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64,伊集院大介と少年探偵
あれっ、どういうわけかこの部屋10月は更新してなかったんですね。これはついうっかりしてしまってました。まあ10月はバタバタしてたからなあ………ってことで、最初はグインランドを更新するつもりでいたんだけど、ここが9月のままになってるのもあんまりなので、急いで更新しておきましょう。もっとも全然関係ないんですけどクルト・ワイルの「セプテンバーソング」っていう歌があって、いや、その曲のことは63でも書いてるんだけど、あれ歌詞がね「セプテンバー、ノベンバー」っていきなり11月にとんでいる。「10月がない」んです(笑)あれをきくたびに「10月はどこいった」って思ったりするんだけど(笑)ま、これは関係ないお話。
ということででも、更新をすっかり忘れているあいだに、9月の段階では「何を書こうかな」とかいっていた「もう1冊の書き下ろし」はすでに脱稿して、もうゲラに入ってしまいました。まだ著者校はきてませんが、たぶんこれからやってきて、年内にさいごの本で出ることになるんじゃないかなあ。タイトルは「逃げ出した死体――伊集院大介と少年探偵」というもので、なんか最初に思っていたのとはおよそ思いもかけない内容になりました(笑)
これはねえ、実は「サブタイトルから先に思いついた」のです。というよりも「伊集院大介と少年探偵」ってことばが脳内に出てきたとたんに「あっそれやりたいやりたい!」と思って、そこに殺到してしまった、っていうのが正直なところで、本当は、内容については、どちらかというと「書きながら考えていった」くらいです。そのくらい「伊集院大介と少年探偵」というアイデアが気に入ってしまいまして(笑)いや、まあ、少年探偵鹿鳴敬介君みたいな、半ズボンに蝶ネクタイのショタコン探偵が登場して伊集院大介と知恵比べをする、っていうような、そういうあざといというか、ケバい内容なわけじゃあなくて、意外とじっくりとした話なんですけれども、でも、なんとなくね。「優しい密室」とある意味では対になってるというか、あれは「少女と伊集院大介」の話なんだけど、こんどは「少年と伊集院大介」の話だよ、というような――まあ若干いじめ問題とかも印象にあったのかもしれないし、「少年というのもなかなか大変なんだな」って――あ、タイトルがタイトルだからといって、ま〜〜〜ったく(^^;)ヤオイなこともJUNEなこともBLなこともありませんし、伊集院大介が少年探偵に恋に落ちちゃうなんてことはま〜〜〜ったく(爆)おこりませんから、男性の皆様も安心してお手におとり下さいませ。どうもわたくしが「少年」ということばを発すると、それだけでなんかこう色眼鏡で見られる気分で(笑)って自分で意識しすぎかもしれませんけど、まあそれだけの悪事のむくいというか、さんざんそういわれてしょうのねーよーなこと、してきてるだろーが、ってことかもしれませんが(笑)
まあでも今回はそういうの、まったくケもない真面目な(ヤオイが真面目でないってわけじゃないんだけど)お話です。それにしてもなんだか最近、ますます、伊集院大介シリーズを書いていて、「トリッキーな殺人事件」をおこすというのがイヤになってきまして、なんかますます伊集院大介が「現実化してきた」というか、すごく「現実の空間」のなかを徘徊してはいろんな人々の心の傷だとか、秘密だとか、そういうものの「お医者さん」みたいになってきたので、そこに「アリバイ」だの「トリック」だの、「密室」だの、ってことを持ち込むのが――だって我々普段の空間のなかでは、そういうもので生きてはおらんわけでしょう。もし私がかっとなって人殺しをするとして、それはやっぱり時刻表のトリック考えてアリバイを作ってなんて話にはならんと思うんですね、よしんばしたとしても。やはりかっとなって包丁ぶんまわすほうが可能性としてはるかに多いと思うし、それに、「アリバイ・トリックで罪をまぬかれ」て平然としてるという犯人というのは、なんかどうしても感情移入できないし、いろいろ考えて、自分の人物造形として、作れないというか――なんていってると、逆に突然「思い切りミステリマニアの犯人の話」とか書きたくなってきちゃうのが私の困ったとこなんですが、その場合もいま私が書いたら、最終的にそういう犯人が「ああ、本当の人間をあいてにした世界っていうのは、本格ミステリーのトリック殺人の世界じゃあないんだ」っていうことを伊集院大介に知らされて終わる、っていうような流れになっちゃうような気がするなあ。「ゲームとしての殺人鬼」が「現実の世界」に戻ってきて自分のしたことの意味を知っちゃう、みたいな。それも考えてみると鬱陶しいっちゃ鬱陶しいんだけど、でもいまはなんか、私、「ひとを殺す」「大切な人が殺される」ってことについて、「ゲームじゃないのよ殺人はははん♪」っていうような気分なんですねえ。なんか、ナマな人間って本当に思い通りにはならないものだなあっていうような――逆にだからこそ、信じがたいほどおろかなことも、損得勘定ではとうていつじつまのあわぬようなこともするんだろうけどっていうような。そう考えると、なんかこう、「ああ、どんどんミステリー作家から遠ざかってゆくなあ」って思う。ま、今回はどういうわけか、この「逃げ出した死体」っていうの、うちの旦那さんが妙にすごく気に入ってくれてまして、「ここんとこ、すごくいいんじゃないか」とか「このシリーズの行く方向がだんだん明確になってきた」みたいなこと云ってくれてるのですが、まあ、皆様の御判定を待つばかり、ではございますが。でもま、年内2本というお約束は守れて、ほんとまずはよかったです。来年はもう1本くらいこの方向性で書けたらいいのになあと思わないでもないんですけど、来年の話はまだ御法度ってことで(^^;)ともあれ発売予定は年内だと思います。どうぞよろしくです。
2006年11月13日(月)