このようにビールを造っています(続All
Grain編)。 [Home]
(1)はじめに
このようにビールを造っています(ALL GRAIN編)では、English Style Pale Ale(イギリス風ペールエール)をtwo step infusion mashでマッシングを行い、ビールを仕込みました。ALL GRAINでのビール造りの楽しみは、マッシングにあると私は思います。マッシング(Mashing)とは、荒く粉砕した麦芽を温水の中に入れて、麦芽の中に含まれている酵素の働きで麦芽中の炭水化物を発酵可能な糖に変えることです。糖化とも言います。荒く粉砕した麦芽を温水の中に入れたものをマッシュまたはマッシュ液(糖化液、mash)といい、お粥を意味します。ALL GRAIN編では、マッシュ液の温度を、始めに55度で30分間糖化を行い(protein rest)、次にマッシュ液の温度を65度にまで上昇させ90分間糖化を行いました(Saccharification Rest)。(橘注;protein restは50度で行うのが、一般的です。)Mashing(糖化)の方法ですが、step infusion mash以外に、Decoction mash(デコクション・マッシュ)という方法があります。step infusion mashでは、マッシュ液(糖化液)の温度を上昇させるのに、マッシュ液の入った鍋を直接、火にかけて暖めます。Decoction mashでは、糖化液の一部を別の鍋に移して、マッシュ液を沸騰させて、その後メインマッシュに戻しマッシュ液の温度を上昇させます。また、Saccharification Restでは、マッシュ液の温度を一定にするため、沸騰水を何回かに分けて加えたりします。
二回マッシュ液の一部を沸騰(デコクション)させてメインマッシュ液の温度を上げる(一回目はマッシュ液の温度をprotein restの温度からSaccharification Restレベルの温度に上昇させるために、二回目はマッシュ液の温度をSaccharification Restの温度からMash outレベルの温度に上昇させるため)方法を、ダブルデコクションマッシュ(またはTwo Step Decoction Mash)といいます。
また、三回マッシュ液の一部を沸騰(デコクション)させてメインマッシュ液の温度を上げる方法をトリプルデコクションマッシュ(またはThree-Step Decoction Mash)といいます。この場合は、Acid Restの温度からProtein Restの温度にマッシュ液を上昇させるためにマッシュの一部を沸騰することが、加わります。デコクションマシュはドイツにおける伝統的なマッシング法で、今でもドイツビールの一部はこのデコクションマシュでビールを醸造しています。
今回、Bohemian pilsenerをダブルデコクションマッシュで、マッシングし仕込みました。デコクションマッシュは私にとって初めての経験です。今回の仕込みに当たり、Papazian著「THE HOME BREWER'S COMPANION」のP120と同著「HOMEBREWER'S GOLD」のP255を参考ししました。また、デコクションマッシュでビールを仕込んでおられ、その行程をくわしく記載している日塔さんのHPを参考にしました。
(2)材料
麦芽:アサヒモルトドイツ麦芽 8.5 lbs.(3.85Kg)
German Veinna Malt 228g
German Light Crystal 56g(10 Lovibond)
(Total Grain 約4.1Kg)
ホップ:8.8 HBU Hallertau Leaf (90分間boiling)
1/2 oz. Hallertau Leaf (Aroma)
Irish Moss 少々
Wyeast(Bavarian Lager Yeast #2206 )目標として初期比重;1.050、IBU=35としました。
(3)初めてのデコクションマッシュ
