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続・キリン神戸工場でビール造り教室に参加しました。(2000/3/18(土)) |
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はじめに
2000/3/18にキリンビール教室に再参加しました。前回、昨年8/28にも参加し、その時は副原料なしのドイツ風ビールを造りました。カラメル麦芽を使い、all grainのビールです。出来たビールはカラメル麦芽の芳ばしい香りとモルトノ甘みがほんのりとするビールでした。今回は、日本風ビールを選びました。レシピ、作り方はキリンラガーと全く同じビールです。すなわちキリンラガーを造りました。日本風ビールは、ドイツ風ビールと違い、麦芽以外に米やコーンスターチを使います。副原料を使うことにより、ビールはすっきりとした味わいになります。日本風ビールはアメリカタイプやヨーロッパタイプのラガービールとはまた違った味わいのビールだと思います。私個人の持論ですが、酒と料理とは表裏一体であり、日本料理の代表である会席料理の横には、はやり日本酒が一番だと思います。しかし、大手商業ビールも会席料理には違和感無く合います。私個人的には、会席料理の横にはキリンラガーまたはサッポロ黒ラベルが必要です。日本の大手ビール会社は、日本料理にあるビールをアレンジして造りだしたのでしょうか?日本風ビールは、材料に麦芽以外に米やコーンスターチ、コーングリッツなどの副原料を使います。副原料を使うことによりビールをすっきりとした端麗な味わいにします。all grain(麦芽100%)のビールと違い、マッシュングは複雑になります。海外の自家醸造のレシピの本を探しても、副原料を使ったときのマッシング方法を具体的に記述した本は見あたりません。今回、副原料を使ったビールのマッシング方法を勉強するために、ビール教室に再参加しました。
本日の予定。
9:00 講義
10:00 ビール仕込み(糖化作業と途中昼食)
13:30 ビール仕込み(麦汁濾過)
14:00 ホップ投入式の後麦汁の煮沸
(途中ビール工場見学とビールの試飲)
15:00 麦汁の冷却と酵母投入
16:00 「丘の上の醸造所クラブ」入会証の授与式
17:00 解散前回参加した時とほとんど同じです。
1時間の講義の後、午前10時から糖化作業です。教室に着き、まず手をよく洗います。材料や道具はすでに用意されています。今回は、日本風ビールを10リットル仕込むコースを選びました。日本風ビールですが、具体的にはキリンラガーと同じ材料で、ほぼ同じ様な仕込み方法です。材料--10リットル仕込み
糊化行程--麦芽(Pale Malt)105グラム、米265グラム、コーンスターチ135グラム、コーングリッツ135グラム
糖化行程--麦芽1.3Kg(キリンラガーのレシピですが、意外とたくさんの副原料を使います。19リットル仕込みで換算すると、麦芽2.66Kg、米504グラム、コーンスターチ257グラム、コーングリッツ257グラムとなり、麦芽2.66Kgに対して、副原料1.02Kgとなり、全穀物量3.68Kgに対して副原料1.02Kgで、約28%が副原料になります。)
本日の糖化作業のタイムスケジュウルを下記の表に示します。

(A)副原料の糊化行程
約15リットルのステンレスの寸胴に3.6リットルの温水(約55℃)を3.6リットル入れ、副原料である米265グラム、コーンスターチ135グラム、コーングリッツ135グラムと粉砕した麦芽105グラムを入れました。コーングリッツとは、乾燥したコーンの芽を取ったものをミルで粉砕したものです。マッシュ液(粥)と呼んでいいものか解りませんが、大きなヘラでマッシュ液をゆっくりとかき回し温度を30分間50℃に保ちます。電気コンロでマッシュ液の温度を50℃に調節します。デジタル温度計のセンサーがマッシュ液に突っ込んでいて、マッシュ液の温度を常に監視できるようにしてあります。麦芽を入れていますが、目的をスタッフに質問したところ、これは麦芽の中のタンパク分解酵素や糖化酵素の働きを期待して入れているのではなく、もし麦芽を入れないと、副原料が固まってしまい均等にお湯に混ざり合わなくなるので入れています、と解説いていました。マッシュ液をなめてみましたが、最後まで粉っぽい味で甘みは感じませんでした。糖化は起こっていないと思われます。マッシュ液を30分間50℃でマッシングした後、マッシュ液の温度を20分間かけて78度まで上昇させます。この温度で5分間一定に保ち、さらにマッシュ液の温度を100度にまで上昇させます。マッシュ液が沸騰するまでは大きなヘラでゆっくりとかき回していましたが、沸騰後はふたを閉めて、20分間ぐつぐつとマッシュ液を沸騰させました。
