神奈川総合法律事務所  
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横浜弁護士会「還暦憲法」集会
-ご報告とお礼と今後-
(2007年8月発行第35号掲載)

福田 護

 2007年5月29日、「激動の還暦憲法」とのタイトルのもと、横浜弁護士会が憲法施行60年記念講演集会を行いました。講師は、いま中心的社会問題になっている「格差社会・監視社会と改憲問題」に、早くから警鐘を鳴らしてきたフリー・ジャーナリスト斎藤貴男さんにお願いしました。
 この2週間前、憲法改正国民投票法が強引に可決されていました。まもなく国会には「憲法審査会」が設けられ、憲法改定案の実質審議がいつでもできるとされ、3年後には改定案を発議することが可能だといわれる、そういう状況下での集会となりました。
 「憲法が危ない」
 そんな思いを共有できたのでしょうか。当日、関内ホール小ホールには、ほぼ満席の約250名が参集してくれました。その中には、当事務所が日ごろお付きあいをいただいている市民団体・労働組合等の関係者の方々が、とてもたくさんおいででした。ご参加をお願いした者として、心からお礼申しあげます。
 講演で斎藤さんからは、改定教育基本法や自民党の新憲法草案が愛国心を鼓舞し、他方で格差社会に困窮した若者が「自衛軍」の兵士を志願する、そういう危険な方向に対し、いまこそ憲法9条を生かすべきときであることなど、実に歯切れのよいお話をいただきました。
 集会にはまた、国民投票法の国会審議に日参して反対活動を続けてきた「憲法行脚の会」事務局長・猿田佐世弁護士が、結婚直後・留学直前という合間をぬって、報告時刻ギリギリに文字どおり駆けつけてくれ、問題状況を熱っぽく報告してくれました。

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 ところで、弁護士会がいま、憲法問題をとりあげて、このような集会等を行う意味は、何なのでしょうか。改憲問題を運動課題としている団体はすでに多数あり、今回も、屋上屋の弁護士会企画など迷惑ではとの忸怩たる思いもありました。みなさまのご意見をいただけると幸いです。
 私も考えがまとまらないまま、ここ数年、横浜弁護士会としての憲法関連活動に関与してきました。集会の企画と実施、会長声明・会長談話の提案、人権擁護委員会発行の冊子「人権かながわ」での憲法特集、憲法講師の弁護士会からの派遣等です。
 なぜ、弁護士・弁護士会が「憲法」か? いくつか考えていることを挙げて、言いわけがましい訴えとさせてください。

(1) 弁護士が市民の立場で活動をする、とりわけ権力に対抗して、人権を守るための法的な活動をする足場は、やっぱり憲法にあること。それは、憲法が市民の基本的人権を権力に対して守らせるための根本的なしくみであるという立憲主義に由来し、「弁護士自治」(弁護士活動への統制・懲戒等の権力による不介入)はその制度的保障となっていること。だからこのしくみは、弁護士にとっても市民にとっても必要不可欠なこと。

(2) 弁護士会は、そういう法律家の集団として原理的に不偏不党の立場にあり、政治的立場や潮流の違いをこえて、一緒に集まったり議論したりする場を提供しやすいこと。(ただし、それは個別の法的課題について政治的意見をもたない、いわないということではない。立脚する原理が違うということ。)

(3) 現在、司法制度改革を通じて弁護士が急増する中で、①のような弁護士の地位と役割を、多くの弁護士自身がともすると見失いがちになり、弁護士制度全体が変質してしまう危険があること。(そうならないよう、市民のみなさんの強力な応援と叱咤激励を必要としています。)

(4) 現在の憲法をめぐる状況下では、いろんな団体が、次々と、うんざりするほど、憲法改定問題について集会をし、その他の活動を行い、議論が高まり、本当の世論が形成されることが必要不可欠なので、弁護士会も遠慮している場合ではないこと。とくに、「小泉劇場」的な、強引な政治手法と強力なリーダーシップを待望するかのような情動的民衆心理は、たいへんに危険であり、いま、きちんとした議論こそが最も必要であること。

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 今回の集会では、冒頭、山本弁護士会会長が、イラク戦争への小泉首相の対応に自ら抱いた危機感を披瀝しつつ、平和憲法の重要性を訴え、また、集会の最後には立憲主義を堅持すべきこと等を訴える集会アピールも採択されました。
 これらを通じて、横浜弁護士会としての憲法問題への取組みの基盤も、また少しだけ、底上げされたのではないかと思います。
 私自身は去る3月いっぱいで、4年間やってきた横浜弁護士会人権擁護委員会の委員長を退任しましたが、今後は、同委員会内の憲法改正問題検討部会員として、引き続き走りながら考えていきたいと思っています。みなさまにお願いすることも、また出てくると思いますが、よろしくお願いいたします。