『短歌21世紀』若手歌人(現在は退会)・鞍良ひな子氏の歌に対する歌評です。 : Keywords = 短歌21世紀,ウィング21,歌評,鞍良,ひな子
短歌21世紀ウィング21 旬歌旬彩
鞍良 ひな子 歌評
樹の色の水を湛へて馬の目は鳥の自由を羨(とも)しめざらむ
この歌はアララギ的視点からは、馬の気持ちは推測でしか分からないので写生では無いという批判を招くものであろう。しかし鞍良詠の特徴は、素材を通じて独特の抒情世界を醸し出す点にあるので、ここでは敢えてこの抒情を是として鑑賞してみたい。つまり作者は、馬自体を写生しているのではなく、馬という素材を通じて作者の思いを述べているのではないかと思う。馬の目に反射している樹の間から鳥が飛んだ時に、人を乗せることを強いられている馬の気持ちを思い、自由への思いを馬に代弁させたのではないだろうか。
私の乗馬の体験では騎上では馬の目は見えないので、これは下馬して馬を愛撫している時か、さもなくば引き馬をしている時の情景なのだろう。写生性の有無よりも、一首に込められた独特の鞍良ワールドの暖かさを是としたくなる、心暖まる歌だと思う。
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