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おくれ気はびびりの形 '02.11.11 幣HPが10000ヒットを踏んだのを記念に、かなりお気楽な気分で雑文祭を開催しようと思い立ちました。 いや、雑文祭の開催自体は、10000ヒットを踏んだらやろうとずっと以前に決めていたし、決していい加減な気持で開催を決行した訳では ありません。ただ、普段のヒット数から考えて、開催自体に誰も気が付かないかも知れないし、「詩」という縛りのせいもあり、 他からの参加があるかどうかもはなはだ疑問だと考えていたので(ここら辺、まだ開催していないので未だに私以外の参加者がいないのでは と逆に怯えている事も確かです)、ほとんどの確率で参加者は私一人のはず。従って、普段の文章UPとそんなに大差はないだろうと思っ ていたわけでして、ハイ。 ところが、11月を過ぎた当たりから、HPカウンターの数字が異常な伸びを見せており、ふと気が付くと、 こんな所とか あるいは此処とか はたまた此処とか おっと此処にも あっ、此処もだといった具合に、私の尊敬する大御所の各地でリンクが張られているのです。 と言うことは、そんなに真剣に捜したわけではないので、他にもリンクが張られている可能性があります。 もちろんあちこちにリンクが張られているからといって、それがイコール参加数が伸びるという事ではありません。しかし、
可能性は飛躍的に増大します。この現状にびびりまくった小市民の私は、 ここにちらっと書いてありましたが、詩を書くと言うことは、 イコール自分に酔っぱらう事だと私は思っています。だから、詩って何だか恥ずかしいんです。酔っぱらって書くと言うことは ある意味自分の醜態をさらけ出す行為だからです。私も、実際に自分の書いた詩を読んで赤面する事があります。 でも、赤面する詩って、実は結構良い詩である事が多いんですよ。他人が共感して陶酔してくれるレベルまで達しているかは ともかく、少なくとも自分が酔えない詩で、赤の他人が酔えるはずがない。だから、私は書くときはどんどん酔っぱらうことを 勧めます。いや、しーに、えいちご、おーえいちを使ってじゃなくてね。 そんな訳で、「詩」を書くのに抵抗を感じたり、書いたものに照れて、参加を見送ろうとしている貴方!! ここは是非とも自分の醜態をさらけ出しましょう!!そして、ぎゃははははと、自虐的にすっきりしましょう!!それこそが詩の醍醐味です。サブタイトルで「醜態雑文祭」って付けないでね。 別に付けてもいいけど(どっちだよ)。 祝!10000ヒット『かげろう雑文祭』 '02.10.23 祝!10000ヒット『かげろう雑文祭』 10000 '02.10.20 ふとtopページのカウンターを見ると9988となっている。 …などとさもカウンターに感心がない振りをしているが、実はこのページを開ける度にカウンターの伸びを ドキドキしながら確認し、その伸びの無さに毎度毎度ため息をついている僕がいたりもする。 僕がHPを開設したのは1998年の暮れである。ネットを巡回するようになったのはそれよりも一年位前にさかのぼるが、当時の 印象として、10000ヒットを超えているHPはビックサイトであった。まあ中には数十万超えている所もちらほらとあったが、 エロサイトやリンク集中心の情報サイト以外の個人サイトでは、かなりメジャーな所でもヒット数は数万そこそこであり、10000ヒットと いうのはそれだけで一つのステータスだと感じていた。 現在ではネット巡回絶対総数が、当時とは比べものにならないらしく、10000ヒットもめずらしくは無くなった。僕の感じる 価値観では、今の10000ヒットは当時の2〜3000位のイメージだろう。また当たり前だが、長いことやっていればいつかは 10000ヒットに辿り着く。4年近くもかけて10000に到達しようとしているこのサイトが良い例だ。 