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教育基本法のゆくえ (2007年1月発行第34号掲載)

宇野 峰雪

 教育基本法の改正案が衆議院で可決され、参議院で審議されている06年11月末にこの原稿を書いている。
 日本国憲法を改正することが使命だとする安倍総理大臣にとって、教育基本法の改正は最優先課題となった。
 現在の教育基本法に不都合があるかと問うと、はっきりした答えは返ってこない。占領中に作られたのだから、というのが改正の根拠らしい。現在の教育基本法のもとでは日本人らしくない日本人ができて、改正すれば日本人らしい日本人ができると考えられているようである。戦後60年余、日本人は日本人らしさを失ってしまったのだろうか。教育基本法を全面的に改正しなければならないほど、おかしな日本人になってしまったのだろうか。

 親の背中を見て子は育つなどと言うが、朝早くに家を出て夜遅くに帰宅する働く親の背中は、子には見えない。
 以前の大家族と違って祖父母はいない。少子化は進み、子は一人か二人。
持ち家政策で狭い土地に狭い家。その上長年月の住宅ローン。ちなみに思いやり予算で作る米軍住宅は40坪を超え、公団住宅の倍の広さとか。
 学校から帰れば塾が待っている。家の中ではテレビにゲーム。携帯電話も思わぬ武器になる。
 こうした困難な状況の子育てに対する支援はまだまだ小さい。

 学校でのイジメ。イジメによる自殺。先生にも自殺者がでている。それらは、数年続く年3万人を超える自殺者という社会環境の中で現れていることで、日本のこの間の社会経済状況と無縁ではないはずである。
 それを「いじめは100%教師の問題」「教室にゴミがなく、机がちゃんと並び、子どもの身だしなみがきちんとして授業に集中している以上のことは望んでいない。これができない教師が3分の1はいるのではないか。やり方を教えてもできない教師は人間的魅力も、適性もないから辞めてもらう。」と公言する人が、神奈川県の教育委員と国の教育再生会議のメンバーに任命されたことに耳を疑う。こんな独断と偏見で教育を主導して、「日本で一番大事なこと」教育はどうなってしまうのだろうか。

 世界史の未履修問題は、今年だけのことではなかったはずだ。未履修の一人一人が自らの心に問わなければならないし、社会としてこの問題をどうするか、ほおかむりしていいわけがない。

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 国旗国歌法が作られたとき、法ができたからといって強制されることはない、と言われたが、教育現場では学校の行事に国旗の掲揚、国歌の斉唱が義務づけられ、従わない教師には処分がなされ、あるいは教師として不適格の烙印が押されてきている。一度法ができると、法は為政者に都合よく解釈され、時にねじ曲げられてゆく。

 教育基本法を変えれば、子どものイジメや、未履修や、教師イジメなどなくなるのだろうか。むしろ、逆ではないか。
 教育基本法改正にうつつを抜かすのではなく、こうした問題を引き起こした真の原因を見極め、これを除去解決することこそが急がれることではないか。