キリン神戸工場でビール造り教室に参加しました。(’99/8/28(土)) [HOME]
8/28 JR三田駅に朝7時45分に仲間6人集合。工場見学のバスにのり、キリン神戸工場に8時過ぎに到着。バスにはたくさんの人が乗っていて、ずいぶんたくさんの人が本日のビール教室に参加するのだなーと思っていました。バスを降りて目的のビール教室の場所に到着したら、部屋に入ったのは我々だけで、バスに乗っていた他の大勢の人はキリン工場の社員でした。
本日の予定。
9:00 講義
10:00 ビール仕込み(糖化作業と途中昼食)
13:30 ビール仕込み(麦汁濾過)
14:00 ホップ投入式の後麦汁の煮沸
(途中ビール工場見学とビールの試飲)
15:00 麦汁の冷却と酵母投入
16:00 「丘の上の醸造所クラブ」入会証の授与式
17:00 解散10月10日 試飲
西浦さんが講師でした。約1時間の講義です。
今回で296回、約6000人が参加。
今回は5グループ参加。各グループにビール造りの名人(アシスタント)がついて、サポートしてくれます。我々はEグループで、植村さん、石井さんがアシスタントとして付いてくれました。
講義の内容はビールの歴史。今回の仕込みの行程の説明。特に糖化行程の説明(かなり詳しい説明)、等です。
5種類のビールの説明があり、どのタイプのビールを造るか決める。我々のグループは麦芽100%のドイツタイプのビールで色は濃色系としました。仕込量は15リットルコースを選択しました。他にすっきりとしたバットワイザー的なビールを造るコースやキリンラガーのような日本的な味わいのビールを造るコースなどがありました。
(2)ビールの仕込み(糖化行程):講義で教えてもらったことともに書きます。私自身の感想はうす茶色で記載します。
10時から仕込み過程が始まります。仕込量は15リットルです。大鍋やその他必要な物はもうすでに用意されていました。麦芽2675グラム(カラメル麦芽233グラム含む)と約55度に暖められたお湯が用意されていました。大鍋に55度のお湯12.5リットルを入れ、温度計を差し込みます。麦芽すべてを大鍋の中に入れました。(麦芽100グラムあたり約450mlのお湯を使っています。普段私が家でマッシングするときは麦芽100グラムあたり250mlから350mlの水を使いますがそれよりも多い量でした。)糖化液の温度はすぐに低下し約50度になりました。麦芽糖化過程のタイムスケジュウルを示します。基本的には、two-step infusion mashです。時計と温度計が用意されています。まず30分間、糖化液をかき回します。ゆっくりと、休むことなくかき回します。しばらくすると糖化液の温度が下がってきます。すぐにコンロの火を付け温度を50度に保ちます。この50度、30分間の糖化行程をタンパク休止(Protein Rest)といいます。麦芽の中にはいろいろな酵素がありますが、50度の温度での糖化行程では麦汁の中のタンパク質が主に分解されます。この行程で麦芽の中に含まれるタンパク質はアミノ酸、アミノ酸が数個結合したペプチドそして分子量の小さなタンパク質の変化します。アミノ酸は酵母の栄養源として無くてはならない物です。ペプチドはビールの中に泡を取り込むのに必要な物です。分子量の小さなタンパク質はビールの泡持ちに無くてはならないタンパク質です。それより大きな分子量のタンパク質はビールの濁りの原因となり合ってはならないタンパク質です。
Protein Restが無事終わり、時間と温度計を見ながら15分間で糖化液の温度を65度にまで上昇させます。その間もゆっくりと糖化液をかき回します。この温度を上昇させるスピードは1分間に1度の割合で上昇させます。
糖化液を65度にまで上昇させ5分間ゆっくりとかき回した後、糖化液(麦汁)を二つに分けます。糖化液の60%はそのまま65度の温度を保ちながら、残り75分間ゆっくりとかき回します。この温度では、麦芽の中のデンプンが酵素の働きで麦芽糖という糖になります。他の大鍋に40%の麦汁をいれ、5分間かけて温度を70にまで上昇させます。20分間ゆっくりとかき回します。後に、25分かけて沸騰させます。そして20分間の間、弱火で麦汁(マッシュ)をぐつぐつと煮ました。
