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トリップ
yodomi
ノゾミ …旅行したい。のんびり屋。要領はいい。
ルーズでポップなかわいい服装。別に奇抜ではない。
トランクで出かける。コダマ …失踪したい。面倒くさがり。わりと生真面目。
ロングスカートとセーターなどシックな服装。
ボストンバッグで出かける。ヒカリ …逃亡したい。活動的。無計画。変人。
ジーンズにトレーナーなどラフでスポーティー。
リュックサック三人とも女子大生。コダマとヒカリは自宅生。ノゾミは一人暮らし。
六月頃。ゴールデンウィークもとっくに過ぎ、少し遅めの五月病というところか。
*** 旅行したいよ ***
土曜日の午後。食堂かどこか。学校内。
効果:ざわめきコダマ 》あーあ、土曜日に必修の授業なんて
やってられないわよね。
ノゾミ 》旅行したいな。
コダマ 》夏休みになったらどっか行こうか。
ノゾミ 》ううん、今行きたい。
コダマ 》今から?どこに?
ノゾミ 》どこか
コダマ 》行ったとしても一泊二日でしょ。
めんどくさいよ。
ノゾミ 》そうじゃなくて、もっと長ぁーい旅行。
コダマ 》学校は?
ノゾミ 》さぼって
コダマ 》そりゃ、できるもんならそうしたいわ。
ノゾミ 》そうしようよ
コダマ 》ったく気楽だなあ、ノゾミは。
ノゾミ 》どこがいいかな。
コダマどこ行きたい?
コダマ 》わたしはどこも行かないって。
ノゾミ 》でも行きたいでしょ。
どこがいい?
コダマ 》行くとすれば…インドかな。
ノゾミ 》ああ、いいねえ。
ガンジス川で沐浴か。
コダマ 》ノゾミどこ行きたいの?
ノゾミ 》ん〜、ニューヨーク。
美術館巡り。
コダマ 》ああ、いいねえ。そうだ、
イギリスの大英博物館行きたいな。
ノゾミ 》イギリスかあ。
ピーター・ラビットの国だね。
コダマ 》ビートルズの国だしね。
ノゾミ 》そうだ、ヴェネチア行って仮面祭見たいな。
コダマ 》ああ見たい見たい!
いいねえ、旅行。
ノゾミ 》でしょお?
コダマ 》エジプトもいいな。
ノゾミ 》ピラミッドにスフィンクスか。
コダマ 》それよりね、カタコンベでミイラ。
ノゾミ 》え〜それだけはやめようよ。
コダマ 》いいじゃない。
イタリアオカルトツアーもいいな。
ノゾミ 》もっとのどかなのがいいよ。
プロヴァンスで美味しいものを食べるとか。
コダマ 》っていうか、お金ないし。めんどくさいし。
わたしはおとなしくお家にいるもん。
ノゾミ 》なによ、つまんないの。
コダマ 》そろそろわたし帰るよ。
レポートたまってんだ。ばいばい。
ノゾミ 》あ、待って。わたしも。効果:ざわめきが大きくなる。
ノゾミ 》置いてかれちゃった。
真面目だよな、コダマは。
ちょっとした現実逃避なのに。
*** ノゾミ ***
ノゾミ 》現実逃避…
そうなのかな?
違うような気もする。ノゾミ 》旅に出たいっていうのは、突然言い出すわけじゃないの。
わたしはいつもどこかに行きたいと思っている。
まるでここが自分の居場所じゃないみたいに。ノゾミ 》…それも違うな。
帰ってくるのはたぶんここなの。
だけど、どこかにわたしは行かなくちゃ
そんな気がする。ノゾミ 》トランクに好きな本をいっぱいつめこんで、
各駅停車の電車に乗るの。
いい景色を見つけたら、好きなだけ立ち止まる。
道端で猫に会ったら、しばらく一緒に遊んでもいい。
そんなふうに旅をしたい
*** 逃亡中 ***
ヒカリ、こそこそとあたりをうかがいながら、電話ボックスに入る。
手帖を見ながら番号をプッシュ。コダマ自分の部屋。ひとりで本を読んでいる。
電話が鳴る。
コダマ 》はいもしもし。
ヒカリ 》もしもし、コダマ?(緊張した声で)
コダマ 》はい。なに?ヒカリ?
