ビール自家醸造における問題点、原因、対策について [Home]
はじめに
自家醸造していくうえで、よく生じる問題点について、原因、対策等を調べまとめてみました。私自身、ビールのオフフレーバーについて本を頼りに何とか理解している程度で、おのおののオフフレーバーが実際にどういうものを指すのか、まだまだ実感として会得していません。しかし、このページをまとめることにより、少しでも理解につなげれば、そしてより美味しいビール造りにつなげればと思いつつ書きました。、
CONTENTS
渋味、収れん味。渋味はタンニン質で、渋柿を食べた時の額をしかめるような不快な強い渋味をいう。一部のビールでは軽い渋味は必すしも不快とほ感じない。タンニンは麦芽の皮に含まれていて、糖化中に糖化液に溶出する。タンニンが多いとビールに渋味と感じるが、適量では「しまり」と感じる。
原因 (1)wortのPHが高い。高い温度でスパージングをする。
(2)マッシングのとき、過度にかき回せると、麦芽の殻からタンニンが融解する。
(3)質の悪い麦芽を使用したとき。
対策 wortのPHは5.0から5.5までに調節する。スパージングの温水の温度は75から77度にするようにする。高い温度でスパージングすれば、麦芽の殻からタンニンが融出すると思われる。また、マッシングの時、かき回せすぎると、麦芽の殻からタンニンが融出するので、かき回すのを少し控える。空気と混ざらないようにかき回すようにする。[ページの先頭へ]
Butter(バター臭), Butterscotch(スコッチバター臭)
Diacetyl(ダイヤセチル)が原因である。ダイアセチル臭、またほジアセチル臭とは、パター様臭、パタースコッチ臭、あるいはバターミルクの臭いを意味する。乳酸菌汚染の指標、バターとか乳製品の特徴的な香気。できたダイアセチルは熟成期間中に減少して、ダイアセチル臭のない物質に変わる。ビールの熟成の度合いをはかる指標でもある。発酵温度の高いエールでは生成され、エステルやアルデヒドなども作られるので、エールの中ではそれほどバランスをくずさず、必ずしもオフフレーバーといえないが、できる限り発生をおさえるようにしなければならない。ラガーでは嫌う。
原因 (1)高い発酵温度(high fermentation temperature)
(2)過度の酸素(excessive oxygen)
(3)Pediococcusなどの細菌汚染(Infection)
(4)欠陥のある酵母(defective yeast);当然変異した酵母はダイアセチルをよく産製する。
対策 (1)エール酵母は摂氏18から26度で最もよく繁殖する。乳酸菌はそれより高く35度前後でよく繁殖する。発酵温度が高いと乳酸菌の繁殖しダイアセチルが多く生成される。発酵温度をエールビールを仕込む場合、発酵温度を18から26度にできる限り設定する。
(2)一次発酵の始めは酵母は好気性呼吸をするのである程度の酸素が必要だが、すぐに嫌気性呼吸にはいり、糖を炭酸ガスとアルコールに分解する。一次発酵終了後glass carboyに発酵した麦汁を移し替える(澱引き)とき、空気と混ざらないようにすべき(Careful racking)。
(3)Pediococcus Balckeなどは、腐敗したビールの中によく見られる球菌属に附属する小球菌である。対策としては殺菌、消毒をきっちりする(Sanitation)。
(4)Change yeast[ページの先頭へ]
ステイル〔stale〕老ね香、劣化臭ともいう。揮発性硫黄化合物、揮発酸(酢酸など)、焦臭、バニラ香などの多成分の複合した香りといわれている。ビールの場合、酸臭、重く甘ったるい古いモルトの風味などの複合された臭いとして感じられる。ビールでは特に「ぬれたダンボールの臭い」と表現される。要は古くなり酸化、劣化した臭いである。
原因 Oxidation (酸化)
対策 酸化を防ぐ方法として直接空気に触れないようにする(Keep air out)。瓶詰めの時ヘッドスペースを減らす。Millerは1.25cmまで詰めるべきと言っています。[ページの先頭へ]
Cooked vegetable(煮た野菜のにおい)Catty(猫臭、トマトの葉の臭い)
Mercaptopentanones dimethyl sulfide (DMS)硫化物質臭と言われている。煮た野菜のような臭い、またはとうもろこしのような甘い風味、臭い。煮沸不完全な麦汁、煮沸後急冷されなかった麦汁、またほバクテリア感染による臭いと言われている。酸化して古くなったビールに生じる。
原因 (1)Oxidation(酸化)