この行程を私は糊化行程と名付けましたが、糊化(こか)とはどういう意味でしょうか?スタッフに尋ねました。副原料のデンプンは固い殻の中に存在しています。通常のマッシングでは、もし糊化しないでそのまま副原料を入れた時、麦芽のデンプンは糖化できますが、副原料のデンプンは固い殻の中に存在しているために、糖化ができません。副原料を摂氏80度から90度以上にすると、デンプンを被っている固い殻が破れ、デンプンがお湯の中に溶けだしてきます。すなわち液状化または糊化(のりか)します。この糊化した副原料は後に、メインマッシュ液に入れますが、麦芽の酵素の働きで激しく糖化するようになります。
摂氏100度で20分間沸騰させましたが、副原料が糊化が完了したと思われます。
(B)糖化行程
スタートしてから65分後、糊化行程でマッシュ液を78℃から100℃に上昇している途中で、別の寸胴で麦芽の糖化行程が始まります。約15リットルのステンレス製の寸胴に約55℃のお湯5.5リットルに粉砕麦芽1.3Kgを入れます。マッシュ液の温度はすぐに50℃になりました。マッシュ液の中にデジタル温度計のセンサーが突っ込んであり、マッシュ液の温度を常に監視できるようになっています。(このマッシングでの水の量ですが、麦芽100グラムあたり423mlでかなり多いと感じました。この点は、前回のビール教室に参加したときにも疑問に思いましたが、スタッフに質問することを忘れました。)protein rest マッシュ液は50℃で30分間続きます。マッシュ液をゆっくりとかき回して、50℃に保ちます。この行程でマッシュ液のタンパク質が主に分解します。
protein rest終了後、糊化した副原料の粥移しをします。すなわち、protein restを終了した麦芽のマッシュ液の中に、沸騰している糊化した副原料を入れます。一度に沸騰している副原料の粥を移しますと、protein rest終了した50℃の麦芽のマッシュ液の温度が不安定になりますので、5分間かけてマッシュ液をゆっくりとかき回しながら、副原料の粥を入れていきます。この作業を副原料の粥移しと言います。この結果、マッシュ液の温度は65℃になります。
Saccharification Rest 副原料の粥移しの結果、マッシュ液の温度は65℃になります。この温度で、麦芽の酵素の働きでマッシュ液のデンプンが糖に分解します。副原料に含まれている糊化したデンプンも、麦芽の酵素の働きで、糖に分解されます。
デコクション Saccharification Restが始まり5分後に、マッシュ液の40%を別のステンレスの寸胴を移し(醪下し)、5分間で70℃に上昇させ、15分間一定に保ちます。その後、ガスコンロの火を付けて、20分間かけてマッシュ液の温度を100℃にし、10分間沸騰させます。この行程をデコクションといいます。
残り60%のマッシュ液(メインマッシュ液)は、65℃で50分間一定に保ちます。メインマッシュのSaccharification Rest終了後、沸騰した40%のマッシュ液を5分間かけてゆっくりと戻します(醪移し)。マッシュ液の温度は78℃になります。この温度で、マッシュ液の酵素は失活し糖化行程は終了します。実際には、醪移しを終えた段階で、マッシュ液の温度は73℃でした。だから、ガスコンロに火を付けてマッシュ液の温度を78℃まで上昇させました。この時点で、マッシュ液のヨード反応をしましたが黄色いヨード液は透明になり、デンプンが糖に変化したことを確かめました。
副原料を使ったマッシングは非常に複雑でした。infusion mashとdecoction mashが組合わさったマッシング法と思われます。副原料のデコクション、麦芽のマッシュ液のデコクションがあり、ダブルデコクションマッシュのようですが、そうではなく、シングルデコクションが二つ組合わさったマッシング方法ではないかと思いました。
糖化を終えたマッシュ液を濾過糟に移し替えて、マッシュ液の麦芽と麦汁とを分離します。始めは濁った麦汁が出てきますが、濁った麦汁を再び濾過糟に戻します。そうすれば、麦芽のベッドがフィルターの役目をして、麦汁がだんだんと透明になります(lautering)。透明になった麦汁を煮沸釜に移します。すなわち、一番絞りの回収です。この行程はシリコンチュウブとロータリーポンプで行います。このロータリーポンプのおかげで、この行程は非常にスムーズにおこなえます。
(私のビール造りではこの行程は、手作業で行っています。いくら静かに行っても、麦汁が酸素と触れあう機会が多くなり、どうしても麦汁が酸素の影響を受けてしまいます。その点が、何とか克服できないものか現在思案中です。キリンビール教室で使用しているロータリーポンプはイギリス製で三十数万円するそうです。これは、余りにも高すぎて購入できません。)一番絞りの回収後、麦芽のベッドに含まれています糖分を回収します。約2割の糖分がこの麦芽のベッドに含まれているようです。78℃の温水を3回に分けて、濾過糟にいれて麦芽に含まれる糖を回収します(sparging)。一番絞りを約5リットル回収し、スパージングの結果麦汁は合計11.069リットルとなりました。(大変細かく麦汁の量を計算しています。理由を尋ねましたところ、これはなんと税務署に届けなければならないそうです。こんな所にまで税務署の目が光っているとは!!)