ヒカリ 》しっ!今そこ誰もいない?
コダマ 》うん、わたしひとりだけど、どうしたの?
ヒカリ 》実はわたし、今…(期待を持たせて)
コダマ 》うん、なに
ヒカリ 》逃走中なの。
コダマ 》逃走中?
ヒカリ 》しっ!大きい声出さないで!(大きい声で)
コダマ 》なんで逃げてんの?
ヒカリ 》それは言えないな。(なぜか優位に立って)
コダマ 》せいぜい借金取りにでも追われてんでしょ。
ヒカリ 》それは言えないな。
コダマ 》で、なんの用なの。
ヒカリ 》それは言えないな。
コダマ 》あそ。じゃあね。
ヒカリ 》ああ、ごめん、待って待って!
コダマ 》なに
ヒカリ 》あんたも来ない?
コダマ 》は?
ヒカリ 》いや、ひとりだと話し相手もいなくてつまんないからさ。
コダマ 》なに言ってんの。逃走中でしょ。
ヒカリ 》いいじゃん、けち。
コダマ 》小学生かおまえは。
あ、そうだ、ノゾミ誘ってみなよ。
ヒカリ 》うん、次に連絡するつもりだったんだけど。
コダマ 》なんか今すぐ旅行に行きたいとか言ってたから、
一緒に旅に出ようとか言って誘えば?
ヒカリ 》よし。じゃあ今からノゾミのうちに集合。
いや待てよ、これからだとバスがないから明日にしよう。
作戦会議を開く!
コダマ 》だからわたしは行かないってば。
ヒカリ 》なんでよ。
コダマ 》そりゃこっちの台詞でしょ。
ヒカリ 》逃亡生活はいいぞ。
ともに自由を求め旅立とうではないか。
コダマ 》あのねえ
ヒカリ 》わずらわしい日常を捨ててドラマを求めたいと思うことはないか?
君の中にもそういう願望が潜んでいるはずだ。
コダマ 》余計なお世話よ。
ヒカリ 》じゃ明日、ノゾミのうちで会おう。
コダマ 》行かないってば。もう
あ…切れた。
*** コダマ ***
コダマ 》旅行か。
めんどくさいよな。
それも学校がある間なんて、課題もたまるし
お金もなくなるばっかりだし。
帰ってからのこと考えただけで頭が痛くなるじゃない。ぼんやり
コダマ 》でかけてもないのに、そんな心配する必要ないか。
机のノートを開いてみる。
コダマ 》(溜息)今ですら課題が終わらないっていうのに。
ふたりともほんとに行くのかな。コダマ 》いいよなヒカリは。
なにやってもあのキャラクターで納得されちゃうんだもん。
ノゾミだって、のんびり屋のわりにはしっかりというかちゃっかりというか
めんどうなことはうまく切り抜けるタイプだしな。
ふたりとも莫迦だよな、こんな時期に旅行なんて。なぜかそばにあるボストンバッグが目に入る。
コダマ 》でも失踪はいいかも。
*** 作戦会議? ***
日曜日。ノゾミの家で食べ物に夢中になっているヒカリ。
ノゾミ 》あんたなにしに来たの?
ヒカリ 》だから、一緒に旅行しようよ。
ノゾミ 》いいけどさ。いつまで食べてんのよ。
ヒカリ 》いいじゃん。おなかすいたんだから。
ノゾミ 》食費出してよ。一人暮らし大変なんだから。
ヒカリ 》細かいこと気にするなよ。人間小さいなあ。ノゾミ溜息をついてあきらめる。
ノゾミトランクを出してきて少し機嫌を良くする。ノゾミ 》どこ行こうか。
ヒカリ 》そんなのわかんないよ。逃走中なんだから。
ノゾミ 》は?