初めの頃は詩のページとして立ち上げたのだが、その内に雑文と呼ばれる文章を書くようになった頃、僕の中で一つの目標が 生まれていた。 『10000ヒットを超えたら雑文祭をやろう』 だ。当時このページのヒット数は5000位だったと思うが、実にあれから2年の歳月が流れている。2年だぞ、2年、おい。 このページが人気がないサイトだという事は重々承知している。書いた雑文に対する反応も、131+13に対して恐らく10件程度だ。10件だぞ、 10件、おい。しかも私宛のメールや当HPの掲示板への書き込みに限定すると、知人以外からだと2〜3位の記憶しかない。2〜3だぞ、2〜3、おい。 まあ、2年前のガリガリと文章を書いていた当時ならともかく、更新もままならない今となっては伸びがじり貧なのは当然の結果であるが、 しかしじり貧であっても、価値が昔に比べて著しく低くても、とにかくそろそろ10000ヒットなのには間違いない。だって10000だぞ、 い・ち・ま・ん、お〜いおい。 そんな訳で、一度は書くのやめようかとしたりもしたが、とにかく10000ヒットには違いないので、(まだ超えていないのに、 待ちきれなかったのよ)少し悩んだが、一応雑文祭開催を強行しようかと思っています。 尚、開催に当たり、そもそも『雑文祭』というネーミングを使うこと自体が正しいかどうかの議論はあるかと思いますが、新しいネーミングを考える より遙かに楽なので、広義の意味で使用させていただくことにします。 また、一応『雑文祭』というネーミングを使用する以上当然他からの参加をオープンに募集しますが、かなりの高確率で、 参加者は私一人きり になる事が予想されます。けれども決して参加制限をしている訳ではありません。あくまで参加は自由です。ただ参加してくれる人が いないだろうと言うだけの話なのでそこら辺はお間違えの無きよう。 開催期間等の詳しい内容は、正式に10000ヒットを超えた時点で専用のページを設けます。しかしCGIの腕が無いので、参加表明は 恐らく今の掲示板にリンクをアップしてもらって、そのリンクを僕が専用ページにUPする事になると思います。まあどちらにしても 参加者がいればの話ですけど。 開催名は『かげろう雑文祭』とします。 縛りは、必ず文中に『詩』を入れる事。この際、一行詩は認めません。最低で四行詩以上として下さい。この場合の一行の定義は 皆様の良識に任せます。また短歌、俳句の形態を整えている場合は、それ自体で詩として認め、四行以下でも可とします。尚、詩は 自作、他作のどちらでも構いません。また詩自体は完結していなくても、ある詩からの一部抜粋(四行以上)でも構いません。但し 他作の場合は文末等で、必ず出典を明らかにして下さい。文の内容はその詩に絡めて下さい。 また、文中或いは詩中に『かげろう(”かげろふ”でも可)』の言葉を入れて下さい。 書き出しは必ず、『○○○○年』で始めて下さい。(例:1965年の夏…)この際に元号はダメです。西暦の何年かでお願いします。 年数は何年でも問いません。過去でもとんでもない未来でも構いません。尚西暦以外の特例として神武歴でも可とします。 今の所以上の縛りを考えています。意見や付け足しがあれば、メール或いは掲示板にお願いします。上の縛りは、現段階の予定で 決定事項ではありません。ただ、多分参加者が見込めないので意見も見込めず、このまま始まる可能性が高いでしょうが… 時速130km '02.10.13 高校生だった頃ゲームセンターに球速測定機なるものがあった。 キャッチャーの絵の的に向かってボールを投げると『時速95km』とか表示が出る。 当時100円で3球位投げられた。 標準的な高校生がどれ位の球速なのか知らないが、運動部に入ってなければ100kmも出れば 良い方ではないか?当時、地方の県では120km台のストレートと、カーブが投げられるピッチャーがいれば 甲子園に出られると言われていた位だから。 自慢で無い訳では無いが、私は速かった。何しろ小学生の時にリトルリーグでレギュラーを 這っていた…いや、張っていた実力の持ち主な位だ。