■ 第47回全国大会予稿集(OA学会誌『オフィス・オートメーション』)
OA学会全国大会で発表した、音楽サイトのWEBマーケティング戦略における情報デザインの研究報告第2弾です。 : keywords = eマーケティング,WEBマーケティング,音楽配信,試聴,マーケティング,eミュージック
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eミュージックにおけるチャネルアンド
メディアミックス志向の情報デザインの実験 II
An Experiment of the Channel and Media Mix Oriented
Design of Information for E-Music II
1.はじめに
筆者は,「eコマース・サイトでは,オペレーション・フローでクリック回数増加に応じて来訪客が面倒臭さ故に操作を止めるてしまい,販売にまで到達しなくなる」という通念について,拙稿(2003)でTrade Winds musicレーベル所属の筆者のロックバンド・
STATISTICSの公式WEBサイトでの「
試聴画面から
CD購入案内画面経由での
CD注文票画面までの到達率」の画面を追う毎の減少状況で実証的に観察した.しかし,拙稿(2003)は,「単に,到達率が100%ではないため画面が増えれば乗数的に到達率が下がると言っているに過ぎない」というコメントを前回全国大会での拙稿(2003)報告時にいただいた.そこで本稿では,「
試聴画面から『顧客誘導目的画面である
CD注文票画面』への1クリック画面移動」が可能となるようにWEBサイトのオペレーション・フローを変更して,「2クリックを要する画面移動設計」であった拙稿(2003)の計測結果と比較することにより,「クリック数の差による最終顧客誘導目的画面到達率の差」について検証する.なお,本稿では最終的に顧客を誘導したい画面のことを最終顧客誘導目的画面と名付け,また,ホームページをHPと略称する.
上述した本稿の目的のさらに先を俯瞰する目的は,eコマースのためのオペレーション・フロー上のより良き情報デザインの探求である.さらにその背景にある実用志向上の大目的は,新製品開発型の新規ベンチャー企業が小売市場で直面する,知名度不足や販売網未整備による問題を,HP上での「つかみ」から小売店舗まで案内するというチャネルアンドメディアミックス型マーケティング・アプローチでの克服可能性の追求である.また,先験的にも当然と思える説の検証を敢えて行うことの研究上の意義は,観念論や憶測や思い込みではなく実証的な検証を行う点にある.
観察対象としては,先述の
STATISTICSの公式WEBサイトを用いた.自ら運営するサイトを用いた理由は,「通常は企業機密であって公開されていない,画面毎のアクセス数や画面間移動到達率の実測値」が得られるという実験計画上のメリットがあるためである.なお,
STATISTICS Official WEB Pageには200アクセス/日以上,2003年7月現在累計17万アクセスのアクセスがあるため,アクセス向上に関する本稿での実験目的以前の課題は既に解決済みである.
なお本稿は余暇時間を用いた私的研究であり,筆者所属の企業,レーベル,バンド他全ての筆者関係組織や個人は本稿の内容に関して免責である.
3.実験計画
(1) x=(a×b)+c
で算出した.また,2002年11月19日から同年12月31日までの43日間(n=43)で計測して拙稿(2003)で報告した「2クリック」設計時の
注文票画面総合誘導率x
oldと,「割合の差の検定」を用いて比較した.x
oldの「2クリック」設計は,(1)式の上では「c=0」となるケースである.アクセス数及び誘導元情報の取得は,各画面毎にCGIレンタル・サービスの
ACR WEB( http://www.ziyu.net/ ,2003年7月6日参照)のアクセス解析Ver. 3.5を用いて計測した.
4.実証分析結果
前節の実験計画に基づく実証分析結果を示したのが図表2である.観測期間における
音楽配信画面の総アクセス数は14,443アクセス(157アクセス/日)であり,
CD購入案内画面アクセス数は2,911アクセス(31.6アクセス/日),その内で
音楽配信画面からのアクセス数は543アクセス(5.9アクセス/日)であった.
注文票画面へのアクセス数は120アクセス(1.3アクセス/日)で,この内,
CD購入案内画面からのアクセス数は72アクセス(0.8アクセス/日),
音楽配信画面からの直接的なアクセス数は30アクセス(0.3アクセス/日)であった.
誘導率を見てみると,
音楽配信画面から
CD購入案内画面への誘導率aは3.76%,
CD購入案内画面から
注文票画面への誘導率bは2.47%,
音楽配信画面からの注文票画面への直接の誘導率cは0.21%であり,この結果,(1)式の
音楽配信画面からの注文票画面総合誘導率xは0.30%であった.このxの有意水準95%での信頼区間は0.21%〜 0.39%であった.これが「1クリック」化した結果であり,拙稿(2003)で報告した「(1)式でc=0」の場合である「2クリック」設計時にはxは0.13%であった.
ここで,この「1クリックも可能方式」0.30%と「2クリック方式」0.13%との差−0.17%が統計的に優位な差であるかを検証するべく,図表3のとおり割合の差の検定を行ってみた.想定する仮説は,2クリック方式の方が最終顧客誘導目的画面への誘導率が高いというものであるため,片側検定になる.片側検定における割合の差の棄却臨界値は,有意水準95%で−0.10%であり、有意水準99%で−0.15%であるため、この差は有意水準が95%でも99%でも統計的に有意な差であることが分かる.したがって,「最終顧客誘導目的画面への誘導率は,到達までに必要なクリック回数を減らせば上がる」という仮説は棄却されずに残る旨が観察された.
5.まとめと今後の課題
本稿では,e-musicのHPにおいて,チャネルアンドメディアミックス・マーケティングに基づき,「『つかみ』としての試聴可能な
音楽配信画面」から「最終顧客誘導目的画面としての『印字して
店頭に持って行けばCDの注文が可能な』
注文票画面」への誘導率に関して,前回の拙稿でのHP情報デザインである「2クリック画面間移動」設計時と今回新たに再編した「1クリックも可能な画面移動」設計とで統計的に有意な差があるか否かを検証した.検証結果については統計的に有意な差を検証し,巷間の俗説である「HPの顧客はクリック数が多くなる程途中で面倒臭くなって最終顧客誘導目的画面に到達してくれなくなる」旨が反証されずに残る結果となった.
今後の課題としては,最終顧客誘導目的画面への誘導率が上がってもCDが売れていない現状は音楽ビジネスとしては失敗であるため,ビジネスモデルとしての活動内容に踏み込んでの改革を模索する点が挙げられる.音楽ビジネスは顧客の心をつかんで初めて成立するものであるため,「ときめきとの出会い」の機会をいかに創出するか,という方法を,リアルスペースでの活動も含めて模索していく必要がある.
参考文献,参考サイトならびに参考情報
OA学会全国大会で発表した、音楽サイトのWEBマーケティング戦略における情報デザインの研究報告です。 : keywords = eマーケティング,WEBマーケティング,音楽配信,試聴,マーケティング,eミュージック