<要旨>政治離れは自分たちの自殺行為である旨を伝えるメッセージ。Keywords = 政治,政策,政治家,絶望,報道,マスコミ
2009年07月作成
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政治に絶望しないでくれ〜「政治に対しては何の期待もできない」は誤りだ
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或るSNSの別の方の日記に、「政治に対しては何の期待もできない」というコメントがありました。実は、これは私が一番恐れていることです。
昭和の初期、国民が当時の政党政治に愛想をつかし、それが「国民世論動向面からの、日本の
先次大戦への原因の一つ
(注)」になりました。実は、政党政治の崩壊は、平和の危機なのです。
(注)原因はこれだけではありませんが。
この点では、私は政治家にもマスコミにも国民にも苛々して危機感を抱いていますが、最もアブナイと思うのはマスコミと、マスコミ経由で入ってくる情報による、「情報の歪み」です。何がアブナイかと言うと、マスコミの政治欄は、「政局」は報道しても各政治家の「政策」はあまり多くは報道していないことです。正直なところ、「政策」に関してキチンと勉強してない奴(記者)でも「政局」に関する記事は簡単に書けちゃいますが逆は難しいので、政治部の記者達には「政策」についてキチンと書く能力が無いのだろうと思います(注)。
(注)ただし、例えば政治部以外の部署所属の記者が書く欄(国際面,経済面など)では政策についの記事もありますが。
このような報道が続くと、国民には「政局」の話は伝わっても「政策」の話は伝わりません。そして、「『政局』と『政策』」とは別物であり、TVでも新聞でも政治欄では実は『政策』は報道されない」という認識を欠いたままに国民がマスコミ報道に接すると、実際の姿よりも政治家の姿は歪んだ姿で見えてきてしまいます(注1)。恐らくは、政治家不信感の発生メカニズムの背景の内の一つには、このような事情もあるのではないか、と思うのです(注2)。
(注1)ただし、TV番組の中で一部キチンと政策を追求する番組はありますし、例えば『Foresight』や『選択』のような政治経済専門誌などでキチンとした報道をする雑誌はありますが)。
(注2)原因はこれだけではありませんが。
実際には、元・
自由党政治家候補生として実際に政治家を直接身近に見た所感としては、現実の政治家には志があり、政策を考えている人の方が多いです(ライバル政党も含めて)。ところが、上述のようにマスコミは、政策は伝えても、政策を伝えてくれません。報道されるのは、おもしろおかしい「権力闘争」の話ばかりで、当事者の政策への思いは報道されません。権力闘争は手段であって目的ではないのに、手段の話ばかりしか報道されないし、政策に関する報道も、その政策で予想可能な効果について、経済学や安全保障論などの学問的基礎を基にしてキチンと分析した内容ではなく、いたずらに感情論を煽るようなスタンスの内容ばかりです。
人は感情の動物で「心はアタマに勝ってしまう」ので学術的解説を行うよりも有効な報道なのでしょうが、「それを悪用しているとしか思えない」とさえ思います。繰り返しますが、
昭和の初期、国民が当時の政党政治に愛想をつかし、それが「国民世論動向面からの、日本の
先次大戦への原因の一つ」になりました。
それ故、私は皆様にお願いしたいと思います。個別の各政治家のHPや政策ビラを自分の眼で見ていただきたい。自分のアタマで考えること抜きに、「報道されているイメージ」で期待感を気分的に無くすようなことは、避けていただきたい。その上で、自分が賛同可能な政策を唱えている候補者を自分のアタマで選んでいただきたい。
ただし、この点からは、多くの皆様が感じているのとは別の理由で2点、私は政治家にも腹が立っています。
1点目は、地方議会選挙で皆、所属政党を隠して無所属で立候補している点です。上述のような
昭和の初めの歴史を教訓とするならば、たとえ国民世論が政党に愛想を尽かしていたとしても、政党政治の終焉は戦争への道になるという危機感を抱くべきであり、であれば、地方議会の候補者が行うべきことは「所属政党隠し」ではなく「政党政治の再建」を行うべきだと私は思います。ただし、「ヒトは『べき論』では動かない(この場合、「ヒト」は地方政治家)」ので、ここで怒っているだけではこのような地方議員の態度は改まりません。故に、政治家に上述のような「日和って所属政党を隠す態度」を採らせないようにするためにも、我々は個別の政治家に「俺はちゃんと政策を見て評価してるんだぞ」という姿勢を伝えることが必要だと思います。そのためにも、私は皆様に、自分の居住地域の政治家のHPや政策ビラを見た上で、その上で自分が賛同可能な政治家に投票していただきたい、と思うのです。
政治家に腹が立っている点の2点目は、政策科学に属する学問、特に私にもよく分かる自分の専門分野で申せば、理論経済学と外交・安全保障論に関しての学問的基礎の浅さです。この点について、詳しく解説します。