1/20に女の子の誕生で私自身、ほっとしました。かねてから、ドイツビールをデコクションマッシュで仕込みたいと思っていました。出産の終了で心の余裕ができ、また赤ちゃんと妻は入院中ですので、この機会に仕込むことを決意しました。まず、マッシングの計画を立てました。1/1にBockを仕込んだ際、Bavarian Lager Yeast #2206 の予備発酵を2つ造りました。1つ余っていましたので、1/20の夜、再予備発酵しました。1/22にビールを仕込む(子供ではない)予定を立て、レシピは日塔さんのHPより、99/11/28に醸造されたGerman Pilsenerを参考にしました。手元にはCaraPilsというクリスタルモルトが無く、German Light Crystalを代用しました。
(4)麦芽のクラッシュ
1/22の午後に醸造の時間が出来ました。昨日、材料の麦芽を準備していましたので、クラッシュ開始です。麦芽をクラッシュしている間に、7.5ガロン(約30リットル)の鍋に水を約25リットル入れて、ガスコンロの火を付けました。Papazian著「THE HOME BREWER'S COMPANION」のP120を見ると、Decoction MashでのSaccharification Rest時にマッシュ液の温度を一定に保つため、適当な時間に麦芽1Kgに対して合計2.1リットルの沸騰水を加えると書いています。今回総麦芽量は4.1Kgで2.1*4.1=8.61リットルの沸騰水が必要になります。スパージングに約16リットル必要と考え、25リットルの水を煮沸することにしました。(Saccharification Rest時にマッシュ液の温度を一定に保つために、そんなに多くの沸騰水が必要かなーと思いました。)麦芽のクラッシュは昨年2月に購入したAdjustable Schmidling Millを使いました。それまでは、Corona Grain Millでplate-typeのmillで本来はコーン(トウモロコシ)を引くためのmillを使っていました。それぞれ、一長一短がありますが、Adjustable Schmidling Millは麦芽の殻が壊れなくて麦芽のみが綺麗に粉砕でき、Corona Grain Millのように台に固定しないで直接マッシュタンの上にのせて使えるので便利と思います。
Adjustable Schmidling Millを使った麦芽のクラッシュの模様を写真に取りました。
(5)デコクションマッシュ開始
step infusion mashで仕込むときには、いつも10ガロンのmash-kettleを使っていますが、このmash-kettleには上げ底のスレンレスのフィルター(False Bottom)があり、マッシング、ロータリング、スパージングが同時に出来て、便利がいいのですが、mash-kettleの底とFalse Bottomとの間に約5リットルのdead spaceがあり、今回はこのKettleを使用すると、決められたように温度調節が出来にくいと判断して、使用することを止めました。今回は、19リットルのステンレス製の鍋(Kettle)をメインマッシングに使いました。マッシュ液を沸騰させるための鍋として、5リットルのほうろう鍋と約10リットルのステンレス製の鍋を使いました。いよいよマッシング開始です。19リットルのステンレス製の鍋に8.6リットルの水を入れ、54度にまで暖めました。Papazian著「THE HOME BREWER'S COMPANION」のP120に「麦芽1Kgに対して2.1リットルの摂氏54度の温水の中に、クラッシュした麦芽を入れよ」と書いていましたので、麦芽4.1Kg×2.1=約8.6ということで、8.6リットル、摂氏54度の温水の中に麦芽を入れました。麦芽を入れた後、よくかき混ぜました。温度は摂氏50度にまで低下しました。このマッシュ液の低下は教科書通りでした。これから、約1時間Protein Restです。
(6)Protein Rest