(2)バクテリア感染
(3)煮沸不完全な麦汁、煮沸後急冷されなかった麦汁
対策 (1)Cardboard paper 参照
(2)殺菌消毒(Sanitation)
(3)麦汁を最低1時間は煮沸する。煮沸後チラー等で急速に冷やす(Forced wort cooling)。[ページの先頭へ]
Fruity(フルーツ臭) (バナナ,パイナップル、西洋なし、など)
果実香、果実風味。バナナ春、ペア(洋梨)香、ラズベリー香、ストロベリー香、メロン香、柑橘類香、りんご香など。またはいくつかのフルーツの複合香という。エステル臭。酵母代謝による香気性物質。デリケートなエステル香はプレザント(上品)だが、過ぎればアブノーマル・オウダ一(異臭)、または人工的とみなされる
原因 (1)酵母の種類によりフルーツ臭をたくさん産製するものがある。特にエール酵母に多い。(Yeast strain)
(2)一次発酵の始めは酵母は好気性呼吸をするが麦汁の中の酸素の量が少ないとき好気性呼吸が不十分となりいろいろなフルーツ臭を発生する(Low-oxygen wort)。
対策 (1)フルーツ臭の産製の少ない酵母を使う(Use a neutral yeast)。
(2)チラーで冷やした麦汁を発酵タンクに移すとき十分酸素を含むようにする(Aerate(通気する) wort at pitching)。[ページの先頭へ]
炭酸ガスっぽい。炭酸ガスの分量が多すぎて(high carbonation)、口の中の刺激が大きいことを意味する。炭酸ガスの度合い、状態をカーボネーション(carbonation)という。炭酸ガスの度合いだ少ないときはフラット(flat)という。
原因 (1)ビン詰めするとき、たくさんの糖を使う(Overpriming)。
(2)窒素ガス(Nitrogen)が発生するときは硝酸塩と細菌汚染(nfection plus nitrate)
対策 (1)プライミングシュガーはビール1Lにつき5グラム使うのが標準とされている。泡立ちが多い時は、プライミングシュガーの量を減らす(Lower priming rate)。
(2)細菌汚染でいろいろなガスが発生する。殺菌消毒をきっちりする(Sanitation)。[ページの先頭へ]
Harshness(荒い、粗い風味香り)、Clinging bitterness(偏った苦み)
荒い、粗い、雑、荒々しい。欲んだときに風味や舌ざわりに粗さや雑駁さが感しられるときに用いる。またはいやな渋味、アストリンジエントの類語としても使用される。(1)Fusel alcohols Iso-alpha acids & derivatives(誘導体) (2)水や麦汁の中に含まれるイオン(マグネシュウム, ナトリウム、硫酸イオン)等が原因物質。
原因 (1)Fusel alcoholsが原因であるが、(A)高い発酵温度(High fermentation temperature)(B)ホップの使いすぎ(High hop rate) (C)麦汁のPHが高くなっている(High wort pH) (D)ホップを煮込みすぎ(Over boiling hops)等の時、Fusel alcoholsやIso-alpha acidsとその誘導体ができる。
(2)質の悪い水道水(Poor water supply)
対策 (1)(A)Ferment cool;エール酵母は摂氏18から26度で最もよく発酵する。それより高い温度で発酵させるとFusel alcohols等が生成されHarshnessなどのオフフレーバーが出現する。(B)Change recipe (C)Adjust pH;麦汁のPHは5.0から5.5が理想的とされているPHが高くなるとタンニンなどが麦芽の殻から融出したりする。(D)Shorten hop boil;ホップを長時間煮込むとき、苦味が融出する(ビタリングホップ)。過去のコンテストで優勝したビールのレシピと作り方を参考にするとこの苦味を出すための煮込む時間は30から90分ぐらいである。
(2)水の中に含まれるイオンについては、自宅の水道水の成分などを水道局で調べたほうがよいかもしれません。日本は軟水ですので、エールを仕込む時、石膏を加えるレシピもあります。Papazianの本(THE NEW COMPLETE JOY OF HOMEBREWING P73-80)ではモルト濃縮液には、必要なイオンがすべて含まれているので、できる限りイオンの含まない水を使うべきであると書いてあります。[ページの先頭へ]
