電源ユニット(電源ボックス)の最重要ポイントは、この総出力です!
要するに「どれだけ電気を送れるか」ですね。
これは「W(ワット)」という単位で表され、単純にこれが大きいほど多くの電力を供給出来ます。
例えば「500W」の電源ユニットなら、そのパソコンの全てのパーツの電力の合計が 500W 以内でないと、電力を供給しきれなくなります。
オーバーしてしまった場合、電力の供給が安定しなくなり、使用中に「プツン」と切れたりします。
また 500W 以内であっても、それがギリギリであった場合、パーツへの電力供給が不安定になって、動作に悪影響が出る要因になります。
パソコンの消費電力は使用状況によって増減しますから、負荷が高くなった時に一時的に消費電力が増える事もあります。
総出力にはある程度の余裕が必要だと思いましょう。
もし電源ユニットの総出力以上の電気をパソコンが使っている状態(オーバーロード)が続くと・・・
電源ユニットやパソコンが壊れる要因になり、最悪、焦げたり燃えたりする事もあります!
まあ実際には電源ユニットの中に「ヒューズ」があって、過負荷の時はこれが切れて動かなくなるし、マザーボードにも安全装置が付いていて電力が異常な状態になっていると電源が勝手に切れるので、こういう事は普通はありません。
(つまり電力不足でプツンと切れるのは、安全装置が働くためです)
とにかく電源ユニットの総出力が足りないと、パソコンが急に止まる場合があるというのは覚えておきましょう。
どれだけ総出力があればいいかと言うのは、ちょっと難しい話です・・・
例えば、最近の CPU やビデオカードの消費電力(の目安)は以下の様になっています。
| 【 近年の CPU と グラフィックカード(ビデオカード)の「TDP(熱設計電力)」 】 |
| CPU の種類 |
TDP |
| Core i7 900 型 |
130W |
| Core i7 870/860 |
95W |
| Core i7 860 S(省電力型) |
82W |
| Core i5 / Core i3 |
73〜95W |
| Core 2 Quad |
95W |
| Core 2 Duo |
65W |
| Phenom II X4 965 |
125〜140W |
| Phenom II |
80〜95W |
| Atom |
4〜13W |
|
|
| グラフィックカードの種類 |
TDP |
| GeForce GTX 285 |
180W |
| RADEON HD 5870 |
190W |
| GeForce GTX 260/275 |
200W |
| GeForce GTS 250 |
150W |
| GeForce 9800 |
150W |
| RADEON HD 5770 |
110W |
| GeForce GT 220 |
100W |
| GeForce 9600 |
70W |
| GeForce 8400GS |
40W |
|
ここで表記している「TDP」という数値は「どれだけ熱を発するか」の表示であって、正確には消費電力ではありません。
でも実際の「最大消費電力」は、この TDP より少し多いぐらいだと考えておけば目安になるでしょう。
(例えば TDP 100W なら、最大消費電力は 130W ぐらいだと考えておけばいいでしょう)
(なお、あくまで「最大消費電力」であって、普段使用している時の消費電力はもっと低めになります)
新型のものほど電気効率が良くなっていますが、基本的には性能が高いほど、消費電力は高くなります。
もちろん CPU とビデオカード以外のパーツも電気を使いますから、パソコン全体の消費電力はもっと多くなります。
ただ、この2つが特に消費電力が多いので、使用している CPU とビデオカードに合わせて電源ユニットを選ぶのが一般的ですね。
例えば CPU が 100W、ビデオカードが 200W なら、電源は 500W 以上にするのが目安です。
電源ユニットとしては、総出力が高いものほど高性能だと言えますね。
最近注目されているのが、この「変換効率」です。
電源ユニット(電源ボックス)は、正確には「コンセントから来る電気をパソコンの各パーツが使用できる電気に変換するもの」です。
しかしこの変換の際に、電力をある程度「ロス」してしまいます。
変換効率とは、どれだけロスせずに電気を変換できるかを表す性能です。
以前の電源ユニットは、この変換効率は 70% 以下が普通でした。
これだとコンセントから 100W の電気が来ていても、実際に使えるのは 70W 以下で、30W 以上の電気は無駄になっていた訳です。
しかし省エネとエコの観点から「80PLUS認証」というものが行われ始め、2009 年頃から一般的になりました。
これは「電源ユニットの変換効率が 80% 以上である事のあかし」で、以下の4つの種類があります。
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80 PLUS (STANDARD)
