| 読後雑感
実際に起こった一家惨殺事件をもとにして書かれた小説。
事件が起こったのは1955年だから、2007年でしかもアメリカから遠く離れた日本で読むには
それは現実に起きた事かどうかは気にしない。単に小説として読む。
そこに世界(どこに書かれた情景であろうと確実にある世界)と
人(それほど登場しなくとも、そこに確実にいる人)がある小説で素晴らしい。
「犬の本棚」的切り口では犬の登場するシーンはふたつ。
ひとつ目は被害者クラター一家に飼われている番犬。たしか雑種で・・ええと名前は失念。
侵入者に対して吠えたてるけど、その者が銃を持っていると途端に怯えて大人しくなってしまう。
一家が襲われる前の記述でその番犬についても触れてあったと思う。
もし、この犬が深夜、突然やって来た侵入者に対して警告したら、結果も違うものになっただろうに。
もうひとつはそのふたりの侵入者の内、計画者で詐欺師のディックに関して。
このディックは人なつこく、弁舌さわやかで、小切手詐欺を巧みにはたらく。
ただ、計画は場当たり的で、すぐばれてしまう刹那的な犯行ばかり。
奪った金も短期間で遊興に使い果たし、盗難車であてもなく彷徨する。
そんなディックはどこかで野良犬を見つけると、そのくたびれた野良犬を、ひき殺す。
楽しみにか、憎しみにか、ともかくそういった行為の中にもこの男の壊れた側面が見える。
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