ビールの清澄度(透明度)の表現のひとつとして、ビールがやや濁っている状態を意味する。最も濁った状態をクラウディ(cloudy)という。清澄度が上がるにつれてcloudyクラウディからヘイジィ(hazy=クラウディより濁りが弱くやや濁っている状態)、グりアー(clear=清澄)、ブリリアント(brilliant=極めて清澄)となる。デンプンの小粒子(Starch particles)、凝結していないミクロ有機物(Non-flocculating microorganisms)等が原因物資。
原因 (1)不完全な糖化(Incomplete starch conversion)
(2)スパージングの時、高い温水でする(High sparge water temperature)。
(3)野生の酵母、細菌(Wild yeast, bacteria)。
対策 (1)マッシングの時間を長くする(Lengthen mash)。
(2)スパージングの温度を摂氏75から77度でする。
(3)殺菌消毒(Sanitation)。[ページの先頭へ]
ボデイとは、口当たり(粘度、重さ)を意味する。ボデイが少ない。Low protein、Infection等が原因。
原因 (1)米、コーンスターチなど副原料が多い(Low-malt grist)。
(2)マッシング時プロテインレストが長い(Overcleaving proteins in mash)。
(3)野生の酵母、雑菌(Wild yeast, bacteria)。
対策 (1)レシピの変更(Change recipe)。
(2)プロテインレストの時間を短くする。またプロテインレストの温度は摂氏50度ぐらいであるがプロテインレストの温度を上げる(Reduce time/raise temperature of protein)。
(3)殺菌、消毒(Sanitation)。[ページの先頭へ]
Medicinal phenolic(フェノール臭、薬品臭)
Chlorophenols(クロロフェノール)やOther phenolic compounds(多のフェノール化合物)が原因物質げある。フエノーリック〔phenolic〕フェノール臭、薬品鼻(medicinal)、石炭酸の臭いでクレゾール臭、ヨードフオルム臭。いわゆる「病院くさい」臭いである。
原因 (1)Chlorine(塩素)、Chlorinated water(塩素消毒した水道水)
(2)Yeast mutation(突然変異した酵母)Wild yeast(野生の酵母)
対策 (1)完全にすすぐ(Rinse thoroughly).。水道水を使用するとき浄水器をつけて塩素を取り除く。または煮沸したら塩素は蒸発する(Filter or boil water)。
(2)酵母の培養液を変える(Change culture)。野生の酵母がまぎれこまないように消毒、殺菌をきっちりする(Sanitation)。[ページの先頭へ]
原因 (1)低い発酵温度(Low fermentation Temperature)
(2)変化したモルト(Malt variety)
対策 (1)発酵温度を適切にする。
(2)モルトを変える(Change malt)[ページの先頭へ]
金属臭、金っ気。どの酒類でも嫌わる。主として鉄分に由来するが、錫、腐食した水によることもある(Ions in water/ wort(iron, zinc, etc.))。ときにほインク臭(inky)やコイン臭としても感覚される。
原因 (1)腐食した水(Poor water supply)
(2)不完全な醸造設備(Brewing implements)
対策 (1)水を変えてみる(Change water)。
(2)醸造設備の点検変更(Change equipment)。[ページの先頭へ]
かび臭。モルディ(moldy)とほぼ同じ意味。
原因 湿気たモルト(Malt spoilage)にカビがはえたため。
対策 モルトを乾燥させて保存(Proper storage)してカビが生えないようにする。[ページの先頭へ]
ビールに含まれる炭酸ガス(Carbonation)がない、または低い。
原因 (1)ビールの栓をきっちりしていない(Bad seal on cap)。
(2)ビンの入り口が欠けている(bottle Chipped mouth)。
(3)ビン詰めするときプライミングシュガーを入れ忘れる(Forgotto prime)。
(4)瓶詰め後、十分に発酵していない(Insufficient carbonation)。
対策 (1)ビンを変える。
(2)瓶詰め後十分に寝かせる。[ページの先頭へ]