変換効率が 80% 以上。 |
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80PLUS BRONZE
変換効率が 82% 以上、負荷が 50% の時は 85% 以上。 |
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80PLUS SILVER
変換効率が 85% 以上、負荷が 50% の時は 88% 以上。 |
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80PLUS GOLD
変換効率が 87% 以上、負荷が 50% の時に 90% 以上。 |
「金」「銀」「銅」「普通」があって、上のものほど電気のロスが少なく、省エネな訳ですね。
実際には 80PLUS 認証を受けるには他にも多くの条件を満たす必要があるのですが、とにかくこの認証を受けていれば高い効率の電源である事がわかります。
ただ、SILVER や GOLD の条件はかなり厳しいもののようで、現在 80PLUS SILVER の認証を受けている電源ユニットは高価で数も少なく、80PLUS GOLD 認証を受けている市販の製品はほとんどありません。
この 80PLUS 認証を受けるには手続きなども必要になるため、変換効率が高くても認証を受けていない製品も存在します。
でも購入する側としては、やはり 80PLUS 認証を受けている製品のほうが安心できますね。
変換効率が高いことは消費電力を減らせるだけでなく、発熱を抑え、冷却に必要なパワーや騒音を減らし、電源ユニットの負荷も軽減できるメリットがあります。 変換の際にロスした電力は、そのまま「熱」になるからです。
もちろん電源ユニットとしては、高いランクの 80PLUS 認証を受けている方が高性能と言えます。
ちなみにパソコンの消費電力が 150W として、変換効率が 10% 改善されると 15W の省エネになります。
電気代は1時間 1000W で 25 円が目安なので、1時間で 0.375 円の節約。
1日5時間パソコンを使うと、年間で約 684 円の節約となります。
もちろんパソコンの使用時間や消費電力が多ければ、さらに節約できる量は大きくなりますね。
パソコンの消費電力が上がり、電源ユニットもどんどん高出力になっていったことで・・・
必然的に「信頼性」の問題が生じるようになって来ました。
高い電力を送ると言う事は、熱も負荷も生じますから、部品が壊れやすくなり寿命も短くなってしまうのです。
もし電源ユニットの内部の部品が劣化すると、出力が徐々に落ちていきます。
もし出力が大きく低下して電力供給が足りなくなると、パソコンの動作も不安定になります。
そのため「電源ユニットは消耗品」とも言われています。

電源ユニットの信頼性や寿命を事前に計ることは難しいのですが・・・
「コンデンサ(定格コンデンサ、電解コンデンサ)」という部品にどのようなものを使っているかが、1つの目安になります。
このコンデンサは他の部品よりも壊れやすく、寿命も短めなので、その品質が電源ユニットの寿命をほぼ決めているからです。
近年の電源ユニットに使われているコンデンサには「85℃コンデンサ」と「105℃コンデンサ」の2種類があり、105℃コンデンサの方が 85℃ より4倍寿命が長く、信頼性も高いと言われています。
そのぶん価格も高いのですが、良いものを選びたいなら「105℃コンデンサ使用」と明記してあるものを使いたいですね。
また、日本製のコンデンサは他国製のコンデンサよりも信頼性が大きく勝ると言われていて、実際にコンデンサのトラブルの大半は他国製のもので発生しているようです。
よって一番良いのは「日本製105℃定格(電解)コンデンサ使用」と明記してある製品、という事になりますね。
まあ品質の良いものは、お値段も高くなりますが・・・
保証期間が長い製品も、信頼性の高さの目安になります。
3年や5年などの長期保証をうたっている製品なら、安心感がありますね。
電源ユニット(電源ボックス)は中に色々な部品が入っているので、パソコンのパーツとしてはかなり大きいものです。
だからパソコンの本体(ケース)のサイズに合ったものを使う必要がありますね。
電源の大きさは「ATX 電源」と「Micro ATX 電源」の2種類が一般的です。
ATX 電源は普通のサイズのパソコン用、Micro ATX(マイクロATX)電源は小型サイズのパソコン用です。
Micro ATX 電源は「SFX 電源」とも呼ばれます。
さらに「スリムサイズ」や「ブックサイズ」と呼ばれる省スペース型パソコン用の「Flex ATX」や「TFX」という大きさの規格もあります。
ただ、これらの規格の電源は単体ではあまり売られていません。
基本的に高出力の電源ユニットは、サイズも大きいのが普通です。
