猫の居る風景 


猫の夢

猫も夢を見てるのでしょうか? 私の答えは「イエス」です。 猫だって、時折手足を小刻みに痙攣させたり、或る時は「ンニャニャニャ〜」なんて可愛い寝言も言うんですよね。 猫は1日の大半を寝て過します。これって赤ちゃんと同じなんですね。草叢に身を潜めて鼻をクンクンいわせていたり、花に寄ってきた蝶を追いかけたり、苦手な奴と行き会って睨みあいをしたり、可愛い娘に愛を囁いたり・・きっとそんな夢を見ているんですね。猫も人間の赤ちゃんも多くの睡眠の時間の中で、どこか現実を離れた霊的な世界とでもいうような所で生きてるような気がします。猫と暮らした人なら誰でも感じることだと思うのですが、猫の佇む様子にはどこかしら俗世を離れ、物質的なこの世の瑣末な出来事に煩わされることなく霊的な世界に生きる隠者の姿を重ね合わせる事が出来ます。じっと身動きせずに佇む後ろ姿は、まさに哲学してる隠者のようではありませんか。猫は意識という束縛から解放された自由な時間を夢の中で過ごし、透明な想像の世界を旅する者なんですね。

拗ねる猫

長いこと留守にしたり、毎日構ってあげずに出かけたりすると、猫って机の下にいたりしてソッポを向いているんですよね。幾ら名前を呼んでも耳だけ動かして振り向きもしない・・・。これって、自分に無断で出かけて放って置かれた事に不快感を示して怒ってる証拠! わざとトイレの横で用を足したりしていることもあります。 大好きな家族が帰ってきて本当はホッとしてるのに、ちょっと拗ねてる姿なんですね。この様子がまた愛しさ倍増なんですが「ご免ねぇ○○ちゃん、さみちかった?」なんてむりやり抱っこしてご機嫌をとると、最初は顔をそむけて眼をあわせようとしないけど、しぶしぶお愛想の「にゃ」なんて返事をしてくれてね。我が家のカム君は、着換えてる私の脚を得意技で噛み噛み攻撃してくるし、パソコンをしてると腕を噛むんですね。これ、構って欲しいサイン。さっきまで拗ねていたのにね。

上野界隈の猫

至るところに野良ちゃん達は住んでいます。渋谷の公園通りの猫達も写真集になったりしていますが、上野周辺でも猫は人間と共存しています。上野恩賜公園・不忍池辺りの野良ちゃん達は身体つきこそ小振りですが、色艶がとっても良いので驚きます。きっと、常に人の出入りが多くご飯をきちんと食べられているのでしょう。声をかけると懐っこく近寄ってくる猫ちゃん達は飼い猫よりも案外幸せなのかなとも思います。だって、広大な自然のなかで食事に困ることも無く、のんびりマイペースで生きてるんですものね。路上生活者のテントの傍にも餌置き場があって、首輪をかけてもらってる猫ちゃんを見るのですが、なんだかこうした光景は心が温まります。どんな時でも人間って愛情を注ぐ対象が必要なんだなと思えるからです。近くの湯島にも飲食店の路地裏には沢山の野良ちゃん達が集まってきています。常に居着いてるのでのんびりしてる子もいれば、余所から流れてきたばかりなのか、肩身が狭そうに遠慮がちにご飯を貰ってる子もいて、それぞれの立場というか、猫社会の有様が想像されてくるのです。我が家の庭先に来る野良ちゃんの中にはご飯を入れたトレーを置くか置かないかするうちに凄まじい勢いでパクツキ、取られない様にと私の手を引っ掻く猫ちゃんもいました。こうした、その日ありつけるご飯には目の色を変えるくらい我先になってしまうのは野良ちゃんなら当たり前で、引っ掻かれても怒る気にはなれないものです。いづれにしても東京下町の野良ちゃん達は強く逞しく生きています。何時何処で会ってもご飯をあげれるようにバックにドライフードを持ち歩かなくてはね。