政治家は「政策を考えていない(=国のことを考えていない)」旨は実は虚像で誤りだと上述しました。さらに申せば、実は現実の政治家は実はよく勉強しており、志も高い場合が多いです。ですが、問題は、その勉強の中身だと思うのです。学問的基礎があやふやなまま、なまじ問題意識や志だけ高いので、「『個別の事象』を勉強することはできても、(社会科学の)科学的仮説モデル(法則)に基づいて発生メカニズムを分析して、法則に則して影響をシミュレーションしながら政策立案を行う」能力が欠けている場合が散見されるのです(注)。個別事象を学問的基礎抜きに見るだけですので、「単なる条件反射」的な政策が出て来る場合が多いと思います。
(注)ただし、全員ではありませんし、余程優秀な奴でも全分野はムリなので、個別分野だけでもキチンとできる政治家も多いですが。
ところが、特に経済政策と外交・安全保障政策の場合、法則(科学的仮説モデル)に基づく因果関係が複雑だったり、その結果、感覚的な直感とは矛盾する結果になったりする場合が多いので、「学問的基礎を欠いた奴が条件反射的に政策立案する」と、実は極めてリスキーだと思うのです。この点が、私が感じている苛立ちです。
上述のような「『政局』は報道しても『政策』は報道されない」ため、人々は「政治家は政策のことは考えていない」と誤解しがちですが、繰り返しますがそのイメージは事実ではありません。しかし、「マトモな政策」立案能力を欠いたまま、なまじ志だけが高くて素人判断的な政策ばかり考える政治家が多い・・・この点が問題だと思うのです。
この観点からも、私は皆様には、自分のアタマで各候補者の政策を吟味する評価眼を養っていただきたい、と思います。政治家を選ぶのは私たち国民であり、上述のような政治家の学問的基礎の浅さは、つきつめて考えれば国民の政策評価能力という課題でもあります。上述で私は「自分のアタマで選んでいただきたい」と述べましたが、「アタマで」と敢えて付け加えたのは、このような意図があります。「感情でしっくりハマる」政策に「気分的に反応する」のではなく、有権者1人1人にキチンと評価眼を身に付けていただきたいのです。
もっとも、「ヒトは『べき論』では動かない」ので、ハッキリ言ってムリなことだとは分かっております・・・皆様とは別の意味で、思わず私は絶望的になってしまいますが。
ですが、民主主義は、意志決定手続きの正統性を保証するものではあっても、意志決定内容の妥当性を保証するものではありません。民主主義を衆愚政治に陥らせないようにするためには、私たち1人1人がキチンとした政策評価眼を身に付けることが必要だと思うのです。でないと、民主主義なんて、いとも簡単にアッサリと衆愚政治に墜ちてしまいます。ですから、ムリを承知で敢えてお願いしたい。政策評価眼をキチンと身に付けた上で、各位が自分のアタマで考えて投票するべき政治家を選んでいただきたい、と。
そのためには、皆様には、「余り報道されていない事実」にも目を向けていただきたいと思います。政治家の資質で申せば、例えば、ライバル政党の政治家ながら塩爺こと
塩川正十郎は政界でも有数の勉強家で、わざわざ金を払ってでも学識専門家を呼んで話を聴いていたなどという「マジメな取り組み」の話は余りマスコミでは報道されていません。逆に、国会議員ならば行うべき「朝の勉強会」を某○○代議士は行わず不勉強なのに、その不勉強ぶりがマスコミで余り多くは報道されていないので世論で人気が高かったりいたします。また、政策判断の背景としては、例えば○○国の過剰な軍備増強は、TV・新聞メディアでは報道されないか、報道頻度・印象が過小報道です。
(注)全く報道がゼロゼロか否かは存じ上げませんが、少なくとも多くはありません。
また、「理論的基礎」のためには、例えば『
経済セミナー』等の「或る学問を学ぶ雑誌」に、「理論を用いて現実をどう分析するか」のヒントがよく載っていますので、「覚える」のではなく「考える(=それを使って分析できるようになる)」ようになるのにはお薦めだと思います。教科書的には、絶版になってしまった本も含めれば、以下のような本で「考え方」のヒントが載っていると思います。
○ 経済政策に関して
・ 辻村江太郎『経済政策論 第2版』(筑摩書房,1977)
○ 経済学における実証科学としてのモデル・ビルディングの方法について
○ 国際経済学・貿易政策の基礎
○ 地域産業振興に関して
○ 国際政治学・安全保障政策に関して
○ 国際政治学・安全保障論分析眼に必要な歴史教養、一次資料、その他等
・ 東洋,東西,国内,国外問わず、ありとあらゆる
歴史の本。
この他、不肖、拙文や拙訳本(共訳)にはなり恐縮ですが、理論的基礎を踏まえた上でどう考えるべきかという見地からは、以下の拙文をご参照いただけます。
○ 地域産業振興や地域活性化,科学技術政策のためであれば、
□ 近年の
私の研究業績中、地域産業振興に関するもの(含む「地域のマーケティング」)
□ 拙大学院修士課程時代のレポートの内、
○ マクロ経済成長については
○ 外交・安全保障政策の基本であれば、
□ 拙大学院修士課程時代のレポートの内、
等が、参考になると思います。
<要旨>政治離れは自分たちの自殺行為である旨を伝えるメッセージ。Keywords = 政治,政策,政治家,絶望,報道,マスコミ