(このようなマッシングは初めてです。基本的にはtwo-step infusion mashですが、マッシュ液の一部を沸騰させるのでデコクション・マッシュ(decoction mash)と考えてよいものか?私自身初めての経験です。デコクション・マッシュの目的は、あくまで糖化液の温度を一定にすることと理解していましたが、今回のmashingでは、それが目的ではありません。わざわざ糖化液を沸騰させるのはどういう目的があるのか?スタッフに尋ねましたところ、ビールに色をより多く付けるためと、麦芽の中のタンニンを飛ばすためとの答えがありました。伝統を重んじるドイツの醸造所では、今でもデコクション・マッシュをしていると聞いていますので、少しでもドイツ風ビールに近づけるために、麦汁を沸騰したのだろうと思います。)
マッシュ液の煮沸ですが、タンニンを飛ばすためとの説明を受け、記載しましたが、タンニンはポリフェノールの一種でマッシュ液を煮沸すれば麦芽の殻から沢山融出されますが、煮沸により揮発するものではありません。キリンのブラウマイスターに改めて質問をしましたが、このタンニンはビールの低温熟成で徐々に沈殿凝固して若ビール中から無くなっていく、と説明と受けました。チェコのボヘミアンピルスナーは、伝統的にダブルデコクションやトリプルデコクションで現在でもビールを造っていますが、ラガーリングに2から3ヶ月間も要します。それくらい長く熟成しないとタンニン(渋み)が取れないようです。(2001/5/6記載)
マッシングでは、決められた温度通り休むことなくゆっくりとかき回しました。特に温度は誤差1度までが許容範囲でそれ以上の誤差が出ますと、スタッフに怒られます。これは本当にきびしい。このマッシングでビールの味がほぼ決定してしまうためです。
(私自身、all grainでビールを仕込む際、ここまで厳密に、温度管理をしていませんでした。休むことなくゆっくりとマッシュをかき回せてもいませんでした。時々撹拌していた程度でした。麦芽の中にはたくさんの種類の酵素があります。糖化液の温度により働く酵素に違いが出ます。ゆっくりかき回し続けることの重要性は糖化液の温度を一定にすることにあると思います。そのことにより、目的とする酵素を働かせて一定の品質の糖化液ができます(講義では麦芽には約10万種類の酵素が存在し、それぞれの至適温度が有ると言っていました。また、ゆっくりとかき回すのは糖化液の温度を一定にするためです。かき回せないと糖化液の底の温度と上の温度が違ってきますと言う説明が有りました)。私の今までの方法でしたら、作るたびに糖化液の性質が異なることになります。常に一定の品質のビールを作るために、ただひたすらかき回し続けなければなりません。ここまできっちりとしないといけないのか、と強く反省しました。プロの職人魂をかいま見ました。)
後に、二つの糖化液を再び、5分間かけてゆっくりと、一つの鍋に移します。糖化液の温度は74度でしたのでコンロに火を付け78度にして5分間ゆっくりとかき回します。この温度で麦芽の酵素の働きは失活します(Mash out)。これで、糖化行程は終わります。麦汁をなめてみました。大変甘くなっています。糖化行程で途中何回も麦汁をなめてみました。時間とともに麦汁が甘くなっていく様子を舌で感じ取りました。目標は糖度11.5%の麦汁を作ることです。この糖度になるように麦芽のエキス分を調べて、麦芽の量を決定すると話されていました。
(今回の仕込み過程に置いて麦汁の比重は測定しませんでした。麦汁の糖度を計算して目標とするビールを作る、しかも、糖度の計算は麦芽のエキス成分を分析して出しています。入荷ごとに麦芽の成分は違うので、仕込みごとに材料の量は変わります。私の場合all grainで仕込むときにはあまり糖度のことを意識していませんでした。アルコール濃度は比重を測定することで計算していましたので。)
我々Eグループの糖化行程の様子を写真に撮りました。
糖化完了した糖化液を麦芽のかすと麦汁液のみとを分ける行程です。濾過装置の中に糖化液を入れます。濾過装置の底にはフィルターがあります。このフィルターの上には麦芽の粕の層ができます。これをgrain betと言いますが、このgrain betとフィルターを麦汁液が通り抜けることにより麦汁液はだんだんと澄んできます。はじめの麦汁液は濁っています。濁った麦汁液は再び濾過装置のなかに入れます。数分で、きれいな麦汁液が出てきますので、きれいな麦汁液は煮沸釜に入れます。こうして、煮沸釜に入れた麦汁を一番絞りと言います。この麦汁のみで作った贅沢なビールがあります。一番絞りは約8リットル回収できました。麦芽の粕の中には約20%の糖分が残っています。これを回収するため78度のお湯を濾過装置の中に入れます。この行程で回収された麦汁を二番絞りと言います。ポンプを使って麦汁を回収していますが、麦汁の色がだんだんと薄くなってきました。目標は15リットルの麦汁を回収することです。煮沸釜の中に15リットルの麦汁が入った時点でポンプのスイッチを止め麦汁濾過は終了です。(私がall grainで仕込むときには、この時点で麦汁の温度と比重を測定しますが、今回の仕込みではその作業はありませんでした。計算で糖度11.5%の麦汁が回収されているとのことでした。)麦汁濾過の行程の様子を写真に取りました。