ポジションはスーパーレフト、打順はウルトラエイト番。辛うじて『ライパチ』 (注:ライトで8番、ライトは守備力で、8番は打撃力で最も劣る選手である場合が多い)を免れていた所に 私の実力の尋常でないレベルが伺えるというものだ。何しろ公式戦で二塁打をかっ飛ばした輝かしい記憶が 今も私の脳裏にこびりついている位だ。幾ら思い出そうとしてもそれ以外にヒットを打った記憶が無いのは この際気にするほどの事ではない。 リトルリーグの当時から、自慢で無い訳では全然無いが、肩の強さはピカイチであった。多分 洒落抜きでチーム一の強さであったろう。私がライトなどではなく、スーパーレフトであったのはその為だけ だったのかどうかはこの際全く重要ではない。と言うか、歩きながらそう考えることは先頃千代田区の条例で禁止された ばかりなので注意するように。 そんな訳で、地肩の強さは高校生の時も健在で、心の中で ゲーセンには悪友の粕谷、三田と三人つるんで行く事が多かったのだが、ある時この球速測定機の話を教室でしていると 安川が話題に割り込んできた。余談だが私はこの安川が大嫌いだった。大体こいつは優等生で確かに頭は良く、現役で 日本のマサチューセッツ工科大学と言われる国立のT工業大に受かったくらいだから、一浪して私大に行った私とは ものが違う。しかし鼻っ柱が強く、いけ好かない野郎だった。 「何、120kmってそんなにすごいのか?」 安川、君には縁の無い世界だよ 「でも津村(注:私の事)が出せるんだったら俺は130kmは出るだろ」 こともなげに言い放つ安川に、我々3人は苦笑した。我々の通っていた高校は一応地元では名門と言われる進学校で、 明かに運動とは無縁な奴も数多く、安川の体格は見るからにその典型だったからだ。ところが安川の負けず嫌いは半端では 無かった。どうしても私より速いはずだと言い張って聞かない。その自信はどこから来るのか不思議だったが、今から 考えると、これが、現役国立と、一浪私立の人間の決定的な違いなのかもしれぬ。 その日の放課後、4人でゲーセンにやって来た。安川はゲーセンは初めてらしく、物珍しそうにきょろきょろしていた。 初めに私がやり方の手本も兼ねて、投げて見せた。その時球速は確か『119km』と表示されたと思う。 「今見たとおり、あそこに当てると数字がでるから、やってみ」 言いながら私は安川にボールを放ってよこした。受け取ると安川は学ランを脱ぎだした。 ガバーっと、安川は振りかぶった。少し違和感を感じたが結構さまになっている。次に彼は右足を高々と上げた。 ふ〜ん、安川は左利きだったのか。でも真ん前に足を上げるか?普通?次の瞬間安川は変な格好になりながら、右手でボールを投げた。目が点に なった我々3人の前を『へろっ〜』とした山なりのボールが飛んでいく。しかもボールはぜんぜん的に向かっておらず、あさっての 方向の壁に当たって跳ね返り、近くでゲームをしていた見るからに怖そうなヤンキー兄ちゃんの後頭部に 「ボコッ」っと当たり、我々3人の顔はその瞬間南極の氷よりも寒く引きつった。 「に、逃げろ!!」 三田が叫ぶと同時に我々は猛ダッシュで逃げ出した。ふと気が付くと安川がいない事に気が付いたが、そんな事に 構っちゃいられなかった。逃げに逃げて、駅の近くまで来て、粕谷と三田の3人で無事を確認したが安川はやはりいない。 どうしたもんかと3人で話していたが、どうしようもない。意を決して今来た道をおそるおそる3人で向かい始めると、 向こうから赤く腫らした左目を押さえた安川が一人でとぼとぼと歩いてきた。 「おい、お前つかまって殴られたんか?」 安川はそう言ったが、明らかに左目は殴られた跡にしか見えなかった。しかし安川は意外にも殴られた事は、意に介しては 無さそうであった。 「まあ、俺の130kmのボールが当たれば相手も怒るべ〜な」 しらっと言った彼を見て何だか我々は馬鹿らしくなった。その後も安川は、 「あのボールは130km出ていた」 と言い張っていたが、そのゲーセンには我々はその後、二度と近づかなかったのは言うまでもない。 