理事全員による発注者訪問を実施して
ただいまご紹介をいただいた世田谷区シルバー人材センター理事のK.Y.です。何卒よろしくお願い申
し上げます。
最初に発注者訪問の主旨をお話したいと思います。就業開拓については皆様におかれても種々ご尽力
されていると思いますが、当センターではその一環として理事が発注者を訪問し営業活動を行うこと
を重視しております。そして発注に御礼申し上げ、センターのおかれている状況や今後の方針などを
お話し、頂いている仕事がうまく行われているか、何かご不満はないか、もし不満があれば事務局と
打ち合わせ直ちに改善策を講ずると同時に、今まで頂いている仕事以外でも何かあれば新規発注をお
願いできないかお伺いすることにしております。
最近景気が上向いているとのことですが、現在民間企業は勿論公共機関も引き続きコスト削減に努め
ており、リストラは未だ続いていて賃金も抑制され、景気が良くなったという実感はありません。私
どものセンターでも大口就業先が漸減傾向にある一方、入会会員は増え続けております。これからの
少子高齢化社会にあって団塊の世代の入会を迎え、入会は増え続けるものと思われます。
ご参考までに当センターの本年3月末の会員数は2,658人で、1年前より157人、6.3%増えました。しか
しながら大口就業先の公共事業は1,794件で244件の減少となっております。半面、発注者訪問を継続
して行ってきたこと、その他種々広報活動などを行った結果、民間事業は10,018件となり652件増え伸
びが著しく、特に家庭からの発注が増えております。
従って、今後当センターでは衆智を集め、種々工夫して発注者訪問を継続し、公共事業については頂
いている仕事を何とか確保し、その上出来れば多少でも増やしていただき、民間事業については、家
事援助サービスなど家庭からの発注を含め、就業を一層拡大すべくお願いしたいと考えております。
次に発注者訪問の経緯と現状についてお話したいと思います。あまり以前のことは省略させていただ
き、当センターでは平成13年度には5名の方にお願いし、就業開拓専門員として発注先を訪問していた
だきましたが、発注者訪問をより重視しより効果的に行うために、平成14年度からは多忙な役職にあ
る一部理事を除き、原則として全理事が手分けして発注先を訪問することになりました。本年は9月〜
11月の三ヶ月間に22名の理事が二人一組で就業会員3人以上の大口発注先を訪問し、就業開拓専門委員
会に属する5人の理事が分担して就業会員3人未満の小口発注先を訪問することになりました。
次に昨年度の発注者訪問の実施状況と問題点についてお話したいと思います。訪問件数は大口が83件、
小口が72件でした。実施状況を総括したところ、次のような問題点が判明しました。即ち、発注者の
会員の就業に対する評価は概ね好評でしたが、18%で大なり小なり何らかの問題提起や不満が発生して
おります。例えば、
@地区会館など公共施設の一般利用者からの苦情
A就業会員の仕事の能力への苦情。これは就業前の教育不足なども一因と思われます。
Bローテイション就業時の連絡不足
等々です。
これからは、上記を含め発注者訪問を個別且つ具体的に検討して問題点を掘り下げてみたいと思いま
す。
例えば公共関係では、大部分の会員が真面目に働いているとの評価を頂きましたが、中には下記のよ
うなケースもありました。
@駐輪場や地区会館などの利用者より、就業会員の対応が横柄との苦情があり、利用者より区のほう
に直接電話されたこともありました。
A緑地管理の仕事では、会員が高齢のせいか高所の除草が手抜きで周辺の住民からも苦情あり、やむ
を得ず造園業者に依頼することにしたとのことです。更に造園業者に発注した価格は、当センターに
発注した価格と殆ど同じ低廉なものであったとのことでした。
B屋内清掃では、2人で月3回が原則なのに、勝手に1人で月6回に変えてしまい、おまけに清掃の質が
悪いとのことでした。
C会員が交代したときの引継ぎに問題あるので、マニュアルを作ってきちんと引き継いで欲しいとの
ことでした。
D就業会員間のトラブルが多く、公私混同している者もおり、マナーの面で問題があるとの指摘もあ
りました。等々です。
民間関係では、非常に良くやってくれている及び特に問題ないとのご意見が殆どでしたが、中には次
のようなケースもありました。
即ち、
○体力的に不安