糖度11.5%の麦汁が15リットル回収できました。ビールに魂を入れる儀式として、一番ホップを投入するとき、全員が集まりホップ投入式をします。これからの行程のタイムスケジュールを示します。ホップの投入は三回です。はじめのホップ投入は麦汁が煮沸する前におこないました。次に麦汁が煮沸した時点、最後に火を止める十分前に入れました。我々は、はじめのホップ投入で現場から離れ工場見学とビール試飲となります。麦汁の煮沸において、かなりのアクが出たりしたことと思いますが、アク取りや蒸発した水を補うことや二番ホップ、三番ホップの投入などの行程はキリンのスタッフの人がしてくれました一時間の煮沸で麦汁の中に含まれるいやな成分を飛ばす、また麦汁の呈色化をするなどの目的があります。ホップはペレットタイプのものでした。ホップの種類やアルファ酸値は不明です。これは企業秘密でしょうか。(ホップ投入の時期ですが、麦汁が煮沸する前からおこなうことについては、初めての経験です。) ビール試飲については、後に書きます。
ビールの試飲を終え、現場に戻ってきた時、麦汁の煮沸が終了したところでした。一時間の煮沸で麦汁の中には、熱凝固タンパクがが出来ます。また、ペレットタイプのホップが麦汁の中にとけ込んでいます。特に熱凝固タンパクが発酵タンクに入ると酵母な働きが阻害されます。麦汁を冷却し発酵タンクに入れるときにはこれらの熱凝固タンパクを取り除く必要があります。ワールプールというのは、アインシュタインが1901年に発見した現象です。アインシュタインが授業中コップに紅茶の葉が入っている水をかき回していたら、紅茶の葉が底の中心に集まりしかも紅茶の葉が富士山のように集まっていることを発見しました。この現象をワールプールと言います。この現象を利用して熱凝固タンパクを取り除く方法で初めてビールを仕込んだのは、1960年カナダのビール会社です。キリンでは1970年よりワールループの原理を使って、熱凝固タンパクを取り除いています。火を止めたばかりの麦汁をかき混ぜ棒で大きな渦が出来るまでかき回します。この行程は、私がしました。大きな渦が出来たらかき混ぜ棒はすぐに取り出し、そのまま約15分間静値します。一方、麦汁を冷却する準備をします。原理は氷水の中にあるコイル状の銅管の中にあつい麦汁を流し、麦汁を冷却します。ポンプで銅管の中にあつい麦汁を流すと麦汁は6度くらいまで冷却され発酵タンクに入っていきます。煮沸釜の麦汁はだんだん少なくなってきました。熱凝固タンパクは鍋の底の中心部に富士山のように集まっていました。発酵タンクには約14.5リットルの麦汁が入りました。
(私のビール造りでは、ワールプールはしていませんでした。麦汁はimmarsion typeのChillerで冷却しています。冷却後、数分間静値して、発酵タンクに麦汁を入れています。鍋の底にはいろいろな不純物がたまっていて、それらは発酵タンクには入れません。今までの私の方法でどの程度、熱凝固タンパクが取り除けたのが、疑問が残ります。しかも、immarsion typeのChillerでの冷却では、冷却した麦汁は外気にさらされています。今回のビール教室での麦汁の冷却の方法はcounter-flow wort chillerによる冷却方法に近い方法です。冷却した後の麦汁は、発酵タンクに入り、直接、外気に触れることはありません。雑菌混入の観点からこの方法は、非常に合理的な方法と感じました。私のビール造りの方法を、もう一度、基本から見直し変えてみようかと感じています。少し、カルチャーショックを感じました。)
麦汁の冷却の模様を写真に取りました。
最後の仕上げです。冷却した麦汁に酵母を投入します。麦汁にいのちが入りました。酵母投入後は、酵母が呼吸をしやすくするため、麦汁の中に酸素を送ります。ポンプでフィルターで埃を取り除いた空気を麦汁の中に入れます。(酵母を投入した時点で麦汁はビールと言う名に変わります。)この行程はキリンのスタッフはすべてしてくれました。私たちはただ見るだけです。
酵母投入の様子を写真に取りました。