摂氏50度にまで低下したマッシュ液をゆっくりと均等にかき回します。約10分間経過しました。この時点で、マッシュ液の糖度を測定したところ、8.6%でした。マッシュ液の一部を5リットルのほうろう鍋に移します。これから、一回目のデコクションを開始するためです。「THE HOME BREWER'S COMPANION」のP120に「The thickest part of the mash should be removed for this decoction.」と記載しています。「マッシュ液の最も濃い部分をデコクションのために別の鍋に移し替える」と書いています。マッシュ液の麦芽ばかりの部分を5リットルのほうろう鍋に移して、沸騰させることになります。焦げ付いたりはしないだろうか心配になりました。デコクションマッシュの先達である日塔さんに質問のメールを送ったところ早速返事が返ってきました。「私も最初すごく心配でしたがかき混ぜながらやれば問題はないです。それからthickest mashと言うのは本当にこれでいいのかと思うくらい水分は入れないようです。熱しはじめると麦芽が水分を吐き出すようで思ったよりも水分が増えます。」力強いアドバイスを得ました。「THE HOME BREWER'S COMPANION」のP120を参考にして麦芽1Kgあたり1リットルのthickest mashを5リットルのほうろう鍋に移しました。すなわち、4.1リットルのthickest mashを移し、デコクション開始しました。デコクション開始
約10分間でマッシュ液の温度をゆっくりをかき混ぜながら65度にまで上昇させました。ここで約10分間ゆっくりをかき混ぜながら65度の温度で保ち、マッシングを行いました。始めはこってりとしていたthickest mashは糖化が進みだんだんとサラサラとしてきました。10分間の糖化が終了して、いよいよマッシュ液の温度を上昇させ、約10分間で100度にまで上昇させます。ガスコンロに火を付けています。焦げ付かないように力強くかき回しました。「THE HOME BREWER'S COMPANION」は「Vigorous stirring is rquired.」と表現しています。カラメル風の香りがほんのりとしてきました。いい臭いです。マッシュ液が沸騰しましたら、日塔さんの言うとおり、マッシュ液はさらにサラサラとしてきました。火を弱火にして、ゆっくりかき回すだけで十分になりました。マッシュ液は水分が多くなり焦げ付く心配が無くなったからです。20分間マッシュ液を沸騰させて一回目のデコクションは終了しました。
Protein Restと一回目のデコクションの模様を写真に取りました。
(7)Saccharification Rest
メインのマッシュ液とデコクション終了したマッシュ液とを混ぜ合わせます。メインのマッシュ液の温度は摂氏46度にまで低下していました。糖度を測定しましたが、8.6%から12.8%と上がっています。この温度でも糖化が進んでいるようです。メインマッシュにデコクションを終えたばかりの熱いマッシュを元に戻しました。よくかき混ぜてマッシュ液の温度を測定しましたら、摂氏62度と少し予定より低い温度でした(目標温度は摂氏65.5度)。1時間のProtein Restでメインマッシュ液の温度が50度から46度にまで低下したために、低い温度であったのだろうか。すぐに、あらかじめ7.5ガロンの鍋に沸騰しておいた沸騰水3リットルを加えて、マッシュ液の温度は66度にまですぐに上昇しました。今から、二回目のデコクションも含めて90分間の糖化が始まります(Saccharification Rest)。Saccharification Rest中、徐々に糖化液の温度は低下してきます。糖化液の温度を一定にするために、何回に分けて沸騰水を加え、温度調節をします。「THE HOME BREWER'S COMPANION」のP120に「Up to a totol of 1 quart of boiling water per pound of malt(2.1 L. per Kg)can be added during any infusions to maintain diastatic conversion temperatures.」と記載しています。沸騰水の加える量は、麦芽1Kgあたり、2.1リットルと書いています。今回のマッシングでは、麦芽を4.1Kg使っていますので、合計8.6リットルまでの沸騰水を加えて、マッシュ液の温度調節をします。
Saccharification Restが始まり、糖化が進行していきます。35分が経過しました。マッシュ液の温度は摂氏62度にまで低ましました。この時点で、沸騰水2.5リットルを加えて、ゆっくりマッシュ液をかき回し、66度に上昇しました。50分が経過した時点でマッシュ液の温度が62度になりましたので、再び沸騰水2.5リットルを加えました。マッシュ液の温度は66度に再びなりました。合計、8リットルの沸騰水を加えて、マッシュ液の量は5ガロン(19リットル)の鍋におおかたいっぱいになりました。