スパージングの途中で煮沸釜をガスコンロに火を付けて温めます。ある程度麦汁が溜まった時点で一番ホップの投入式です。キリンでは、この一番ホップの投入をビールに魂を入れることを意味するということで、市販のビール仕込みでもホップ投入式をしているようです。この後、工場見学とビール試飲会があります。二番ホップ、三番ホップの投入はスタッフがしてくれます。ホップの配分表ですが、デジカメで記録したためにはっきりと写って無くて、ビターホップについては重量が解らなくなりました。一応載せておきます。
一番ホップ 二番ホップ 三番ホップ FA(ファインアロマホップ)
1.4g 4.0g 0.8g A(アロマホップ)
2.0g 3.3g B(ビターホップ)
1.?g 国産(ビターホップ)
?g ファインアロマホップはザーツホップ、アロマホップはハラタウホップと思います。ビターホップの種類と重量がはっきりしません。自分で仕込むときは、IBUが25位になるようにビターホップを調節すればよいと思います。
ビール試飲会は和やかに過ごしました。ビール試飲会の後、麦汁の冷却が始まります。現場に戻った時には、3番ホップの投入が終わり、火を止めたところです。熱い麦汁の中にはホップの粕と煮沸することで出現しました熱凝固タンパクがたくさんあります。これを発酵タンクに入れてはビールは美味しくなりません。ワールプールという方法で麦汁の中のいろいろな不純物(trub)を取り除きます。アインシュタインの発見したtea cup theoryを利用してtrubを取り除きます。具体的には麦汁をぐるぐると大きな渦ができるように大きなヘラでかき回します。この行程は今回も私がしました。ワールプール終了後、15分間静値します。麦汁は澄み渡り、trubは煮沸釜の底に富士山のようにたまっています。ロータリポンプを利用して麦汁を冷却器(chiller)に通し、麦汁を6℃まで冷却しました。この行程は昨年参加したキリンビール教室に詳しく記載していますので参考にしてください。
冷却した麦汁は発酵タンクに入れます。発酵タンクにはデジタル温度計のセンサーが突っ込んでいて、麦汁の冷却温度を調節します。
麦汁はちょうど10リットル入れて、酵母を投入します。この酵母はのどから手が出るくらい欲しかったです。酵母はビール会社の大きな財産です。簡単にはくれませんでした。
酵母投入後は、麦汁は若ビールという名前に変わります。発酵がスムーズに行くように、若ビールに酸素を加えます。
これで本日の行程は終了しました。ビールは4月28日に届きます。ビールパーテイを予定しています。楽しみです。
最後に私たちのビール造りの指導をしてくださったスタッフ下村さんと記念写真を取りました。
(5)終わりに
副原料の使ったマッシングは非常に複雑でした。キリンラガーを仕込みましたが、意外に副原料が多いと感じました。この副原料の多さが、日本風ビールの味わいに関係していると思います。しかし、AHAのスタイルガイドラインではこのキリンラガーは、どれにも属しないように思われます。やはり日本独自のスタイルのビールになるのでしょうか。家庭で今回のビール教室で仕込んだビール(キリンラガー様のビール)を造るとすると、どうすればよいのか考えてみました。「アロマホップにザーツとハラタウを使い、ビターホップの種類は解りませんが、無難なところでPerleを使い、IBUを25位に設定する。麦芽と副原料の比率を今回と同じように計算し、19リットル仕込みにする。」酵母はWyeast Pilsen Lager yeast (#2007)を使ってみようかと思います。これからはだんだんと暖かくなりますので、仕込むとしたら、今年の冬ぐらいでしょうね。仕込みましたら、醸造日記に報告します。
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