キリン神戸工場でビール造り教室に参加しました。第四回目参加(20001/3/17(土))

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アメリカンスタイルのビールを仕込む
はじめに
3/17にキリンビール教室に参加しました。これで4回目の参加になります。今回はアメリカンスタイルのラガービールを仕込むことにしました。夏の暑い時期に清涼飲料水代わりに飲まれるビールです。ビール教室のはじめに行われる講義によると、キリンでは北関東地区の栃木工場でバットワイザーを造っていますが、今回はそれとは同じ仕込み方法ではない、バットワイザー風ビールです。キリンビール教室のスタッフの話によると、このスタイルのビールが一番人気がないと話していました。しかし、6種類ある中でこのスタイルのビールが一番美味しいそうです。

清涼飲料水代わりに飲まれるアメリカンスタイルのラガービールは、レシピや仕込み行程にどのような特徴があるのか、勉強するために参加しました。

今回の仕込みの特徴は、ダブルデコクションマッシュで仕込んだことです。一回目のデコクションでは、いわゆるthickest mash(限りなく濃いマッシュ液)でデコクションしませんでした。副原料を使いますが、どの時点でマッシュ液に入れるのか、非常に興味がありました。ビール工場見学とビールの試飲の時間がありますが、今回はそれには参加せず麦汁の煮沸行程をくまなく見学させてもらいました。特に、麦汁の糖度の調整のところは、なかなか興味あることを学ぶことができました。デジカメに要所を取りました。

私個人的な意見やブラウマイスターとの会話等は色を変えています。

本日の予定。

9:00  講義
10:00 ビール仕込み(糖化作業と途中昼食)
13:30 ビール仕込み(麦汁濾過)
14:00 ホップ投入式の後麦汁の煮沸
      (途中ビール工場見学とビールの試飲)
15:00 麦汁の冷却と酵母投入
16:00 「丘の上の醸造所クラブ」入会証の授与式
16:30 解散

過去3回参加した時とほとんど同じです。今回の講師はブラウマイスター阿部一郎さんで、アシスタントとして大渡さんが我々の指導をしてくださいました。当日は私自身、昨夜の仕事上のつき合いで遅くなり、しかも二日酔い状態でしたので充分な質問をすることが出来ませんでした。

材料 今回は10リットル仕込みです。(15リットル仕込みコースもありますが抽選で10リットルコースでした。)

  • base malt
    • 欧州(フランス産)-----496g
    • 豪州(オーストラリア)--496g
    • 北米(カナダ産)-------496g
  • 副原料
    • コーンスターチ--------300g
  • total grain------1488g+300g=1788g

1番ホップ
2番ホップ
3番ホップ

FA

1.2g
0.6g

A

2.9g

B

1.7g

国産

1.5g

FA:saaz、A:ハラタウ産アロマホップ、
B:ハラタウ産ビーターホップ、国産:国産ビターホップ
α酸値は不明、IBUは20。

目標;10リットル仕込み。糖度は11.5゜P。IBUは20。

糖化作業

本日の糖化作業のタイムスケジュウルを下記の表に示します。

9200mlの約51度の温水を糖化槽に入れ、粉砕した麦芽1488gを入れました。mash in です。粉砕麦芽ですが、家で使っているAdjustable Schmidling Millのローラーの調節をかなり狭くして粉砕した感じでした。自分で仕込むときにこんなに細かくしたら、ロータリングでは目詰まりを起こしてしまう感じです。それに、使用する水の量が麦芽100gに対して618mlとあまりにも多い量です。後に副原料であるコーンスターチ300gを投入しますが、それを合わせても麦芽100gに対して水の量が515mlとなります。今回はダブルデコクションマッシュでの仕込みですが、PAPAZIANの「HOMEBREWER'S GOLD」にいろいろなスタイルのビールのレシピが載っていますが、たとえばp252から256に記載されているボヘミアンピルスナーのダブルデコクションマッシュによる仕込み方を読んでみると、protein restでは麦芽100gに対して210mlの水と使用し、Saccharification Restでは麦芽100gに対して最大210mlの沸騰水を加えて温度を一定に保つように書いています。麦芽100gに対して最大420mlの水を使用することになります。キリンビール教室ではどうしてマッシング時の水の量が多いのか、またしても聞くことができませんでした。