Saccharification Restが始まり、60分が経過しました。二回目のデコクションを開始する時間がきました。
二回目のデコクション
マッシュ液は19リットルに9割ぐらいの量になりました。このマッシュ液の1/3を10リットルのステンレス製の鍋に移しました。「THE HOME BREWER'S COMPANION」のP120に「About one-third of the mash (a fifity-fifty blend of thick mash and liquid) is removed for this decoction.」と記載してあります。マッシュ液の麦芽ばかりの部分と麦汁の部分を一対一に混ぜたもの、を書いていますので、マッシュ液をよくかき回して、かき回したマッシュ液1/3を別の鍋に移し替えました。ガスコンロに火を付け、マッシュ液をゆっくりとかき回しながら温度を上げていきました。当初、10分間で100度にまで上げる予定でしたが、思うように上昇せず、結局沸騰するまで20分間かかりました。沸騰後は、吹きこぼれてはいけないので、火を弱くして、10分間ぐつぐつとマッシュ液を煮ました。マッシュ液からたくさんの灰汁が出現し、カラメル風の芳ばしい臭いが立ちこめました。(当初は、沸騰までに10分間、沸騰後は20分間デコクションする予定でした。)
一方。メインのマッシュ液の入った鍋は、30分間のデコクションの間に冷えすぎてはいけないと思い、鍋を居間にある電気じゅうたんの上に置き、布団を掛けました。
二回目のデコクションが終了し、デコクション終了したマッシュ液をメインマッシュに加えます。メインマッシュの温度は62度にまで低下していました。くわえて、よくかき回して温度を測定しましたところ、73度でした。目標は75度でしたので、少し温度が低かったですが、この温度で、mash outとしました。(キリンビール教室では、40%のマッシュ液をデコクションしましたので、1/3の量では、少ないのかなーと感じています。次回からは、二回目のデコクションでは、全マッシュ液の40%を使うことにします。)
Saccharification Restと二回目のデコクションの模様を写真に取りました。
(8)Lautering、Sparging
約三時間で、デコクションマッシュが終了しました。Lautering、Spargingをします。step infusion mashで仕込むときと同じです。step infusion mashで仕込むときは、マッシュングに10ガロンのmash-kettleを使っていますが、このmash-kettleには上げ底のスレンレスのフィルター(False Bottom)があり、マッシング、ロータリング、スパージングが同時に出来るようになっています。今回は、Lautering、Spargingをこの10ガロンのmash-kettleですることにしました。スパージング用のおおきなメッシュの袋もあり、これを利用しようか考えましたが、Mash outの温度が73度とやや低く、10ガロンのmash-kettleでしたら、マッシュ液の温度を調節できますので、これを使うことにしました。10ガロンのmash-kettleにマッシュ液を移し替えて、Lauteringをしましたが、step infusion mashで仕込んだ場合より時間がかかりました。マッシュ液にはデコクションマッシュ時にたくさんの灰汁が出現したためと思われます。約30分で麦汁はかなり澄んできました。ロータリングを終了して、麦汁を7.5ガロン(30リットル)の煮沸鍋に入れました。約8リットルの麦汁(一番絞り)が回収できました。
続いてスパージングです。摂氏77度の温水をゆっくりと10ガロンのmash-kettleに入れて、麦芽に付いている糖分を回収します。このスパージングで約2割の糖分が回収できると言われています。合計16リットルの温水をスパージングに使いました。。麦汁は合計24リットルとなっています。麦汁の温度と比重を測定しましたら、摂氏61度で比重1.032でしたこの時点でスパージングは終了することにしました。(麦汁をコップに取り摂氏25度の時点で比重を測定したところ1.048でした。)デジタル糖度計で糖度を測定しましたが、12.8%でした。