これから、掃除がありますが、キリンのスタッフがしてくれました。私たちは、お客様だからでしょうか。家で自ビールを仕込むときは、この後かたづけが大変ですが、最も大事な仕事となります。発酵タンクは厳重な温度管理のもと約一週間一次発酵、その後、6週間の貯蔵があります。キリンのスタッフによって、品質管理してくれます。10/9にビールが瓶詰めされ我が家に到着予定です。
ビール造りが無事終了しまし。
今回のビール教室で、私たちを指導してくださったキリンのスタッフと記念写真を取りました。
ビール教室に参加した記念に「丘の上の醸造所クラブ」入会証をもらいました。講師の西浦さんから直接いただき、少し緊張しました。]
麦汁の煮沸時間を利用して、キリンビール工場の見学とビール試飲の時間がありました。ビール試飲会は約40-50分間と和気あいあいとあいた雰囲気でした。サーバーから自分でコップに入れます。なれないと泡ばかりになってしまいます。いつもはキリンラガーとキリン神戸ビールの2種類のビールが用意されているのですが、今回は、特別なビールを飲ませていただきました。川本幸民という江戸時代の蘭学者がいます。日本で初めてビールを醸造した方です。「科学新書」と言う本に、その模様を自ら書いています。キリンのスタッフが川本幸民が作ったであろうビールを著書「科学新書」をもとにして試作醸造されました。そのビールすなわち「コウミンビール」をのませていただきました。モルトの風味とホップの香りと苦みが、よく感じられました。色合いはやや茶褐色で、重厚なドイツビールと言った感じでした。川本幸民先生が実際にビールを作ったときに、ホップを使用したかどうか、学説が今なお別れているようです。キリンでは、日本にはカラハナソウという野生のホップが有ると言うことで、幸民先生はホップを使用したという立場で、ビールを醸造したようです。作り方の特徴を尋ねてみましたところ、「Mashingは65度でのsingle infusion mash、それだけです」、との答えがありました。作り方のレシピやタイムスケジュウルは企業秘密なのでしょうか?最後のアンケートに、コウミンビールのレシピを教えてくださいとお願いしておきましたが、この願いは届くでしょうか・・・ということで、ビール試飲会では3種類のビールを飲ませていただきました。コウミンビールが一番おいしかったです。おかわり自由なので、コウミンビールを4杯、神戸ビールを1杯、キリンラガーを1杯飲んで、かなり酔ってしまいました。最後になりましたが、キリンビール教室のURLはhttp://www.kirin.co.jp/about/brewery/factory/kobe/kyoshitsu/kyoshitsu.htmlです。
10月9日にキリンビール教室から瓶詰めしたビールが送られてきました。きれいなビールラベルが別に送付してありました。10日に、ビール教室に参加したした人全員が集まって、ビールパーテイを開催することになりなした。奈良県丹生の中西邸に午前11時に集合。自然薯を掘って、自然薯ビールパーテイです。長さ50cmぐらいの自然薯を3本掘りました。掘った後は土を元に戻して終了。私は、仕事の関係で遅れて参加、自然薯堀はただ見るだけに終わりました。午後二時頃にパーテイが始まりました。ビール瓶を眺めますと、いわゆる酵母の澱はありません。フィルターで酵母を取り除いているようです。少し残念でした。コップに注ぎました。泡立ちは良好。色はカラメルモルトを使用しているため、茶褐色でした(紅茶色)。全く濁っていません。臭いをかぎました。カラメルモルトのやや焦げ付く臭いがしました。飲んでみました。ホップの香りはカラメルモルトのやや焦げ付いた香りにかき消されています。ボデイは中等度でしょうか?気になったのはDMSを少し感じました。しかも重く感じます。DMSですが麦汁は一時間煮沸していますので、煮沸には問題が無いはずです。あと、麦汁を冷却するときに発生しますが、本によると70度付近で最も発生しやすいと言われています。ビール教室でのビールの試飲時間が長くなってしまい、コンロの火を止めた後、煮沸した麦汁の温度が70度ぐらいにまで低下していた状態でワールプール、15分間静値、チラーによる冷却したためでしょうか?重く感じたのは熟成不足なのか?少し、残念でした。だけど、市販のキリンビールよりは美味しかったです。
パーテイの模様を写真に取りました。
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Copyright(C)1999 by Katsuhide Tachibana
作成日時 1999年09月04日