50℃の状態を保ち、30分後にマッシュ液の35%を別の寸胴(糖化釜)に移し、同時に35%のマッシュ液の中に副原料のコーンスターチ300gを入れ、マッシュ液の温度を上げていきます。10分間で70度にまで上げ10分間そのままの状態に保ち(rest)、再びガスコンロの火を付けて20分間で100度にまで沸騰させ、沸騰後はへらでの撹拌を中止し蓋を少し開けた状態でグツグツ煮込みます。

protein rest の時間は合計80分間になります。少し長いのではないか?とブラウマイスターに質問をしました。「少し長いと思う」、とブラウマイスターの返事がありました。「はじめのprotein rest は30分ではなく10分位でも十分だと思う」、との意見でした。以下、ブラウマイスターの話を要約します。「protein rest をあまり長くなるとビールの泡立ちが悪くなる。well-modified malt(とけのよい麦芽)では、protein rest は無くてもよい。しかし、ビールの品質を安定するためにprotein restをしている」。protein restをしないとビールは濁ったりしませんか?との質問に対して、「ビールは濁らない、品質の安定のためにしている。」どうしてprotein restをしているのか?との質問に対して、「実はprotein restは重要なファクターではない、何となくやっている感じです。また、protein restが長くなると、泡立ちが悪くなり重い感じのビールになる。」
なかなか、理解しがたいところもありますが、well-modified maltは基本的にはprotein restがいらない。では、どうしてprotein restをしているのか、私個人的に考えるにはwell-modifiedの程度が麦芽によって異なるために、一定の状態の麦汁を造るためにprotein restをおこなっているのだろう、と思いました。

驚いたことは、一回目のデコクションではいわゆるthickest mash(限りなく濃いマッシュ液)ではありませんでした。しゃぶしゃぶのマッシュ液をデコクション(沸騰)しました。このことをブラウマイスターに聞いてみましたが、thickest mashの意味が分からないようで、意見がかみ合いませんでした。ブラウマイスターの話ですが、「このビール教室の仕込み方は特別なものではなくキリンビール工場で仕込んでいる方法と大体同じ方法で行っている。工場でもデコクションマッシュで仕込んでします。◯◯ヒはinfusionで仕込んでいるらしいが、キリンではキリンラガースペシャルライトがinfusionで、その他の製品はすべてデコクションで仕込んでします。このビール教室は、工場での仕込み方とほぼ同じ方法で行っている。すべてをオープンにしている。」とのことです。
工場など大量に仕込まないといけないところでは、thickest mashをデコクションすることが出来ないと感じました。ということは、thickest mashをデコクションして仕込むという作業は、自家醸造家でしか出来ないことになります。thickest mashをデコクションしているときに感じるほんのりしたカラメル風味は自家醸造家の特権と言うことになります。(すこし言い過ぎか?)
日塔さんからのメールにもありましたが、マッシュ液をデコクションしているときに、タンニンの融出はどうなのか?このことは、私自身の疑問として残っています。残念ながら、質問することが出来ませんでした。

一回目のデコクションが終了し、糖化槽のメインマッシュに糖化釜の沸騰したマッシュ液を5分間かけてゆっくりと入れていきます。マッシュ液の温度は63℃でしたのでガスコンロの火を付けてマッシュ液の温度を65℃にしました。protein rest が終了し、これからSaccharification Restです。

Saccharification Restは、50分間です。はじめの20分間は、温度調節しながらゆっくりと糖化槽のマッシュ液をかき回します。20分後に、別の寸胴(糖化釜)にマッシュ液の40%を移し、ガスコンロの火を付けて、20分間で100℃にまで上昇させます。糖化釜のマッシュ液が沸騰しましたら10分間弱火でグツグツ煮込みます。

Saccharification Rest 終了間近に糖化槽のメインマッシュ液と糖化釜のデコクション中のマッシュ液のヨード反応をしました。両者のヨード反応ですが糖化釜のデコクション中のマッシュ液ですがわずかに色が濃くなりました。紫色ではありませんが、糖化槽のメインマッシュ液のヨード反応に比べて色が濃いのです。デコクションをすれば、マッシュ液中にデキストリンの量が多くなりヨード反応で色の違いが出たものと思われます。

デコクションで仕込むことは、インフュージョンと比較してデキストリンの量が多くなり、こくのあるビールが出来ることが分かりました。しかし、アメリカンタイプのラガービールは、デキストリンが多くてもよいのでしょうか?副原料に、コーンスターチのみを使用しています。そのことがビールの味わいにかなり影響しているものと思われます。試飲で確かめてみたいと思います。

糖化槽のメインマッシュ液の中に糖化釜のデコクションを終えたマッシュ液を5分間かけてゆっくりと入れていきます。73度になりましたので、火を付けて78度にまでマッシュ液の温度を上げ、5分間 restします。これで糖化行程は終了です。

糖化行程のスナップ写真です。

LauteringとSparging

この行程は、過去3回のビール教室と同じです。一番絞りの回収が5.99リットル。一番絞りの回収が終わりSpargingでgrain bedに残っている糖分の回収をします。同時に、一番ホップの投入式が盛大に行われます。今回はパンジョがなく、拍手だけでした。

LauteringとSpargingでは、濾過槽で麦汁が目詰まりを起こしました。麦芽の粉砕が細かかったせいだと思います。

麦汁の煮沸

この時間は工場見学とビールの試飲の時間です。私は現場に残り、単調な麦汁の煮沸行程を見学しました。total boiling time は60分間です。麦汁が沸騰しましたら2番ホップを入れました。時計を60分にセットしてスタートを押します。麦汁の量を測定します。11.069リットルです。