そのため「パソコンが大きい=高出力の電源ユニットが使える=パソコンを高性能に出来る」という図式になります。
電源ユニットのサイズが小さいほど、部品や設計の問題で、出力が低めで価格は高くなります。
小型サイズのパソコンの性能に限界があるのは、高出力の電源を搭載しづらいのも大きな要因です。
電源ユニットを交換する場合、パソコンのケースの大きさが ATX 規格である場合は、当然電源ユニットも ATX 規格のものを使うことになります。
規格が合っていれば、問題なく電源ユニットはケースの中に入るはずですが・・・
ただ小型サイズの規格の場合、パソコンのケースのサイズがまちまちで、電源ユニットの大きさにも差があったりします。
小型のパソコンだと内部が入り組んでいたりメーカー独自の設計になっている場合もあるので、事前に寸法を測り、いま付いている電源のサイズを確認してから選択した方が無難です。
電源ユニットの寸法は必ず明記されていますので、もし交換などをする場合はよく確認しておきましょう。
これは電源ユニットの一般的な性能ではあるのですが・・・
難しくなりすぎるし、初心者の方がここまで気にする必要はないので、参考程度にして下さい。
電源ユニットが送れる電気の量は「総出力」で表される訳ですが、実はパーツごとに使用している電気の種類(電圧)が違う場合があります。
そして電源ユニットにも、「総出力は 500W だけど、この系統(電圧)の電気は 150W までしか送れませんよ」みたいな制限があったりします。
これが「系統ごとの最大出力」です。
この系統(電圧の種類)には +3.3V、+5V、+12V、+5VSB などの種類がありますが、+3.3V と +5V はほぼマザーボードのみが使用し、+5VSB は俗に言う「待機電力」に使うものです。
-12V や -5V というものもありますが、現在はほとんど使用されていません。
よって単純に「+12V が各種のパーツで使われる電気で、他のものはパソコン本体(マザーボード)用」という考えで構いません。
これらは性能表などに以下のような感じで表記されています。
| DC OUTPUT |
+3.3V |
+5V |
+12V1 |
+12V2 |
+12V3 |
-12V |
+5VSB |
500W |
| 22A |
30A |
20A |
20A |
20A |
0.5A |
2.5A |
| 最大電力 |
150W |
432W |
18.5W |
上記の場合、+3.3V と +5V の系統は、両方合わせて最大 150W まで。
+12V の系統は、全部合わせて最大 432W まで出力できますよ、という意味になります。
全部の電気の合計(総出力)は最大 500W です。
+12V がたくさんあるのは、パソコンのパーツはほとんど +12V を使うためで、さらに分けておいた方が安全性が高いためです。
20A と書いてあるのは電流(アンペア)で、電力(W、ワット)は「電流(A、アンペア)×電圧(V、ボルト)」なので、20A×12V で1つ最大 240W
であることを表しています。
つまりこの電源は1つで 240W 以上使うパーツは使用出来ないことを意味します。
(よって +12V を分けていると使用出来るパーツに制限が出来るので、あえて分けていない電源もあります)
なお、電源ユニットの規格として「ATX12V」や「EPS12V」と書かれたものがありますが、これは +12V の出力を強化しているタイプのことで、今の電源ユニットはほとんどこのタイプなので気にしなくて構いません。
電源ユニットの性能としては、総出力はもちろん各系統の最大出力も高い方が、より消費電力が高いパーツも使用でき、高性能だと言えます。
でも、大きな電力を使うパーツは複数の電源ケーブルを付けられるようになっている事が多く、各系統ごとの最大出力を気にしなければならないようなケースは、今はほとんどありません。
昔のパソコンを使っていて、電源ユニットも古いままで、そこに消費電力の高い最新パーツを付けたいという場合には、注意する必要があるかもしれませんが・・・
基本的には、総出力だけ見ておけばいいでしょう。
電源ユニットは、例えば +12V の電気を送る場合、当然 12 ボルトの電圧で送る訳ですが・・・
常に 12V ピッタリではなく、12.3V〜12.1V の範囲で変動しながら送られたりします。
この変動の範囲が電力供給の「安定性」です。
この範囲は狭いほど良く、常に同じ電圧で送れる電源ユニットがあった場合、パソコンやパーツは安定して動作できます。
しかしもし送られる電圧がバラバラの電源ユニットだった場合、当然パソコンやパーツには負担がかかり、それは故障や寿命の低下を招く事になります。
でも、こうした安定性は専門的な装置で計らないとチェックできませんし、性能表にも普通表記されません。
よって購入時にこれを目安にして製品を選ぶことは困難です。
安定性をウリにしている電源ユニットは製品紹介にそれを明記していると思いますので、それが目安になるぐらいですね。