祝!ノーベル賞が二人も出ちゃったのでたまには理系っぽい事を '02.10.10 そんな訳で本日は、私も忘れかけている自分が理系だと言うことを無理矢理思いだし、 それっぽい事書いてきます。理系の文字で既にジンマシンが出ている人は早々に引き返した方が賢明です。 私自身既に書こうとしている頭の中のイメージだけで「…私は誰?」状態なのよ。 現代科学をもってしても解明されていない事象はあまりにも多い。太陽表面は6000度なのに 何でコロナは150万度なのよ、とか、真空は断熱なのに、何で太陽熱が地球に届くのよ、とか(これは 私だけの疑問か?放射だけじゃ納得できね〜のよ!大体何で宇宙の温度は3kもあるんだ?) ダーク・マター(暗黒物質)。何だかスター・ウォーズを連想してしまうが、 簡単に言うと、存在していることが判っているのに、未だ発見、証明されていない未知の物質の事だ。ダースベイダー とは多分関係ない。銀河の外側部分は星が少なく、重力が弱いはずなのに、何故かそうじゃない事が判り、 そんならきっと星じゃない何かがあるに違いないので、とりあえずダーク・マターが在ることにしとこう、ってんで 生まれた概念物質のことだ。これは幽霊粒子とも呼ばれ、今回話題のニュートリノ、また他にもアクシオン、 超対称性粒子等が候補に挙げれているが、残念ながらニュートリノじゃ無いらしく、他の二つは理論だけで 全くの未発見の物質だ。 真空は何も存在しない空間であると思われがちだが、実は違う。粒子と反粒子の対生成・対消滅が繰り 広げられている実は以外にダイナミックな相互作用の場所なのだ。ただし、こいつはペアであるが故に 外部との相互作用に基づいてのみ質量を定義している古典物理学ではその存在は否定されてしまう。 よって存在しているのに仮想状態として定義されてしまうのだ。故に真空がエネルギーを持つ事は無い。 唯一、真空凝縮現象下でのみ宇宙項としてエネルギーが定義されるのみだ。 しかし、絶対的な事実として、我々が認識している世界では物質の総量が圧倒的に多く、明らかに反物質 との釣り合いはとれていない。ビックバン以前の定義が絶対的な『無』だとしたら、どこかに反物質が 多量に存在してなければおかしい。これはエネルギー保存則から完全に逸脱する。だとしたら、ダーク・マターは エネルギー保存則を無視した存在なのでは無かろうか?? エネルギー保存則に忠実に従えば、真空から物質が生成されることはあり得ない。ホイルの定常宇宙論 は、真空から物質が生成される可能性を示しているが、これを支持する人間は現代ではほとんどいないだろう。 けれども定義の話でなければ粒子、反粒子は真空中にも存在する。これが我々が認識する、時間、空間と言った概念を 超越したところで瞬間的にでも偏ることは無いのだろうか。 ダーク・マターとは一体何なのか?反物質は本当に、今の認識以上どこにも存在しないのか。一体私は 今回何を書きたかったのか。全ては未だ全くの謎である。 感想3っつ '02.10.04 最近とんと更新してないのも気が引けて、かといってイメージング出来ないものは書きようも無い訳だけれど、何だか落ち着かないので しょうがなく比較的最近購入したDVD3本の感想でも書いてみようかなと。 『リリイ・シュシュのすべて』 監督・脚本 岩井俊二 監督・脚本が岩井俊二氏だったから何となく手にとって何となく買ってきたもの。内容は氏のそれの『Love Letter』みたいなものを
期待していたのだが、結構違っていた。 劇中でサブリミナルっぽく出てくる引用台詞は実際のネット掲示板で投稿されたものを使用しているらしいが、それが
この『リリイ…』に深みを出し、同時に嘘っぽくもしている。少年の痛みと焦燥に隠されたイノセンス
を強烈に描き出すと言ってしまえば聞こえが良いが、隠されているのは本当にイノセンスなのだろうか?だとしたらその他大勢の
一応イノセンスの体裁を保っている人間は内面に狂気を隠しているのか?
