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 欠陥建築の被害

弁護士大塚達生

 
 
 建物建築を注文した場合

 注文建築に欠陥を発見 
 工務店と
建物建築請負契約を結び、建物が完成したということで引き渡しを受け使用し始めたが、建物に欠陥があることが判ったという場合に、法的にはどのような対処方法があるでしょうか。
 このようなケースでは、欠陥である以前に、そもそも建物が未完成だという場合と、未完成とまではいえず欠陥の問題だという場合とがあり、法的な判断が違ってきます。

 建物未完成の場合
  まず、基本構造部分が全然設計仕様どおりに施工されていない、建築基準法に全く適合しないなどの事情から、建物としては
未完成であると評価される場合(この判断は具体的ケースごとに異なります)について説明します。
 この場合、工務店の仕事が完成していないので、原則として注文者は、
建物を完成するように工務店に請求することができます。
 完成するまでは代金の支払いを拒むことも可能です。民法では「仕事ノ目的物」(この場合は完成した建物)の引渡と同時に報酬(代金)を支払うことを原則としているからです。

 建物未完成とまではいえない場合
  次に、
未完成とまではいえない場合でも、工務店の建てた建物が通常備えるべき性能を備えていないとか、請負契約により約束されていた性能を備えていないなどという場合は、工務店の「瑕疵担保責任」ということが問題になります。「瑕疵」とは「かし」と読み、欠陥を意味します。
 この場合、注文者は工務店に対して原則として
瑕疵の修補を請求することができます(民法634条1項)。
 また、注文者は工務店に対して、瑕疵の修補を請求する代わりに
損害賠償を請求することも可能です。
 瑕疵の修補請求と同時に損害賠償を請求することも可能です。
 この場合、注文者は瑕疵の補修ないし損害賠償を受けるまでは、原則として工務店からの代金支払い請求を拒むことが可能ですし(民法634条2項)、工務店の代金債権と自分の損害賠償債権とを同額の範囲で相殺することも可能です。

 責任の期間
   なお、このように修補や損害賠償の請求ができるという
瑕疵担保責任の期間は、民法では完成引渡から5年間(石造、土造、煉瓦造、金属造の場合は10年間)と定められています。
 しかし、この期間は、特約によって伸ばしたり短縮したりすることができます。
   ただし、建物が新築住宅の場合は、
住宅品質確保促進法(2000年4月施行)により、基本構造部分の瑕疵に限っては、瑕疵担保責任の期間が完成引渡から10年間とされ、特約による変更では、短縮はできず20年以内の範囲での延長だけができます。
       

 建物の売買の場合

 購入建物に欠陥を発見 
 建物建築を注文するのではなく建物を購入するという場合は、請負契約ではなく
売買契約となります。買った建物に欠陥(瑕疵)があったという場合はどうなるでしょうか。

 瑕疵担保責任
 
欠陥(瑕疵)の程度がひどく契約の目的を達することができない場合は、買主は契約解除をすることができ、かつ損害賠償請求できます。
 
それ以外の場合は損害賠償請求だけすることができます。
(民法570条、566条)

 ただし、この場合の欠陥(瑕疵)は、買主がその取引上一般に要求される程度の注意をもってしても発見できなかった欠陥(瑕疵)でなければいけません(法律では「隠れたる瑕疵」といいます)。

 責任の期間
 解除や損害賠償請求ができる期間(瑕疵担保責任の期間)は、民法では瑕疵を知ってから1年間とされています。
 ただし、
新築住宅の場合は、住宅品質確保促進法により、基本構造部分の瑕疵に限っては、修補請求もできるようになったうえ、期間が完成引渡から10年間とされ短縮することができません。
 なお、この場合、特約により20年以内の範囲での延長はできます。
        

 住宅性能表示制度

 住宅性能表示制度の導入
  住宅品質確保促進法ができたことにより(2000年4月施行)、新築住宅の建築注文・売買の場合は、住宅性能表示制度が導入されました。
 その後2002年には、既存住宅を対象とした性能表示制度も導入されました。

 住宅性能評価が行われた新築住宅
 指定住宅性能評価機関による住宅性能評価が行われた新築住宅については、住宅性能評価書の記載内容が原則として請負契約や売買契約の内容となります。
 そして、紛争が発生した場合は、各都道府県の弁護士会が運営する
指定住宅紛争処理機関において、あっせん・調停・仲裁などの処理を受けることができます。

 住宅性能評価が行われた既存住宅
 既存住宅の場合は、住宅性能評価書の内容が自動的に契約内容になるわけではありませんが(契約内容とするには契約当事者の合意が必要)、その住宅に紛争が発生した場合は、指定住宅紛争処理機関において、あっせん・調停・仲裁などの処理を受けることができます。

  指定住宅紛争処理機関
 指定住宅紛争処理機関は、
住宅紛争審査会という名称を使用しています。
 全国の住宅紛争審査会の一覧は、
住宅リフォーム・紛争処理支援センターのホームページで紹介されています。
        

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まとめ

 注文建築(建物建築請負契約)で

 未完成と評価される場合

 工務店に対して完成するように請求。
 完成するまでは代金支払いを拒める。
 損害が発生した場合は損害賠償請求も。

 未成とまではいえないが瑕疵がある場合

 工務店に対して、瑕疵の修補、損害賠償を請求。
 
瑕疵の補修ないし損害賠償を受けるまでは、原則として代金支払いを拒める(例外的に認められない場合あり)。

 
 建物売買(建物売買契約)で

 新築住宅で基本構造部分に隠れた瑕疵がある場合

 売主に対して瑕疵の修補、損害賠償を請求。
 瑕疵の程度がひどく契約の目的を達することができない場合は、契約解除も可能。

 新築住宅で基本構造部分以外に隠れた瑕疵がある場合

 売主に対して損害賠償を請求。
 瑕疵の程度がひどく契約の目的を達することができない場合は、契約解除も可能。

  中古住宅で隠れた瑕疵がある場合

 売主に対して損害賠償を請求。
 瑕疵の程度がひどく契約の目的を達することができない場合は、契約解除も可能。