N中学校 国語科教材 「脚本・出会いの竹林」 平成14年11月実施
「古典のリズムに慣れるため、この脚本を使って役割読みをしましょう。脚本にするために、すこしだけ変えてあります。昔のかなづかいに気をつけて読んでください。」
このシナリオを使って、朗読劇のような音読をすると、面白くはじめての古典に、なじむことができます。三省堂と光村の「竹取物語」を合体させました。
もちろん、古典仮名遣いの指導は大切。右上の「古典的仮名遣いの指導」では、中学古典で必要なすべての古典かなづかいを、4つの表で理解できます。最初はその表を見ながら、本文にふりがなをつけますが、慣れるとふりがななしでも読めるようになります。(「くぁいぐあん」のような、4つの表で説明しにくい読みは→ パワーポイント)
マイクロソフト・パワーポイントで、たくさんの古典仮名遣いを読むエクササイズもつくりました。4つの表を見ながら練習しますが、やがて何もなしで読めるようになります。クイズ番組の乗りで、小さな競争を演出すると効果的です。
ナレーター1
今は昔、竹取の翁(おきな)といふものありけり。野山にまじりて竹を取りつつ、よろづのことに使ひけり。名をば、さぬきの造(みやつこ)となむいひける。その竹の中に、もと光る竹なむ一筋ありける。
効果音
「ピカリン☆」
翁
「いとあやし。何事ならむ。」
ナレーター1
とて、寄りて見るに、筒の中光りたり。それを見れば、三寸ばかりなる人、いとうつくしうてゐたり。
翁
「あなうつくし。あなうれしや。」
ナレーター1
翁、この人を「かぐや姫」とぞ名づけける。
N中学校 国語科教材 「脚本・作り話の蓬莱山」 平成十四年十一月実施
ナレーター2
かぐや姫がお年頃になると、たくさんの若者がお嫁に欲しいと言って集まってきました。こまったかぐや姫は、「蓬莱の玉の枝をくれたらお嫁に行ってもいいわ!」と言ったそうです。ぜったい見つかるはずのない宝物だったのに、くらもちの皇子は「見つけました!」と、かぐや姫に会いに来ました。
くらもちの皇子
「これやわが求むる山ならむ」
ナレーター1
と思ひて、さすがにおそろしくおぼえて、山のめぐりをさしめぐらして、二、三日ばかり、見歩くに、天人のよそほひしたる女、山
の中よりいで来て、銀(しろかね)の金椀(かなまる)を持ちて、水をくみ歩(あり)く。これを見て、船より下りて、
くらもちの皇子
「この山の名を何とか申す。」
ナレーター1
と問ふ。女、答へていはく。
女
「これは、蓬莱(ほうらい)の山なり。」
ナレーター1
と答(こと)ふ。
N中学校 国語科教材 「脚本・蓬莱の玉の枝」 平成十四年十一月実施
くらもちの皇子
「これを聞くに、うれしきことかぎりなし。」
ナレーター1
その山、見るに、さらに登るべきやうなし。その山のそばひらをめぐれば、世の中になき
花の木ども立てり。金(こかね)・銀・瑠璃(るり)色の水、山より流れいでたり。それには、色々の玉の橋渡せり。そのあたりに、照り輝く木ども立てり。
くらもちの皇子
「この取りてまうで来たりしは、いとわろかりしかども、のたまひしに違はましかばと、折りてまうで来たるなり。」
ナレーター1
言ひて、差し出したりしに、玉作りの匠ども、そらごとなりと訴えけり。
玉作りの匠
「うそばい。すらごとばい。おいたちに作らせたったい。」
N中学校 国語科教材 「脚本・月へ帰るかぐや姫1」平成十四年十一月実施
ナレーター2
うそつきのくらもちの皇子のせいで人間不信になったかぐや姫のもとへ、月の世界から迎えが来ました。天人は、かぐや姫のかなしみを消すために、天の羽衣を用意していました。
ナレーター1
天人の中に、持たせたる箱あり。天(あま)の羽衣入れり。またあるは、不死の薬入れり。一人の天人の言ふ。
天人
「壺(つぼ)なる御薬(みくすり)たてまつれ。きたなき所の物きこしめしたれば、御心地悪(あ)しからむものぞ。」
ナレーター1
とて、持(も)て寄りたれば、いささかなめたまひて、
かぐや姫
「少し、形見に」
ナレーター1
とて、脱ぎ置く衣(きぬ)に包まむとすれば、ある天人包ませず。御衣(みぞ)を取りいでて着せむとす。そのときに、かぐや姫の言ふやう。
N中学校 国語科教材 「脚本・月へ帰るかぐや姫2」平成十四年十一月実施
かぐや姫
「しばし待て。衣、着せつる人は、心異(こと)になるなりと言ふ。ものひと言、言ひ置くべきことありけり。」
ナレーター1
と言ひて、文(ふみ)書く。
ナレーター2
手紙はひそかに想う人、時の帝にあてたもの。帝の家来の頭中将(とうのちゅうじょう)にことづけました。すきな人の健康を願って、不死の薬も同封しておきました。
ナレーター1
中将取りつれば、ふと天(あま)の羽衣うち着せたてまつりつれば、
かぐや姫
「いとほし、かなし。」
ナレーター1
とおぼしつることも失(う)せぬ。この衣(きぬ)着つる人は物思ひなくなりにければ、車に乗りて、百人ばかり天人具して、昇(のぼ)りぬ。
翁・媼(おうな)
「あらよー、もうあわれんとかね!」
N中学校 国語科教材 「脚本・みかどの悲しみ」 平成十四年十一月実施
ナレーター1
翁(おきな)、媼(おうな)、血の涙を流して惑(まど)へど、かひなし。
ナレーター2
最後の手紙を読んだ時の帝は、かぐや姫のいないこの世で、ひとり長生きしたってつまらないと思い、家来に命じます。
帝
「御文(ふみ)、不死の薬の壺(つぼ)並べて、火をつけて燃やすべし。」
ナレーター1
と仰(おほ)せたまふ。そのよしうけたまはりて、士(つはもの)どもあまた具して山へ登りけるよりなむ、その山を「ふじの山」とは名づけける。
民衆
「その煙、いまだ雲の中へ立ち上りたり。」
ナレーター1
とぞ、言ひ伝へたる。
ナレーター2
おもいを断ち切って月へ帰ったかぐや姫。好きな人ともかなしくお別れです。およそ千百年前の物語ですけど、別れのかなしさは、今も昔も同じですねェ。(しみじみ・・。)