『鉄男 U』 監督・脚本 塚本晋也 塚本氏の前作『鉄男』があまりも強烈だったので買った『鉄男 U』。予想通りというか、『鉄男』程の畳み掛ける様なパワーは
無かった。
『12人の優しい日本人』 監督 中原俊・脚本 三谷幸喜と東京サンシャインボーイズ 言わずとしれた、シドニー・ルメット氏の『十二人の怒れる男』のパロディー。豊川悦司氏の出世作もこれだよね?
買った理由は、私の顔が三谷幸喜氏にそっくりらしいから。確かに自分でも初めて三谷幸喜氏を見たときは驚きを通り越して
笑ってしまいました。最近はそうでも無くなってきたらしいけど、似てます。本人が言うんだから間違いありません。 月のうさぎのリドル 『こっそり月見雑文祭』 '02.09.19 満月の夜に、僕の心はさざめき立つ。 舞い落ちる雪の、尽きる事の無い苛立ちより強く、よせ返す波の憑かれた永遠よりも長い、 その微動だにせぬ普遍性故に。 …見ていると気が狂う… 微かに漂う稲穂の薫りの中、あてもなく僕は歩いていた。 未来への想いが尽きた17才の秋、絶望だけが僕の世界の全てだった。 突き上げる衝動は死の香りを放ち、いつのまにか僕は見知らぬススキ野原を彷徨っていた。 「……」 月明かり下、おぼろげな前方の風景に、白い影がゆっくりと近づいて来る。 普段の僕ならそれだけで逃げ出していただろう。 けれども絶望が僕の心を強くしていた。もう怖い物などありはしない。 たった一つ、閉ざされた未来を認めてしまう事以外は。 「き…君は、誰だ」 中空を滑るかの様に近づいてきたのは真っ白な女性だった。抜けるような肌は この世の物とは思えず、その瞳の色だけが赤く際立っていた。 …まるでうさぎみたいだな… 人間離れした彼女の様を見ても不思議と僕は冷静だった。絶望が故に そんな自分になれた事が皮肉だった。 「誰って、私は団子よ」 「へ?」 突飛な答えに絶句する。 「そう、決められているんだもの、仕方が無いじゃない」 「決められてるって、縛りの事か?」 「何?縛りって?」 「い、いや何でもない、すごく何でもない…でも団子って…幾らなんでも そんな名前…く、苦しい…」 「えっ?何が?」 「いや、縛り…い、いやほんとに何でも無い、すごく個人的な事だから 気にしないでくれ」 「そう…今日は満月だわ。だから私はここにいるの」 「ちょ、ちょっと待ってくれ、何を言っているんだか僕にはさっぱり…」 ふと気が付くと、彼女は月を見ていた。赤い瞳に月の影が映る。その あまりの美しさに僕は続ける言葉を見失った。 「満月になると、私たちはあそこには居られない。突き刺す光の 強さにこの目は耐えられない…」 「……」 「ねえ、月には本当にうさぎがいるのよ」 「うさぎ…が?」 「そう、でも月のうさぎは光の中では生きられない。満ちていく月に 追いやられる様にうさぎは宇宙を彷徨うの。そして今日は満月… 今、月にうさぎは一人もいないわ」 「…君は…一体…」 「だから私は満月が嫌い、だけど月は私たちの全てなの、だから欠けていく 月に、またうさぎは帰っていく」 「……」 「私の話、信じてないでしょ」 「い、いや…信じるよ」 「嘘吐き…」 普段の僕だったら頭から彼女を嘲笑していたかも知れない。 月にうさぎだって?宇宙を彷徨うって?僕はUFOの類だって信じちゃ いない部類の人間だ。大体、満月だったら月の裏側に非難すればいいだけじゃないか。 けれどもその時の僕は信じる事が出来た。或いは恋人が死んでしまった 夜だったからかも知れない。それは僕の思考を狂わせるのに十分な出来事の はずだった。けれどもそれ以上に彼女はその話を信じさせる何かをその 体から放っていたのだ。 