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2004年7月

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評価基準
 ★★★★★(100%満足)〜★★★(まあまあ)〜★(つまんない)

サラマンダーの夜 久間十義 角川書店 ★★
パーフェクト・プラン 柳原慧 宝島社
駐在巡査 佐竹一彦 角川書店 ★★
「子どもは勉強しろ!」
といっていい15の理由
山中恒 講談社 ★★
捌き屋 浜田文人 徳間書店 ★★
告発封印 高任和夫 光文社 ★★
中途採用捜査官@ネット上の密室 佐々木敏 徳間書店 ★★★★
いつか白球は海へ 堂場瞬一 集英社 ★★★★
黒い河 G・M・フォード 新潮文庫 ★★★
月の見える窓 新野剛志 双葉社 ★★
ビッグブラザーを撃て! 笹本稜平 光文社文庫 ★★★★
楊家将(上・下) 北方謙三 PHP ★★★

サラマンダーの夜 久間十義 角川書店 ★★
池袋の雑居ビル火災で19名が死傷。事故か?、それとも放火か?。取材する女性記者・まゆ子と、火災班捜査一係・黒田警部補がたどりついた真相は…。歌舞伎町で起きた実際の事件を思い起こすが、話は意外な展開を見せてスピーディーに進む。そして、欲深い人間たちの醜い姿を、鮮やかに描く。サクサク読めて面白いが、もっと書きこんでほしいと思う部分があっさり、もう充分と思う部分が細かかったりで、ちょっぴり不満が残る。
パーフェクト・プラン 柳原慧 宝島社
代理母で生計を立てている良江は、かつて出産した子供が虐待されているのを知って、発作的に連れ出す。そこに、かつての愛人やらその兄貴分らが集結して、ちょっと変わった誘拐事件を企てるが…。予測のつかない展開は読み手を引き込むが、軸がしっかりしていないままいろんな要素がてんこ盛りにされていて、スッキリしない。
駐在巡査 佐竹一彦 角川書店 ★★
妻のシックハウス症候群も考慮して異動申請した猪熊巡査が赴任したのは、人口600人たらずの過疎地の駐在所。しかし、めったに事件の起きない小さな村で殺人事件が…。春・夏・秋・冬の4章にわけて2時間ドラマ調に展開するストーリーは、サクサク読めて一気に読了。設定もストーリーものほほんとした感じでインパクトはないが、やくざの指紋をめぐる冬の事件は印象深い。
「子どもは勉強しろ!」
といっていい15の理由
山中恒 講談社 ★★
「勉強しろ」と言えば、「ナンバーワンよりオンリーワン」などとうまい言い逃れをする我が子を抱え、何かしらヒントを得ようと読んではみたが・・・。すでに言い尽くされているような事ばかりだし、説得力もなくて、参考にならず。なにごとも理屈で教えようと考えてしまうからダメなんで、理屈抜きで「勉強しろ」と言いつづけるしかなさそう。
捌き屋 浜田文人 徳間書店 ★★
企業間のトラブルを解消する交渉人・捌き屋として活躍する鶴谷。表の世界から裏の世界まで幅広い情報網を持ち、頭と身体をフル稼動させて、新薬開発をめぐる製薬会社の利権争いを、どうやって捌くのか…。ライバル・東山に幼馴染のヤクザ・白岩らが登場するあたりから、予測通りにストーリーが展開し、予定通りに終結するのがたまにきず。だが、そこそこ楽しめる作品。
告発封印 高任和夫 光文社 ★★
「魔の十一月」「漁色」「ピッキング異聞」「辞める理由」「専務の恋」「告発封印」の5編収載の連作短編集。どこにでもいるような働く男たちの悲哀が、情感たっぷりに描かれている人情話。とても読みやすいが、リアリティーがあるがゆえに読後の感覚はとてもむなしい。
中途採用捜査官@ネット上の密室 佐々木敏 徳間書店 ★★★★
IT企業のSEを解雇された結城と、失恋で監査法人を辞した会計士補・恵は、警視庁特別捜査官として再出発。出世の遅いキャリア・団藤の捜査チームに入り、かつて結城の所属した企業をターゲットに…。ソフトバンクOBの著者が、専門知識を持つ中途採用捜査官という制度に目をつけ、軽妙な会話でテンポよくよどみなく展開するおもしろストーリー。ベストセラー小説を仕立て上げるカラクリも興味深かったし、大久保や小寺ら脇役のキャラも笑わせてくれるしで、かなり楽しめた。
いつか白球は海へ 堂場瞬一 集英社 ★★★★
甲子園・六大学で活躍した野球エリートの海藤が選んだのは、プロではなく東北の社会人チーム・間島水産。子どもの頃に見た優勝シーンと社長直々のスカウトで入社したものの、社長が急逝し野球部存続の危機…。実にさわやかなスポーツ小説で、一気に読了。章の頭に恋人・圭子宛の手紙を持ってくる意味がわからないが、ひたむきに野球を愛する海藤の情熱が、周囲を動かしていく過程には、ぐいぐいひきこまれる。読後感はかなりいい。
黒い河 G・M・フォード 新潮文庫 ★★★
タフなハードボイルドヒーロー、フランク・コーソシリーズ第二弾。多数の死傷者を出した病院の崩壊事故は、マフィアが仕組んだ手抜き工事が原因か?。フリージャーナリストのコーソが取材中、独自に取材していた元恋人・ドアティが事故で重傷を負い、彼にも…。単純にみえて意外と複雑に展開するストーリーもいいし、コーソと彼をとりまく人物のキャラも魅力があり、かなり楽しめた。第三弾が待ち遠しい。
月の見える窓 新野剛志 双葉社 ★★
キャバクラ嬢のスカウトマン・晶彦と、同僚で義弟の健二は、幼児を残して失踪したホステス・麻衣を捜すうちに、奇妙な誘拐事件に巻き込まれて…。ちんたらちんたらと説明の多い序盤はかったるいが、無関心すぎる世間に対する怒りから事件を起こす老人が出てくるあたりからにわかに活気づく。しかしながら、どうにもつじつまの合わない展開で説得力がなく、おもしろみに欠ける。
ビッグブラザーを撃て! 笹本稜平 光文社文庫 ★★★★
ソフト開発会社に勤務する石黒が、変死を遂げる友人から預かったディスクは、クロノスと呼ばれる世界最強の暗号システム。これを狙う国際組織「ビッグブラザー」。会社員の石黒がビッグブラザーの陰謀に勇敢にも立ち向かうが…。敵か味方かもわからないなか、己の頭脳を武器に戦う石黒の活躍に目を奪われる。やっぱり笹本陵平は面白い。この処女作の存在を教えてくれた後輩に感謝。
楊家将(上・下) 北方謙三 PHP ★★★
10世紀の中国。北漢から宋に帰順した父・楊業とその7人の息子たちが繰り広げる、国をめぐる壮大な戦い。彼らに敵対するのは、白き狼と呼ばれる遼の耶律休哥。性格の異なる7人の兄弟たちをはじめとする軍人の描写もうまいし、迫真の戦闘シーンの連続に、時間を忘れて読み耽る。しかし、物足りない。終わり方が納得いかない。その後どうなったかが気になってしょうがない。続編が書かれることを願う。
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