○仕事がやや遅い
○時々休まれる
○仕事振りがあまり良いとは言えない
以上です。
次にこれらの問題を解決するためにセンターが如何に対応したかお話したいと思います。発注者を訪
問した理事は、発注者訪問報告書をセンター事務局に提出しますが,記載事項の中に問題が含まれて
いる場合、事務局は直ちに発注者に連絡し、具体的な対応策を講じます。例えば就業会員の態度が横
柄という苦情に対しては、発注者より詳細な事情を伺い、事務局より当該会員に対して言葉遣いと接
遇については今後充分気をつけるように指示し、態度が改まらない場合は就業を停止することもあり
得ることを伝えました。
また緑地管理の仕事に就いては、発注者の担当職員と就業会員が会合を持ち、率直な意見交換を行っ
て今後の対策をたてました。このようにして今日までに発注者の苦情は基本的に解決しております。
このように全て事務局任せにせず、理事が自ら発注者訪問を行うことによって発注者の生の声をお聞
きし、不満や期待を深く理解し、問題があれば早急に解決することによって頂いている仕事を確保し、
更に新たな就業開拓を行うことも可能になると考えております。
しかしながら、発注者訪問を総括した場合、次に申し上げるような課題を解決しなければならないと
考えております。
@ご承知のとおりシルバー人材センターは高年齢者雇用安定法により規定された法制事業で、市区町
村より支援を受けており、東京のセンターは東京しごと財団によるバックアップも受けております。
しかしながら、公益法人改革、補助金の見直しなど行政・財政改革の影響を受け、センターを取りま
く環境は厳しくなっております。具体的には公共機関が仕事を発注する場合、センターを支援すると
いう基本方針は変わらないものの、担当セクションは厳しい予算の中で良い仕事をしてもらうために
、センター以外の民間業者やNPOなども視野に入れて比較検討した上で発注せざるをえない状況におか
れております。当センターにおきましても、今年になってから価格競争力に問題あり受注できなくな
った仕事があります。これは一部業者のダンピングなども考えられますが、センターとしても価格競
争力を高めることが検討課題です。しかしながら、高齢者が働くということは高齢者の心身両面に大
きなプラスになっており、或る統計では例えばセンターで働く70歳の方々の医療費は同年齢の非会員
の方々の4割に過ぎません。また最近要介護にならないように筋肉トレーニングが奨励されていますが、
働くということは自ずからトレーニングを行っていることでもあり、このような観点から高齢者が働く
社会的意味と貢献を改めて行政に評価していただきたいと考えます。
Aシルバー人材センターは基本的には高齢者が誰でも入会でき、収入だけを目的とするものではなく、
生き甲斐や地域貢献のために働く方も多く、これがセンターの特色でもあり、行政から支援される所
以でもあります。しかしながら、実際に仕事を受注する場合は与えられた仕事をきちんと行う責任能
力が問われます。
発注者訪問を行って実感することは、一部の会員に高齢者だから、シルバー人材センターの会員だか
らという甘えがあるように思われることです。高齢者ゆえ健康や安全面で限界があることは自明のこ
とですが、センターが受注するのはこの点を配慮した会員が就業出来る範囲の仕事ですから、会員は
センターから就業の話があり引き受けた以上、責任をもってその仕事を遂行するという気構えが必要
と思います。
B会員は自分で意識して仕事の能力を高める必要があると思います。新たに就業する場合は、その仕
事に就いて事務局と打ち合わせて事前に学習するのは勿論、マニュアルなどがあれば読んでおけばよ
いと思います。
またセンターでは各種講習会などを開いて能力向上の機会を提供していますので大いに活用すべきと
思います。仕事別グループなどを通じて研鑽を積み重ねることも良いと思います。除草や清掃などの
一見簡単に思われる仕事でも、発注者からクレームが付くこともあり、これはただ単にやる気だけの
問題ではなく、除草や清掃でも一定の技術、コツが必要であるためと思われます。センター自身も今
以上に会員の能力向上に努力しなければなりません。更にはIT関連や教育、経理などより専門性の高
い就業の拡大を目指して会員の能力向上に努めることが大事と考えます。
以上で私の発表を終わらせていただきます。ご静聴ありがとうございました。