猫の縄張り

庭先にご飯を食べに来る野良ちゃん達は多い時で9匹いました。なかでも茶トラのオス権ちゃんは身体も一際大きく一番強そうで、他の猫がいると追い払ってしまうほどシマを仕切っているボス猫でした。一番最後に食べにやってくるようになった白黒の若いオス猫は特に目の敵のように追い払われてコテンパンにやっつけられてしまったものでした。この若い白黒君がきた時は、私のほうが「権ちゃんが来ませんように」と心で念じながら少しでも沢山ご飯を食べさせたいなと思ったものです。猫には猫たちの力関係があって、人間にはどうすることも出来ません。この権ちゃんは、どの猫たちよりも一番長く9年間我が家にご飯を食べに来ましたが、時の流れは否応も無く、やがては権ちゃんも老猫になった時、若手のオス猫とにらみ合いの末、屈服しシマでの地位を失ったのでした。でも、我が家の庭先だけは何時でもくつろげる場所だったことでしょう。木蓮の木の根元で5月の快い風に吹かれながら、思いっきり伸びをしては うたた寝をしていた権ちゃんの姿が今でも目に浮かびます。

鳥の羽?!

或る日、買い物から帰ると1階の和室の網戸が少し開いていました。「しまった!」家の中だけで飼っているのに、うっかり窓を閉め忘れて出かけてしまったのでした。戸を閉めて数歩キッチンへ戻りかけた私の視線にフワフワしたものが映りました。近づいて見ると、どうも鳥の羽のような・・・いえいえ、間違いなく鳥の羽です。よく見ると羽が数枚、床に散らばっているではありませんか。「・・・・すずめ?!」「うっ!」思わず絶句する私。あぁ〜カム君なのか、キキちゃんなのか定かではありませんが、やっぱり狩猟本能の為せる技かな!でも昨今はネズミも駆逐されて猫のお役目が薄れてきているけれど、野生の本能が残っているという証拠だなと考えると褒めてやりたいようにも思えます。澄まして寝ている顔を覗き込んで思わずニッコリしてしまったのでした。

母猫の気持ち

家の庭先に、度々ご飯を食べにきていたペルシャのハーフ黒ちゃんが、或る日、子猫2匹を引連れた茶トラの猫を招待して来ました。子猫達は母猫の傍で無邪気にじゃれ合い、何とも可愛く微笑ましい光景です。家猫のカム君とキキちゃんと私は幸せそうな親子の姿を窓越しに何時までも飽きずに眺めていました。カム君もキキちゃんも私の元に来た時は一人っきりだったんですから親子の姿は何故だか幸福を絵に描いたような優しい光景に思われました。私は親子の為に縁側に何時もたっぷりの水とご飯を用意してあげました。そんな日々が10日も続い頃、台風がやって来ました。私は庭先の親子猫の為にダンボールをビニールで覆い雨が吹き込まないように庇の内側に出入り口をつけて置いておきました。はじめ用心深く様子を伺っていた母猫がやがて思い切ったように子猫を箱の中に導き、お乳を上げ始めたので私もホッとしました。すると窓越しにジッと見守っていた私と母猫の視線がかち合いました。暫らく私の顔をジッと見ていた母猫の表情に感謝の気持ちが浮かんでいたのを、私ははっきり感じ取ることが出来ました。家の庭先で一組の親子猫が平和に満ちた時間を過してくれることが私にはとっても嬉しいことだったのです。ところが数日後、何気なく庭を見ていたら家の前の畑の方に親猫が歩いて行き、その後を子猫たちが付いて行くのを、親猫が何度も振り返りながら「ついてくるな」という風に威嚇して追い返しているではありませんか。やがて子猫達はすごすごと家の軒先に帰ってきました。そのとき、私は母猫は暫らくしたら戻るものと思っていたのですが、2日経ち3日経っても、そのまま母猫は遂に帰っては来ませんでした。後から思うと、あの母猫は少しお腹が大きかったので、また出産を控えていたのでしょう。きっとあの台風の日、濡れないように心を砕いた私を母猫が見込んでくれて、安心して子猫を託して去ったのだなと思えたのでした。何故かしら母猫に任されたという責任感からか、その母猫の信頼に応えなければと、子猫たちが逞しく成長するまで庭先で育て続けました。2匹の子猫はその半年後、知り合いの家で飼ってくれるというので貰われていきました。今も兄妹仲良く元気に暮らしてくれてるかなと懐かしく思い返しています。

