西暦2001年―21世紀の始まりであるこの年、人類は未だかつてない規模での、ウィルス感染による人口激減に見まわれる。
日本人である鵜狩八兵衛博士によりウィルスに対する抗体が発見され、恐怖と混乱に終止符を打つワクチンが完成されるに至るまでの約1年の間で、地球全体の人口は4割以上減少することとなった。
後に地球外ウィルス説とバイオハザート説の両方が噂されることとなる、この至上最悪のウィルスは、モンゴロイド―黄色人種の体内において絶対的な威力を発揮した。
アジア系民族の死亡率はその他の民族のおよそ6倍であったと言われており、また皮肉にも、ワクチンの発見者、鵜狩博士の祖国である日本における死亡率は、95%に上るという壊滅的な様相を呈したのであった。
(…ちなみにこの原因として、日本が当時除菌ブームの只中にあり、免疫が弱くなっていたことを指摘する説があるが、支持率はいまいち低い。)
西暦2099年、ウィルスパニックから約100年後の地球―
そこにはもはや、日本という国は存在していない。担い手を失ったその文化や精神は、世界中にそれぞれ少しづつ歪んだ形で拡散してゆき、本物はみな過去の遺物となっている。日本人は、人種として絶滅し、日本という国は滅んだのだ―
誰もがそう思っていた……。