ヒカリ 》あてもなくさすらうのだよ。(ハードボイルドに)
ノゾミ 》なんで
ヒカリ 》逃走中だから
ノゾミ 》なんで
ヒカリ 》それは言えないな。(なぜか得意げ)
ノゾミ 》なんでわたしがヒカリの逃亡生活につきあわなくちゃならないのよ。
ヒカリ 》旅に出たいんでしょ。
ノゾミ 》そう。わたしは楽しく旅行したいの。
ヒカリ 》だからいいじゃない。
ノゾミ 》どこがよ。
ヒカリ 》どこがいけないって言うのよ。
ノゾミ 》あのね、逃亡生活って言うのは、
絵はがきで家族に近況報告をしたり
友達のお土産を選んだり、記念写真とったりはしないのよ。
ヒカリ 》ああ、まあね。
ノゾミ 》まあねじゃないでしょ。
ヒカリ 》もううるさいなあ、ノゾミは細かいこと気にしすぎるよ。
ノゾミ 》なんであんたは気にしないのよ。チャイムが鳴る。
ノゾミ 》あら、誰かな。
ヒカリ 》待って、わたしが出る。
ノゾミ 》わたしの家よ?
ヒカリ 》いいから
ヒカリ 》はい。どなたですか?
コダマ 》コダマです。
ノゾミ 》コダマか。今鍵あけるから。
ヒカリ 》待て、罠かもしれない。
ノゾミ 》なんでよ
ヒカリ 》ひとりだろうね。
コダマ 》そうよ。あんたヒカリね。
ヒカリ 》気安く言うな。合い言葉を言え。
コダマ・ノゾミ》なにそれ
ヒカリ 》旅
コダマ 》草枕
ヒカリ 》よし戸をあける。
ノゾミ 》合い言葉なんて決めてたの?
コダマ 》ぜんぜん
ノゾミ 》じゃなんで答えられるの
コダマ 》つきあい長いからじゃない?
ヒカリきょろきょろと戸口から外をうかがってから用心深く鍵をかける。
ヒカリ 》ふっふっふ。来ると思っていたよコダマ。
コダマ 》なんかむかつく。
ヒカリ 》期待にこたえてくれて嬉しいよ。
コダマ 》なに言ってんの。
ノゾミひとりにヒカリのめんどう見させるのは気の毒だと思ってね。
ノゾミ 》そうなの。困ってたのよ。
コダマ 》よしよし。これで被害は半分だ。
ヒカリ 》失礼な人たちだな。
コダマ・ノゾミ》おまえが言うな。コダマ 》さてとそれで、どういう話になってんの?
ノゾミ 》旅支度しなくちゃ。楽しいな。
コダマ 》やっぱ本気で行くんだ。
ノゾミ 》あらコダマもやっぱり行きたくなったんでしょ?
コダマ 》うーん、わたしの場合は旅行に行きたいんじゃなくて
失踪したくなった。
ノゾミ 》失踪?
ヒカリ 》わずらわしい日常を逃れて自由になりたいと思わないか。
そういう願望が君のなかに潜んでいるはずだ。
(当たっているだけにむかつくコダマ。)
コダマ 》うるさいな。別にそんなんじゃないよ。
ちょっと自分の生活を離れてみたくなっただけだよ。
だいそれた冒険心なんてないんだから。
ヒカリ 》ちぇ、素直じゃないな。
ノゾミ 》てことはなに?
わたしは旅行中、ヒカリは逃走中、コダマは失踪中?
ヒカリ 》いいじゃない
ノゾミとコダマ顔を見合わせる。
コダマ 》いい…かな?