この時間帯にスタッフたちはいろいろな作業をしています。先週仕込んだビールをケグに澱引きをしています。ケグの中は炭酸ガスで満たしていて酸素の影響が出ないようにしています。発酵タンクについているラッキングチュウブにシリコンチュウブを取り付け、ロータリ式ポンプを回してケグの中にビールを入れていきます。すべてが入れ終わるとケグの蓋をして冷蔵庫で6週間ラガーリングして、瓶詰めの前日にフィルターを通して酵母を取り除き、別のケグにビールを移し替えます。この時はじめのケグには圧がかかっているので自然と別のケグにビールが移動するとのことです。そしてカウンタープレッシャーボトルフィラーを使って瓶詰めをするようです。このことは、ブラウマイスターからお聞きしました。

残り10分前に3番ホップを投入しました。これは私がしました。60分間の煮沸が終了しましたら、麦汁の量を測定します。ステンレスの物差しで麦汁の深さを測定しました。137mmで9659mlの麦汁があります。1パイントぐらいの大きさの銅製のコップに麦汁を少し取り出し、氷の入った洗面器に付けて麦汁を20℃にまで冷却します。大きなメスシリンダーに20度にまで冷却した麦汁を入れて、比重計のような糖度計を入れて糖度を測定します。この糖度計は私が使っているものとは全然違いました。非常に大きくて、糖度計にガラス管の中には温度計までついています。スタッフに尋ねたところ4万円もするとのことです。(比重の測定するとき麦汁の温度は15℃ではありませんでした。)

糖度は13.55゜Pでした。糖度を測定した後、測定に利用した麦汁は元の煮沸釜の中に戻します。目標糖度は11.5゜Pですので、計算して沸騰水を足します。キリンのスタッフに計算方法を教えてもらいました。

9659×0.1355=1308.79g------これは麦汁の中に含まれる糖の量。
1308.79÷0.115=11380.78ml
11381-9659=1722ml
1722mlの沸騰水をメスシリンダーで正確にはかり、麦汁の中に入れます。
これで、糖度11.5゜Pの麦汁が11.381リットル出来ました。しかし、実際は11.21リットルの麦汁が出来たことになります。90度で11.381リットルの麦汁は6℃では11.21リットルになるという意味です。
ついでに収率も計算しますと、1308.79÷1788=73.2%となります。けっこう良い値です。

私が醸造するときには、この行程はいい加減でした。比重とかを測定していましたが、麦汁の量はだいたいの値を出して適当にしていました。だから、±5%ぐらいの誤差がいつもありました。目標糖度にするためにキッチリと計算して出さないといけないのですね。当然です。少し反省しながらも勉強になりました。

そうこうしているうちに試飲を終えた他のメンバーが帰ってきました。ワールプールです。今回も私が担当しました。ワールプールの名人となりました。この時間帯なると昨日のアルコールもほとんど抜けて、足下がふらふらせずしっかりとワールプールをすることが出来ました。

麦汁の煮沸行程の写真に示します。

麦汁の冷却と酵母投入

麦汁の冷却と酵母投入です。この行程はいつも同じです。使用した酵母はTUM1゜という酵母です。エアレーションを終え今回の行程はすべて終わりました。

最後に我々をアシストしてくださいました大渡(おおわたり)さんと記念写真を撮りました。

5/3にビール試飲会を予定しています。

ビール試飲パーティ

5/3にビール試飲パーティを奈良市の丹生のN氏邸で行いました。今回は、キリンのブラウマイスターも参加されました。なかなかの和やかな雰囲気で、また山菜が美味しく、楽しい一日でした。

今回のビールを試飲しましたが、非常にスッキリとした味わいです。少しエステル臭(フルーツ臭)を感じましたが、全体的なバランスは非常に良く、バドワイザーより数段美味しく感じました。

この日は、ブラウマイスターに私の自ビール(ボック、アルト、ケルッシュ)も試飲していただき、いろいろとアドバイスを受けることができました。

最後に

今回は、アメリカンスタイルのビールを仕込みました。今回で4回目のビール教室です。過去のキリンビール教室のビールを思い出してみて、ビールは材料によりいろいろな味わいになるのものと、つくづく感心している次第です。副原料にコーンスターチを少し使用しただけで、ここまであっさりとしたビールができるものか、という思いです。麦芽100%という言葉が先行しているような気がします。ビールの味わいは副原料の配分によりまた違った味わいになり、それが自分の目指すビールであれば、いろいろと研究すべきテーマの一つになります。

次回は、芳醇タイプのビールを仕込みます。副原料に米だけを使うビールです。

それでは。


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Copyright(C)2001by Katsuhide Tachibana
作成日時 2001年03月21日-2001年5月6日