今回のLautering、Spargingですが、step infusion mashの時に比べて少し、時間がかかりました。
Lautering、Spargingの模様を写真に取りました。
(9)麦汁の煮沸と冷却
スパージングが終了し、24リットルの麦汁が回収できました。ガスコンロに乗せて沸騰させます。沸騰するまで約30分かかりました。沸騰後90分間boilします(total boiling time 90 min.)。麦汁が沸騰しましたら、ホップの投入です。αーacid=5.4%のLeafタイプのHallertau(ハラタウ)をビタリングホップとして8.8HBU使います。煮沸する時間は90分間です。HBUとはAmerican Homebrewing Associationにて採用されたビールの苦味(bitterness)を評価する方式で、1HBUとはαーacid1%のホップ1オンス(28グラム)の苦味を意味します。8.8HBUは8.8/5.4=1.63オンスとなり、45.6グラムのHallertau(ハラタウ)ホップを使います。秤で45.6グラム計り、ホップバックに入れます。沸騰した麦汁にホップの入ったホップバックを入れ、90分間煮沸します。
残り20分前にImmersion Type Wort ChillerとIrish Moss を少々入れました。90分間が経過した時点でガスの火を止め、14グラムのHallertau(ハラタウ)をホップバックに入れて麦汁の中に投入して5分間浸けておきます。このホップはビールの苦味には関係しません。ビールにホップの香りを付けるためのホップ(アロマホップ)です。ホップを取り出し、Immersion Type Wort Chillerに冷水(水道水)を流して、麦汁を冷却します。水道水の温度は12度でした。約20分間で麦汁を18度にまで冷却できました。チラーを取り出し、ふたを閉めて約15分間待ちます。Cold Breakが底に沈むのを待つためです。
シリコンチュウブを煮沸鍋の蛇口に取り付け、他の端にWort Aeratorを取り付けて、発酵タンクに麦汁を入れます。合計18リットルの麦汁が発酵タンクに入り、予備発酵していました酵母Wyeast(Bavarian Lager Yeast #2206 )を1リットル発酵タンクに入れ、本日の行程はとりあえず終了です。煮沸鍋には約1リットルのCold Breakが沈んでいて意外と少なかったです。
摂氏18度での比重は1.050でした。これから、一番大事な後かたづけです。
麦汁の煮沸と冷却の模様を写真に取りました。
decoction mashで仕込んだ感想。(醸造日記2000/1/23掲載文)
- step infusion mashに比べて、マッシングはかなり忙しい。温度管理にかなり気をつかいました。2回のデコクションでマッシュ液を休むことなく、かき回す必要がある。そのために、持ち場を離れることが出来ない。
- マッシングに大小鍋が最低、3個必要である。(step infusion mashでは1つで十分。)
- マッシングの計画は、紙に書いて実施しないと、きっちりと出来ないと思う。
- マッシングに要する時間は、step infusion mashより長くなる。
- 2回のデコクションで、灰汁がたくさん出たためか、step infusion mashで仕込んだときに比べて、スパージング、ロータリングに少し長い時間を要した。
- 麦汁を煮沸する際、発生する灰汁の量は少なかった。これはすこし、驚きであった。
- 感想として、かなり充実したマッシングであった(マッシングを楽しめた)。
(10)その後の経過
1/22 仕込み完了。発酵液の温度18度。1/23 発酵栓は静かで発酵がまだのようです。発酵液の温度は11度。
1/24 発酵栓から、炭酸ガスが出ている。しかし、エールビールのようには激しくはない。発酵特有の臭いが部屋に充満している。発酵液の温度は11度。
1/29 発酵栓は静かになる。本日、19リットルGlass Carboyに澱引きする。澱引き時の比重は1.020でした。