ノゾミ 》…いっか
*** 詩劇・旅に出よう ***
音楽に合わせて踊りながらだと良い。
三人 》旅に出よう
ヒカリ 》責任感や義務感など捨てて
ノゾミ 》雨の日も風の日も
コダマ 》どこかで生きていこう
三人 》好きなことをしよう
ヒカリ 》ただ電車に乗って
ノゾミ 》バスに乗って
コダマ 》歩き続けて
三人 》そうして日々を過ごそうヒカリ 》あしたは来る
ノゾミ 》あさっても来る
コダマ 》しあさっても来る
ヒカリ 》目の前の未来を
どうやって過ごしたい?ヒカリ 》雨が降るかも
ノゾミ 》曇っているかも
コダマ 》晴れているかも
ノゾミ 》どうやって過ごしたい?ヒカリ 》学校にいるかも
ノゾミ 》家にいるかも
コダマ 》砂漠にいるかも
コダマ 》どうやって過ごしたい?ヒカリ 》地平線まで行こう
ノゾミ 》水平線まで行こう
コダマ 》空の果てまで行こう
ヒカリ 》キャデラックで行こう
ノゾミ 》ノーチラス号で行こう
コダマ 》銀河鉄道で行こう三人 》さあ、出かけよう。
*** 旅支度 ***
コダマ 》失踪中だと、クレジットカード使えないか。
現金おろしてこなくちゃ。
ノゾミ 》わたしは旅行なんだからカード使うもん。
ヒカリ 》いやあ、裕福な友人がいると助かるね。
コダマ 》あんたまさか、
ノゾミ 》お金、持ってないの?
ヒカリ 》あっしはしがない流浪人ですよ。
おあしなんざ持ち合わせてござんせん。
コダマ・ノゾミ》ねらいはこれか。
ヒカリ 》人聞きの悪い。人生持ちつ持たれつでしょ。
コダマ 》あんたの場合一方的でしょ。
ノゾミ 》コダマが来てくれなかったら、ひとりでたかられるところだったのね。
コダマ 》やっぱ選択あやまったかな。ノゾミ 》携帯電話はローミングサービスに切り替えなくちゃかな。
ヒカリ 》電話なんか持つなよ。逃亡生活だよ?
ノゾミ 》違うもん。わたしは旅行だもん。
コダマ 》でも美味しいもの食べたいね。
ノゾミ 》そうだね。なにがいいかな。郷土料理食べたいよね。
コダマ 》そうだね。東北なんていいかもね。
ノゾミ 》ああ、きりたんぽ!
ヒカリ 》気楽だな。
コダマ 》ヒカリには、隠れ家にコンビニ弁当運んであげるからね。
ヒカリ 》冷たいな。コダマこそ、失踪中に美味しいもん食べてていいのか?
コダマ 》いいんだもん。
ノゾミ 》あ、コダマ、シャンプーとリンス持ってく?
コダマ 》重いからいいよ。
ノゾミ 》でもホテルのシャンプー合わないと困るのよね。
コダマ 》確かにね。あ、バスタオル持ってった方がいいかな。
どんなとこ泊まるかわかんないもんね。
ノゾミ 》化粧品もぬかりなく持ってかないと。
コダマ 》長旅になるなら眉切り鋏とかカミソリもいるわね。
ノゾミ 》そうそう、つめ切りとかね。
ヒカリ 》あ、大事な物忘れてた。
ノゾミ 》なに?ヒカリの大事な物って。
ヒカリ 》ウノ。電車の中でやるでしょ。旅の友だよね。
ノゾミ素直にうなずく。
コダマ 》わたしは本読むわよ。
ヒカリ 》え〜?ウノやろうよ。ウノウノ〜
コダマ 》本なに持ってこうかな。
ワーズワースなんかもいいかな。
ノゾミ 》それよりなにより、洋服なに持ってこう。
コダマ 》そうよねえ
ヒカリ 》ジーンズ一本。
コダマ 》とりあえずね。
ノゾミ 》ちょっとおしゃれなレストランに行くんだったら
ワンピースとか持ってったほうがいいでしょ?
ヒカリ 》これだから金持ちは。
コダマ 》でもちゃんとした服もあったほうがいいわよね。
スーツはめんどうかな。しわになったら嫌だし。
ノゾミ 》てことは靴もいくつかいるわね。
コダマ 》スニーカーだけってわけにはねえ。
ヒカリ 》わたしはスニーカーだけで行くよ。
登山靴は持って行ってもいいかな。
コダマ 》えー?山に登る気?
ヒカリ 》場合によってはね。
ノゾミ 》山登りもいいけど、野宿はやめようね。
ヒカリ 》できればね。
コダマ 》勘弁してよ。なにか適当なことを言いながら荷造り。
ノゾミ 》あ、帽子もってこうかな。
コダマ 》まだ肌寒いし、上着がいるわね。ヒカリ 》コダマ、煙草吸う人だよね。
コダマ 》ああたまにね。なんで?
