡になるのです。

ビンの中でゆっくりと発酵が進みます。これを、2次発酵といいます。瓶詰め後、約1ヶ月がたちました。いよいよ、試飲してみることにします。どのようなビールができたのか、一番楽しみの瞬間です。

     栓を開けたときほんのり甘いフルーツの香りがしました。

毎日1本づつ飲んでいきますと、日に日にビールの味が変化していくのがわかります。だんだんとおいしくなっていく時期とまずくなっていく時期があります。3ヶ月ぐらいが一番飲み頃のような気がします。これも保管状況にもよります。このように日に日に変わっていく自ビールを楽しむのも、自家醸造家の一つの特権かもしれません。


 今回の仕込んだビールについて、まとめてみます。
 style;English-Style Pale Ale
 Original Gravity;1.048
 Final Gravity;1.012
 Alcohol by volume;約4.8%
 Bitterness(IBU);24
 Color (SRM);11.5

 Bitterness(苦味)についてはすでに書きましたので、最後にAlcohol by volumeとColor (SRM)の計算について、書きます。
 Alcohol by volume=(Original Gravity-Final Gravity)/0.0075=4.8%
 Colar (色)
色は麦芽のロースト具合とその配合により決まります。
Colar of beer=Σ(pounds of malt A*colar rating of malt A)/gallons of beer
       =(7.5*3.0+0.5*50+0.5*20)/5=11.5 SRM

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1999年2月8日記載 橘 克英