その後、発酵温度は11度から13度で経過する。2/12 低温でラガーリングするために、Glass Carboyをバルコニーに出す。発酵温度は5度にまで低下している。
バルコニーは温度変化が大きいので、ビールに対してよくないと思います。しかし、家の中では若ビールの温度はせいぜい摂氏10度位ですので、低温でのラガーリングが出来ません。Glass Carboyが入る冷蔵庫があれば理想的なのですが、そのような冷蔵庫は見あたらないのが現実だと思います。Glass Carboyにセーターを着せて光が入らないようにします。少しでも温度変化がないように段ボール箱に入れて、ラガーリングします。
3/3 2/12にGlass Carboyをバルコニーに出して、3週間が経過しました。寒い日もあり比較的暖かい日もありましたが、Glass Carboyを段ボール箱に入れていましたので、若ビールはそれほど大きな温度変化はありませんでした。若ビールの温度はだいたい、摂氏3度から5度くらいでした。ラガー酵母は低温でゆっくりと発酵していきます。Glass Carboyを見ますと、若ビールの上にはうっすらと泡が出ています。発酵栓もゆっくりとしていますが、「ぽこぽこ」と言っています。まだ、完全には発酵が終わっていないようです。3月に入りだんだんと暖かくなります。そろそろ瓶詰めしたいのですが、どうすべきか悩んでいます
3/5 本日、Glass Carboyから、清潔な注射器に清潔なチュウブを付けて若ビールのサンプルを取り出して、比重を測定しました。若ビールの温度は摂氏5度で、比重は1.012でした。初期比重が1.050、澱引き時の比重が1.020、本日が1.012です。予測最終比重は1.010ぐらいです。もう少し発酵が続くものと思われます。
3/6 暖かい日が続きます。若ビールの温度は摂氏8度にまで上昇しました。本日、瓶詰めをしました。完全には発酵が終わっていないと思います。発酵栓が5、6分ごとに「ぽこぽこ」とガスを吐き出しています。しかし、3月に入り気温が暖かくなってきました。これ以上低温での熟成は困難と考え、本日瓶詰めすることにしました。5リットルのミニケグ2本、大瓶8本と小瓶4本瓶詰めしました。プライミングシュガーは、小瓶は1.5グラム大瓶は3グラム使用しました。完全には発酵が終わっていませんので、「噴き」現象が起こるかもしれません。
完全に発酵が終わってから瓶詰めすべきと思います。しかし、今回のように発酵の途中で瓶詰めしした場合、プライミングシュガーの量をどうすべきか悩んでしまいます。今回は、最終比重が1.012まで低下していました。完全には発酵が終わっていませんが、目標とする最終比重は1.010ですので、もう少しで発酵が終了となるところです。そのことを考慮して、プライミングシュガーを大瓶3グラム、小瓶1.5グラムと少しすくない量としました。
完全に発酵が終了した後に瓶詰めする場合と、発酵の途中で瓶詰めして、瓶の中でさらに発酵熟成させる場合と、この二つの方法がありますが、ビールの出来具合にどのような違いがあるのでしょうか?また、新たな疑問が出てきました。3/25 大瓶に瓶詰めしたものを飲んでみました。泡は意外に少なかったです。臭いをかいでみましたが、少しアセトアルデヒド臭がします。酵母に起因するものか、まだ熟成不足なのか、少し悩んでいます。飲んでみましたが、かなり渋味を感じます。step-infusion mashと違い。マッシュ液を沸騰させたり、また一回目のデコクションでthickest mashを激しくかき回しましたので、麦芽の殻からたくさんのタンニンがでたためでしょうか?エールビールでは、少しの渋味でしたら、エールビール特有のいろいろなフレーバーと混ざり合いバランスがよければ、必ずしもオフフレーバーとはいえないと思います。しかしラガービールでは、少しの渋味でもフレーバー上突出して感じられれば、オフフレバーになると思います。ラガービールの難しさを感じました。また、一ヶ月後に試飲してみたいと思います。泡の状態や、アセトアルデヒドの状態を確かめてみたいと思います。ただ、渋味はやはり残るでしょうね。
