第8話 神仙画  

 先日丸山応挙筆の神仙画が見つかったという記事が新聞に載りましたが

中国の唐の時代の神仙物語を画題にしたものでした。中国の神仙には酒中八仙

蜀の八仙など唐代とは別の神仙もありますがなんといってもおめでたく人気がある

のが明の時代に周憲王によって書かれた八仙慶寿です。日本画の画題ではこれら

の物語の中から時代は遡りますが唐代に活躍したと言われる仙人の画題が多く

取り入れられています。

唐の時代でも、開元の治と言われ唐が最も栄え道教を厚く信仰した玄宗皇帝の

時期、同皇帝の神仙好きから時代の華やかさもあいまって画題としてもてはや

されたものと思われます。

本サイトで掲載しております柳澤淇園の神仙画もそれらの例にもれず玄宗皇帝が

画題の中心になっています。まず中央の雲中馬上図ですが、玄宗皇帝が寵愛して

いた武恵妃が若くして亡くなり玄宗皇帝は代わりの寵妃を探していました。宮中に

美女三千人といわれた中にも玄宗の好みの女性がいなかったからです。そこで側近

の高力士に国中から美女を探すよう命じその美女が見つかった場面が同図です。

その美女とは絶世の美女と詠われた楊貴妃のことでした。当時の時代や玄宗の好み

から絶世の美女とは言われながら大変豊満な女性であったことが史実に記されて

います。図中の楊貴妃は豊満ではありませんが・・・・・

次に右、王子笛吹図ですが周霊王子=喬は鶴に乗った仙人として唐代の書「尚書故実」

に記されています。

次に左、雲房乗風図ですが雲房とは大仙人=鍾離権の字名です。悪鬼、悪霊を退治

する青竜の剣法を東華帝君から授けられた八仙慶寿の一人です。

右「王子笛吹図」、左「雲房乗風図」ともに繁栄を極めた時代に危うい時代の到来を予期

して宮廷の上空を漂っているさまを表わしています。玄宗皇帝の女好きと優秀な文武官

を使わなくしてしまい、楊一族を重用した結果唐を滅亡寸前にまで招く乱を起こすためです。

                                                   第8話 了