keyword = 短歌,短歌21世紀,アララギ,出会い,父,歌道鍛錬
私と短歌の出会い〜父の背中を追いかけて〜
私は、『新炎』歌人の父、神山基の影響で短歌を始めた。父は、持統天皇の
春過ぎて夏来るらし白妙の衣ほしたり天の香具山 [二八]
の歌が百人一首で改悪されていることを、子供の頃の私に教えてくれた。今思えばこれが万葉集に接した最初であり、父のおかげで、短歌のほか詩や音楽や絵画など芸術が物心ついた時には身近だった。
多感な思春期になると、額田王の
あかねさす紫野行き標野行き野守は見ずや君が袖振る [二〇]
に憧れるというお決まりのコースをたどった。大学の一般教養では万葉集の講義で、多くの歌に出会うことができた。実作を始めたのは高校の頃である。当初は勝手に作っていたがまるで駄目であり、やがて自己流では成長しないことに気づいた。実際、パソコン通信などに出した拙歌は人前に出せない低水準のものであり、「結社で鍛えて貰え」と父からも言われた。自ら教えてはくれない父の厳しさと、五味保義先生の講義を短大で受けた母の影響とのため、自分でアララギを選び、歌道鍛錬に励むことに決めた。
極めて高い教養と人格の持ち主である父が、私を武家の嫡男として芸術以外にも人生や学問全般に渡って導いてくれたことが、我がノブレス・オブリージュの原点となった。父の分析力は鋭く、例えば、ベトナムのボート・ピープルが華僑である旨は当初一、二年間報道されなかったが、「これは華僑だぜ」と見抜いていた。この偉大な父の背中を追いかけている内に短歌を好きになったのである。現役時代には欠詠していた父も気象庁退官後は作歌を再開したので、今後も共に自己を鍛えながら、短歌界の親子鷹として高く雄々しく羽ばたいていきたい。
keyword = 短歌,短歌21世紀,アララギ,出会い,父,歌道鍛錬