4/1 本日、再試飲しました。泡立ちは少しよくなりましたが、まだ少し少ないです。3/25試飲したときに比べて、フレーバーがかなり落ち着いてきましたが、まだバランスが悪い印象あります。あれほど気になっていた渋味は少し和らいでいます。しかし後味でほんの少し渋味は残っています。渋味が少なくなったことは意外でした。それと、酵母臭が気になります。この酵母臭は前回の試飲ではあまり気にならなかった点です。アセトアルデヒド臭は感じなくなりました。よく味わってにますと、モルトの甘みを感じます。率直な感想ですが、一週間の間でこれほど風味が変化するとは、驚きでした。
4/9 本日、5リットルミニケグに入れた物を再試飲しました。泡立ちは非常によくグラスに注いだときクリーミイな泡立ちです。飲んでみましたが、後味に渋味を感じます。モルトの甘みと渋味が最後まで残りました。渋味の原因としてタンニンが有名です。タンニンは麦芽の殻に含まれています。今回、ダブルデコクションマッシュにて仕込みましたが、一回目のデコクションでthickest mashを焦げ付かないように激しくかき回しました。このことがマッシュ液にタンニンが融出した原因だろうと思います。渋味の原因としてはスパージング時のPH上昇がありますが、これほど渋味を感じたには今回初めてです。今までと同じようにスパージングしていましたのでこの点は否定的です(そう思いたい)。thickest mashを焦げ付いてはいけないと思い、激しくかき回したのが渋味出現の原因と思います。日塔さんは「thickest mashはそんなに激しくかき回さなくても、温度が上昇すると共にthickest mashから水分がにじみ出てきてマッシュ液はサラサラとした状態になりますのでゆっくりとかき回すだけで十分です」と指摘しています。このことは私自身、大変勉強になりました。次回のダブルデコクションマッシュでは、この点に注意して仕込むことにします。
アドバンストブルーイングの相澤さんから以前下記のようなメールをいただいたことがあります。
1.デコクションで温度を上げるのは、マッシュ(thickest mash)ではなく仕込み釜に入った麦汁である。
2.商業用のデコクションの設備では、そもそもモルトのベッドを移動できるようにはなっていない。商業用ビールでは、thickest mashをデコクションするような設備は無いようです。マッシュ液の液体部分をデコクションしていることになります。キリンビール教室を思い出してみると、やはりマッシュ液の液体部分を沸騰させていました。
7/26 2nd. Homebrew Competitionにボヘミアンピルスナーのカテゴリィに応募して、このビールの評価を頂きたい思い出展しましたが、輸送の途中で瓶が割れてしまい、結局評価をいただくことはできませんでした。最後の一本が残っていましたので、昨日飲んでみました。4ヶ月間冷蔵庫に入れていましたが、印象としてかなり落ち着いた味わいのビールになっていました。はじめの頃気になっていた渋みはほとんど感じられなくなりました。低温での長期熟成は、ビールの味わいをよくすると感じました。しかし、これ以上長い期間熟成するとホップの酸化臭が出てくると思います。
最後に
初めてDecoction mashによるビール造りを体験し、その詳細を記載し続けました。ビール造りの楽しさの一つにマッシングがあると思います。実際マッシングが楽しくなければ、私のビール造りはMalt Extract中心になると思います。Malt Extractで仕込めば、時間も節約できるし、また市販のMalt Extractの品質もかなり良く一定水準のビールを造れると思います。しかし、Malt Extractを使ってビールを作る気はほとんどありません。all grainでの仕込みにこだわって仕込んでいます。おそらく、これからもall grainでビールを造り続けると思います。なぜマッシングにこだわるのか?ビールの味わいの約30%は、マッシングの善し悪しで決まってしまうと言われています。自ビールの楽しみは、作るたびに違うビールの微妙な味わいをたしなむことにあると言えば、言い過ぎでしょうか。完成するビールが「どのようなビールなのか」と思いをはせながら、マッシングを楽しんでいるんでしょうね。
今回、double decoction mashという複雑なマッシング法でビールを仕込みましたが、ドイツビールを仕込む時には、再挑戦したいと思っています。
それでは、この辺で終わるといたします。(2000/7/27)