「本当はね、こんな事を話すのはおろか、あなたたちに姿を見られても いけないんだ…でも、あなたの心は悲しみで満ちていた…私達は少しだけだけれど、 人の気持ちを感じる事が出来る…あなたの悲しみは、今まで私が触れた中でも 特別の…そう、まるで凍えるような寂しさに満ちていた…」 僕の頬を涙が伝った。あれ程こらえていたのに、想いを涙に流してしまったら そのまま消えていってしまいそうで、無理やり僕の中に閉じ込めていたのに。 どうしてもせき止めきれない想いが、あとからあとから溢れてくる。いつしか それは止める術の無い慟哭へと昇華していた。 「人はね…流した涙の分だけ優しくなれるんだよ…」 「そ、そんな、そんなものは、いらない。いらないから、いらないから、もう一度、もう一度…」 「悲しみはね、どんな想いよりも重たいの…そして目をそむけていたら、その重さだけしか 残らないわ…」 泣きじゃくる僕に向かって彼女が右手をかざした。 「私はあなたに何もしてあげられない。けれども、私の記憶は消さなければ いけない。もし、今のあなたの涙が本物ならば、記憶と一緒に、悲しみの重さだけが 消えるかもしれない」 そういうと、彼女はかざした手を振り下ろした。僕はそのまま気を失った。 どれくらい其処に横たわっていたのだろう。気が付くと一人、ススキ野原の中に 倒れこんでいた。頬の張りは確かに僕が泣いた事を物語っている。けれども どうやって此処へ来たのかさえもさだかでは無い。感情に任せて泣きじゃくった後に 疲れ果てて寝入ってしまったのだろうか…。 ただ一つ、悲しみの形が少しだけれど変わっているのに気が付いた。 見上げれば、満月。そこに白いうさぎが見えたような気がして、何故か僕は泣きそうになった。 …満月は、嫌いだ… そんな言葉がふと頭をよぎる。耐えきれなくなって僕は目を逸らした。 けれどももう一度盗み見たその月は、やっぱり丸かった。 春の午後(もうそろそろ夏だってば) '02.07.12 人として 何もかもを投げ出したくて …いつもの風景 「こんにちは!」 『なんだかな…』と思いながら 悩むと言うことはどういう事なのだろうかと悩む今日この頃。一つだけ確かなことは、僕は確かに、昔に比べて悩まなくなった
と言う事実だ。 悩んだ所で何も解決しない、明日は明日の風邪を引く。「ゴホゴホ、どうぼ風邪びいたみだいなんでかいじゃさぼり… い、いややずびまず」と電話した後「みんな、風になった俺を、俺を見てくれ〜俺ををををを」とバイクで走り回る年でも無くなった しな確かに。いや、また話がそれた、明日は明日の風が吹く、と言えば嘘臭くも格好いいかも知れないが、面倒臭いから悩まない と言うのも、人としていいのかそれで、春の午後。 十代の頃は悩むのはあまりにも簡単だった。まだ毛が生えてないだけで自分はひょっとしたら友達よりものすごく遅れているので
はないかとか、異常じゃないかとか、変態じゃないかとか、ロリコンじゃないかとか、男には興味は無いよなとか、初めてのHの時は
どうやって下着を脱がせるのだ?とか、大人の余裕でリードしなくてはとか、余裕見せすぎて遊び人だと思われたら大変だとか、
場所はやっぱり自分の部屋かとか、その前にキスするときは相手に聞いた方がいいのかとか、いきなりの方が男らしいんじゃないかとか、
それで強姦罪で訴えられたらどうしようとか、その前にまず彼女を作らなくてはいけないなとか。 まあ悩んだ所で悩みが消えるわけでは無いのは事実だし、もっと大問題でも生じれば悩むのかもしれないが、大抵の場合 誰かに話したりするだけで結構すっきりしちゃうのが悩みだったりする。だからいつの頃からか、僕はあまり悩まなくなった。 遠い昔にあれこれと悩んだ挙げ句の結論が、悩むのは面倒臭いという所に行き着いた訳で、そんな自分も嫌いでは無いが、 かつてあんなに簡単に悩めた自分がもういないというのはやはり一寸淋しい。 |