ヒカリ 》ライターちゃんと持っていってね。
コダマ 》そりゃ持っていくけど、あんたに関係ないでしょ。
ヒカリ 》いやあ、いざというとき火を起こす手間がはぶけるからね。
ノゾミ・コダマ》いざってなによ、いざって
ヒカリ 》ふたりともなに怒ってんのさ。
ふたり溜息。自分の荷物整理。
ヒカリ 》懐中電灯もいるかな。
ノゾミ・コダマ》いらないよ
ヒカリ 》なんでふたりともわたしのこといじめるわけ?
わたしが魅力的なことに嫉妬しているのね。
ふたりとも黙々と荷造り。
ヒカリ 》つっこみくらい入れろよ。
人間として最低の礼儀でしょ。
ノゾミ・コダマ》なんでやねん。
ヒカリ 》そうそう
やってしまってから急激に自己嫌悪するコダマ。
何事もなかったかのようなノゾミ。ノゾミ 》そーだ、クマタロウ連れていかなきゃ。
コダマ 》クマタロウ?
ノゾミ 》そう、わたしのダーリン。
くまの人形を取り出す。
ヒカリ》なんでやねん。
ノゾミ 》え?だって、最愛の人はやっぱり連れていくでしょ?
ヒカリ 》さあ、こればっかりは同意を求められてもねえ。
コダマ 》わたしはそんなかさばる、お荷物ダーリンいらない。
ノゾミ 》ええ〜なんてこというのよ〜。
最愛の人は、どんなお荷物でも養うわよ、あたしは。(ぶつぶつ)
コダマ 》ところでいつ出発するの?
ノゾミ 》今日はもう日が暮れちゃったけど。
ヒカリ 》あのねえ、君たちの支度が遅すぎるんだよ。
コダマ 》今日はさっさと夕飯食べて早寝して、明日の朝早く起きる?
電車の時間もゆっくり調べればいいし。
ノゾミ 》そうしようか。なんかもう疲れちゃった。
ヒカリ 》ったくしょうがないなあ。
*** 旅の夢 ***
暗転状態のまま。
音楽ノゾミ 》何が見える?
ヒカリ 》山だ山だ!雲までかかる高い山!
コダマ 》何が見える?
ノゾミ 》海!見渡す限りの海よ!
ヒカリ 》何が見える?
コダマ 》野原!花がいっぱい咲いてるよ。
*** 延期? ***
明転
朝。結局荷造りしながら眠ってしまったみたい。
コダマがむくりと起きる。コダマ 》ん?朝?
時計を見る。
コダマ 》今日月曜日?
ノゾミが目を覚ます。半分寝ぼけ。
ノゾミ 》え?たぶん。
コダマ 》わたし月曜一限からなんだ。
学校行かなきゃ。
ヒカリ 》なに言ってんの?はやく逃げなきゃ。
ノゾミ 》たび…
コダマ 》ノゾミ、今日、一限一緒じゃない。
あの先生の授業面白いから、欠かさず出るって言ってたじゃない。
ノゾミ 》あ、田中先生!行かなきゃ。
ヒカリ 》ちょっとちょっと。
どこ行くのよ、旅に出るんでしょ?
ノゾミ 》いつでもいいじゃない。ちょっと学校行って来るから待ってて。
ヒカリ 》ちょっと行って来るってあんたね。
コダマ 》ノゾミはやく
ノゾミ 》うん待って。ヒカリ出て行くとき鍵掛けてってね。
ヒカリ 》ああ、わかった。
ふたりばたばたと出かける。
*** ヒカリ ***
ヒカリ 》行っちゃったよ。
ま、いいか。いつでも。
わたしは家に帰るかな。三日も経ったし。
いい加減おっかさんもあきらめただろ。
思い出し笑いヒカリ 》勝手に借りた白いアルマーニ、
珈琲の染み見て真っ青な顔してたもんな。
あんなのどうせ似合わないんだからやめりゃいいのに。おしまい