泡がすぐに消えてしまう。泡(foam)持ちをよくするタンパク質の分子量は12,000から20,000の範囲であると言われています。
原因 (1)マッシングのときプロテインレストが長い(Overcleaving protein)。
(2)コップに油がついていたり、洗剤がついているとき(Grease, detergent)。
(3)タンパク質の少ない穀物を使う(Low-protein grist)。
対策 (1)プロテインレストの時間を短くする。
(2)コップやビールビンをよく洗いすすぐ(Careful wash and rinse of bottles and glasses)。
(3)小麦のモルトを使ったり、泡立ちをよくする材料を使う(Increase malt content,use wheat malt or heading compound)[ページの先頭へ]
硫化物臭、硫化水素臭(Hydrogen sulfide)を意味する。
原因 (1)細菌汚染(Infection)
(2)異性重亜硫酸塩(Metabisulfites)
対策 (1)殺菌消毒(Sanitation)
(2)Omit Campden tablets[ページの先頭へ]
油性分の一種の腐敗臭(Fatty acids)。脂肪が酸化されたり、腐敗したときに生じるイヤな臭い。原料由来が濃厚。モルトにはわずかではあるが、脂肪が含まれているし、ホップのオイルがある。
原因、対策はFruity 参考。[ページの先頭へ]
Ethyl acetate(酢酸エチル臭)。セメダインのような香り。エステル香の一部で、少量なら好ましい香気としてプラスの要因だが、強すぎるとマイナスの要因となる。モルトエキスから醸造されたビールで多く経験したという人が多い。
原因、対策はFruity 参考[ページの先頭へ]
酸味、酸臭。アシッドに類似しているが、レモンや完熟していないリンゴの風味。酢酸、酪酸(Acetic or lactic acid)が原因物質。
原因 酢酸菌乳酸菌による汚染(Infection)。
対策 (1)酢酸菌、乳酸菌は35度で繁殖しやすい。発酵温度を18から26度に設定。
(2)殺菌消毒をきっちりする(Sanitation)
(3)発酵中はできるかぎり外気にふれないようにする(closed fermentation)。雑菌混入を防ぐためです。[ページの先頭へ]
スパイス風味、スパイス香。香辛科の入った(きいた)。ぴりっとしたという意。アルコール濃度が高いときにも感じられる。原因物質は4-vinyl guaiacolといわれている。
原因 (1)酵母の種類で4-vinyl guaiacolを産製するものがある(Yeast strain)。
(2)突然変異した酵母(Mutant yeast)
(3)野生の酵母(Wild yeast)
対策 (1)酵母を変更(Change yeast)
(2)培養液を変える(Replace culture)
(3)殺菌、消毒をきっちりする(Sanitation)[ページの先頭へ]
硫黄のような臭いを意味する。酵母臭。さまざまな硫黄化物が原因物質。
原因 酵母の自己融解(Yeast autolysis)。
対策 (1)一次発酵が終了後澱引きをできるだけ早くする。(Rack beer promptly)
(2)ビールビンの底にたまる酵母をできるだけ少なくする(Minimize bottle yeast)。
(3)ビールを冷やして貯蔵する(Store beer cool)。[ページの先頭へ]
Sweetness(スイートネス),high terminal gravity
甘み。普通ほsweetとして、「甘い、うまい、味の良い」という意味や、dryの反対語として「甘口の」といった意味を持つ
原因 不完全な発酵(Incomplete fermentation)
対策 (1)一次発酵の始め、酵母は十分な酸素を必要とするので、酸素を含ませる(Wort aeration)。
(2)増殖の早い酵母を使用(Strong pitching yeast)。[ページの先頭へ]
Toffee- or sherrylike flavor(タフィー様ーシェリー酒様の風味)
フルフラルが原因物質
原因 酸化(Oxidation)
原因 Cardbroard参考[ページの先頭へ]
このページに関するお問い合わせは:tachibana@msic.med.osaka-cu.ac.jp(橘 克英)迄。
Copyright(C)1999 by Katsuhide Tachibana
作成日時 1999年02月08日