神奈川総合法律事務所  
since1975   
   

  戻る  HOME > 事務所だより

悪 夢 (2004年1月発行第28号掲載)

宇野 峰雪

 2001年9月11日から悪夢が続いている。
 今年12月9日、とうとう日本政府はイラク復興支援特別措置法に基づいて自衛隊をイラクに派遣する基本計画を決定した。
 イラク特措法は、イラクで戦闘が行われていない地域で、かつ活動をする間戦闘が行われることがないと認められる地域で、人道復興支援活動と安全確保支援活動を行うことができるとしている。
 今年5月1日、米国は戦闘終結宣言をしたが、終結したのは大規模の戦闘のことで、なお戦闘は続いている。米兵の戦死者は戦闘終結以後も増え続けている。11月29日には、日本人外交官2人が殺害された。その前に、国連の事務所が爆破されデメロ特別代表をはじめ多数の死傷者を出して、国連はイラクを撤退した。国際赤十字でさえ被害を受けているのがイラクだ。イラクで戦闘が起こらないと見込める地域はないと考えるのが当たり前ではないか。自衛隊がイラクに行って活動すれば攻撃目標にされるおそれさえある。
 人道復興支援活動と安全確保支援活動というが、ことに安全確保支援というのは、基本計画では米英軍に対する支援であることがはっきりした。
 もともと米国のイラク攻撃は国連憲章を無視した、不法な先制攻撃で、全く正当ではないし、大義がない。かって、イラクがクエートに侵攻したことと同じである。あのときは、国連はイラクをクエートから撤退させるため武力の使用を認める決議をした。多国籍軍が編成されて湾岸戦争となった。それにならえば、本当なら米英軍をイラクから撤退させるための武力行使を国連が決議してもおかしくないくらいだ。
 米国は、イランがニジェールから大量のウランを買う契約をした、と言って米国民と世界の人々を欺いたし、英国は、イラクは45分以内に生物化学兵器を配備できるとウソをついた。
 国際法に反し大義のない戦争であるのに、日本の小泉首相はいち早くブッシュ大統領を支持した。
 米国の戦費は本年末でおよそ600億ドルになるだろう。復興に必要な資金は550億だという。600億ドルの戦費をかけて、人の命を考えれば、それに何倍もする被害をイラク国民に与えておきながら、復興に力を貸せ、資金を出せ、と言われて、小泉首相は自衛隊を出し、50億を出しますといった。私は拒否する。あなたはどうするか。
 9,11以後、憲法を無視して、矢継ぎ早に、テロ対策特措法、周辺事態法、武力攻撃事態法、イラク特措法を作ってきた小泉首相が、「いずれの国家も、自国のことのみに専念して、他国を無視してはならない」と憲法の前文を引用し、自衛隊イラク派遣が憲法の理念にかない、日本が国際社会において名誉ある地位を築くことになると考えていることが空々しかった。
 遠くない将来に憲法9条の改悪が国会の議題に上り、国民投票が行われる事態も想定される。
  悪夢はまだまだ続く。
 (2003年12月10日記)