2005.4.1以後 (2005年8月発行第31号掲載)
大塚 達生
2005年4月1日から「個人情報の保護に関する法律」(個人情報保護法)が全面施行されました。
この法律は、その目的について「個人情報の有用性に配慮しつつ、個人の権利利益を保護することを目的とする」と定めており(第1条)、そのために、個人情報の適正な取扱いに関し、国及び地方公共団体の責務等を明らかにするとともに、個人情報を取り扱う事業者の遵守すべき義務等を定めています。
報道機関、著述業者、学術研究機関・団体またはそれらに属する者、宗教団体、政治団体については適用を除外する規定がありますが、この法律によって義務等の遵守を求められる事業者(個人情報取扱事業者)は、あらゆる業種に及んでいます(ただし、事業の用に供している個人情報データベース等の個人データによって識別される人数が5000以下の小規模な事業者は除かれます)。
これにより、個人情報取扱事業者には、概略次のようなことが起こります。
- 個人情報の利用目的の通知又は公表が必要になり(明示が必要な場面もある)、原則として目的外の利用ができなくなる。
- 第三者提供には原則として本人同意が必要になる。
- 開示、訂正、利用停止、第三者提供停止等を求められるようになり、それへの対応が必要になる。
- 様々な事項について、予め公表する作業、本人が(容易に)知りうる状態にする作業が必要になる。
- 安全管理措置、従業者の監督、委託先の監督が義務づけられる。
なお、この法律における義務等の定め方は抽象的なため(あらゆる業種を対象にした規定ですので抽象的であることはやむをえません)、各業種ごとにこの法律を遵守するためのガイドライン・指針等が次々と策定されています。
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個人情報保護法の全面施行によって、ついに個人情報の利用に明確な制限が加えられる時代となりました。これまでは、個人情報の利用目的を通知、公表、明示するということは行われていませんでしたが、それを行うことが必要な時代になりました。そして、原則として、通知、公表、明示した利用目的以外には利用できなくなりました。
新たに様々な作業、対応、措置が必要になり、現場では戸惑いや混乱があると思いますが、個人情報保護法で課された義務等は守っていかねばなりません。
また、個人情報保護法により、個人情報の取扱いに関して、「民」対「民」の問題が発生するようになりました。例えば、本人からの開示等の請求やそれへの対応、個人情報の取扱いを委託した先に対する監督などです。すでに委託元と委託先との間の契約書や覚書の作成をめぐって、混乱も見受けられます。
個人情報保護法により、私たちは、個人情報の取扱いに関して、これまでと異なる時代に入ったといえます。その背景には、情報通信技術の飛躍的な進展に伴う個人情報利用の著しい拡大と、それに伴う危険の増大があります。連日のように報道されている膨大な個人情報の流出事件は、危険も飛躍的に増大していることを示しています。個人情報保護法が取扱事業者に様々な義務等を課したのは、個人情報の本人をこの危険から守るためです。
個人情報の取扱いについて、従来の意識で対応することは危険です。個人情報取扱事業者に該当する事業者は、個人情報保護法の内容をよく理解する必要があります。 |