あまり気にする必要はありませんが、やはり「高くて高品質なものは安定性も良い場合が多い」と考えておいた方がいいでしょう。
電源ユニットからは「電源ケーブル」がたくさん延びています
このケーブルを各種のパーツに繋げて、電気を送る訳ですね。
ケーブルにはたくさんの種類があって、マザーボード用、ハードディスク用、ビデオカード用など様々な種類があります。
これらはそれぞれ形が異なり、違う形のケーブルは取り付けられません。

マザーボードには普通、複数の電源ケーブルを取り付けます。
また、ビデオカード(グラフィックカード)は製品によって使用するケーブルの種類や数が異なるので、注意しなければなりません。
基本的に消費電力が大きいもの(性能が高いもの)ほど、ピン(Pin)がたくさんあるものを使う必要があります。
もし使っているパーツのケーブル取付口の形と、電源ユニットから延びているケーブルの形が違う場合は、形を合わせる「変換ケーブル」といったものを使わなければなりません。
ケーブルの数が足りない時は、1本のケーブルを2つに分ける「分配ケーブル」というものを使う必要がありますが、双方の使用電力の合計が「各系統ごとの最大出力」を越えないようにする必要があります。
まあ、よほどたくさんのパーツを付けない限り、分配が必要になることはありません。
一般的に最近の電源ユニットには、最近のパーツに対応したケーブルが付いています。
だから使っているパーツが古くて電源を新しくした場合(もしくは逆に、古い電源ユニットのパソコンに新しいパーツを付けようとした場合)、ケーブルの形が異なっている可能性があります。
よって電源ユニットについているケーブルの種類は、念のために確認しておいた方がいいですね。
電源ユニットとしては、様々な種類のケーブルがたくさん用意されていた方が使いやすいと言えます。
最近は「モジュラーケーブル」というものを使う電源ユニットも増えてきました。
これは「プラグインタイプ」や「イージープラグ」とも呼ばれ、電源ユニットにケーブルが完全にくっついているのではなく、着脱が可能なタイプです。
これだと必要な種類の電源ケーブルを選んで取り付けられますし、不必要なケーブルを付けっぱなしにしておく必要がないのでケース内もスッキリします。
着脱式だと接続部で安定性の低下などが発生する可能性があり、コストも高くなるため、以前は少なかったのですが・・・
技術の改良と、何より便利なことで、現在はモジュラーケーブル型も増えつつあります。
ここまでに述べた以外の電源ユニットの性能ですが・・・
まずは「静音性」。 音は静かな方がいいですよね。
電源ユニットは電気を送るパーツですから、相応に熱を持ちます。
そのため「ファン(扇風機)」が付いていて、これで冷却を行っていますが、ファンの音が騒音になります。
静音タイプはそのファンの音を少しでも減らそうとしているタイプですね。
ファンに工夫をしたり、負荷が低い時のファンの回転数を調整しているものが多いです。
次に「保護機能」。
必要以上に電気が流れたり、何かの影響で電力供給に異常が発生すると、電源ユニットが壊れたり、燃えたり、パソコンのパーツを破損させてしまう場合があります。
例えば良くあるのが、近くにカミナリが落ちて「過電流」が発生するパターン。
でも保護機能があれば、何かのトラブルがあってもパソコンへの被害を抑えられる・・・ かもしれませんね。
電圧や温度をチェックしたり、負荷を計測するなど、メーカーごとに独自の保護機能を盛り込んでいます。
次に「力率」。
これはコンセントから来る電気をどれだけ使えるかを示す数値で、本当は 100W の電気がコンセントから来ていて、力率が 90%、変換効率が 80%
だと、100×0.9×0.8 で実際に使用される電力は 72W になります。
ただ変換効率と違って、力率で使えなかったぶんの電力はコンセントに戻って行くため、力率が低くても消費電力や発熱などには影響はなく、あまり気にする必要はありません。
ただ力率が悪くて発電所に戻っていく電力が多いと、発電所には負担がかかり、「エコ」の点では問題があるそうです。
ちなみに 80PLUS 認証を受けるには力率も良くないといけないので、80PLUS 認証品なら力率も高いです。
なお、力率を高めるためには「アクティブPFC(ActivePFC)」という回路を搭載しないといけないので、宣伝文句にこれが書かれていたら「力率の改善をしているんだ」と思えばいいでしょう。
最後に「RoHS指令対応」。 ・・・と言っても、これは正確には性能ではありません。
2007年にヨーロッパを中心に提唱された環境保護のための決まりで、つまりこれも「エコ」のためのものです。
有害な物質を含む電気製品の販売をやめよう! と、特定の材質の使用量を制限した決まりで、これに対応していれば安全に使用出来ますね。
でも単なる材質の問題だし、曖昧な決まりなので、あまり気にする必要はありません。 |