猫の匂い

猫のお腹って体毛が一番柔らかくてフワフワしていまよね?!まるで綿毛のようにふんわりしていて、とっても触り心地が良いんです。そのふんわりした豊かな体毛の中に顔を埋めると春の日向の匂いがします。あれは、猫がいつも陽の当たる居心地の良い場所で日がな一日お昼寝しているからなのかしら?だから、猫が甘えて傍に寄ってきたとき、本当はお腹を撫でてあげている此方のほうが癒されているんですよね。おいでって言っても、そんな気分じゃない時は見向きもしてくれない猫が膝のうえに乗ってきてくれると、もう嬉しくってたまらないものです。こんな時、つくづく猫派というのは、猫に奉仕することを無上の喜びと出来る人種なんだなって思います。そう・・・まるで焦がれる異性にひたすら尽くすようなものですね。

肉球の魔力

猫好きが何故、犬じゃなくって猫なのかと考えるとき私は猫の肉球の感触があまりにも素晴らしいからだ!と強く思うのです。だって、あの柔らかく、だけども充分な弾力が有ってムニュムニュッとした肉球って本当にたまりませんよね?あまりの可愛さにムギュ〜ッと抱きしめるでしょう?そうすると「やめてよ〜何するのよ〜!」って迷惑そうな顔をしてソッポを向きながら、キスしようと近づける私の顔に猫の抵抗の手が伸びる!けれども、その柔らかく暖かな肉球が頬に当たると、その感触がまた嬉しくって更に無理やり嫌がる猫にチュッチュ攻撃をしかけるという情況!!この肉球が硬かったら、あんなに人間の心をとろけさせることはなかったのではないかと思います。我が家のおっとりオスのかむ君は、何時もより朝寝坊をしている休日など私の枕元に佇みながら、そっとあの柔らかな肉球を鼻に押し当て「ご飯の時間じゃない?起きても良いんじゃない?」って遠慮がちに促すんですよ。もうあまりの可愛さに暫らくは寝たふりをしながら薄目をあけて途方にくれたような様子を眺めているんです。でも、人間が一人一人性格が違うようにメスのキキちゃんはカム君とは対象的です。私の髪の毛を噛んでひっぱり、甲高く鳴いて「早くたべさせなさいよぉ〜!」というように叩き起こすんです。これではうかうか浅き夢の余韻に浸っていることも出来ません。本当に誰に似てこんな気短で我侭な猫ちゃんなんでしょう?

綺麗好き

猫は綺麗好きだっていいますよね。洗濯物を取り込んだとき傍に寄って来ては山になった所にさっさと寝そべってしまいます。あぁ〜もぉ〜折角の洗いたてのタオルが・・シャツが・・・とは思うものの、こうなってはお手上げです!だって、フカフカの洗濯物の山の上で気持ち良さそうな伸びをされたらねぇ〜? 満足そうな顔を見てると「どけ〜!」とは言えなくなります!「太陽の匂いが好きなんでしょう?好きなだけ居て良いよ」って観念するしかないんですよね。そうそう、乗ると言えば猫って人の上に乗ったり寄りかかったりが大好きですよね。朝、何だか苦しくて眼が覚めると胸の上に乗ってこちらの顔を覗き込んでいたりします。流石にそんな時は6キロ以上もあると苦しくて窒息しそうなので丁重に移動願いますけどね!




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